これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の裏切りと連行 その2

目を覚ますと暗く、無地の天井が目に移った

左右を見渡すと、同じく白く無地の壁とリノリウム張りの床が見えた

 

 

俺は死んだのか

 

 

そう思い、起き上がろうとするとガチャリという金属音とともに体が動かなかった

同時に、腹部と背中に痛みが走る

 

どうやら死んではいないらしい

 

顎を引き、何が引っかかったのかを見て自分の状況がわかった

自分はベットの上に寝転がされ、拘束具がつけられていた

そして、手錠らしきものがかけられているのもわかる

顎を戻し、今度は上を見上げる

 

見えたのは鉄格子だった

 

確認すると同時に、鉄格子のある方向が明るくなる

コツコツコツと靴の音を響かせ誰かがこちらに近づいてくるのがわかる

 

 

 

「確認して来い。」

「・・・・・・。」ガチャ

 

 

 

頭の上で、聞きなれた声と鉄扉があく音がした

こちらを覗き込んだのは黒いフードをかぶった人

提督はそれを見てここがどこだか察した

 

黒フードは手際よく拘束具をはずすと提督の背中をそっと支え、ゆっくりと起こした

途中、傷の痛みで小さく声を上げるといったん止めるなど丁寧だった

そして、起こし終えると毛布のようなものを掛けて退出していった

何やら肩のあたりが重いが、確認できなかった

案の定手錠がはめられていて、手を上げることができなかった

 

「私が呼ぶまで別室で待機していろ。あとカメラとマイクは切っておけ。」

 

その声がすると、足音が再び遠ざかっていく

 

「さて、お加減はいかがかね?」

「・・・志垣軍令部長。」

「おっと・・・もう階級なんぞ付けなくていいぞ?君の軍籍は抹消されたも同然だからな。」

 

愉悦に浸った顔で提督を見下ろす

そして、一度廊下に出て椅子を持ってくると腰を掛けた

 

「長年の懸念だった君の処刑さえ終われば懸念事項はほとんどなくなった。せいせいするよ全く。」

「・・・あの時殴り飛ばしてでもやめさせれば良かった!」

「ふん!貴様のような天賦の才を持っていながらなぜ私に従わない・・・。そんなにあの駒が沈んだのが悔しいのか?」

 

提督は思わず立ち上がろうとしたが、傷の痛みでベットに座り込んでしまった

その姿を見て嘲笑した

 

「駒に裏切られた気持ちはどうかね?かつての教官の妻と言う駒にやられた気分は?貴様が救おうとしたものに寝首を搔かれる気分は?」

 

そう言ったあとでぼそりとあ、もう今は深海棲艦(ゴミ)だったなとつぶやいた

提督は痛みをこらえながらにらみつけた

 

「あいつは実にいい働きをしてくれたよ。隠蔽されたのが一つだけだと信じてやまないのだし。手加減をして襲撃事件が無差別のようにうまく調整してくれたしな。」

「・・・・・・。やはり大将も。」

「桐月は深海棲艦(ゴミ)を送り込むのに邪魔だったのでね。少し病院に入ってもらったのだよ。」

 

 

 

本当はあっちに行ってもらった方がよかったのだがねと言った

 

 

 

「あの子は翔鶴だ。あの時確信を得られなかったが・・・!」

「全く君も大本営の連中も国民も・・・・・・。なぜそんなに駒に肩入れをするのか訳が分からない。あれは兵器であって人じゃあない。」

「兵器が感情を持たないでしょう・・・。刀も銃も笑ったり怒ったりしない・・・!艦娘は傷つけば痛いと声を上げる・・・。失えば悲しいと感じるし、戦場は怖いと感じる・・・・・・。」

「全く妖精の連中もなんでまた駒に感情を持たせたのやら・・・。」

 

 

 

ため息をついて続ける

 

 

 

「駒のことはこの際は置いておこう。君は明日、軍法会議の予定だ。」

「やっぱりここは海軍病院ですね・・・?」

「そうだ。君の長年の功績(妨害)特別室(精神病棟)だがね?」

 

やっぱりなと提督は納得した

 

「君が私の地盤が突き崩すのが先か、私が情報を掌握するのが先か一時はひやひやしたものだ。」

「・・・・・・。なるほど。報道各社へのスポンサーですか。」

「その通りだ。これで多少のことは握りつぶせる。奴らもこれには弱いからな。」

 

親指と人差し指でわっかを作りひらひらする

それが何を指すかは誰でもわかるだろう

 

