ナザリックinスレイヤーズ   作:史上最弱の弟子

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アンケートで回答いただいたエピソードようやくかけました。
この話の時系列はモモンの冒険から1年後位後になります。
1年の間に原作から外れてかなり色々あって、リナ達とアインズは結構仲良くなったりしました。


最凶の敵との遭遇(前編)

(あー、わくわくするなあ)

 

 アインズはあるダンジョンの中を歩いていた。今、アインズが居るダンジョンは古代の秘宝が眠ると言われている遺跡である。建設した者自身を除けば前人未踏と伝えられており、30年前には当時の五賢者と呼ばれたものの一人が仲間を連れて探索を行ったが、誰一人帰って来なかったという逸話すらある場所だった。

 更に最近ではその真偽を確かめるため、デミウルゴスが八肢刀の暗殺者10体を偵察として送り込んだのだが、彼等もまた全滅し、戻って来なかった。八肢刀の暗殺者はユグドラシル金貨を消費して召喚したモンスターでゲームではレベル49、この世界の基準では1流の剣士並みの強さを持っている。しかも不可視化が出来て隠密性、生存性は高い。それが10体全滅ということからも、このダンジョンのレベルの高さを相当なものであることは間違いなかった。当然、NPC達はそんなダンジョンにアインズが潜ることを反対した。安全が確保されてからとしてからと主張した。しかしアインズから言わせればこうである。

 

(そんな、接待プレイみたいなことされてもなあ……)

 

 誰もクリアーしたことの無いダンジョン、そんなものがありながら部下達に先にクリアーさせる。安全を確保した後にのこのこ入るなど、危険を忌避するが、同時に冒険を好むアインズからすれば論外である。

 結局、折衷案として、階層守護者3人を連れてのダンジョンアタックが決定。そこで選ばれたのはシャルティア、アルベド、デミウルゴスであった。高難易度のダンジョンということで前衛2、後衛2のガチパーティーにアイテムも十分に準備してある。そのおかげもあってか、ここまでの探索は順調だった。途中はほどほどに手ごたえのある敵やギミックがあり、性能的には大したものではないが、珍しいアイテムも幾つかゲットしていた。

 冒険らしい冒険、それに最近ではNPCとの関係もほんの少しだけ堅さがとれて、アインズの機嫌はかなりよかった。先に対する期待に包まれる。

 そんなタイミングで、タンクとして先頭を任せていたアルベドが足を止めた。

 

「アインズ様」

 

「ああ、これは、如何にも何かありそうだな」

 

「確かに。如何いたしますか?」

 

 アインズの言葉に頷き、問うデミウルゴス。

 知恵者のデミウルゴスで無くても、分かる位に目の前には怪しい光景が広がっていた。

 そこにあるのは部屋である。4体の彫像が部屋の四隅に1体ずつ設置され、床に魔法陣が描かれた部屋があった。部屋の先には通路が続いており、分岐路は見当たらない。宝か罠か、高確率で何かの仕掛けがありそうに見える。

 

「ふむ、ここは定番の手で行くか」

 

 そう言ってアインズはデスナイトを召喚し、先に進ませる。デスナイトを囮として、罠を確認しようという狙いだった。しかしデスナイトが部屋に入っても、それどころか部屋の中を調べさせても、何も起きないし何もみつからなかった。

 

「ふむ、フェイクか?」

 

「かもしれません」

 

 ダンジョンには如何にも何かあると見せかけて何も無いというパターンも珍しく無い。何時までも足踏みしても意味は無いと歩を進めることにする。順列通り防御力の高いアルベドが入り、次にアインズが部屋に入った。その瞬間に床が光る。

 

「んなっ?」

 

「ア、アインズ様!!」

 

 アインズに向かって、手を伸ばすシャルティア。しかしその手は空を切る。

 この部屋に仕掛けられた罠は狡猾だった。一定以上の魔力を有したものにのみ反応し、更に先頭が前衛であることを想定し、2番目に入ったものを一人だけ別の場所に飛ばすと言う底意地の悪いものだったのである。こうしてアインズはダンジョンの中で一人はぐれてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

「くそー、見事にやられた!!」

 

 周りに人が居なくなったこともあり、素を出して悔しがるアインズ。そして感情抑制のスキルで落ち着く。

 

「はあ、ここは一度脱出して出直すか」

 

 一人で未知のダンジョンを彷徨うのは流石にリスクが大きすぎる。ダンジョン脱出のアイテムを使用する。

 

「あれ?」

 

 しかし発動しなかった。次に空間転移系のスキルを使用する。やはり発動しない。続いて通信系のスキル、アイテム、いずれも反応が無い。

 

「や、やばい!! そのタイプのダンジョンだったのか!!」

 

 転移・通信阻害、ダンジョンには定番のギミックだ。アインズたちの居住地であるナザリック自体、転移阻害は万全である。しかしこの世界では魔族の結界を除いて一度も遭遇していなかったこともあり、その可能性を想定していなかった。いや、正確には一応、想定はしていたのだ。ところが、

罠に嵌る前のエリアでは普通にそれらが使えるようになっていたのである。そのため、安心してしまっていたのだ。そうして油断した相手が罠にかかった状況で、更に転移もできなくなったことに気付くという具合である。このダンジョンを作った奴の性格が悪いのは間違いなかった。

 

「悔やんでも仕方無い。転移系以外のアイテムも揃えてるし、慎重に進むしかないな」

 

