オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第五十三話 レッツ・パーティー♪

【ワカバタウン】

 

 オッス、俺ゴールド。

 俺とクリスは昼過ぎにワカバタウンに帰ってきた。

 やっぱ自転車は速いね、コガネシティからワカバタウンまで数時間で着いたよ。

 

 そして着いてから、まずはウツギ博士のとこに寄ってトゲピーがトゲチックに進化したことを報告した、ついでにヨシノシティで二人へのお土産として買ったエナジードリンクを渡しといたぞ。

 

 ウツギ博士は相変わらずニコニコして受け取ってくれたが、助手さんはシルバー君が持っていったワニノコの事をかなり心配してた。

 ……気持ちは痛いほど分かる、俺も仲間達が盗まれたら心配で仕方ないだろう。

 なのでワニノコがシルバー君の元で元気にしてる事、ワニノコがアリゲイツに進化したことを伝えたらホッとしてくれた。

 

「そうですか、あの子は元気にしてますか……よかった、本当によかった」

 

 ど、助手さんが泣きながら笑ってくれた。

 ポケモンの為に泣けるこの人はとても優しい人だと思うよ。

 ……そいや今思い出したがシルバー君にお仕置きするの忘れてたな、まぁその内やるか……また忘れそうだけど。

 

【ゴールドの家】

 

 家に着いた俺達は早速、誕生日パーティーの準備に取り掛かる。

 オフクロには二階に上がってもらって準備が終わるまで降りてこないように言ってある。

 

「んじゃ始めるか。クリス、ポケモン達を出すぞ。みんなに準備を手伝ってもらうんだ」

 

「うん♪ みんな出てきて!」

 

 そして飛び出したマグマラシ、オオタチ、バタフリー、ヤドン、キマワリ。

 クリスのボールからはベイリーフ、メノクラゲ、トゲチック、そして俺が預けたゴロー……ん?

 

「ゴロォニャ!」

 

 ……目の錯覚じゃないな、ゴローンはゴローニャに進化してる、でも何故に?

 

「なぁクリス、いつの間にゴローンはゴローニャに進化したんだ?」

 

「さ、さぁ? アタシもボールを預かってからずっとホルダーに入れっぱなしだったから分からないよ」

 

 ゴローニャへの進化条件って何だっけ? 石? レベル? つかいつ進化したんだ?

 

 ピンポーン♪

 

 二人でゴローニャに進化した理由あれこれ考えてると玄関からチャイムの音がした。

 

「はーい」

 

 俺が玄関の扉を開けるとウツギ博士と奥さん、ウツギ博士の息子さん立っていた。

 

「こんにちはウツギ博士、さっきぶりです。どうしたんですか?」

 

「こんにちはゴールド君、君がお母さんの誕生日祝いをするって言ってただろ? その準備を僕達にも手伝わせてくれないかい?」

 

 マジか、それは助かるが……

 

「それは有り難いです、ですがお仕事は大丈夫ですか?」

 

「あぁ、研究所はさっき休みにしたよ。僕の助手がさっき君の話を聞いて安心したからか、一気に今までの疲れが出てね、貧血で倒れそうになったから今日は帰らしたんだよ。

 彼無しだと今やってる研究は無理だから今日明日は臨時休業さ」

 

「それは……すいません」

 

「いいんだよ謝らなくて。正直最近の助手はワニノコ……今はアリゲイツになった、あの子の事を心配し過ぎてかなり酷かったからね。でも仕事してないと余計心配して何しでかすか分からない状態だったんだよ。

 だから彼自身の要望で無理矢理仕事を増やしてなるべく考えさせないようにしてたんだ」

 

「まぁアナタったら、助手さんの事ばかり言ってますがアナタも相当酷かったわよ?

 夜中にうなされたアナタを私が慰めたの忘れてます?」

 

「いや、その……その節はお世話になりました」

 

 そいや博士って奥さんの尻に敷かれてたっけ、久し振りに会った奥さんは相変わらず笑顔で旦那に容赦ないこと言うよな。

 

「分かればいいのよ、アナタ。ですからゴールド君、私達が準備のお手伝いするのは主人と助手さんの悩みを解決してくれたお礼も兼ねてるんですよ」

 

 そういう事なら有り難く手伝ってもらおう、いやぁ助かるわ。

 掃除や飾り付けはポケモン達にも手伝えるが、料理は俺とクリスだけで作るつもりだったから本当助かる。

 

「ボクもてつだうよ!」

 

「坊やもありがとうな」

 

 さて、準備始めますか!

