オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜 作:友親 太一
【ヨシノシティ 〜可愛い花の香る街〜】
オッス、俺ゴールド。
ポケモンマスターを目指す為に旅に出た俺達はここヨシノシティのフレンドリィショップで買い物中だ。
「モンスターボールが五つ、傷薬が二つ、毒消しが五つ、以上でよろしいですか?」
「はい」
ちなみに毒消しは少し多目に買った。
理由は……言わなくても分かるだろ?
あと胃薬も欲しかったけどここでは売ってなかった。
胃薬は当分我慢するしかないな。
「おーいクリス、お前は買わなくて良いのか?」
「うん。だってアタシの欲しいもの売ってないもん」
「……ちなみに何が欲しいんだ?」
「睡眠薬、あと下剤」
……あー聞かない聞かない、俺は何も聞いてないぞー。
俺はお金を払って店員さんから商品を受け取ってさっさと店を後にした。
……俺は胃薬ないのにこれ以上胃痛の元を増やしたくない。
よって満面の笑みで絶対本来と違う用途に使う為の薬を探してたクリスをスルーした俺は悪くない。
うん、俺は間違ってないな。
「待ってよーゴールド、おいてかないでよー!」
……割りとマジで放置していきたいな。
だが放置するとそれはそれで面倒なんだよな、はぁ。
★☆★☆
【二十九番道路】
「ねぇねぇゴールド、二十九番道路にもどってきて何するの?」
「なにね、ここで一匹捕まえたいポケモンがいるんだよ」
「どのポケモンをゲットするの?」
「オタチ」
「へ?」
クリスがキョトンとした表情をした。
まぁ気持ちは分かるけど。
この世界ではオタチはあまり強いポケモンと認識されてなくオタチはペット用ポケモンってのが常識だし。
だが俺はオタチが欲しい。
理由は秘伝技の為だ。
確かゲームのポケモンだとオタチとその進化系のオオタチは冒険に必須の秘伝技を何種類か覚えたはずだ。
これを俺が覚えてたのは前世のガキの頃に一匹のポケモンに秘伝技を集中させる発想が無く、レギュラーポケモンに秘伝技を覚えさしてたのを当時の友達に馬鹿にされたからだ。
「お前レギュラーポケモンに『フラッシュ』覚えさせてるのかよ。ダッセぇ」
……その友達の一言でブチ切れた俺は友達とリアルバトルして前世の親父にしこたま怒られたなぁ。
まぁそんな事があったからオタチの事は辛うじて覚えてたんだよ。
ただし何を覚えるかまでは記憶にないが。
「……オタチはな、俺に必要なポケモンなんだよ」
「 よく分からないけどゴールドが欲しいならいいんじゃないかな?」
クリスには前世の話はしてないから説明はしないけどな。
さて、オタチを探すか。
「出番だ、ヒノアラシ!」
「ひのの〜!」
モンスターボールから元気よく飛び出したヒノアラシ。
「ヒノアラシ、オタチを探してくれ。見つけたら俺を呼んでくれればいいからな」
「ひ〜の〜!」
この世界はゲームみたいにただ道を歩いて探しても中々狙ったポケモンには出会えない。
その為に欲しいポケモンを探すときは自分の手持ちポケモンに探させるのが一般的だ。
ヒノアラシはヨチヨチと草むらの中に入っていった。
「ねぇねぇアタシも手伝おうか?」
「良いのか? なら頼むよ」
「うん♡ 出ておいでチコリータ!」
「チコチコ!」
「チコリータ、オタチを探して。見つけたら教えてね」
「チコ!」
チコリータはクリスの言葉を聞くと颯爽と茂みの中に入っていった。
……チコリータはキビキビと動くのに俺のヒノアラシはなんかノンビリしてるんだよな。
まぁポケモンにも個性があるのは仕方ないか。
そいやゲームのポケモンに個性ってあったけな? 覚えてねぇ。
「……ねぇゴールド、これで今はアタシ達二人っきりよね」
迂闊!!!
二人だけになったらクリスが暴走するなんて予想出来てたのに!
あぁ俺の馬鹿。
「チコリータ達もいない……ねぇゴールド♡」
まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい……
どないしよどないしよどないしよどないしよどないしよどないしよどないしよ……
「ひの〜〜!!」
ヒノアラシ、ナイス!!!
「ど、どうやらヒノアラシがオタチを見つけたみたいだな。行くぞクリス!」
「……ちっ! チコリータ、聞こえてたら戻ってらっしゃい!!」
あっぶねぇぇぇ。
ヒノアラシには本当感謝だわ。
お礼にヒノアラシの今日の晩御飯はすこし奮発しよう。
そんな事を考えながら俺はヒノアラシの声がした方に走る。
★☆★☆
ヒノアラシは割りと近くに居た。
そしてその向こうにはオタチが気持ち良さそうに昼寝してる。
「ひのひの」
「良くやったヒノアラシ、本当に良くやったマジありがとう!」
お前のおかげで俺の貞操が守られたよ。
「ゴールド〜」
「チコチコ」
少し遅れてクリスとチコリータも合流した。
「あら、あのオタチ寝てるの?」
「みたいだな、アレなら簡単に捕獲出来る」
と、その前に……。
俺はポケットからポケモン図鑑を出してオタチに向ける。
ポケモン図鑑にはポケモンをスキャンする事でそのポケモンの大まかなレベル、体力、あと性別を調べる機能がある。
更にポケモンを捕まえると体長や体重なんかも分かるようになる、非常に便利だよね。
さて今重要なのは体力でもレベルでも無い、重要なのは性別だ。
……クリスは俺に近づく女にあり得んほど敵対心を燃やす、それが例えポケモンでも。
……そしてそれが非常に怖い。
どれくらい怖いかと言うと……いや、これ以上は言わないとこう。
その為に俺のポケモンは雄のみにしなければならいのだ、俺の精神衛生の為にな。
尚唯一の例外は俺のオフクロな。
ウチのオフクロだけは寧ろクリス自身が懐いてるし。
…………よし、あのオタチは雄だな。
俺は確認が終わると素早くポケモン図鑑を仕舞い代わりにモンスターボールを取り出す。
……この距離ならボールを投げても届くな。
俺はゆっくりとモンスターボールを構えて……
「いけっ、モンスターボール!」
全力でボールを投げた!
投げたボールは見事オタチに命中しオタチはボールに吸い込まれた。
……ボールがゆっくり揺れる、やがてボールはその揺れを止めた。
捕獲成功だ!
「よっしゃぁ!」
「おめでとうゴールド♪」
「ひのの〜♪」
「チコチコ♪」
祝・ポケモン初ゲットってね。
いやー緊張したわ。
でもちゃんと捕まえられて良かったぁ。
「んじゃポケモンセンターに行くか」
「へ? 何で?」
「日が暮れる前に戻って寝る準備したいから」
ポケギアで時間を確認すると今は午後五時を少し過ぎたくらい、今から戻れば日が沈む前にポケモンセンターに着けるな。
「えー、まだ早いよ」
「いや無理をするのは良くない、俺達もポケモン達もな。俺達はまだまだ初心者だし慎重な位で丁度いいんだ」
そう、慎重に行動しないとな、俺の貞操の為に。
因みにポケモンセンターの簡易宿泊施設は男女部屋が別れていて時々警備員さんが見回りに来てくれるからクリスに夜這いされる心配はない。
ぶーぶー文句言ってるクリスを宥めながら俺達はポケモンセンターへの帰路につくのだった。
…………ポケモンセンターなら安全だと思ってたんだよな、この時は…………