オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第二十八話 ヒワダタウン クリス対シルバー その一

 オッス、俺ゴールド。

 俺達は今からウバメの森へ行くつもりだ。

 何故ウバメの森に行くかというと、それは今朝俺が散歩をしてる時にガンテツさんに偶々会って、

 

 ★☆★☆

 

「おうゴールド、お前んとこのヤドンは元気になったか?」

 

「はい、もうすぐ退院する予定です。ガンテツさんのヤドンはどうですか?」

 

「うちのは元気一杯に毎日孫と遊んどるぞ、ガハハ! そいやゴールド、炭職人のところの若いのを見とらんか?」

 

「見習いさんですか? 見てないですが何かあったんですか?」

 

「昨日から炭職人の奴が探しとるんだ、何でもウバメの森に行く言うて、それから帰ってきてないらしいんじゃよ」

 

「そうですか、それは心配ですね……では俺達が今日探しに行きますよ、今日は予定も無いので暇ですし」

 

「本当か? そいつは炭職人の奴が喜ぶぞ! アイツは何だかんだ言って心配しとるからのぉ」

 

 ★☆★☆

 

 ……て訳だ。

 尚クリスはヤドンの側に居ると言ったが俺が連れ出した。

 コイツは最近ヤドンに付きっきりだったからな、気晴らしも必要だと思ったんだよ。

 

 ヤドンは退院を待つだけの状態だし今日ぐらいはクリスが付いてなくても大丈夫だろ。

 

「……うふふ♡」

 

 ……ただクリスが非常にご機嫌なのが気になる、今日の朝俺に抱きついてた事も気になるし。

 ……悪いよりマシと思っておくか。

 

 俺達がウバメの森の入り口までくるとそこにシルバー君が居た。

 

「……フン、お前たちか」

 

「オッス! 久し振りだねシルバー君」

 

「……馴れ馴れしくするな」

 

 相変わらずシルバー君は突っ張ってるね。

 まぁ元気そうで何よりだ。

 

「……おい、お前たちに聞きたいことがある。ロケット団が復活してるって本当か?」

 

「ロケット団? ロケット団ならこの前追っ払ったが、それがどうしたのかな?」

 

 まぁ追っ払ったのはクリスなんだけどね……詳しい事は黙っておくか、色々言えんことも多いし。

 

「お前が倒したのか!? ……ならその実力俺に見せてみろ!」

 

 そう言いながらモンスターボールを構えるシルバー君。

 相変わらず熱血してるねぇ、よーし、いっちょ相手してやるか!

 

「……おいシルバー、何アタシのゴールドに突っかかってるのかしら?」

 

 ……アカン、これ完全にアカンパターンや。

 クリスが暴走形態に入ってるわ……

 

 俺はすぐにクリスを宥めようと正面から抱きついたが……

 

「どいてくれる? コイツとはアタシがバトルするわ!」

 

 ……俺はクリスを止めるのを諦めた。

 俺が抱きついても止められない時は何をやっても無理だからな。

 幸いポケモンバトルならシルバー君が怪我をする事は無いだろう……無いと信じたい。

 

「……オレは君とバトルする理由は無い」

 

「あら、あるわよ? だってゴキブリ共(ロケット団)を潰したのはアタシなんだから」

 

「……なに、君が!? ……なら君の実力見せて貰おう、バトルだ!」

 

 煽るなぁシルバー君! マジで今のクリスを煽るな!

 

「アンタも潰してやるわ、来なさい!」

 

 ……俺はそそくさと二人から離れて観戦する体制に入った。

 今の俺に出来るのはシルバー君の無事を祈るだけだから。

 あぁ神様、シルバー君をお守り下さい……と思ったが俺は無神論者で無宗教家だったわ。

 

「いけ、ゴース!」

 

「ゴースゥ!」

 

「出てきて、トゲピー!」

 

「トゲピゥイ!」

 

 ゴース対トゲピーか……って、確かゴーストタイプとノーマルタイプの組み合わせは……

 

「「チッ!」」

 

 あの二人も気付いたか、ゴーストタイプはノーマルタイプの攻撃技が効かない。

 反対にノーマルタイプはゴーストタイプの攻撃技が効かない。

 さて、二人はどうするかな?

 

「ゴース、『さいみんじゅつ』だ!」

 

「ゴ〜ス!」

 

「トゲピー、『てんしのキッス』よ!」

 

「トゲ、ピッ♡」

 

 ゴースが放った怪光線がトゲピーに当たり、トゲピーの投げキッスがゴースに当たる。

 ……お互いに状態異常か。

 

「戻れゴース! ゆけ、ズバット!」

 

「ズバッ!」

 

 シルバー君はポケモンを交代したか。

 クリスは交代しない、大丈夫か?

 そう思ってたらトゲピーがすぐに目覚めた。

 

「……ハッカの実か、確か眠りを覚ます木の実だったな」

 

 トゲピーは木の実を食べてたのか。

 だがクリスよ、いつハッカの実を手に入れた?

 確か今までの道中にハッカの木は無かった筈だが。

 

「トゲピー、ズバットに『ゆびをふる』!」

 

「トゲッ!」

 

 トゲピーは指を振りやがてその動きは止まる。

 

「トゲッピーーッッ!」

 

 あれは『かいりき』か。

 トゲピーが近くにあった石をぶん投げてズバットに当てた。

 

「……チッ! ズバット、『ちょうおんぱ』だ!」

 

「ズバッット!」

 

「トゲピー、避けて『あまえる』!」

 

「ピー、トゲピッ♡」

 

 トゲピーは『ちょうおんぱ』を避けながらウインクしてズバットの攻撃力を下げた。

 ……あれでなんで攻撃力が下がるんだ?

 ズバットがトゲピーに惚れたとか……トゲピーもズバットも雄だけど。

 

「クソ、『かみつく』だ!」

 

「ズバッット!」

 

 だが『あまえる』の効果で威力が低くなってるからトゲピーのダメージは少ない。

 

「トゲピー、もう一度『ゆびをふる』!」

 

「トゲピー、ピー、ピー、ピーッ!」

 

 今度は『だいもんじ』だと!

 ちょい待てクリス、なんで『ゆびをふる』で連続で攻撃技が出るとか出来るんだよ!?

 

 俺が驚いてる間にトゲピーは『だいもんじ』を決め、ズバットは戦闘不能になった。

 

「……クズが、戻れズバット」

 

「トゲピー戻りなさい……お疲れ様」

 

 二人はポケモンをモンスターボールに戻した。

 まずはクリスの一勝か、だがシルバーも良くやったと思うよ。

 今回はクリスの運が良すぎた、普通は『ゆびをふる』で連続で攻撃技が出る可能性は低いからな。

 

 さて、次はどうなるかな?

 まぁどちらが勝つにせよ二人共頑張れよ!

 ……俺は二人が戦ってる間にクリスを宥める方法を考えるから。

 


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