オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第二十二話 ヤドンのその後

 オッス、俺ゴールド。

 あれから走って俺達はポケモンセンターに駆け込んだ。

 そしてヤドンは緊急手術する事になった。

 

「……ねぇゴールド、ヤドンは大丈夫だよね?」

 

 俺達は手術室の前でヤドンの手術が終わるのを待っている。

 

「大丈夫さ、ジョーイさん達を信じよう」

 

 クリスはさっきから何度も同じ事を聞いてくる。

 よほど心配なのかずっとソワソワとして落ち着きがない。

 俺はクリスの頭にそっと手を乗せて自分の方に寄せる。

 ……これで少しはクリスの不安を取り除けたら良いんだがな。

 

 ★☆★☆

 

 どれくらいそうしていたか分からない。

 クリスは最初よりは落ち着いたがやはりソワソワしてる。

 

 『手術中』のランプが消えた!

 手術室の扉が開きジョーイさんと助手のハピナス達が出てきた。

 

「ジョーイさんヤドンは!?」

 

 ジョーイさんに駆け寄るクリス。

 

「もう大丈夫よ、一命は取り留めたわ。しばらく入院が必要だけどすぐに元気になるから安心して」

 

「ありがとうございます、ジョーイさん!」

 

 満面の笑みでお礼を言うクリス……本当に良かったな。

 

「ふふふ。そうだ、もし良かったらヤドンの側にいる? まだ麻酔が効いてるから目は覚めないけど側にいるだけなら出来るわ」

 

「いいんですか!?」

 

「勿論よ。ハピナス、ヤドンとクリスさんを病室までお願いね」

 

「ハピー!」

 

「ハピー!」

 

 クリスはハピナス達と一緒に病室に向かった。

 これで俺はジョーイさんと二人っきりだな。

 

「……で、俺に何か話があるんですか?」

 

 わざわざクリスを外したんだ、それなりの理由がある筈。

 

「察しが良くて助かるわ。実はね……」

 

 ジョーイさんは一呼吸置いて話し始めた。

 

「あのヤドンは確かに命は助かったわ。でもね……尻尾は二度と生えてこないの」

 

「……そうですか」

 

「あら、驚かないのね?」

 

「予想はしてましたから」

 

 切られた尻尾の断面を俺は見てる。

 何かで焼かれたんだろう、酷く焼け爛れてた。

 

「説明を続けるわね。今回保護された他のヤドン達は全員無事よ。切られた尻尾もすぐに生えてくるわ。

 でもあの子だけは……あのヤドンだけは今後尻尾が生えてくることは無いわ。

 ……あのヤドンは群れのリーダーなの。クリスさんの話だとあの子はロケット団に歯向かったのよ……おそらく群れの仲間を守る為に」

 

 それであそこまで痛めつけられてたのか。

 何でアイツだけがと疑問だったが納得した。

 アイツは群れを守る為にロケット団と戦ったんだな。

 

「ヤドンは尻尾なくても歩けるし泳げるわ。でもね……ヤドンは尻尾を囮にして餌を捕まえるポケモン、だから今後あの子は自力で餌を手に入れる事は難しいわ」

 

「つまり野生ではアイツは生きていけない、と?」

 

「……そうよ」

 

 なら俺がやるべき事は一つだな。

 

「アイツは俺達が責任持って面倒見ます。最もアイツが俺達を認めてくれたらですけどね」

 

 俺はアイツを気に入った、仲間の為に戦える男気に惚れた。

 だが、俺はアイツを逃がすと約束してる。

 だからアイツの目が覚めたら聞いてみるんだ。

 

「俺達と一緒に旅をしないか?」

 

 ってな。

 

「ごめんなさいゴールド君、あのヤドンの事お願いするわね」

 

「こちらこそ、ヤドンの治療お願いします」

 

 クリスには落ち着いたらゆっくり話すか。

 ……今話すとロケット団を探す為に飛び出しそうだし。

 

 ★☆★☆

 

 あれから一週間たった。

 クリスはずっとヤドンに付きっきりで看病してる。

 その効果かは分からないがヤドンはドンドン回復して、来週は退院出来るだろうってジョーイさんが言ってた。

 

 本当、ポケモンの生命力には驚かされるな。

 人間だったら治るのに数ヶ月は掛かる怪我が僅か二週間足らずで治るんだから。

 

 尚クリスにヤドンの尻尾の事を話したら案の定アイツはロケット団を追うと言い出した。

 ……無論全力で俺が止めた

 代償として俺の下着が数枚犠牲になったが仕方ないな。

 

【ヤドンの病室】

 

「オッス、見舞いに来たぞ」

 

「あ、ゴールド♡」

 

「やど〜ん♪」

 

 ヤドンはクリスに抱きついてた遊んでた。

 この一週間でヤドンは俺とクリスにすっかり懐いたんだ。

 ……そろそろ聞いても良い頃だろう。

 

「……なぁヤドン」

 

「やどん?」

 

 ヤドンはキョトンとした顔で俺を見つめる。

 

「なぁヤドン、お前の尻尾は二度と生えてこないんだ。だからお前が野生で生きていくのは難しいんだよ。

 だからな……お前を逃がすって約束しといて、なんだがな……俺達と一緒に旅をしないか?」

 

「や〜どん?」

 

 見つめ合うヤドンと俺。

 ……コイツ俺が言ったこと分かってるよな?

 

「やど〜ん!」

 

 ヤドンは俺に抱きついてきた!

 ……これって!

 

「俺達と旅をするって事で良いんだよな?」

 

「や〜どん!」

 

 こうしてヤドンが俺達の仲間になった。

 尚クリスは俺達の横で号泣してる。

 嬉しいのは分かるが、そんなに泣くなよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★☆★☆

 

 ……ロケット団、アタシは絶対に忘れない。

 アンタ達がヤドンにした事を。

 ……ロケット団、次に会ったら徹底的に潰してやるわ。

 首を洗って待ってるがいい。

 ……必ず地獄を見せてやる。

 


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