これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の隠し部屋 その2

「んー・・・。やっぱりもぬけの殻だねぇ。」

相も変わらない殺風景な部屋

おいてあるのは机とベット、備え付けのクローゼット

しかも、前に入った時よりも狭くなっている

 

 

建築当初は10畳あった提督の私室も執務室の拡張などでじりじりと狭くなっていた

阿武隈が泊まった時は6畳

今は給湯室を拡張したおかげで4畳あるかどうか

本人は気にしていないが、いくらなんでも仮にも鎮守府の主の私室がこれではあんまりだろう

 

 

検討しなきゃなぁと、その場の4人は同じことを考えながら壁や床をたたき始めた

もうお察しであろうが、隠し部屋があるとみんな踏んできている

「うーん・・・。お?ここか?」

加古は床をどんどんと叩いた

叩いたところはほかの場所と違い、軽い音がする

「あ、そこは落とし穴だよ。」

前に落ちたからと皐月(E提督のパンツ)がさらっと洗濯籠をあさりながら言う

「うぇぇ!それをはやく言ってよぉ!」

加古がびっくりした様子で慌てて飛びのく

うっかり踏み抜いて奈落へなど誰も落ちたくはない

「・・・・・・あ。」

「何か見つけたのかい?」

山風が何かを思い出したように小さく声を上げると隠し扉の方へと小走りに向かった

その時雨は、皐月からパンツを取り返し、リネン袋に放り込むと固くひもを縛っていた

 

 

 

 

「あった・・・!」

山風は執務室に戻ってくると、執務机の隅っこに目を凝らして探した。

そして、隅っこの天板を開けた

そこには、4つのボタンとテンキーパネルがあった

「山風これは・・・?」

「なんかの操作盤みたいだけど。」

加古と皐月が不思議そうに見ている

「ああ!あの時のだね!」

事情を知っている時雨が加古と皐月に説明をする

以前、皐月と望月が提督の私室で喧嘩(パンツの取り合い)をしていた時に、使ったことを山風は覚えていたのだ

 

 

 

(たしかあの時は・・・3のボタンと・・・1115っと?)

そう押すとパネルに----分

と表示された

とりあえず1と押して確定ボタンを押すと分の表示が消えた

「出来たかい?」

「1分待って・・・。」

 

少しの経つとバガン!という大きな音が隣の部屋からした

「そうそう!こんな感じで開いたんだよ!」

皐月が大声で騒いだ

開いたことを確認した山風は1と書かれたボタンを押し、パスワードと時間を入力すると

「「「「!」」」」

すっと両開きの正面口の隣に隠し扉が現れた

時雨が近づき、試しに開けてみる

空けるといつもの廊下であり、何の変哲もない扉だったようだ

その後、開閉記録を見てみるがカウントされていないことがわかった

「とりあえずこれで提督の侵入経路は分かったね。」

時雨が新しい隠し扉を閉めた

ちなみに、2のボタンは隠し扉を再び隠すものだったので省略

 

「次がおそらく提督のところに通じているんだろうねぇ。」

加古は少しあくびをしながら椅子でちょっとうとうととし始めた

もう時刻は丑三つ時眠いはずだ

「時雨姉押すよ?」

「・・・・・・。」

時雨は何かを考えている素振りだった

山風の呼びかけにわかったと返事をすると皐月に近づき耳打ちをした

「ん・・・?・・・・・・了解だよ!」

皐月は耳打ちを聞き終えると、笑顔でうなずき了承した。

そして、廊下へと出て行った

 

 

 

 

 

 

 

「くぁ・・・・・・。」

提督はあくびをした

机の上に置かれた書類束

臨時概算要求書と書かれたものや融資願いの山、牧場の採算の取れる割合に生産見積もりなど様々な書類があった

一方で、出窓には決済済みの書類束が付箋でいつ、どこの部署へと回すか事細かに仕分けされた状態だった

ある書類を書き終えると万年筆を置き、背伸びをする

集中が途切れた時、ふわっと紅茶の香りがした

「一息入れましょうか?」

「そうだねぇ。」

先ほど書き終えたのは他の鎮守府の資源融資に対する答申書

朱肉をつけ、判をついて決済済みに仕分けた

そして、椅子を反転させ、机に背を向けた

吹雪が、カップに注がれた紅茶を渡してきたのでお礼を言って受け取る

いいえと言うと吹雪も自分の席について飲み始めた

 

「それにしてもここを作って大成功だったな。」

「そうですね。今のところ作ってから誰もばれてませんし。」

「ここ一週間連続で使っても誰も怪しまないからなぁ。しいて言うなら自室のベットが雨漏りで一回おかしくなったくらいだし。」

紅茶を飲みながら思い出す

あの時はちょっとえらい目にあったが・・・

「いっそ来週もやっちゃいますか?」

吹雪が少し悪そうな顔をして言った

「いいかもねぇ~・・・。来週あたりで作戦落ち着くしそれまで先の仕事をやっちゃおうか。」

あっという間に飲み干すと、ごちそうさまといって横の机の吹雪にお礼を言う

椅子を回転させ、再び書類の山が築かれている机に向かった

「さって!あと2時間くらいがんb・・・・・・。」

「どうかしたんですか?しr・・・・・・。」

「・・・・・・。」ハーイ

 

