これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府と観艦式の準備

机の上にある海図に置かれた青い6つの駒

その4方を取り囲むように4つ~6つの赤い駒があった

 

『貴様!これはどうすればいいのだ!!』

『やめないか!』

 

鬼のような形相で掴みかかってくるのは軍令部長

その部長の肩を掴み、止めているのは大将だった

 

『こちら・・・意見具申します・・・わたしが』

 

 

 

「!」ガバッ

 

勢いよく提督は起き上がった

タオルケット一枚だけだったが、じっとりと湿っている

寝間着もひどく濡れており、寝汗がひどかったことを物語る

 

「・・・・・・シャワー浴びないとな。」

 

改築を重ね、手狭になった部屋に少し安心し風呂場へと向かった

 

 

 

「司令官。おはようございます!」

「おはよう吹雪ちゃん。」

「・・・・・・・?」

「?どうした?」

「あっいえ・・・。」

 

吹雪は何か言いたげだったが、提督が話しかけると何でもないですと言って席を立った

 

「ところで今日は面会希望を申し出てる人がいると古鷹さんから報告があります。」

 

吹雪が机の上にお茶を置きながら話す

 

「・・・あっ!昨日挨拶に来る予定だった子だ。」

 

提督は内線で、古鷹に執務室に直接来てもらうよう連絡をした

ほどなくして、扉がノックされた

 

「大本営直属翔鶴型航空母艦1番艦、翔鶴です。よろしくお願いいたします!」

「・・・・・・駿河諸島鎮守府司令官の耳本だ。」

「秘書艦の吹雪です!よろしくお願いします。」

 

軽く握手をすると座るように勧める

吹雪は新しくお茶を入れに再度給湯室へと行った

 

「先日は申し訳なかった。緊急の所用ができてしまったので。」

「いいえ。お気になさらないでください。むしろ噂に名高い旅館に泊まらせていただけるとは思ってなかったのでありがたかったです。」

「こちらの責任で足を止めさせてしまったんですから・・・・・・そうさせていただくのが道理というものです。」

 

吹雪がお茶を翔鶴に出すと、机から1つのファイルを持ってきた

 

「さて、こちらが当鎮守府近海の海図になります。古鷹からは島内の地図を受け取っていますか?」

「はい。先日の間に歩いて回らさせていただきましたので大丈夫です。」

「それなら島内は説明不要ですね。」

 

そういって提督は諸島近海の説明を始めた

たった3日間だけの留守を預けるのだが、その3日間だって警戒を緩める道理にはならない

いつも通り・・・むしろいつも以上に厳戒な警備を行った方がいいのだ

最近では先の大戦みたく、通信が傍受されているといないとかいう噂もあるが信憑性は不明だ

とは言え、可能性があるなら警戒するに越したことはない

哨戒機での哨戒活動は広い範囲をカバーでき、場合によっては先制攻撃も期待できる

提督が、大本営に3日間だけの派遣要請を行ったのにはそういった背景がある

 

「以上が簡単なこの付近の説明だ。具体的に聞きたかったら阿武隈に聞いてほしい。」

「ありがとうございます。あと、こちらの基地航空隊の方とお話ししたいんですけど今いらっしゃいますか?」

「今日の午後に八丈島から帰ってくるのでそれまでお待ちいただけますか?」

「承知しました。それと、耳本提督へ大本営から書類の預かりものが・・・。」

 

そういって翔鶴はファイルから蝋で封された封筒を提督に渡す

お礼を言って受け取り、開封する

 

「・・・・・・。もう?」

 

観艦式参加人員確認書が封筒の中から出てきた

見れば期限は今日までとなっており、時間がなかった

 

「その・・・大本営よりその書類についての返答を受け取って戻ってくるように言われておりまして・・・・・・。」

「ええ・・・・・・。今日までに間に合うかな・・・?」

「あ、そちらにつきましては面談が今日になったという事で明日までで大丈夫とのことです。」

 

どちらにしろあまり時間がない

机の上からメモを取り出し、ササッと名前を書いていく

それを吹雪に渡し、呼び出すように頼む

 

「翔鶴君。すまないがこれからちょっとこの書類についての会議をやりたいので席のほうを・・・」

「承知しました。それではまたあとでお伺いいたしますね。」

「龍驤が戻ってきたら直接そちらに向かうように伝えるので旅館の方で待機をお願いします。」

「それでは失礼しました。」

 

 

 

 

それから少しして、執務室には

皐月、望月、深雪、時雨、山風の5名が集まった

 

「急に呼び出して何かあったのかい?」

「あっひょっとして・・・これ?くれるの?」

 

そういって望月が左手薬指を指した

 

