オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第一話 幼馴染は犯罪者予備軍

 オッス、俺ゴールド。

 元アラサーサラリーマンで現十歳の転生少年だ。

 

 いやー参ったね。

 いつも通りサービス残業終わらして、ギリギリ終電に乗り込んで疲れてたから、うたた寝して起きたら自分が赤ん坊になってたんだから。

 

 後輩に

 

「過労で倒れる前にマジで休んで下さい先輩。もう半年も休み取ってないじゃないですか!?」

 

 て言われたのがフラグだったか?

 

 まあいいや、昔のことは。

 で、俺は前世の記憶を持ったままポケットモンスターの世界に生まれ変わった。

 以上で説明終わり。

 

 ★☆★☆

 

「ゴールド、お隣のウツギ博士が探してたわよ。なんでもゴールドに頼みたいことがあるんだって」

 

 昼飯を食ってたらオフクロがいきなりそんなことを言い出す。

 ……つかそれ、いつ博士に言われた?

 絶対さっきまで忘れてだろ。

 

「……わかった、飯食い終わったらウツギ博士のとこ行くわ」

 

 味噌汁すすりながら俺は答える。

 ……美味い、やっぱ味噌汁は赤味噌だよな。

 

「そうだ、忘れてる所だったわ。修理に出してたポケモンギアが戻ってきたわよ、はい」

 

 相変わらずうちのオフクロは天然だ。

 そもそもポケギアが壊れたのもオフクロに貸して、オフクロが服のポケットに入れたまま洗濯したからだし。

 

 俺はオフクロからポケギアを受け取ると、残ってる飯を腹に流し込む。

 

 ★☆★☆

 

【ワカバタウン〜始まりを告げる風が吹く町〜】

 

「ハァイ、ゴールド」

 

「……クリス、なんで俺の家の前に居るんだ?」

 

 俺が家を出ると目の前に現れた少女。

 コイツはクリス。

 独特な跳ね方したツインテールが特徴の俺の幼馴染だ。

 

「偶然よ、ぐ・う・ぜ・ん♪」

 

「昨日も一昨日もその前も俺の家の前に居るは偶然なのか?」

 

 ちなみに俺に惚れてるのだ。

 

「ギグッ!? そ、それよりウツギ博士の所にいくのよね、アタシもついていっていいかな?」

 

 漫画のハーレム主人公じゃあるまいし、こんな分かりやすい反応を毎日されたら丸分かりだからな。

 クリス本人は隠してるつもりらしいが。

 

 俺? 俺はクリスに惚れてないぞ。

 別に嫌ってないけど俺は前世込みで精神年齢がアラフォーのオッサンだからクリスが娘にしか思えなし。

 ……俺は断じてロリコンじゃないからな。

 

「……なんでお前が知ってるんだよ。つか嫌だと言ってもついてくるんだろ?」

 

「そんなことは…………ある、かな?」

 

 俺はクリスの将来が心配だ。

 コイツいつか警察の世話になりそうだし。

 ……それだけは絶対に防がないと。

 

「はぁ、いいよ。一緒に行こう」

 

「ヤッター! ありがとうゴールド♡」

 

 嫌いではないが疲れるんだよな、クリスと一緒に居ると。

 

 あの時、俺がクリスを助けてから毎日こんな感じだからな。

 助けてた俺にも責任はあるし、仕方ないか。

 

 ★☆★☆

 

【ウツギポケモン研究所前】

 

「『ピカチュウは既に進化したポケモンである!』 あのウツギ博士の発表にはアタシもビックリしちゃった」

 

「あー確かにな」

 

 俺達は雑談しながら研究所を目指して歩く、つっても隣だから直ぐに着くがな。

 

「もう、ちゃんと聞いて…………ねぇゴールドあれ見て」

 

「ん?」

 

 クリスが指差した方を見るとそこには赤いロン毛の目つきの悪い少年が研究所の窓を覗いていた。

 

「ねぇねぇゴールド、あの男の子なんか怪しくない?」

 

「……俺からしたら、毎日俺ん家の前で待ち伏せしてるクリスの方が怪しいけどな」

 

「あ、ひどーい」

 

 事実だから酷くはない。

 だが確かにあの少年は怪しい。

 しゃあない、ここは俺が注意するか。

 

「…………ここが有名なウツギポケモン研究所……」

 

 うわぁ、人んち覗いてブツブツと独り言いってるのよコイツ。

 あんまり関わりたくないタイプだな。

 だが仕方ない、俺は嫌な気持ちを抑えて少年に声を掛けた。

 

「そこの少年、そんな所で覗きなんかしてると将来ロクな大人になれないぞ?」

 

「……なんだよ、お前には関係ないだろ」

 

 そう言うと少年は俺の肩を強く押し俺を押し退けた。

 ……尻もちついた、別に痛くないが少し乱暴過ぎね?

 

「な、アンタ! アタシのゴールドに何するのよ!」

 

「いや俺はお前のものじゃ無いし。はぁ、行くぞクリス。じゃな少年、一応注意はしたぞ」

 

 なんかクリスが茶々入れたから怒る気が失せたわ。

 俺達は少年をほっといて研究所の中に入ることにした。

 

 ★☆★☆

 

【ウツギポケモン研究所】

 

「やぁゴールド君、待ってたよ。クリスちゃんも、こんにちは。二人は相変わらず仲良しだね」

 

「はい、アタシ達は相思相愛ですからウツギ博士!」

 

「……こんにちは博士。一応言っときますがクリスが勝手に俺に付き纏ってるだけですからね」

 

「ハハハ、照れない照れないゴールド君。そうそう、今日君を呼んだのはお願いがあるからなんだ」

 

「お願い、ですか?」

 

 ウツギ博士の話を聞くと、博士の知り合いのポケモン爺さんが、なんか変なものを見つけたからそれを博士達の代わりに受け取りに行ってほしい、とのこと。

 

「勿論、お礼代わりにポケモンをあげるよ」

 

「本当ですか!?」

 

「いやクリスがお使いに行くんじゃないからな?」

 

 行くのは俺だし。

 

「クリスちゃんも一緒に行ってくれるのかい? ならクリスちゃんにもポケモンをあげよう」

 

 ……さいですか。

 流石ウツギ博士は太っ腹ですね、博士はかなり痩せてますが。

 ちゃんと飯食べてます?

 

「んとねぇ、アタシはこの子に決めたわ!」

 

 なんかクリスはさっさとポケモンを決めてる。

 ……もういいや、ツッコミ入れるのも疲れるし。

 

 てかここがゲームのスタート地点だったんだな。

 前世でポケモンをやったのがかなり昔だったから覚えて無いんだよね。

 

 さて俺はどいつにするかな?

 確か草が強かったんだっけ? 水が強かったんだっけ?

 覚えてねぇ。

 

(……!!!……)

 

 何となく右のモンスターボールが揺れた気がした。

 ……悩んでも仕方ないしコイツにするか。

 

「決まったんだね。ポケモン爺さんは隣町のヨシノシティの先に住んでるよ。それじゃゴールド君、クリスちゃん、よろしくね!」

 

 こうして俺の物語は始まった。

 ま、何とかなるでしょ。

 


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