 

 

 

 

「うぉ!」

山風がパスワードを入力し終えると、ガコンという音がした

そして、加古が据わった椅子がせり上がりを始め、行先の天井が開いていく

「そっか!屋根裏か!」

加古が、天井の先に消えるとすぐに椅子が下りてきた

加古は乗っていないところを見ると、どうやら空間があるみたいだ

「僕らも行こう!」

「うん。」

山風は再び、パネルを押し始めた

 

 

「あらぁ・・・やばいよ吹雪ちゃん。ちょっと徹夜が過ぎたみたいだねぇ・・・・・・。笑っている加古が見えるようになったよ。」

「司令官もですか?どうやら私も・・・・・・。」

椅子を再び、吹雪の方に向けて目頭を押さえてうーんと唸る。

同様に、吹雪も同じ動作をした

「さぁこれで大丈夫!」

目頭のマッサージを終え、再び前を向く

「・・・・・・。」ハーイ

「・・・・・・。」ハーイ

「・・・・・・。」ハーイ

「・・・・・・。ハーイ?」

どこぞの住宅メーカーみたいに3人とも手を挙げて微笑んでいた

そして先頭にいる加古がそのまま手を振り下げる

 

 

 

「「「確保ぉ!」」」

 

 

 

3人が提督と吹雪をとっ捕まえるためにダッシュを始めた

勿論提督と吹雪も即座に反応し、走り始めた

「吹雪ちゃんあっちのボタンは押せる?!」

「大丈夫です!提督は?!」

「たぶん行ける!」

並んで走りながら、2人は両サイドの柱を拳骨で思いっきりたたいた

同時に、赤いパトランプが回り始め壁が下りてきた

「これは?!」

「提督め!あたしたちをかく乱するつもりだな!」

壁が下りてきたといっても閉じ込めるためのものではなく、視界を遮り迷路のようにするためのものだ

「あっ・・・!あそこ!あっ見えなくなっちゃった・・・。」

しかも、煙幕まで出てきてこれでは追いつけそうにない

「くそぅ!どこだ!」

 

 

 

「はぁはぁ・・・・・・あー・・・・・・。」

「大丈夫ですか?司令官?」

提督の息切れを吹雪は、背中をさすりながら小声で耳打ちした

「あー・・・・・・。うん。大丈夫。」

深呼吸をして、息を整えると立ち上がった。

「さてと、あとはっと・・・・・・。」

壁を横にスライドさせるとたくさんのボタンとパネルが出てきた

提督は手際よく押していき、再び閉めた

ちなみにこのギミックはすべて明石謹製

(注文したらノリノリでやってくれた)

「よし!さぁ逃げるか!」

「でも提督。執務机のボタン・・・ばれちゃいましたよね?」

「大丈夫!今天板をあかないように操作して、自動的に塗装を塗り直して継ぎ目もわからなくしたからね!」

そういって提督は地面を思いっきり踏み抜いた

すると、床板・・・天板が簡単に外れた

「あとは鎮守府を脱出するだけだ!」

煙幕がはれはじめ、降りていた壁も上がり始めた

「行きましょう!司令官!」

2人は下へと飛び降りた

そこは何と提督の私室

 

2人はベットの上に綺麗に着地

 

 

 

 

 

することなく何かに引っかかって宙ぶらりんになった

「「えっ?」」

2人は何が起きたのか一瞬わからなかった

よく見ると自分たちは網のようなものに引っかかっていることがわかった

「やぁ!時雨の言ったとおりだ!」

皐月がニコニコと近づいてきた

「時雨が『前に提督が部屋の雨漏りを直したことがあるらしいからひょっとするとここに逃げてくるかもしれない。だから皐月はここに残って網を張っておいてほしい』って言われたんだよ!」

「提督、吹雪。」

2人は引きつった顔で上を見ると時雨を始め、山風と加古まで覗き込んでいた

「残念だったね。」

 

 

 

ちなみに、執務机の上には大本営より臨時の呼び出しがあったため出張する

そう書かれた偽装の書類がどこからか出現しており、もし逃げきられてしまったら隠しボタン含め、気のせいですっとぼけて逃げられていた

そう加古は語る・・・・・・




相当前から振りまいておいた隠し部屋の伏線全回収でした~

今月手に入る設計図をうんうん唸りながら現在考え中です
リットリオにしようか長門にしようか、はたまた鳥海にしようか利根にしようか・・・

いかんせん2枚あっても鶴姉妹用なんで使えそうにないのがね・・・
結局レベルだけ上げてイベントの時に考えるスタンスで保留してますが

運営も焼け石に何とやらですが勲章はくれましたし・・・(´・ω・`)
夏イベで大鷹みたいな実装の仕方がなければいいですがねぇ・・・
いやめっちゃ活躍してますけどね大鷹改二
頭が痛いのは5月の報酬でサラ改二の足音も近そうだという事ががが・・・

そんなこと考えながら備蓄に励むは毎日ですはい
燃料、弾薬があと1,2週もすればカンストするからそのあとは・・・
ボーキの備蓄と引き続きバケツ回収に励みます(´・ω・`)

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