オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第四十二話 衝撃

 オッス、俺ゴールド。

 この前はクリスとデートをしてアカネちゃんに負けたストレスを発散してきた。

 ……その代わりに違うストレスは溜まったが。

 で、今は自然公園でポケモン達と特訓中だ。

 

 ここ数日はここに来るトレーナーや野生ポケモンを相手にレベル上げをしながら対ミルタンク用の特訓をしてる。

 俺もポケモン達もリベンジの為に闘志を燃やし積極的に特訓に励んでるぞ。

 

 尚クリスは初日だけ一緒に居てそれ以降は特訓に同行してない。

 ……少々気になるが正直有り難い。

 あのデートの後、俺はクリスとどう接して良いか悩んでる。

 

 俺にとってクリスは娘だ、それは今も変わらない。

 ……でもそれと同時にクリスを異性として意識してるのも確か。

 俺はロリコンではない、でも俺の肉体年齢はクリスと変わらない。

 ……俺はクリスをどうしたい? 俺はクリスとどうなりたい?

 

 …… …… …… ……ふぅ、分かんねぇや、自分の事なのに。

 とにかく今は特訓しよう。

 特訓しながらもう一度自分の気持ちを整理しよう。

 それが今のところは無難か。

 

 ★☆★☆

 

【コミュニケーションセンター】

 

 ハァイ、アタシはクリス。

 この前のゴールドとのデートは……ウフフ、言葉では言い表せれないぐらい素敵だったわ♡

 

 その後のアタシは最初はゴールドの特訓に付き合ってたけどそれ以降はセンターでジョーイさん達に料理やメイクの仕方を習ってるの。

 ジョーイさん達は仕事の休憩時間や休みの日にアタシに花嫁修業をしてくれるのよ。

 

 ……本当はゴールドと一緒にいたい。

 でもアタシはゴールドの為に大人になるって誓ったの。

 アタシはゴールドに相応しい女になるの。

 アタシはゴールドの横に並んで生きていきたいの。

 だからアタシはここで花嫁修業するの!

 

「あ、クリスちゃん、午後もし時間あるなら行って欲しい所があるんだけど」

 

 身長の高いジョーイさんにオムライスの作り方を習ってるとジョーイさんにそんな事をいわれた。

 

「はい、大丈夫ですけど」

 

 アタシは必死にご飯を炒めながら答える。

 ……ご飯を均一にケチャップと混ぜるのが難しい、オマケにモタモタしてるとご飯が焦げちゃうし、オムライスって意外と難しいのね。

 

「よかったぁ。で、行ってほしいのは最近新しく出来た自転車屋なの。

 そこの店長が…………まぁアタシの婚約者でね……」

 

「え、ジョーイさん結婚するんですか!?」

 

「シーッシーッ! クリスちゃん声落として!

 騒がれたくないから、まだみんなには内緒にしてるのよ」

 

 ジョーイさんは照れ臭そうにしてる。

 

「そうなんですか? でもおめでとうございます♪ いつプロポーズされたんですか?」

 

 アタシはフライパンの火を止めてジョーイさんに聞く。

 だって気になるんだもん、女の子ならこの手の話に興味あるのに決まってるでしょ?

 

「実は先週されたの……ずっと遠距離恋愛だったんだけどアイツったらいきなりこっちに店を作って、いきなり「やっとお前と一緒になれる準備が出来た」って言い出しやがったのよ。

 もぅアタシの都合考えろってんだ!」

 

 そう言いながらもジョーイさんは嬉しそうにしてる。

 わかる、わかるわ!

 大好きな人がやっと自分の側に来てくれてしかもプロポーズされたら嬉しいもんね!

 

「ジョーイさん、しあせそうですね♪」

 

「ま、まぁね。式はまだまだ先だけどね。

 で、彼の自転車屋があんまり流行ってないのよ。そこでクリスちゃんの出番ってわけ」

 

「アタシの出番ですか?」

 

 なんだろう、アタシが自転車屋さんを流行らすことに何の役に立つのかな?

 

「詳しい事は彼に直接聞いてね。さぁオムライスの続きを作るわよ!」

 

 ……ちなみにその時のオムライスは少し焦げたけど割りとうまくできたよ。

 もう少し上手に作れるようになったらゴールドに食べさせてあげるからね♡

 

 ★☆★☆

 

【どんな所でもスイスイ! 自転車の事ならここミラクルサイクルへ!】

 

 や、やっと着いたわ。

 ここの店って裏道入って更に裏に入らないと着けないのね……流行ってない理由って場所が分かりにくいからじゃないかな?

 アタシもジョーイさんに地図を貰わなかったら辿り着ける自信ないわ。

 

「すいませーん!」

 

 アタシはガラスの扉をゆっくり開けて店に入る。

 ……店の中には様々な自転車がいっぱい置いてあるわ。

 

「はーい、いらっしゃませ!」

 

 奥の部屋から少し細身のお兄さんが出てきた。

 ……この人がジョーイさんの婚約者かぁ、優しそうな人だなぁ。

 

「はじめまして、あのアタシはお客さんでは無くてセンターのジョーイさんにここに来るようにたのまれたのですが」

 

「あー、はいはい。アイツが言ってた子だね。

 ありがとう、僕の頼みを聞いてくれて」

 

「いえいえ。あのー頼みってなんですか?」

 

「それはね、実は君にウチの自転車を乗りまくって貰って宣伝をして欲しいんだよ」

 

 アタシが宣伝?