 

 ★☆★☆

 

「あ、ウツギ博士、少し聞いて良いですか?」

 

「なんだい?」

 

 部屋の飾り付けも終わり、料理も盛り付け以外は終わったから少し休憩してる。

 その為俺は麦茶を飲みながら同じく麦茶を飲んでるウツギ博士に話しかけた。

 尚、クリスと博士の奥さんはオフクロとおしゃべりする為に二階に行って、博士の息子さんとポケモン達は外に遊びに行ってる。

 

「実は俺のゴローニャの事なんですが……」

 

 俺は今日ゴローンがいきなりゴローニャに進化したことを伝える。

 ウツギ博士はポケモンの進化について研究してるから進化した理由が分かると思って聞いてみたんだよ。

 

「あぁ、それは交換進化だね」

 

「交換進化?」

 

 なんだそれ? 初めて聞いたな。

 

「一部のポケモンは他人とポケモン交換する事で進化する事があるんだ。ゴローニャ以外だとフーディン、ゲンガー、カイリキーがこれに該当するよ」

 

 そうか、クリスと一時的に交換したから進化したのね。

 あ、思い出した! これって通信進化のことだ。

 そうかゲームでの通信進化がこの世界だと交換進化って名前になってるのか。

 まぁこの世界だと交換する時に通信ケーブルは必要ないから名前も変わるわな。

 

「他にもハガネールやキングドラなんかも交換進化だと思うんだが……どうもポケモン交換する以外にも条件があるみたいでね、まだ確定では無いんだ」

 

「そうなんですか、でも交換するだけで進化するのは不思議ですね」

 

「本当だね、一説には交換する事でポケモンはストレスを感じて進化するとは言われてるが、残念ながらまだ仮説でしかないんだよ。とある地域だと野生のゴローニャが普通に生息してたりするし、まだまだ分からないことだらけだよ」

 

 ポケモンは奥が深いな、何にしてもゴローニャが進化した理由は分かって良かったよ。

 

 ★☆★☆

 

 ハァイ、アタシはクリス。

 

「「「「ハッピーバースデー!!」」」」

 

「みんなありがとう♪」

 

 無事に準備は終わり、お母さんの誕生日パーティーが始まったわ。

 お母さんはうれしそうに誕生日ケーキのロウソクの火を吹き消す。

 

 そしてアタシ達はプレゼントを渡すわ、お母さん喜んでくれるかな?

 

「お母さん、お誕生日おめでとう♪」

 

「これは俺達からのプレゼントだ」

 

 ゴールドはラッピングされた箱を渡す。

 

「ありがとうゴールド、クリスちゃん。開けていいかな?」

 

「「もちろん!」」

 

 お母さんはラッピングを丁寧に開けてくわ。

 

「まぁお花の種とこれは……モンスターボール?」

 

 お母さんが首を傾げてるとルアーボールからキマワリが飛び出した。

 

「キマ、キマキマワリ。キマ、キマ《はじめまして麗しき姫君よ、我輩は今日より貴女様の忠実なナイトとなるキマワリと申しまする。このキマワリ、誠心誠意お仕えさせていただぎす》」

 

 タキシードを着込んだキマワリは見事な一礼をしながら優雅にあいさつしたわ。

 このタキシードはキマワリ自身の要望で用意したものよ。

 尚お値段は結構しました、ポケモンの服って高いのね。

 

「ねぇゴールド、この子は……?」

 

「そいつはオフクロの新しい家族だよ」

 

「…………ゴールド、ちゃんと避妊しなきゃダメでしょ?」

 

「だから人間からポケモンが産まれるかボケーーーっっっ!!!」

 

 今日もゴールドのツッコミがワカバタウンに響き渡るわね。

 

 ★☆★☆

 

 あの後キマワリの説明をお母さんにして今は用意した料理をみんなで食べながらくつろいでるの。

 ポケモン達もお腹いっぱい食べて幸せそう。

 でもマグマラシだけ食べ過ぎて少し苦しそうにしてるの、あの子は食い意地はってるからなぁ。

 

 お母さんはウツギ博士達に貰った高そうな一人用ソファー(ウツギ博士が論文賞? ってので貰った物だけど誰も使わないからって言ってた)に座ってキマワリを膝に乗せてるわ。

 お母さん、キマワリが気に入ったみたいでよかった。

 

「……ぅぅううぉぉおお!!」

 

「……グォォオオオ!!!《……ど根性ォォォオオオ!!》」

 

 ドッスッッ!!!

 

 な、なんかスゴイ声と衝突した音が家の外からした!?

 何があったの!?

 

「……すっげー嫌な予感が……いやこれはもう嫌な予想か。オフクロ達は待っててくれ、俺が見てくる」

 

 そう言い終わるとゴールドが食べかけのケーキを机に置いて玄関に向かう、アタシはもちろんその後を着いてくわ。

 

 バタッ!!

