これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の改装

「はい。それじゃあ第一回鎮守府改装会議を始めます。」

いつもの会議室で開かれた初めての議題

議長を務めるのは川内

副議長の席には龍驤

この2人が駿河諸島鎮守府の臨時ではあるがナンバー1、2だ

提督と吹雪は?

そう思った方は大体お察しいただけるだろう

 

 

 

 

実はこの会議場にいない艦娘が一人

そう加古である

提督は加古と秋祭りの約束で旅行へと行っている

それとともに、吹雪には表向きは佐世保第二鎮守府に出張という事になった

 

 

 

真意は叢雲に

「姉の吹雪を見張っとけ」

という事である

 

 

 

 

以前、2人同時に倒れた時は旅館に収容した

しかし、その部屋には脱出口がいくつかあった

勿論ふさいだわけだが、ひょっとするとまだあるかもしれない

脱出口を作った明石に聞いても守秘義務と言われてしまい、聞き出せない以上、旅館への収容をあきらめた

そこに現れたのは佐世保第二鎮守府の吹雪の妹、叢雲である

これ幸いと、何も告げず叢雲に輸送船満載の資源と事情を書いた手紙を持った吹雪を預け、佐世保にとんぼ返りさせた

 

 

 

 

その2人のいないうちにやりたい事

それは鎮守府建屋の改装だ

3代目の建屋にぼろが来ている・・・

というわけではなく、純粋に部署が増えて必要な部屋数が逼迫し始めたのが一つ目の理由

もう一つは提督の部屋の狭さ先日乗り込んだ4人が改めて見て気づいた

鎮守府の主の部屋が4畳ぎりぎりない

これはゆゆしき事態だ

自分たちの住んでいる寮は建て替えを行い、一人暮らしには広すぎる気もする2DK

8畳の和室、洋室の2部屋だ

提督曰く、のちに人が増えた時に建て替えを行わなくてもいいようにという事らしい

部下である自分たちより狭い部屋で寝泊まりしているというのは、心苦しいものがある。

そもそも対外的にもどうなんだという話だ。

 

 

 

 

「妖精さんに相談したところ現状、これ以上の増築は得策ではないという話が出ています。」

初代の建屋は現在山風達の農園部が使用中

2代目は3代目の建屋の1階と2階の一部になっている。

「さらに上に伸ばすと、強度の面と防衛上の面から危険と判断したっちゅう訳や。」

川内の説明に、龍驤が補足をする

防衛上の面というのは、ここの状況を考えれば察しが付くと思う

 

絶海に浮かぶ2つの孤島

そこに遠目から見て、明らかに人工物とわかる物があればそれが目標になってしまう

ゆえに、ホテルなどの高めの建物も山の高さと同じくらいにし、上の階層は迷彩柄を施している

提督の執務室だって入るのだ

それだけは避けたい

 

「妖精さんからの提案は、現在の鎮守府建屋をすこし曳家して艦娘寮と接続、跡地に2階建ての新築の建屋を作るのが一番いいと言われました。」

 

「何か反対意見がある物は挙手をお願いします。」

 

川内が一通りの説明を終え、いったん質疑応答に移ったが特になかった

 

「それじゃあ、新築という事でここからは設計に関する部屋割りの話に入ります。」

そういうと、妖精さんがどこからともなくわらわらと現れ、方眼紙に間取りを引いていく

現在の鎮守府自体はそこそこの大きさであるため、そちらの方も使用すればかなりの広さになる

会議に参加したものがそれぞれ要望を述べていく

 

割り振りとしては、現在の建屋には補給部、生産部、採掘部、医務室4つが入ることになった

先ほど述べた3つの部署は、どうしても処理する仕事量の関係から広めの部屋がほしい

医務室に関しては設備を拡充させ、手術を行うことができるレベルまで上げた関係上、どうしても広い空間が必要になったためである

他の部署については、新建屋の1階に均等に割り振り、残りを会議室と応接室へと変えた

 

 

 

 

ここまでは何の異論もなくとんとん拍子に決まった

 

「最後は・・・提督の部屋だけど。」

妖精さんが出してきた間取りは一般的な2LDK

自分たちの部屋より少し広いくらいだ

この会議については提督にはまだ話していない

設計図と企画書に全員のサインをしてから渡すつもりだ

早い話、押し通すというわけだ

 

 

 

 

「は~い。一つ部屋を追加しない?」

望月が手を上げて言った

「え~・・・。これ以上広くせんでもええんやない?あんま広いと司令官ももてあましそうやし。」

「そうだね。」

龍驤が望月に対してやんわりと反対し、川内もそれに同意する

「現状で、寝室とプライベートルームで十分だと思うんだけどなんでまたもう一部屋?」

 

川内が提案した望月に問う

 

