オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜 作:友親 太一
【キキョウシティ 〜懐かしい香りのする町〜】
オッス、俺ゴールド。
俺は今、キキョウジムに挑む為に三十番道路で野生のポケモンとトレーナー相手にトレーニング中だ。
ちなみに修行中にキャタピーの雄を捕獲し手持ちに加えた。
……本当はキャタピーを手持ちに加える予定は無かったんだ。
が、キャタピーと遭遇した時にクリスが物凄い笑顔になったから嫌な予感がしたのでクリスが捕まえるより先に俺が捕獲した。
……後でネットで調べたらキャタピーはバタフリーに進化すると『どくのこな』、『しびれごな』、『ねむりごな』、『ちょうおんぱ』を自力で覚えることを知った。
…………あっぶねぇぇぇ。
こんな危険なポケモン絶対にクリスには渡せねぇぇ。
自分の嫌な予感を信じて良かったわ。
まぁ便利そうなポケモンなんで取り敢えずレギュラーに入れてみた。
尚コラッタとポッポも捕まえたが二匹とも雌だったので泣く泣くマサキのパソコンに転送した。
見つけた時にポケモン図鑑で確認すれば良いんだが、いきなりバトルに入ると図鑑を出す暇が無いんだよね。
オタチの時みたいに不意を付けないと確認は無理だわ。
トレーニングの方はかなり順調でヒノアラシは『ひのこ』を、オタチは『でんこうせっか』を覚えた。
そしてキャタピーは早々にトランセルに進化して『かたくなる』を覚えた。
トランセルがバタフリーに進化したらジム戦に挑むつもりでいる。
ちなみにクリスのチコリータは『はっぱカッター』と『リフレクター』を習得した。
そうそう、俺とクリスはキキョウシティのポケモン塾にも通ってる。
キキョウシティに着いたときに塾長のジョバンニ先生にたまたま出会って先生の塾に(強制的に)入ることになった。
内容は非常に有意義で初心者の俺達にはとても有難かった。
なので午前中は塾で座学、午後は三十番道路で実践練習ってスケジュールを一週間ぐらいこなしてる。
……尚、塾での状態異常の講義のときのクリスはとても真剣だったとだけ報告しとこう。
「うっし。日も傾いてきたし、そろそろポケモンセンターに帰るぞ」
「うん、帰ろうゴールド♪」
クリスは初日こそ文句言ってたクリスだがそれ以降は日の入りまでに戻る事に文句を言わない。
良い傾向だ、このまま順調に性格矯正出来ればいいんだがな。
「そいやクリスはポケモンを捕獲しないのか?」
ふと思ったのでクリスに聞いてみた。
コイツの手持ちは今のところチコリータだけ。
正直厳しいと思うんだよな。
「う〜ん、キャタピーならちょっと欲しいけど、それよりゴーストタイプかエスパータイプのポケモンが欲しいから今はいいや。あ、悪タイプでもイイかも♪」
……聞かなきゃ良かった。
話の内容自体はごく普通だがクリスが言うと非常に危険に聞こえるのが不思議だ。
俺は何とも言えない気持ちになりながら、ポケモンセンターに向かおうとした。
「それにチコリータがもう少しで『どくのこな』を覚えるからそっちを優先したいし♪」
本当に聞かなきゃ良かったよコンチクショーー!!!
★☆★☆
【午前三時、ポケモンセンター男子宿泊施設】
ハァイ、アタシはクリス。
え、こんな真夜中に何やってるかって?
やぁね、この時間にやると事と言ったら夜ばいに決まってるじゃない、よ・る・ば・い。【注意・クリスは夜這いと間違えてます】
ゴールドったら一週間も一緒にいるのに手も握ってくれないのよ、もう信じれない!
そりゃゴールドが奥手なのは知ってるわよ。
でも全くアプローチ無いのはありえないと思わない?