 通信が出来なくなった状態でNPCたちがアインズを見捨てて帰るというのはまずあり得ない。アインズを探して探索を続けているだろうNPCたちと合流をするためにも、自分も移動することを選ぶ。

 

「進めそうなのはこっちだけか」

 

 一本道を進むアインズそして再び部屋に辿り着く。そこではアインズが辿り着く前から戦闘が起こっていた。戦っているのは人間とゴーレムである。

 

「ガーヴ・フレア!!」

 

 全身が鋭く尖ったゴーレムを、空中に飛び上がった栗色の髪の少女が放った炎が貫く。その姿には見覚えがあった。

 

「あれ、リナさん!?」

 

「んっ、あっ、アインズじゃないの!!」

 

 この世界に来て直ぐの頃、レゾとの戦いの時に知り合い、その後色々あって今では友人と呼べる関係になった相手、リナ・インバースがゴーレムと戦っていた者の正体だった。地面に着地し、こっちに駆け寄ってくるリナ。

 

「久しぶりねえ。あんたもこの遺跡に潜ってたんだ。一人みたいだけど、もしかしてあんたも仲間とはぐれたり?」

 

「はい、恥ずかしいですけど罠に引っかかってしまいまして。けど、そう言うってことはリナさんも?」

 

「ええ、意地の悪い罠にやられちゃってね」

 

「ははっ、こっちもです。けど、ここで会ったのも何かの縁ですし、折角ですから一緒にいきませんか?」

 

 リナを冒険に誘う。それは戦力的なことよりも一人で冒険をするのは寂しいという理由だった。そしてリナはその申し出に快諾する。

 

「ええ、正直ありがたいわ。ここの敵、結構強くて、一人だとちょっと苦戦してたのよね。アインズさんが一緒なら頼もしいわ」

 

「ははっ、存分に頼ってくださいね」

 

 こうして二人は連れだって移動を再開する。そしてそのまま更に進むと大広間に直面した。大広間の奥には大きな鏡が飾ってあり、その鏡の裏に更に奥があるように見える。そして広間の左右には道が続いていた。

 

「お宝があるとしたらあの鏡の奥、もしくはあの鏡自体が何らかのマジックアイテムってとこかしらね。左右の道はどちらか、あるいは両方が出口に繋がってるか。先に合流をしようとするのなら、どっちかに行くべきだけどどうする?」

 

「うーん、どうしましょうかねえ」

 

 先に興味はあるが、この手のダンジョンにはボスが付き物である。これまでに出て来た敵も、ユグドラシルのレベルで60位の強さはある相手と複数遭遇している。そうなると、ボスの強さは80以上は警戒するべきだろう。しかし同時に魔族を除けばこの世界でレベル100を超える存在は一度も遭遇していない。

 

(魔族を除けば一番強いミルさんでも、セバスと互角位だったしなあ)

 

 ルーンガストとかの魔導兵器でも一対一なら負けることは無い。基本的に怖いのは神と魔族、それと強者の集団と言うのがアインズの認識である。

 

(俺とリナさんの二人ならいけるんじゃないかな?)

 

 一瞬、そう考え、その考えに誘惑される。それは準備し過ぎてあっさりクリアーしてしまうと逆にがっかりしてしまうゲーマーあるあるの考えがよぎったからだ。しかし直ぐにその考えを否定する。

 

(いや、駄目だ。この世界では死が重い)

 

 この世界でも一応復活は出来ることは既にわかっていた。しかしその代償はゲームのデスペナよりも遥かに大きいこともわかっていた。無茶は出来ないと判断する。

 

「やはりここは仲間と合流を優先しましょう」

 

「そうね。何か嫌な予感がするわ」

 

 そうして鏡に近づかないようにして右の道を目指す。しかしやはりこのダンジョンを作った奴の意地は悪かった。でかでかと鏡があれば誰でもそれが気になって見てしまう。そしてそこに、自分の一部でも映っているのを見てしまうと罠が発動する仕掛けだったのだ。

 それは奇しくも同時だった。リナとアインズ、その両方が鏡に映る自分の姿を見た瞬間、鏡が輝きだす。

 

「アインズ!!」

 

「ああ!!」

 

 鏡が光った瞬間、二人はしまったと思うが、先程のように転移はさせられなかったことを理解すると警戒態勢をとる。そして何があっても直ぐ動けるように、構えた。するとその場に無機質な声が響き渡った。

 

『シンニュウシャノキオクカラコレマデデアッタナカデモットモキョウイダッタテキヲサイゲンシマス』

 

 そして鏡の中から何かが飛び出してくる。その姿は人だった。ひらひらとしたまるで”ウェイトレス”のような恰好をした女性の姿をした存在、恐らくは遺跡が産み出した防衛機構。それを見て、リナは目を見開き、そしてガタガタと震えだす。

 

「そ、そんなまさか」

 

「リ、リナさん、一体どうしたと言うんだ!?」

 

 リナの見たことの無い姿に慌てるアインズ。これほど怯えるリナをミルのは彼にとって初めてだった。リナはアインズの声が聞こえていないかのように、青い顔をしたまま呟く。

 

「なんで、なんでここに居るのよ……」

 

 そしてリナは、感情が爆発したかのように叫んだ。

 

「何で姉ちゃんがこんなとこにいんのよー!!!!!!」

読んでみたいネタ

  • リナ&アインズVS最恐の敵(コメディ)
  • セバス主人公のダークシリアスバトル
  • ナーガとヘロヘロさんの凸凹二人旅
  • この中には無い
  • だらだら続けない方がいい

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