「あたしの部屋に。」

「却下。ほかに意見はある?」

「ちょっと~!真面目に聞いてよ!」

望月が自信満々に胸を張ってこたえると、川内はさらっと流した

抗議に対しても、誰一人として耳を傾けようとしなかった

が、この一言で180度変わる

「誰か毎日一人提督の部屋に泊まり込めばこういったことが減るでしょ~!」

『!!!』

その場にいた全員が望月の方を向く

たしかに、一つ部屋を増設すれば夜間に提督がこっそり抜け出してという事が無くなる

余分に一部屋付けた理由はゲストルームといえば納得してくれるだろう

そして何よりも

 

 

提督とプライベートな時間を増やすことができる

 

 

「やっぱり必要だね。」

「せやな。」

その場の全員が綺麗な手のひら返しをし、妖精さんに一部屋追加するように指示を出す

「じゃあ、広さはこれくらいで~・・・」

「ん?ちょっと待てよ。なんでもっちーが決めてるの?」

いそいそと妖精さんの下で指示を出し始めた望月に深雪が待ったをかける

「え?そりゃ~ここがあたしの部屋になるんだし。」

「ちょ!異議あり!なんでもっちーだけなんだよ!それだったらあたしだって!」

妖精さんがちょうど図面を書き終えたところで、深雪が部屋を書き足すように指示を出した

 

「え!ずるい!私も!」

「はぁ!うちもや!」

「あたしだって!」

「僕も!」

「ゴーヤも!」

深雪がさらに一部屋追加したのを見て、みんな一斉に図面によると妖精さんに指示を出し始めた

先ほどまでの順調さはどこへやら

我先にと妖精さんに要望を出していく

妖精さんは、必死に対応していく

次々に部屋が追加されては書き直し、また追加されては書き直し・・・

 

「モウムリデス・・・」

そういいのこして、目を回して倒れた時にようやく気が付いた

 

 

 

リビング

キッチン

ダイニング

和室1部屋

洋室14部屋

 

 

15LDKというわけのわからないことになっていた

しかも、想定をはるかに超えてしまっているため、新しい建屋の半分くらいが設計図面に追加されている

 

 

一旦会議を中止し、妖精さんを休ませたのち再開した

その結果として、望月が提案したときの状態に狭めの予備の部屋を追加した案が採用(4LDK)

 

 

 

提督の部屋への宿直番は当番制で、見回り番とは別の当番になった

幸い、4部屋目は余ったところを活用したため、当初の予定のスペースに収まった

妖精さんがやれやれといった表情で図面の原本を持って退出していった

そして入れ替わりに、明石が不思議そうな顔で妖精さんを見ながら入って来た

「何かあったんですか?」

「あーまぁちょっとね・・・」

気まずそうに川内は顔を背けた

明石は、周りを見たが誰もが目をそらしてしまったため、ちょっと怖くなった

 

「なるほど。わかりました。機器に関しては改良したものがありますのでそちらでもいいですか?」

「おねがいね。」

明石が呼ばれたのは以前の防犯システム(入退室履歴等)を新たに設置するためだ

「それzy・・・ちょっとすみません。電話に出てきますね。」ブーブー

これが機器の一覧表です

そういって機器の冊子を置くと、退出していった

 

 

 

妖精さんが残していってくれた図面に、機器の説明を見ながら設置していく

執務室前の廊下に執務室の扉、新しく設けられた秘書艦室にも取り付けて・・・

執務室の室内以外は、漏れが無いようにみんなでホワイトボードに図面を貼って意見を出し合っていく

 

意見が出尽くしたのは明石が出て行って30分ほど経ってからだった

「おそいですね・・・。」

出口の近くにいた古鷹がそっと扉の方を見やる

「ちょっとm」

「いやー!すみません!ちょっと長電話になっちゃいまして!レイアウトの方は決まりましたか?!」

古鷹が立ち上がろうとしたとき、明石が慌てた様子で入って来た

額には汗が浮かんでいるところを見ると何かまずいことでもあったのだろうか

「こちらですね!わかりました!コピーはとってありますか?」

「あ、うん・・・。」

「じゃあこれをもとに準備しておきますね!ちょっと緊急の用事が入っちゃものですから失礼します!」

ささっと図面を丸めるとそそくさと退出していった

嵐のように去っていった明石を全員ねぎらう暇もなくぽかんとしていた

 




ここからはタイトルは違いますが時系列が同じ3つの視点があるお話となります
今回は鎮守府ですが、吹雪編、提督編が続きますのでよろしくお願いします

夏イベの規模が発表されましたが大規模ですか・・・
まぁもうわかり切ってたことなんで特に驚きもないですが(´・ω・`)
資源集めに奔走したおかげで燃料と弾薬は使い切った状態からカンスト付近まで持ってこれたのであとはボーキをどれだけ集められるかにかかっている状態ですはい

それと7月9日に瑞雲ハイランドに再吶喊が決定
・・・・・・望月のが出るからいけないんや・・・
法被も変えればいいなぁなんて思いながら行ってきます・・・

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