オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第三話 ツンデレ少年と病んでる娘

 オッス、俺ゴールド。

 俺達はウツギ博士に頼まれたお使いの途中だ。

 

「ヒノアラシ、『たいあたり』だ!」

 

「ひの〜!」

 

 よっしゃ、ヒノアラシの『たいあたり』でコラッタを倒した。

 

「よしよし、良くやったな」

 

「ひの〜♡」

 

 俺はヒノアラシの頭を撫でてあげる。

 ヒノアラシは気持ち良さそう鳴いてる。

 可愛い奴め。

 

「さっすがアタシのゴールド、ステキだったわ♡」

 

「チコチコー♪」

 

「……俺、お前のじゃないし」

 

 いつも通りクリスにツッコミを入れながら俺達はウツギ研究所を目指す。

 もう夕暮れだし急がないと日が暮れて危険だからな……俺の貞操が。

 十歳の少女に逆レイプされて初体験なんぞ絶対嫌だ!

 

 ここまでくるのに変な爺さんに無理やり町の案内をされてタウンマップ貰ったり、ポケモン爺さんにポケモンの卵を預かったり、オーキドの爺さんに何故か気に入られてポケモン図鑑を貰ったりした。

 今日は爺さんと何かと縁がある日だったな。

 

 まぁオーキドの爺さんは前世でゲームでもアニメでも知ってた人だから会えて少し感動したがな。

 

 そいやポケモン爺さんの家を出たときにウツギ博士から電話があったな。

 なんか慌ててたが何があったんだ?

 まぁ帰ったら分かるか。

 

 ん、アイツは……

 

 

 

 そこには道の真ん中で腕を組んでる少年がいた。

 通行人の邪魔になるから脇にそれたら?

 

「……お前、研究所でポケモン貰ってたな」

 

「あぁ君は覗き少年じゃないか。もう覗きは終わったのかい?」

 

「くっ、 ムカつく奴だ。お前、俺とポケモンバトルしろ! お前のポケモンより俺のポケモンの方が強いと教えてやる」

 

 いきなり何なんだよ。

 俺は早く家に帰りたいんだけどな。

 

「がんばれーゴールド! そんな奴ボコボコにしちゃえ!」

 

「チコ!」

 

 ……クリスめ、既にバトルを観戦する体制になってるし。

 つかいつの間にそのピクニックシートを敷いた?

 チコリータはクリスの横で大人しくしてるな。

 ……クリスも少しはチコリータを見習ってくれないかな、無理か。

 

 ん? 少年がクリスをチラッと見て顔を少し赤くしたな。

 

 ははぁん、なるほどねぇ。

 この少年、さてはクリスに一目惚れしたな。

 確かにクリスは見かけだけは美少女だからな……中身はギャラドスも尻尾巻いて逃げ出すほど凶悪だが……。

 んでクリスに付きまとわれてる俺が気に入らないから喧嘩を吹っかけたと。

 青春やねー。

 

「……何ニタニタ笑ってやがる」

 

「いやいや、若いって良いなぁと思っただけだよ。よし少年、その勝負を受けようじゃないか!」

 

 青少年の初恋は微笑ましいのぉ。

 だが勝負に手を抜くのは俺の趣味じゃない。

 よって大人げないが全力でやらせてもらうぞ!

 

「舐めやがって、今に見てろよ」

 

 それ負けフラグだぞ?

 

「いけワニノコ!」

 

「ワニワニー!」

 

「出番だヒノアラシ!」

 

「ひの〜!」

 

 少年のポケモンはワニノコか。

 水タイプとは相性が悪いな。

 まぁ何とかなるでしょ。

 

「ワニノコ、『ひっかく』だ!」

 

「ワニィ!」

 

「ヒノアラシ、『えんまく』!」

 

「ひのひの!」

 

 ワニノコがヒノアラシに攻撃してきたがヒノアラシが吐き出した『えんまく』に突っ込んで『ひっかく』を外す。

 

「くそ! もう一度『ひっかく』だ!」

 

「青いな少年、ヒノアラシ『えんまく』!」

 

 我武者羅に突き進めるは若者の特権、だが勝負に置いては悪手だぞ。

 再び『えんまく』に包まれたワニノコの攻撃はやはりヒノアラシには届かなかった。

 

「ヒノアラシ、連続で『たいあたり』だ!」

 

「まずい!? 避けろワニノコ!」

 

「無駄だよ少年、あれだけ濃い煙の中にワニノコはいるんだぞ」

 

 おそらくワニノコの今の視界はほぼゼロ。

 そんな状態ではヒノアラシの攻撃は避けれないよ。

 

 ドス、ドス、とヒノアラシの『たいあたり』が当たる音だけがする。

 さて、そろそろ良いかな?

 

「もういいぞヒノアラシ」

 

 ヒノアラシが俺の目の前に戻ってきた。

 煙が晴れるとそこには仰向けに倒れて目を回してるワニノコがいた。

 ワニノコは戦闘不能だな。

 

「俺の勝ちだな」

 

「……フン! 勝って嬉しいかよ?」

 

 そりゃね、嬉しいに決まってるだろ。

 むしろ全力で戦って勝利して嬉しくない奴がいるのか?

 つか顔が歪むほど悔しそうにしてたら負け惜しみにしか聞こえんぞ?

 よく見たら涙目になってるし。

 

「……俺の名前はシルバー。世界で一番強いポケモントレーナーになる男だ。 よく覚えておくんだな」

 

 そう言い捨てると少年……いや、シルバー君は一瞬クリスを見てからワニノコを抱えて走り去っていった。

 それにしても世界一とは大きく出たな。

 うんうん、夢はでっかくないと面白くないよな。

 その気持ち分かるぞ。

 頑張れよシルバー君。

 

「キャー、ステキよゴールド!」

 

 ……そしてシルバー君、クリスに惚れたなら出来るならクリスを引き取って欲しかったかな。

 もしクリスを貰ってくれるなら、クリスをラッピングしてご祝儀と嫁入り道具まで付けてプレゼントするけど………いや、あの年頃の子にこの病んでる娘の相手は過酷過ぎるな。

 

「最高だったよー♡」

 

 そう言いながら俺の背中に抱きつき、クンカクンカと俺の匂いを嗅ぐ病んでる娘、ちょっとは自重しなさい。

 ……どうしてこうなった?

 昔はもっと普通……いや、昔からだったわ。

 

 幼稚園の時に俺と仲良かった女の子をイジメ(クリスはお話しただけと言い張ってたらしいが)て、その子を精神崩壊寸前まで追い込んだことがあったな。

 その時は俺がその女の子の親御さんに事情を説明して、腕の良い精神科医を紹介して遠くに引っ越して貰ったな(その親御さんの会社で転勤の話が偶々あってそれに親御さんが立候補してくれて助かった)。

 

 その子は今では無事に回復したと去年手紙で知ったよ。

 本当に良かったわ。

 ただクリスのことはトラウマになっていて今でも夢に出てるらしいが。

 ……ご愁傷様。

 

「ゴールド〜♡」

 

 クリス本人は俺にバレてないと思ってるのがまた質悪いんだよな。

 はぁ、仕方ないからもうしばらくは俺が面倒見るか。

 早く俺離れしてくれないかな。

 


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