 

「……いいですがアタシが自転車に乗るだけで宣伝になるんですか?」

 

 自転車に乗るだけなら別にアタシじゃなくてもいいと思うけど?

 

「それは大丈夫だよ。そもそもね、これは彼女のアイディアなんだ。

 彼女が僕の事を心配して「ウチのセンターに凄く可愛い子が宿泊してるから、その子が宣伝してくれたらすぐに自転車が売れるようになるわよ!」って提案してくれたんだよ」

 

 お兄さんは照れ臭そうに、それでも嬉しそうに話してくれた。

 ……アタシも可愛いって言われて少し恥ずかしいかな。

 

「……わかりました、アタシ宣伝します!」

 

 ジョーイさんにはとってもお世話になってるもん、そのジョーイさんの婚約者さんの為ならがんばるよ!

 

「ありがとう、本当に助かるよ。君に乗って欲しい自転車はそれだよ」

 

 お兄さんが指を指した先には折りたたみ式の赤い自転車が飾ってあった。

 ……かっこいいなぁ、でもこの自転車ってアレが無いのかな?

 

「この自転車って荷台はないんですか?」

 

「おや、荷台が必要かい?…………あ、そうか! 例の彼氏君と二人乗りしたいんだね」

 

 ジョーイさんはゴールドの事も話してたのね。

 ゴールドとラヴラヴなのを知られるのは嬉しいわ。

 ……お兄さんの言う通り、アタシは恋人同士が二人乗りでデートするのに憧れてたのよね。

 

「…………なるぼどね、カップル向けに荷台をセットで販売するのも有りだな。

 よし、いいアイディアを貰ったお礼に荷台をつけるよ」

 

 そう言うとお兄さんは短時間で自転車に荷台を取り付けてくれた。

 

「OK、取り付け完了。

 この荷台は頑丈で取り外し可能だから折りたたむ時は外せばいいよ。また取り付ける時はココをココの部分にカチッというまで差し込んでね。

 あと危ないから、くれぐれも中途半端に取り付けた状態で乗らないでね」

 

「ありがとうございます!」

 

 やったぁ、これでゴールドと二人乗りデート出来るわ♡

 

「この自転車はどんな道でもスイスイ走るから色んな場所で乗り回して宣伝してね、頼んだよ」

 

 アタシはお兄さんから自転車を借りた。

 さぁ早速乗り回すわよ!

 

 ★☆★☆

 

【自然公園】

 

「マグマラシ、『ひのこ』だ!」

 

「まぐまぐ!」

 

「ヒマーッ!?」

 

 よっしゃ、マグマラシの攻撃でヒマナッツを倒したぞ。

 俺達の特訓はかなり順調だ。

 ここは大きな公園なだけあって訪れるトレーナーの数も多く、野生ポケモンも沢山いる、特訓には最高の場所だ。

 

 ……だが特訓は順調でも俺の悩みは全く結論を出せてない。

 このままではクリスと顔を合わせるのもキツイんだよな。

 

「……ゴールド〜」

 

 アカン、幻聴までしだした。

 居ないはずのクリスの声を聞くとか俺も末期だな。

 今日は特訓を切り上げて病院にでも行くか?

 

「ゴールド〜!」

 

 幻聴が強くなった、本当に不味いかもな。

 病院に行くのは良いか精神科ってコガネシティにあったかな? ないと困るぞ。

 

「ゴールド、無視しちゃいやぁ!!」

 

 ゴンッ!!!

 

 俺は何かに勢い良く撥ねられて吹っ飛ばされた。

 

「いってぇぇぇ!!!」

 

「ご、ごめんなさいゴールド、大丈夫!?」

 

 吹っ飛ばされた俺は地面に倒れ頭を少し打った。

 倒れたまま頭を擦りながら声のする方を見るとクリスが赤い自転車から降りて俺に駆け寄ろうとしてた。

 ……あの自転車にぶつかったのか? つかクリスは自転車なんか持ってなかった筈だが?

 

「クリスいきなりなんなんだよ!?」

 

「ごめんなさい、勢い余って突っ込んじゃったの!」

 

「たく、俺だったから良かったものの普通の人だったら大惨事だぞ」

 

「本当にゴメンね!」

 

 クリスは謝りながら俺の頭を持ち上げ自分の膝の上に乗せ俺の怪我の状態を確実する……コレって所謂、膝枕だよな?

 …… …… …… ……!!!

 

 俺は慌てて立ち上がりクリスから少し距離を取る。

 

「ゴールド、ケガしてるからじっとしてなきゃダメだよ!」

 

「だ、大丈夫だ! この程度の怪我なんともないぞ!」

 

 怪我よりもクリスに膝枕されて胸の鼓動が早くなってる方がヤバイ……これをクリスに知られる方が色々危険なんだよ。

 

 本当、俺はどうしたんだよ!?

 まさか俺は本当にクリスに惚れ…………ない! ないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないない、惚れてなんかない!

 よし、自己暗示完了。

 

 だが本当にどうしたんだ俺!?

 誰か知ってたら教えてくれーーーっっっ!!!

 


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