 

「コラッ、糞オヤジ! テメェいきなり大声出して登場すんじゃねぇよ、近所迷惑だろが!!」

 

 ゴールドは玄関を勢いよく開けて怒鳴ったわ。

 そこには顔やら服やらに木の枝や葉っぱを付けてボロボロなゴールドのお父さんと、何故か疲労困憊の同じくボロボロなリザードンがいたわ。

 

 てかゴールド、久し振りに会ったお父さんに対する第一声がそれって……

 それにゴールドも十分近所メイワクな声出してるし。何より、そのご近所さんのウツギ博士一家とアタシはこの家にいるよ?

 あとあのリザードンは誰?

 

「おーゴールド、クリスちゃん、元気してたか! 相変わらず仲良さそうで安心したぞ」

 

「オヤジこそ相変わらずのノー天気だな、つか仕事で帰ってこれないんじゃ無かったのかよ?」

 

 それね。

 お父さんは世界中を回る豪華客船のクルーをしていて中々家には帰ってこれないの。

 アタシもお父さんと会うのは久し振りだわ。

 なのに何でここに?

 

「いやぁ船長に今日がお母さんの誕生日だって話したら「嫁さんの誕生日ぐらい帰れや!」って叱られて急遽休みくれたんだよ」

 

「……ちょい待ち、休み貰えた理由は分かったがオヤジの船は今は確かアローラに停泊してるとか言ってなかったか?」

 

 え? それ初耳、と言うことはお父さんはアローラからワカバタウンに帰ってきたの!?

 

「そうだぞ、だからアローラからリザードンに乗って帰ってきた。このリザードンはライドポケモンと言ってな、アローラでレンタル出来るんだよ、便利だろ?」

 

「普通にポケモン虐待だろ! アローラからここまで何千キロあると思ってるんだ!!」

 

 本当それ、無茶にもほどがあるよ。

 

「大丈夫?」

 

 アタシがリザードンに声かけるとリザードンは笑って答えた。

 

「グォ、グォ……グオ、グオグオ、グォオ!《ゼェ、ゼェ……問題ねぇぜ、離れ離れの愛する者達の橋渡し役なんて熱い仕事やり遂げたんだ、これくらいどうってことねぇよ!》」

 

 リザードンはゼェゼェしながらも満足げに親指立てて笑ってるわ。

 ……本人が満足してるなら……良いのかな?

 その後すぐにアタシとゴールドは家の中から大量の水とポケモンフード、あと残ってた料理を持ってきてリザードンにあげた。

 そうしたら物凄い勢いで飲んで食べて、そのまま家の前で爆睡しちゃった、リザードン本当にお疲れ様。

 

 ★☆★☆

 

 そんなこんなでお父さんをメンバーに加えて誕生日パーティーを再開、お母さんはお父さんが帰ってきてくれてとても嬉しそう。

 ちなみにウツギ博士一家は「あまり遅くまで居るのは悪いから」って言ってついさっき帰っちゃったわ。

 

「ア・ナ・タ♡」

 

「お・ま「キマ!《成敗!》」ヘブシッ!?」

 

 あぁ、またキマワリがお父さんに『はたく』してる。

 さっきからお父さんとお母さんがいい雰囲気なるとキマワリがジャマしてるのよ。

 

「おいキマワリ! さっきから何しやがるんだ、痛いだろうが!」

 

「キマ、キマワ!《黙れ下郎、我が姫君に近寄るんではない!》」

 

 あー、ついに二人は取っ組み合いのケンカをはじめちゃった。

 

「ねぇゴールド、どうしよう……?」

 

「個人的には子供のいる前でイチャつくオヤジ達にも問題があると思うがな。

 まぁ仕方ない、止めないと埃が舞うし。

 んじゃ、ベイリーフ『フラッシュ』だ」

 

「ベイ!《はいっ!》」

 

 えっ?

 

「目がぁぁぁ!?」「キマァァ!?《眩しいぃぃ!?》」

 

「続けてメノクラゲ、二人纏めて『からみつく』で締め上げろ」

 

「メノノ〜♪《畏まりましたわ〜♪》」

 

「ギャァァァ!!」「キママァァ!!《足が千切れるぅぅ!!》」

 

 えぇっ!?

 

「これで最後だから安心しな、スリープはオヤジに『ねんりき』、トゲチックはキマワリに『おんがえし』、ちっとは反省しやがれバカ共」

 

「……スリ《……了解》」

 

「トゲトゲチク♪《ゴールドパパのお願いならガンバるよ♪》」

 

「イデぇぇぇ!!」「ギマッ!!《グォホッ!!》」

 

 ……そして二人は仲良くボロ雑巾になりました、これ意識失ってるよね?