「君がもっと詳しく調べさせていたらひょっとしたら何か物的証拠が出たかもしれんのになぁ?」

「・・・・・・。」

「よくできたシナリオだろう?私は英雄で君はその邪魔者。」

 

懐から取り出したのは戦果報告書

 

カレー洋解放作戦の戦果報告書は2つある

表向きに発表できないことが多すぎたため、戦史の保管のために別で作成されたものだ

 

「当時のメンバーは退役済みな上、国外へと送り出しているからな。これは君でも完全に居場所を突き止めることはできなかったはずだ。」

「・・・・・・。」

深海棲艦(ゴミ)に指示を出して攻略本隊を叩かせる。そしてその責任はすべて君に行く。戦果詐称でね。」

「そして鎮守府を接収ですか。」

 

 

 

実のところを言うと駿河諸島の天然資源の採掘がおこなわれている事については民間や諸外国への発表は行っていない

知っているのも、各司令官と秘書艦ぐらいなもので、他の者たちの大半はただの資源の経由地か保養地としか思ってない

なぜ伏せているのかは、いくつか理由がある

大きな理由としては、天然資源が日本で採掘されたとなると国際的にも国内的にも情勢がややこしさを極めるためだ

国際的には今はつながりが薄いが、戦いが終わった後は確実に火種になる

国内的にも民間に今出張られるのは困るといった事情がある

また、日本の場合は資源があれば自活力をある程度まで戻せるため世論が内向きに傾く可能性がある

それでは、諸外国への示しがつかなくなる

 

 

その面倒ごと解決するには軍内部、政府内で止めておくのが一番というわけだ

ちょっとした裏事情で、実は海外艦は鎮守府の方の出入りができないようになっている(宿泊施設は利用可能ではある)

 

 

「君なんかにはもったいないことだ。もっと懐を温めると思ったのだがね?」

 

そのセリフからして、翔鶴を動かして会計関係や裏帳簿がないか探したみたいだ

あいにくうちはやっておらず、かといって偽造しようにもいくつもの判や直筆サインの項目があるためできなかったのだろう

資源採掘だけではなく、あそこは艦娘達の数少ない保養地にもなっている

実権を握られたら最後、将官のみのものとなるだろう

 

「志垣ぐn・・・あんたは・・・!どこまで欲を・・・・・・!」

「欲?人には誰だって欲があるだろう?」

「あんたはもはや悪魔のレベルだ!軍人失格だ!」

「何とでもいいたまえ。どうせ君は明日には銃殺だ。裁判官だって買収済みだ。せいぜい震えているがいい!」

 

高笑いしながら出て行った

 

「今頃深海棲艦(ゴミ)が最後にお前の鎮守府を爆撃しているころだ。あいつはいい駒だったよ。どっちにしろ妹と同じところへ行けるのだから本望だろう。」

 

声だけが廊下からこだまし、廊下の奥にあるらしい扉がバタンとしまった

 

 

 

少しして、先ほどの黒フードの・・・おそらくは艦娘だろう

戻ってきて、毛布を取った

そして、提督を再び優しく寝かせた

再び、拘束具をつけて退出をして・・・・・・行かなかった

 

「・・・・・・?」

 

提督はもうどうにもならないと思い寝ておこうと思った

しかし、黒フードは拘束具をつけ終えても退出する気配がない

 

「・・・・・・。」ソッ

 

そっとしゃがみ、提督の傷のあたりを2、3度さすった

 

「あの・・・・・・?」

「・・・・・・。」

 

一体何を・・・そう言う前に立ち上がると退出していった

10分ほどするとまた暗がりに戻る

 

「・・・・・・吹雪ちゃんや川内、時雨は大丈夫だったのかな・・・?単身で探索している龍驤も・・・・・・。処置して・・・れたかこ・・・みんな・・・・・・。」

 

ぽつりぽつりと言うと眠気が襲ってきた

体力の消耗や麻酔が完全に切れていないせいだろう

ゆっくりとゆっくり瞼を下ろした




次こそ決着に持っていける・・・はずです(多分)

 
さてさて最新の情報で西村艦隊の駆逐の一人に改二実装という事ですが・・・
満潮 30 山雲 35 朝雲 35

・・・(;´Д`)
まさかあの大漁旗が改二のフラグとは思わなかったです・・・
十中八九満潮なんだろうなぁと踏んで急遽育成リストに入れましたが改二実装までに間に合うかどうか(白目)

そもそも設計図艦なのかどうかも気になるところですはい・・・

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