オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第三十三話 ゴールドのヒント

 オッス、俺ゴールド。

 今日はいよいよヤドンが退院する日だ。

 そして俺達がヒワダタウンから次の町へ目指す為に旅立つ日でもある。

 ヒワダタウンでは本当に色々あったな、ロケット団の事件、ヤドンの入院、そしてシルバー君との再会、カモネギとの追いかけっこ。

 

 ……あとクリスがシルバー君との戦いで何かを感じ悩んだりもした。

 まだ悩んでるみたいだが一応は食事もちゃんと取り、寝れてるみたいだら健康状態は大丈夫そうだけどな。

 

 さっきジョーイさんには挨拶は済ませ昨日のうちに炭焼き職人の親方、見習いさん、ジムリーダーのツクシ君、ジムの子供達には挨拶を済ましてる。

 尚、その時に見習いさんには『木炭』を貰った。

 勿論ガンテツさんとお孫さんにも挨拶しにいった。

 ただガンテツさんは町を出る直前にもう一度家によって欲しいと言われてる。

 ……何か用でもあるのかな?

 

 うっし、着替えも終わったしそろそろクリスに声を掛けて宿泊施設をでるか。

 

 ★☆★☆

 

【ガンテツの家】

 

「おおゴールド、クリス、来たか。お前さん達にはヤドンの井戸では本当に世話になったな。本当にありがとう。

 お礼と言ってはなんだが、こいつを受け取ってくれ」

 

 俺とクリスはガンテツさんからルアーボールをそれぞれ受け取った。

 ……ルアーボールか、もしコイキング以外を釣り上げたら使うかな、だがコイキングには絶対に使わないぞ。

 

「ガンテツさん、ありがとうございます」

 

「ガハハ! さっきも言ったが礼を言うのはワシの方じゃ。二人共本当にありがとうな。

 またこの町に来るときはワシんとこに寄ってくれ。ぼんぐりの実があればボールを作ってやるぞ!」

 

「バイバイ! またきてね、おにいちゃん、おねぇちゃん♪」

 

「ヤードン♪」

 

 俺達はガンテツさんとお孫さんに別れを告げてヒワダタウンを後にした。

 クリスが終始大人しくしてたのが気にはなるが、まぁクリス自身が話したくなるまで待つさ。

 

 ★☆★☆

 

【ウバメの森】

 

 ふぅ、疲れた。

 俺達はコガネシティを目指しウバメの森に居る。

 だがこの森は広いから半日歩いてもまだ出られない。

 尚、途中で道を塞いでた木はオオタチに覚えさせた『いあいぎり』で切り倒してきた。

 

 後、道中に古めかしい祠があったりもした。

 ……あれって何を祀ってるんだ?

 

 そうそうパラスが襲ってきたのでついでに捕獲しといた……性別は安定の雌。

 俺の雌ポケモンとの遭遇率の高さは何とかならんかな、雌ポケモンは手持ちに入れないから結構困る。

 パラスはクリスの好きそうなポケモンだがクリスは相変わらず上の空で全く反応しなかった。

 

 まだ俺が言ったことを考えてるのか?

 大人しいのは正直助かるが上の空なのは色々危険なんだよな。

 ここまでの道中でも何度か木の根っこで転びそうになったりしてたし。

 

 そんなことを考えながら歩いてたら小さな池に出た。

 俺達はここで少し休憩することにした。

 

「……ふぅ、疲れたなクリス」

 

「…………」

 

 まだクリスは悩んでるのか、俺の言葉が届いてないみたいだ。

 仕方ない、俺は少し仮眠でも取るか。

 

「……ねぇゴールド、少し聞いていい?」

 

「……良いよ」

 

 と思ったがクリスの方から話しかけてきた。

 さて何を聞いてくるかな?

 

「……アタシね、あれからゴールドが言ったことをずっと考えてたんだ…………でもね、答えが全然わからないの」

 

 クリスは下を向きゆっくりと話してる。

 

「……ゴールドが言ったことが間違ってるとは思わないわ……でも今までアタシが信じてた事も間違ってるとは思えないの」

 

 俺は黙ってクリスの話を聞いている。

 

「……ねぇゴールド、何が正解のかな?」

 

「それはクリス自身が答えを出さないといけない事だ、俺に頼らずにな」

 

「……そっか……答え、教えてくれないのね……ゴールドって意外とキビシイのね」

 

「アホか、俺は昔からこんな感じだろ……一つヒントを言うなら色んな人と話してみな」

 

「……話すの?」

 

「そうだ。クリスはまだ知識も経験も全然足りない、だから沢山の人と話して、色々な話を聞いて、色んな考え方を学ぶんだ。

 そうして自分の知識と経験を増やせば今分からない事も分かるようになる」

 

 まぁコレって結構難しいんだけどね。

 偉そうに言ってるが俺だってまだまだ知識と経験を積まないとな、じゃないと俺自身が成長出来ん。

 俺が未熟ではクリスの保護者は名乗れないからな。

 

「……うん、わかった。アタシ、これから出会う人たちといっぱい話してみる!」

 

「頑張れよクリス」

 

 俺はいつでもお前を応援してるからな。

 

「……ねぇゴールド、一つお願いしていい?」

 

「お願い?」

 

 何のお願いだ?

 

「……うん、ゴールドにギュってハグして欲しいの。ゴールドがハグしてくれたらアタシは元気になれるから」

 

 ハグか……ちょっと恥ずかしがこんな森の中で誰かに見られる心配は……多分ないか。

 クリスはここ数日ずっと頭を悩ませてたし少しはご褒美あげないとな。

 

「……良いよ、おいでクリス」

 

 俺は両手を広げてクリスがくるのを待つ。

 

「……ありがとうゴールド」

 

 クリスは俺の胸に抱きついてくる。

 俺はクリスを優しく抱きしめクリスの頭を撫でる。

 ……クリスの温もりが俺に伝わり俺の温もりが伝わる。

 

 俺達は二人しか居ない森で静かに抱き合い続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★☆★☆

 

 ……ありがとうゴールド。

 アタシ絶対に自分の答えを見つけるね。

 だから今だけは……ね♡

 


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