 てかアタシのポケモン達が普通にゴールドの指示聞いてるし、それ自体は別に嫌じゃないんだけど……なんか複雑な気分よ。

 

「ご、ゴールド……少しは手加減しろよ……」

 

 あ、お父さんは気を失ってなかったわ。

 キマワリは完全に白目になって気絶してるのに、お父さんってポケモンより頑丈なのね。

 

「なぁに言ってやがる、ちゃんと手加減してるだろ?

 レベルも攻撃力も俺のポケモンより低いクリスのポケモンに仕置きさせてるからな。それともマグマラシの『かえんぐるま』で消し炭にされたいか?」

 

 あ、納得。

 今のゴールドのポケモン達ってコガネシティでの特訓でパワーアップしてるもんね。

 あの子達が本気出したらお父さん本当にボロ雑巾を通り越して消し炭になっちゃうもん。

 

「ふふふ、みんな仲良しさんね♪」

 

 お母さんはそんな二人を楽しそうに見つめて笑ってるわ。

 

「クリスちゃんもそう思わない?」

 

「はい、だってアタシ達は仲良し家族ですからね♪」

 

 それをアタシも笑って答えたわ。

 こうしてお母さんの誕生日パーティーは楽しく終わったの、またみんなでパーティーしたいな♪

 

 

 

 ✱オマケ ★妻をたずねて三千里〜オヤジとリザードンの旅〜

 

【昨日のアローラ地方、ライドポケモン貸出所】

 

「すいませーん、ライドポケモン貸してください!」

 

「はーい、どちらまで行かれますか?」

 

「ジョウドのワカバタウンまで」

 

「はぁ?」

 

「だからワカバタウンまでお願いします」

 

「いやいやいやいやいや……! 無理ですから、ここからジョウド地方まで何千キロあると思ってるんですか!」

 

「そこを何とか、明日は妻の誕生日なんでどうしても帰りたいんです!」

 

「明日!? もっと無理ですから! 第一そんな距離を運べるポケモンはウチには……」

 

「グオ、グゥゥ!《ちょいと待ちな、その仕事はオレが引き受けた!》」

 

「お前は、リザードン……」

 

「グゥグオ、グオ!《遥か遠くにいる愛する者に会いたい、その願いはこのオレが叶えてやるぜ!》」

 

「ありがとう、恩に着る!」

 

「グオ、グオグオ!《へ、いいってことよ!》」

 

 ※注意、オヤジはクリスみたいにポケモンの言葉は分かりません、リザードンとはジェスチャーと表情だけで意思疎通してます。

 

「……こいつら、店主の僕をほっといて勝手に話し進めてやがる」

 

「行くぞリザードン! 目的地は愛する妻と子供達が待つワカバタウンだ!」

 

「グオ! グゥ、グオグオ!《おう! オレに任せろ、必ずこの熱い仕事を達成してみせるぜ!》」

 

「……もぅ勝手にしてくれ」

 

【海上にて台風直撃】

 

「ぬぉぉぉおお、飛ばされてなるものか!!!」

 

「グオ、グゥゥグオ!《負けるかよ、この程度の雨と風じゃあオレ達の情熱の炎は消せないぜ!》」

 

【山でヤミカラスの群れに遭遇】

 

「こいつ等、俺達を襲う気か!?」

 

「グゥゥ、グオグオ! グオ、グゥゥオゥゥオォォォ!《テメェ等、邪魔するってぇなら容赦しない! いくぜぇオレの必殺技、オーバーヒィィィトォォォォ!!》」

 

【とある町外れでロケット団発見】

 

「あれ見ろ! あの黒服共が人を襲ってる。強盗か!?」

 

「グゥ!? グオ! グゥゥ!《何!? そんな悪党は絶対許せねぇ! 助けるぞ!》」

 

「よっしゃぁ、行くぞリザードン」

 

「グオ! グゥゥ……グオ!《おう! オレの怒りの姿を見せてやる……変身!》」

 

【ワカバタウンまで残り数キロメートル地点】

 

「見えた! 見えたぞワカバタウンが! リザードンあと少しだ、頑張れ!」

 

「グゥゥ! グオォォォ!!《よっしゃぁ、ラストスパートだ!!》」

 

「いけぇぇぇ、ってストップストップ! 木にぶつかるぅぅぅ……ボゲッダッッ!?」

 

【ゴールドの家、現在】

 

「……と、こんな感じでお父さんとリザードンはワカバタウンに帰ってきたんだよ。凄いだろゴールド!」

 

「……色々ツッコミどころがあり過ぎてどこからツッコめと? 取り敢えず良く無事だったよな、それだけは褒めとくよ」

 


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