だ・か・ら、アタシからアタックしようと思ったのよ。
その為に二、三日前から色々調べたんだからね。
調べた結果この時間ゴールドは熟睡してるし、夜勤のジョーイさんとハピナス達は夜食を買う為に出かける、その間警備員さんはジョーイさんの代わりに受付にずっといるわ。
それに今日、宿泊施設を使ってるのはアタシとゴールドだけ。
まさに夜ばい日和だわ!
……ゴールドの泊まってる部屋に着いたわ。
ガチャガチャ
やっぱり鍵は閉まってるわね。
で・も、このハリガネで♡
………………カチッ!
ふっ、恋する乙女の前にはこんな鍵は無いも同じよ。
アタシはゆっくりと扉を開けた。
「ひの?」
…………そして、そのままゆっくり扉を閉めた。
もう、何でヒノアラシが居るのよ!!
キーーー!!!
……でも絶対に諦めないんだからね。
★☆★☆
【男子宿泊施設の窓】
……扉がダメなら窓があるわ。
三階の窓まで素手で壁を登るのは辛かったけどこれもアタシとゴールドの幸せな未来のためよ!
アタシは宙ぶらりんになりながら窓を開ける、……幸いにも窓には鍵が掛かってないわ。
そして腕に力を入れて一気に体を持ち上げた!
「オタ〜チ!」
……そしてアタシはそのまま手を離した。
地面に落ちながらアタシが考えてたのは
「何でオタチがいるのよ〜!!」
だった。
でも諦めないんだからね。
アタシは宙返りしながら見事な着地を決めて次の行動に移った。
★☆★☆
【男子宿泊施設、屋根裏】
……こうなったらヤケよ、女の意地よ!
アタシはほふく前進で屋根裏を突き進む。
……ホコリまみれになるから本当は嫌なんだけど、このままでは引き下がれないわ。
ぜ〜〜ったい、【放送出ません】するんだからねぇ!
……と、そろそろゴールドの部屋の上よね?
「…………」
「……ハ、ハァイ、トランセル」
何でトランセルがいるのよーーー!!!
で、でもトランセルなら鳴かないからこのままスルーしてゴールドのも…………
「……!」
ちょっと、アナタはサナギでしょ!?
何で『いとをはく』のよーー!!!
トランセルの糸がアタシの体に巻きついて身動き取れなくなる!
もうイヤーーー!!!
★☆★☆
【次の日の朝】
ふぁ〜あ〜あ〜、良く寝たぜ。
「おはようヒノアラシ、オタチ」
「ひの〜」
「オ〜タチ!」
「夜の見張りご苦労様、何かあったか?」
俺の言葉でヒノアラシとオタチは同時に上を見た。
……なるほど、どうやらトランセルの所で大きなネズミが捕れたか。
俺は二階建てベッドの上に立ち天井の板を外し屋根裏に上半身を入れる。
「おはようトランセル、昨晩はお手柄だったみたいだな」
「…………」
数回トランセルの頭を撫でると、トランセルは嬉しそうに揺れた。
その横には大きな繭に包まれた
……俺はコイツの行動力だけは本当に凄いと思ってる。
コイツは二、三日前から何かコソコソしてたから絶対何かすると予想してた。
俺は初日こそポケモンセンターなら安全だと思ってた。
が、よくよく考えると警備員さんの巡回にも穴があるし、俺は政府の要人でも無いから常にSPがついてるわけじゃないからな、絶対クリスが何か仕掛けてると思ったんだよ。
だからクリスが侵入しそうな場所でポケモン達を見張らせてたんだ。
そしたら案の定コイツは来やがった。
ちなみに夜起きてたからポケモン達が寝不足になる、何て心配は無い。
ポケモン塾での講義中はモンスターボールの中でタップリ寝れるからね。
……これで少しはクリスが反省してくれたら良いんだが。
「…………うぅ、絶対、絶対諦めないんだからぁ…………」
……無理そうだな、はぁ。