オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第十三話 説教、お仕置き、卵

 うぇ〜ん、アタシはクリス、グスン。

 アタシは今、ゴールドにお説教されてるの。

 理由は受付のクズに毒を盛ったから。

 

 なんで? どうして? アタシはゴールドをバカにしたクズにちょっと『どくのこな』を飲ましただけなのに!

 ちゃんとバレないようにクズが居眠りしてるのを確認して、アイツの持ってたペットボトルに『どくのこな』を入れたのに。

 なんで三十分も正座させられてお説教されないといけないの?

 

「余所見するな!」

 

 ゴンッ!!

 

「いった〜ぃ!!」

 

 ふぇ〜ん、また殴ったぁ。

 アタシはゴールドの為にしたのに三回もグーで頭を殴ったぁ!

 

「いいか、世の中にはやっていい事と悪い事がある。お前がした事は悪い事だ。そもそも……」

 

 だからなんで? どうして? ゴールドをバカにするクズを始末するのは悪いことじゃないよ?

 ちゃんとバレないように工夫したよ?

 なのにどうしてゴールドが怒るの?

 なんでアタシは外で正座してお説教されなきゃいけないの?

 ねぇどうして?

 

 なお共犯の罰としてチコリータは『どくのこな』を忘れされられて秘伝マシンで『フラッシュ』を覚えました、せっかく『どくのこな』を覚えたのにぃ、シクシク。

 ……でもチコリータはむしろホッとしてたわ。

 

 もぉゴールドのイジワル〜!!

 

 ブルル……

 

「ん? 電話だ。クリス、電話に出るからそのままの態勢で待ってろ」

 

 ふぇ〜ん、砂利の上で正座はもうイヤだよ〜。

 

「もしもしゴールドです。ウツギ博士どうしたんですか? ……はい……はい……分かりました……では今から行きますね……はい」

 

 ピッ!

 

 電話が終わったみたいね。

 相手はウツギ博士からだったみたいだけど何だったのかな?

 

「とりあえず今日のお説教はここまで。ポケモンセンターに博士の助手さんが来ているみたいだから行くぞ」

 

 よかったー、これ以上のお説教は本当に耐えれそうになかったのよ。

 ウツギ博士、助手さん、ありがとう!

 

 アタシは立ち上がろうとして……

 

「イ゛ッ゛!!?」

 

 あ、足が……しび……れ……

 

「どうしたクリス? グズグズしてると置いてくぞ」

 

「ま、まっ、て……足が、痺れた……の」

 

「何だそんな事か」

 

 そんな……こ、と……って、コレ、結構、辛い……のよ。

 

「仕方ないな、俺がマッサージしてやるよ」

 

「えっ゛!?」

 

 ゴー、ルド、に触れ、られる、のは嬉しい、けど……い、いまは、今、だけは勘弁し、てくだ……

 

「遠慮するな、ホレ!」

 

「ギァ!?」

 

「もういっちょ!」

 

「グェ!?」

 

「ホイ、オマケ!」

 

「ggぁ!?」

 

 ゴールド絶対分かってやってるでしょ!?

 もぅ本当ゴールドのイジワル〜〜!!!

 

 ★☆★☆

 

 あー、スッとしたぁ。

 久し振りにクリスに全力で説教したわぁ。

 こんだけ説教とお仕置きすればいくらクリスでも当分は大人しくするでしょう。

 チコリータも『どくのこな』を忘れたから再犯もしようがないし。

 『フラッシュ』なら悪用しようがないからな、アレは光で周りを明るくする技だし。

 

 あの受付はどうやら助かったみたいだ。

 おそらく俺が渡した毒消しか胃薬が効いたみたいだな。

 無事救急車で運ばれて病院で今は安静してるみたいだ。

 クリスにお説教しながらこっそりイヤホンでラジオを聞いて確認したか間違いないだろう。

 凄いね地方ラジオは、三十分前の事をもうニュースに流してるんだからな。

 

 ……尚、俺達の事は一言も言ってなかった。

 ニュースでは壊滅した筈のロケット団による犯行の可能性も? と言ってたがな……ロケット団には悪いが俺達の代わりに疑われてくれ、俺は警察の世話になりたくないからな。

 

 尚クリスは不貞腐れながら俺の後ろをついて来てる。

 ……後でまた俺の下着でもやるか、不貞腐れたままだと色々面倒だし。

 

 ★☆★☆

 

【ポケモンセンター】

 

「やぁゴールド君、クリスちゃん、お久しぶりです」

 

「お久しぶりです」

 

「……お久しぶりです」

 

 ポケモンセンターに着くと助手さんは既にいて待っていた。

 

「話は博士から聞いてますよね? 実はですね、ポケモンの卵を持っていってほしいのです」

 

「それって俺達がポケモン爺さんから受け取ってウツギ博士に渡した卵ですよね?」

 

 たがアレはウツギ博士が自分で研究してた筈、今頃なんで俺達に渡すんだ?

 

「はい、博士が調べたところ卵の中である程度育たないと生まれてこないそうです。

 しかもいつも元気なポケモンの側にいないといけないらしいんですよ」

 

 よく分からんがウツギ博士が言うならその通りなんだろう。

 

「なので是非ともゴールド君とクリスちゃんにお願いします」

 

 ああそっか、今は研究所にはポケモンが居なかったな。

 研究所に居た三匹のポケモンは俺、クリス、シルバー君がそれぞれ持ってる訳だし。

 

「……そういう事でしたらお預かりします」

 

「本当ですか? ゴールド君ありがとうございます!」

 

 俺は助手さんから卵を預かった。

 

「生まれたら博士に電話をお願いします、では私はこれで失礼しますね」

 

 そう言うと助手さんは急いでポケモンセンターを後にした。

 ……博士の助手はあの人一人だから忙しいんだろな。

 

 ふと横を見るとクリスはさっきまでと違って興味津々と言った目で卵のを見つめてた。

 ……ポケモンの卵は珍しいからな、クリスでも興味を持つか…………そうだ!

 

「……クリス、お前がこの卵を孵してみないか?」

 

「えっ! いいの?」

 

「その代わりちゃんと世話すんだぞ?」

 

「うん、ありがとうゴールド♡」

 

 クリスは俺から卵を受け取ると大切そうに抱き抱える。

 その表情はとても嬉しそうだ。

 

 ……俺がクリスに卵を渡した理由は二つ。

 一つはクリスのご機嫌取り。

 俺が説教したからクリスはさっきまで非常に不機嫌だった。

 このままだとストレスで暴走しかねないからな……まぁ卵でなくても俺の下着でも代用はきくが。

 

 もう一つはクリスの教育の為。

 正直こっちが本命だ。

 確か何かのテレビで命の誕生する瞬間を立ち会う事で命の大切さを学べるって言ってた。

 卵を自分で面倒見ることでクリスが命の尊さを学べば人に毒をもるような事をしなくなるのでは? と、俺は考えたんだよ。

 

 ……クリスは命を、特に人の命を軽視する傾向がある。

 だからそれが少しでも改善されたら良いんだけどな。

 

「ふへへへ、よろしくね卵ちゃん♡」

 

 大事そうに卵に頬ずりするクリス。

 ……大丈夫、お前ならいつか必ず……な?

 俺は信じてるぞ。

 

 こうして俺達の怒涛のような一日はクリスの笑顔で終わった。

 


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