オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第三十六話 気持ちの切り替えとデートの約束

 ……あの牛女は許さない。

 ……あの牛女はアタシのゴールドをその下品な胸で誘惑した。

 ……アタシのゴールドを叩きのめし、落ち込ませた。

 ……アタシのゴールドをアタシのゴールドをアタシのゴールドを…………

 ……あの牛女はアタシが始末してやる。

 ……あの無駄にデカい乳を切り取ってポッポ達の餌にしてやる。

 ……あの無駄に長い足をへし折ってアタシの前でひれ伏してもらうわ。

 ……あの耳障りなコガネ弁を二度と出せないようにノドに焼けた蝋を流し込んでやる。

 ……アカネ、アンタをアタシは絶対に許さない。

 

 ……だが今はゴールドが心配。

 ゴールドはポケモン達を回復させた後、宿泊施設の部屋に籠もってしまった。

 勿論アタシも一緒にいこうとしたけどゴールドは「……暫く一人にしてくれ」とアタシを部屋に入れてくれなかった。

 

 ……それが約二時間ほど前、アタシはその間ゴールドが気になってセンター内をウロウロしてる。

 ゴールドは落ち込んでるの? ゴールドは大丈夫?

 そんな事を二時間ずっと考えていた。

 ……ゴールドが気になってセンターの外に出る気にはアタシはなれなかった。

 ……もういいよね? ゴールドに会ってもいいよね?

 

 アタシはゴールドがいる部屋の扉をゆっくりと開ける、ゴールドを励ますために。

 

「……う~ん、あの時は『まるくなる』じゃなくて最初から『マグニチュード』を……いや、どのみち『メロメロ』食らったら一緒か。なら……」

 

 ……あれ? ゴールドは落ち込んでない?

 なんだか一人でブツブツと言ってるけどアタシが思ってたより元気そう。

 

「……そもそも最初にイシツ……て、なんだ、クリス居たのか?」

 

 て、アタシに気づいてなかったのゴールド!?

 

「ひっどーい、アタシはゴールドをすっごくすっごく心配してたのよ! でもゴールドが元気になってよかった」

 

「……心配掛けてすまんかったな」

 

 そう言うとゴールドは微笑みながらアタシの頭をヨシヨシしてくれた。

 ……はぁ、シアワセ♡

 

「でもゴールド、あんなに落ち込んでたのにもう立ち直ったの?」

 

 アタシはゴールドに聞く、だってセンターについた時すごく暗い顔してたんだもん。

 未来の妻として心配だったんだもん。

 

「あぁ確かにアカネちゃんに負けたのはショックだったよ、俺って今までポケモンバトルで無敗だったから余計にね」

 

 そういえばゴールドが負けたのは初めてだったわ。

 ……あのデカ乳女め、アタシのゴールドに黒星をつけた事を後悔させてやる。

 

「……だがそれと同時にアカネちゃんにも感謝もしてるよ」

 

 ……え、今なんて?

 

「俺は多分勝ちすぎて天狗になってたんだ。それが心に油断を作り、その油断が原因で負けた………だがアカネちゃんに負けた事で俺は気を引き締め直すことが出来た、本当にありがたい事だよ。

 ……確かに負けたのは悔しいよ、だからと言って何時までも落ち込んでて良いことにはならない。

 それよりアカネちゃんに勝つ為の対策を考える方が有意義だ!」

 

 ……ゴールドはやっぱりスゴイ、そして大人だ。

 ……アタシはアカネを潰す事しか考えてなかったのにゴールドはクヨクヨせずに次の事を考えてる。

 ……アタシと違ってすごく前向きだ

 

 ……今のアタシってゴールドと釣り合って無いよね。

 アタシはゴールドにちっとも追いついてない、ゴールドの為に大人になるって誓ったのに……

 

「ん? どうしたクリス?」

 

「なっ、何でもないよ! ただゴールドが元気になってよかったって思ってるだけだよ!」

 

 ……アタシはゴールドを励ましにきたのにアタシが落ち込んじゃダメよ。

 アタシは落ち込みかけた気持ちをこらえて笑顔を作る、ゴールドにこの暗い気持ちを悟られないために。

 

「……そっか。なぁクリス、明日少し付き合ってくれないか?」

 

「えっ!?」

 

「確かに気持ちは切り替えたんだが、それでも明日はなんか思いっきり遊んでリフレッシュしたい気分なんだよ。まぁクリスが嫌なら仕方ないけど」

 

「イヤなわけないよ! いくいく!! いくわよ!!!」

 

 これってデートのお誘いだよね?

 ……ふへへ♡ やったぁ明日はゴールドとデートだぁ♡

 どこ行こうかな? コガネ百貨店には一度行ってみたかったのよね。

 あとは自然公園も!

 それからぁ……

 

 

 

 

 

 

 ★☆★☆

 

 ……やれやれ、クリスはやっと何時もの調子に戻ったな。

 クリスは嬉しそうに体をクネクネさせてる。

 おそらく明日の事を考えてるんだろう。

 ……たく、俺を心配して俺のところに来たのにクリス自身が暗い顔したら俺が心配するってぇの。

 

 クリスに言ったことは半分本当で半分嘘だ。

 確かに負けたことに関してはアカネちゃんに感謝してるし次の戦いの事を考えてるのも本当だ。

 ……だが気持ちは完全には切り替えられては無い。

 正直まだ悔しいし胸の奥がムカムカする。

 

 ……だが俺の話を聞いたクリスは暗い表情をした。

 それで俺は咄嗟にクリスに遊びに行かないかと誘ったんだ。

 まぁ直ぐに再戦する気にもなれなかったし丁度良かったかな。

 

「ふへへ、デートぉ〜♡」

 

 ……本当に幸せそうな顔しやがって。

 何かクリスを見てたらさっきまであった悔しい気持ちは小さくなった気がする。

 ……ありがとうよ、クリス。

 明日はいっぱい遊ぼうな。

 


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