オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜 作:友親 太一
俺とマグマラシはアカネちゃんとミルタンクに勝った……んだが、
「うわ〜ん!! うわ〜ん!! グスン……ヒッグ……ひどいよぅ…………うわ〜〜〜ん!!!」
勝負が終わるとアカネちゃんがいきなり大声で泣き出してしまった。
本当どうしてこうなった、これは俺が悪いのか?
「あ〜あ、アカネちゃんを泣かしちゃったね」
俺がオロオロしてると後ろからジムトレーナーのミニスカートの子が声を掛けてきた。
「えーっと……コレって俺のせいになるのかな?」
「そんなわけないじゃん、アカネちゃんってバトルに負けると毎回泣いちゃうのよ。だから君が気にする必要はないわ」
……いや、だからってなぁ。
「あの子は放っとけば泣き止むから大丈夫。ジムバッチは明日にでも取りに来てよ」
おいおい、アカネちゃんは仮にも君達のジムのジムリーダーだろ。
ちょっと冷たいんじゃね?
俺は一言文句でも言ってやろうとしたら横からクリスが先に声を上げた。
「そんなのダメ〜ッ!! アカネは、アカネはゴールドとのバトルを本気で戦ったの! 本気だったから悔しくて悔しくて泣いてるの!
それをほっとくなんて絶対にダメなんだからね!!」
クリスは言いたい事を言い終わるとそのままアカネの元に走り寄る。
「……アカネ」
「グスグス……グス……クリ……ス?」
クリスは一呼吸おいてアカネちゃんに話しだした。
クリスはどうするつもりだ?
「……アカネ、アタシの頼みをきいてくれてありがとう。アカネがゴールドと全力で戦ってくれて嬉しかったわ。
あと、ごめんなさい。アカネの応援しなくて……アタシ結構迷ったんだよ? でも最後はゴールドの事を応援しちゃった。本当にごめんね」
「グスグス……そんなんえ、えねん……グス……ゴールドはクリス……の彼氏……なんやから……当たり前やで……グス」
……俺はツッコミを入れたいのを我慢して二人を見守る。
するとクリスがアカネちゃんに抱きついた。
「グス……な、なんや、クリス!?」
「……確かにゴールドはアタシの愛おしい人だよ。でもね、アタシはアカネも大好きだよ。
……アカネはアタシの大切なお友達だよ。だからアカネが泣いてるのを見たくないな」
「……おおきにクリス。ウチもクリスのこと大好きやで……」
……あのクリスが!?
「……私アカネちゃんがあんなに早く泣き止むところ初めて見たわ。君の彼女すごいわね……って、なんで今度は君が泣いてるのよ!?」
「え゛がっだな゛〜グリズゥ……グス」
クリスの後ろで見てた俺の目から涙が滝のように溢れてる。
だってあのクリスが、自分勝手で我儘で思い込みの激しいクリスが友達の事を思い遣ってるんだぞ。
こんな日が来るのを俺はどれだけ待ち望んだことか。
「グスグス……お゛れ゛は……グスン……お゛前の成長が……嬉じいぞ〜……グス……ぐりず〜」
「あわわわ、クリスちゃーん今度は君の彼氏君を泣き止ませてよーっ!」
結局アカネちゃんと俺が落ち着くまで十分ほど掛かりました。
ミニスカートちゃんには迷惑掛けちゃったな、俺反省。
★☆★☆
「いや〜泣いたらスッキリしたわ! ほれ、レギュラーバッチやで」
「だな、俺も久し振りに泣いて気分いいわ! バッチありがとうな」
俺はアカネちゃんからバッチを貰った。
これで三つ目のバッチか。
「おめでとうゴールド♡」
「……あなた達はスッキリしたかもしれないけど私はストレスマックスなんですけど?」
「「はははは………」」
「二人揃って笑って誤魔化すな!」
ミニスカートちゃんに怒られちゃった。
「あ、そういえばミニスカートのお姉さん、どうしてアカネが泣き出した時に放っとけって言ったんですか?」
クリスがミニスカートちゃんに聞く。
あーそれは俺も思ったわ、この子は別にアカネちゃんを嫌ってるようには見えないから疑問なんだよね。
「それね……私達も最初の頃はアカネちゃんを宥めようとしたわよ。でもアカネちゃんったら泣き止まそうとすると蹴るは殴るはで私達の方が危険なのよ。
だからジムのみんなで相談して泣いたアカネちゃんには近づかないって決めてたのよ」
あ、納得したわ、そら放置するわな。
「すまへん、すまへん。反省しとります」
「反省してるなら負ける度に泣く癖を直しなさい!」
……なんかミニスカートちゃんにすっごい親近感を感じるな、気のせいか?
「……まったく、今回はクリスちゃんがいてくれて助かったわ。
そうだ! ねぇクリスちゃん、うちのジムで働いてみない?」
「え、えぇ!?」
「それええな! それやったらクリスとずっと一緒に居られるやんか」
……なんかいきなりクリスが勧誘されてるだが。
「ね、ね、いいでしょ。クリスちゃんが居てくれたらアカネちゃんが泣いても宥めてくれて助かるのよ。
知ってた? ジムトレーナーって結構給料良いのよ。あと年一回慰安旅行でアローラ地方にバカンスにも行けるわよ!」
「せやせや、一緒にアローラ行こうや、メッチャ楽しいで!」
「ゴ、ゴールド助けて〜!?」
だが断る。
「じゃ、クリス。俺は先にセンターに戻ってるわ」
俺のポケモン達を回復しないとな。
「ちょ、ちょっと、こんな状況でアタシを置いていかないで〜!!」
だが俺はクリスの言葉を無視してジムを後にしようとした。
「せやゴールド、アンタもジムで働かへんか?」
え゛っ?
「そっか、それなら彼氏君と離れなくて済むわね。ねぇクリスちゃん、彼氏君と一緒なら働いてくれる?」
ちょい待ち、俺まで巻き込まんでくれ!
「えっ、えっと……ゴールドと一緒に居られるなら考えても良いかな?」
クリス、お前まで!?
「せやろせやろ♪ なぁゴールド、クリスもこう言っとるしどや?」
「なんならカップルでコンビを組んで働けるようにするわ♪」
「ゴールドと組んで働けるんですか!? …………ねぇねぇゴールド、このジムで働こうよ♡」
クリスが向こう側に!?
俺は三人に迫られて困惑する。
つか、どうしてこうなった?
ふと俺はマグマラシの方を見た。
「まぐ~♡」
「ミルミル♪」
マグマラシはミルタンクの毛づくろいをしてた。
……いつの間にアイツ等は仲良くなったんだ?
と思ったが、よく考えたらメロメロ状態に戻っただけか、あれから大分時間が過ぎたから食欲による状態異常無効の効き目も終わってるしな。
マグマラシはミルタンクにご奉仕、俺は三人の女の子に迫られてる。
……トレーナーとポケモンが揃って今日は女難だな。
「ええやんなゴールド♪」
「今ならペアルックの衣装も作るわよ♪」
「ねぇねぇゴールド、ペアルック着ようよ♡」
……最後にもう一度言おう、どうしてこうなった?