オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第五十二話 君を自転車の後ろに乗せて

 オッス、俺ゴールド。

 今日、俺達はワカバタウンに戻るためにコガネシティを旅立つ。

 既にポケモンセンターとコガネジムには挨拶を済ませた。

 ……思えばコガネシティには随分滞在したな、そして色んな事があった。

 アカネちゃんに負け、クリスとデートし、アカネちゃんと再戦して勝ち、虫とり大会にも参加したな。

 

 因みにヒマナッツは昨日のうちにキマワリに進化させた。

 ついでに言っとくなら、キマワリには俺がガンテツさんに貰ったルアーボールに入ってもらった。

 

 特に使う予定は無かったし、せっかくのプレゼントなのに普通のボールだと味気ないからね。

 ほら、ルアーボールは青いし、それにキマワリの黄色が合わさると青空のイメージになって良いかなと思って。

 ……念のために補足するが俺がコイキング以外に釣れないからじゃないぞ、決してコガネシイティで釣りしてもコイキングしか釣れてないとか無いからな。

 

 尚キマワリのボールは俺が預かってる、俺はクリスからオフクロに渡したほうが良いと思うんだが、クリスが、

 

「お母さんの実子はゴールドだよ、だからゴールドから渡すのが一番いいんだよ」

 

 と、言ったからな。

 

 それから三十六番道路を抜ける方法も分かった。

 クリスとワカバタウンに帰る話しながら歩いてたら、偶々それを聞いていた女の子が

 

「植物のことなら、うちのお姉ちゃんに聞くといいよ。お姉ちゃんはジムのとなりのお花屋さんではたらいてるから、くわしいんだよ」

 

 と教えてくれたんだよ。

 

 で、その花屋のお姉さんに話を聞いたら【ゼニガメじょうろ】を貰えたんだ。

 これで道路を塞いでる動く木に水を掛けると、驚いて退くらしい。

 ……正直、木が驚くって何だよ、とは思うんだが植物のプロが言うんだから多分正しいんだろう。

 

 ついでにオフクロの好きな花の種を何種類か買った、これなら大した荷物にならないしオフクロへのプレゼントも増えるからな。

 

【三十五番道路、ゲート】

 

「さぁて、ワカバタウンに帰るぞ!」

 

「おー!」

 

 俺の掛け声に元気よくクリスはへんじをした。

 前回帰ってから大分経ったし、クリスもそろそろ故郷も恋しいよな。

 

「あー君たち?」

 

 と、言ってたらオニスズメを連れた警備員さんに声を掛けられた、何だろう?

 

「君たちはワカバタウンに行くんだろ? もし良かったら、このメールを持たしたオニスズメを三十一番道路に居る友達に届けてくれないかな?」

 

「ぐえ? ぐぇー」

 

「別に良いですよ、お友達に渡すだけで良いんですよね? ならお受けします」

 

 特に手間にはならないし、三十一番道路ならワカバタウンに帰るとき通るしな。

 これ位の人助けな普通にやるさ。

 

「えっ! ちょっと……まっ!」

 

 クリスが何やら慌ててる、何なんだ?

 

「ベイリーーッフ!!」

 

 そう思ってたらベイリーフがいきなりボールから飛び出した、本当に何なんだ?

 

「ベイベイベイ!」

 

「ぐえぐぇー」

 

「ベイ!?」

 

 そしてベイリーフとオニスズメが口論し始めた。

 その光景を唖然として見てる警備員さん、おろおろしてるクリス、もはやこの程度の事はいつもだなと達観してる俺……まぁベイリーフが問題を起こすのは珍しいんだけど。

 だがこのままにはしとけない、なので俺はクリスに尋ねる。

 

「……これ、どういうこと? クリス、二匹の通訳頼む」

 

「えーっとね、あのオニスズメがさっき、『えー、こんなガキんちょといくの? ちょーイヤなんですけどー、つかマジさいやくー』っていって、それをボールの中で聞いていたベイリーフが怒っちゃったのよ、『その態度は何ですかーーっ!!』って。

 その後は『謝って下さい!』、『チョーウザいんですけどー』、『なんですって!?』ってな感じで言い合ってるの」

 

 あのオニスズメはギャルかよ!?

 つか、

 

「ひょっとしなくても、ベイリーフって真面目な優等生なの?」

 

「うん、ベイリーフは真面目な性格だよ」

 

 ギャルVS優等生か、そら喧嘩もするよな、性格の相性最悪だし。

 前々からベイリーフは賢い奴だとは思ってたが、どうやら俺が思ってた以上に真面目な性格らしい。

 

 仕方ないから俺はバタフリーをボールから出して、『ねむりごな』で二匹を眠らせた。

 バタフリーは若干腰が引けてたがちゃんと技を使えた、どうやらバタフリーの雌ポケモン恐怖症は改善されたみたいだな。

 

【三十五番道路】

 

 さて俺達は動く木の元に向かう訳だが、その前に一つ問題がある。

 それは……

 

「で、オニスズメのモンスターボールはどっちが持ち歩く?」

 

「ゴールドお願い」

 

「だよねー」

 

 オニスズメとベイリーフの仲が悪い以上、俺が持ち歩くしかないよな。

 今は二匹共寝てるから良いが、起きてまた問題を起こされたらたまん。

 なら俺がオニスズメを預かって、もし喧嘩しそうになったら直ぐにまたバタフリーに頼んで眠らせればいい。

 だが、

 

「俺の手持ち、六匹居るんだよね」

 

 そう、ここで問題なのは手持ち制限。

 俺達ポケモントレーナーは公式ルールで手持ちポケモンは六匹までと決まってる。

 そして俺の今の手持ちはマグマラシ、オオタチ、バタフリー、ゴローン、ヤドン、そしてプレゼント用のキマワリの六匹。

 

「なあクリス、キマワリを……」

 

「それはダメ! キマワリはゴールドからお母さんに渡すの!」

 

 ……頑固な奴め。

 仕方ない、パソコンに一匹預けるか。

 でもなぁ、この時間にパソコンを使おうと思うと混むんだよな。

 待ち時間が一時間とか掛かったら今日中にワカバタウンに帰れなくなりそうだし…………そうだ!

