オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜 作:友親 太一
「頼んだよスピアー!」
「スピア!」
ツクシ君の次のポケモンはスピアーか。
スピアーの素早さと攻撃力は侮れないな。
ならばここは防御を強化だ!
「イシツブテ、『まるくなる』だ!」
「スピアー、『きあいだめ』!」
しまった! 今、攻めれば大ダメージ与えられたかも!?
『きあいだめ』は技が急所に当たりやすくなる効果だったな、厄介な。
だが守りは固められた。
なら次は攻める!
「イシツブテ、『いわおとし』!」
「イッシャイ!」
「スピアー、『かげぶんしん』で回避だよ!」
「スピ!」
スピアーは複数の残像を出した。
イシツブテの投げた岩はその残像の一つをすり抜けた。
イシツブテの攻撃は外れたか。
「よぉし、今度はこっちが攻める番だ。スピアー、『ダブルニードル』!」
「スピッ!!」
「イシツブテ、『まるくなる』で耐えろ!」
「イッシャ!」
空中から猛スピードで突いてくるスピアー。
イシツブテは一撃目は防いだが二撃目は急所に当たりよろけた。
『まるくなる』で防御上げてもこれだけダメージがあるのは流石ジムリーダーだと言えるな。
イシツブテの顔色(顔も石だから分かりにくいが)が悪い。
今の『ダブルニードル』で毒を貰ったか。
……まずいな。
「まだまだいくよ! 『みだれつき』」
連続で何度も突いてくるスピアー。
イシツブテはこれまでのトレーニングで鍛えた防御力で耐えてはいる。
が、それでも何発かは急所に当たりかなりキツそうだ。
「どうするの? もう諦めたのかな?」
「は、まさか!」
強がって見せたがマジでキツイ。
毒と連続攻撃でイシツブテの体力がガリガリと削られてる。
だからと言って『いわおとし』は『かげぶんしん』で避けられるし、この前覚えたばかりの『マグニチュード』は空を飛んでるスピアーに当たる訳無いし。
……『マグニチュード』が地面を揺らす技だから仕方ないんだけど。
「でも強がってるだけでは勝てないよ。スピアー、『ダブルニードル』だ!」
「イシツブテ、スピアーの針を掴め!」
「えっ!?」
イシツブテは『ダブルニードル』を食らいながらスピアーの腕の針を掴む。
「イシツブテ、そのままぶん投げろ!」
「イッシィ!!」
イシツブテは一本背負みたいにスピアーを投げ飛ばした。
だがスピアーは地面に叩きつけられる前に体制を立て直す。
「ふー、少し危なかったよ」
「イッシ、ハァハァ……、イッシ、ハァハァ……」
「イシツブテ、大丈夫か!?」
イシツブテの息が荒い。
毒がかなり回ったんだ。
いっそバタフリーと交代するか……だが今交代すると相手に大きなスキを見せることになる。
「ハァハァ…………イッ、シャャャャッッッ!!!」
俺が悩んでるとイシツブテいきなり吠えだした。
なんなんだ!?
「イシツブテ、どうした!?」
イシツブテは俺の指示も聞かずスピアーに向かって突っ込んでいく。
「な、なんだ!? スピアー、『ダブルニードル』でイシツブテを近づけるな!」
「スピッ!」
ツクシ君もイシツブテの異常さに気付いたんだろ、スピアーに反撃の指示を出す。
だがイシツブテは『ダブルニードル』を無視しスピアーに掴みかかった。
そして……
「イッシャャャャ!!!」
ドーンッッッ!!!
イシツブテは勝手に『じばく』した。
……アイツ、爆発する瞬間メッチャ良い笑顔してたな。
爆発で舞い上がった土煙が収まると地面には気を失ったスピアーとイシツブテが倒れてた。
イシツブテはやはり満面の笑みだった。
……お前ひょっとして『じばく』が好きなのか?
その前にいつアイツは『じばく』を覚えた?
俺は『じばく』をイシツブテに覚えさせる気が無かったから『じばく』覚えるレベルになったら忘れされるつもりだったのによ。
まさかイシツブテは勝手に覚えたのか?
なら代わりにどの技を忘れた!?
「……イシツブテの『じばく』で引き分けみたいだね」
「……ツクシ君、ウチのイシツブテが勝手に『じばく』してすまない」
俺はツクシ君に頭を下げる。
「えっ!? 今の『じばく』は君の指示じゃないの!?」
「……はい、俺の指示無しで勝手に爆発しました」
……イシツブテ、後で説明してもらうぞ。
俺達はお互いのポケモンを回収した。
「……ま、まぁポケモンも言う事聞かない時もあるからね。
さぁ気を取り直してバトル再開だよ」
「……本当にすんません」
暴走する問題児はクリスだけで充分だよ。
だから後で絶対に『じばく』は忘れさせてやる。
だが今は勝負に集中しないと。
俺は次のモンスターボールに手を掛け構えた。
★☆★☆
【只今クリス達はお昼寝中です】
「うへへ、ゴールドったらやっと受け入れてくれるのね……ムニャムニャzZ」
「まぁぐ〜……zZ」
「や〜どん……zZ」