「違う違う。どうしてそっち方面に結論をかっ飛ばすかな?・・・皐月と山風も違うからね?」

 

それぞれ期待のまなざしをこちらに向けてきたが、否定すると少し残念そうな顔をした

 

 

「今日集まってもらったのは観艦式のことについてなんだ。」

「ああ・・・。となると・・・あと二人必要ってことだな?」

 

深雪が少し考えて指を折って言った

 

「そうそう。メンバーが吹雪、川内、龍驤、加古までは決まったのだがあと二人をどうしようかと思ってね。」

 

 

因みに選出外となっている親潮、若葉は二人共まだ所属して間もない理由から

阿武隈は戦闘関係のトラウマが消えているか怪しいのと前回古鷹の補佐をやったことから留守組にした

古鷹は提督代理を務めるために、榛名は艤装が依然として動かないため留守組

 

ゴーヤは当日は観艦式の会場の警備(会場)で呼ばれていたので参加はできない

 

ル級とリ級?・・・・・・流石に見世物になりかねないので留守番だ

 

 

「それで行きたい人はいる?・・・ってそうだよなぁ。」

 

そういった瞬間全員がバッと手を挙げる

 

「・・・山風行くかい?」

「・・・時雨姉ぇこそ?」

 

白露型の二人は譲り合いが始まった

どちらも平行線をたどりそうで埒があきそうにない

そう思って視線を隣にやると

 

「ねぇ?もっちー?君は司令官にこの間連れて行ってもらったよねぇ?」

「・・・ぐっ!」

「深雪もだよ?何か約束を取り付けたんじゃないのかい?」

「・・・ちっ。」

 

皐月が粘着質な声で恨めしそうに望月と深雪の顔を後ろからするりとなでる

二人共否定できないためだんまりを決め込む

 

「僕はまだ司令官と一度も出かけてないんだ?どうすればいいのかわかるよねぇ・・・?」

 

二人共目を合わせないように視線を床に向けている

山風と時雨はほほえましい譲り合いなのに対してこちらは今にも呪われそうなドロドロとした空気が漂っている

 

(こっちで指名した方がよかったかなぁ?)

 

内心失敗したと思いつつどう収束するかを考えた

 

「失礼するわ。」コンコン

 

そんなことを考えているとル級が入って来た

 

「おや?珍しいね。何かあったのかい?」

「いえ・・・。ちょっとよからぬ空気を感じてきたのだけれど・・・・・・。」

「・・・あれかな?」

 

深雪と望月が滝のような汗を流しながら皐月に必死で目を合わせないように絡まれてる地獄絵図を指さす

 

「・・・なにこれ?」

「これに引き寄せられたと思ったんだけど・・・。」

「違うわよ。どうやら違ったようだし戻るわね。」

 

ル級はくるりと背を向けて退出しようとした

が、何かを思い出したようにこちらを向く

 

「そういえばアレの調達はできそうかしら?」

「アレ?アレって・・・・・・。」

「あら?まだ書類を見てないのかしら。軽トラの調達よ。」

「ちょっとまってな・・・。」

 

机の上の未決済書類を探す

すると、農園部の追加要望書が出てきた

捲っていくと確かに軽トラ、もしくは運搬関係の小型の自動車の希望が書かれていた

使用目的は農具の運搬、及び薬剤散布の機械を乗せるためとある

AT、MT問わず至急とあった

 

「とりあえず秋までには返事の方がほしいわね。検討よろしくお願いするわ。私はこれから薬剤を撒いてくるわ。」

「了解・・・。ん?薬剤?」

 

提督は何か思いついた雰囲気だった

 

「ル級・・・。散布機っていくつある?」

「え?・・・予備を含めると6つかしら。それがどうかしたの?」

「よし!ちょっと手伝ってくれ!吹雪ちゃんこの5人を農園の方に行くように言っておいてくれる?」

「わかりました!司令官。」

 

 

 

 

「というわけで!リアルス○ラトゥーン大会in駿河諸島~!」

「・・・どうしてこうなったのかしら?」

「まぁまぁ・・・私たちの仕事が減ったからいいじゃないですか・・・。」

 

ル級は苦々しく頭を抱え、それをリ級がそばで苦笑いしながら諫める

 

「薬剤散布面積1位と2位が観艦式に参加できるという事で!レディー・・・GO!」




というわけでスプ○トゥーンの方ですがこちらは全カットで行きますw
アレの様子を文に起こす自信がありませんゆえ申し訳ありません

お気に入り1,000人達成記念のご挨拶については活動報告の方をご覧くださいませ

イベントの方につきましては自分はもう完全に備蓄モードに切り替えました(プリンツ・・・)

皆様の満足のいく結果が出ることをお祈りしております

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