 

「ならキマワリ以外ならクリスが預かってくれるか?」

 

「それならいいよ、でもレギュラーを減らしてバトルは大丈夫なの?」

 

「まぁ大丈夫だろ、余計な戦闘は極力避けてばな」

 

 つう訳で俺は腰のホルダーにつけてるボールを一つクリスに渡し、代わりにオニスズメの入ったボールを空いたスペースにマウントする。

 まぁコイツはこの前の勝負で俺の命令を無視しやがったからな、ワカバタウンに帰るまでクリスのホルダーで謹慎させとくさ。

 

【おかしな木の前】

 

 ハァイ、アタシはクリス。

 今ね、ワカバタウンに帰る途中なの。

 でね、これから道を塞いでるジャマな木を退かすのよ。

 でも本当にじょうろで水をかけるだけで退いてくれるのかな?

 

「うっし、んじゃ水をかけるぞ」

 

 そういうとゴールドはゼニガメじょうろで水を木にかける。

 おかしな木は水がイヤなのか凄い勢いで動き出したわ。

 そして、おかしな木は……

 

「ウ〜ソ、ウソッ、キー♡!《いや~ン、水も滴る良いウソッキー、なんてね♡》」

 

 そう言いながら何故かバク転しながら何処かに消え去った。

 …… …… そっかぁ、あの木はウソッキーっていうポケモンだったんだ。

 

「……何だったんだ?」

 

「アレってポケモンだったみたいね」

 

「いや、そうでなくて……」

 

 ゴールドの言いたい事はわかるよ、でもアタシにも説明は出来ないから。

 ポケモンとおしゃべり出来ても分からない事ってあるからね。

 

「お主たちがあのジャマな木を片付けたでごわすか?」

 

 ぼうぜんとしてるアタシ達に体の大きな人、チョンマゲしてるから多分お相撲さんが話しかけてきた。

 

「恐れ入ったでごわす、お礼にこの技マシンをあげるでごわす」

 

「はぁ……ありがとうございます」

 

 ゴールドは技マシンを受け取ったわ。

 

「凄いでごわす、オイドンが毎日張り手しても退かなかった木を退かしたお主達は只者では無いでごわす。また会う機会があれば是非とも、お手合わせお願いするでごわす!」

 

 そしてお相撲さんは笑いながらドシドシと歩いていったわ。

 

「…………なぁクリス、あの人デカかったよな?」

 

「……えぇ、体重ならアタシの四倍ぐらいありそうだったね」

 

「……力もありそうだよな?」

 

「……間違いなく力持ちだよね、お相撲さんだし」

 

「……そんな人の張り手に毎日耐えてた、あの変な木のポケモンって本当に何なの?」

 

「………さぁ?」

 

 ポケモンには、まだまだ不思議なことがいっぱいあるのね。

 

 

【三十一番道路】

 

 青い空、白い雲、照りつける黄色い太陽……そして赤い自転車で風を切って走るアタシ達。

 さっき警備員さんのお友達にオニスズメとメールを渡したアタシ達は、ワカバタウンに向かって颯爽と自転車で走る、もちろん二人乗りよ♡

 

「クリス、振り落とされんなよ!」

 

「うん♡」

 

 ゴールドが運転する自転車、そしてそのゴールドの背中にしっかり抱きつくアタシ、はぁ幸せ♡

 コガネシイティの自転車屋さんには感謝、感謝よ。

 しかもコガネシイティ出る前にお礼を言いにいったら、

 

「クリスちゃんのおかげで自転車がバカ売れしたよ、ありがとう。お礼にその自転車はそのままクリスちゃんにプレゼントするね」

 

 って、自転車をくれたのよ。

 自転車屋さんってすごく優しい人なんだね、なんかジョーイさんが惚れた理由がよく分かったわ。

 

「黙り込んでどうした? スピード出しすぎたか?」

 

「ううん、大丈夫だよ♡」

 

 もう少しでワカバタウンに着く、お母さん元気かな? ウツギ博士と助手さんは相変わらず忙しいのかな?

 

 ふとアタシはゴールドに声をかける。

 

「ねぇゴールド、旅に出てから色々合ったね」

 

「そうだな、本当に色々あったな」

 

「……ねぇゴールド、アタシ……少しは成長したかな?」

 

 少し間を置いてゴールドは笑顔で答える。

 

「クリスはちゃんと成長してるよ、俺が保証する」

 

「ありがとう、ゴールド♡」

 

 アタシはさっきよりも強くゴールドを抱きしめる。

 ゴールドが成長してるって言ってくれたのが、すごく嬉しいの♡

 アタシ、少しはゴールドに近づけたのかな?

 

「お! ワカバタウンが見えたぞ!」

 

 ゴールド、もう少しだけ待っててね。

 アタシ、必ずゴールドに相応しい女性になるからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【???】

 

 いやぁ本当、クリスは成長したと思うよ………特に局部装甲が………。

 あれを背中に押し付けられるのはヤバイ、装甲だけどあの攻撃力はヤバイ。

 クリスは気づいてないよね? 俺の下半身の剣の状態…………気づかれてたら恥ずか死ぬ自信があるぞ。

 …………早くワカバタウンに帰りたい。

 


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