これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府と改二 その1

「師匠!手合わせを頼む!」

執務室の扉をぶっ飛ばさん勢いで開けて入ってきたのは長門だった

・・・というより上の蝶番が壊れて扉が傾いている

「おおう・・・。長門君ドア・・・。」

「む!すまない!どうしても力加減が・・・。」

少しびっくりし、指で示すと長門は振り向き確認すると謝罪した

そしてあとで自身に請求してくれと言った

 

「ところで師匠は?!」

「あと一時間くらいすると出張先から帰ってくるよ。」

時刻はヒトサンマルマル

昨日房総鎮守府に出張した吹雪が連絡したのはヒトヨンマルマル

 

まだ間食休憩ではないが、そのまま入ってしまおう

・・・こっそり昼食抜いてたのは内緒だ

吹雪ちゃんがいれば食べたけど一人だしね

 

 

 

「それにしても立派になったねぇ~。」

艤装はつけていないが服はかなり変化していた

露出が減り、外套を羽織って威風堂々とした雰囲気に変化していた

いわゆる改二改装だ

 

補足だが、この鎮守府に所属している艦で改二にできる子は全員改装済みだ

 

「ああ!改装が決まってからは師匠もけいこをつけてくれる量を増やしてくれたし、提督も資材や貴重な設計図をためておいてくれたからな!すぐに改装に入れたんだ。」

鼻息荒く自慢げに話した

「しかし、どうも力加減の誤りが多くな・・・。先ほどみたいなことになってしまうことが時々・・・。」

駆逐艦や軽巡ではあまり聞かないが、重巡以上になるとあるあるらしい

なんでも軽くたたいたつもりが、壁をぶち抜いたり、机をたたき割ったり、工廠をふっ飛ばしたり・・・

改装のために鉄を供給した翌日に今度は工廠修理のための鉄の供給願いが来るとは思わなかった

「そりゃあまぁしょんないら。はい。お茶どうぞ。」

さして実害はないため、さらっと流し自身で入れたお茶を出す

割らないようにねといたずらっぽく言うとばつが悪そうに受け取った

「ありがとう。・・・ところで・・・・・・だ。耳本提督にお話というか・・・その・・・ほっ報告というか・・・。」

先ほどまで自信満々に胸を張っていたのが、急にもじもじと背中を丸め、前かがみになった。

「ん?何かあったのかい?」

「・・・・・・。」

覚悟を決めたように再び胸を張り、深呼吸をした

「こちらを・・・提督からいただいたのだ。」

左手を差し出した

薬指には銀色に輝く指輪

 

ケッコン(カッコカリ)指輪だ

 

「おお!おめでとう!そっかーケッコンしたんだねぇ!」

お祝いの言葉を率直にいうと照れくさそうに顔を赤らめて手を後頭部にやった

「着任時にケッコンしていなかったから不思議に思っていたんだが・・・どうやらずっと待っていてくれたらしいんだ。」

「ほほう・・・。今度会ったら盛大にからかう理由ができた。」

提督は意地悪いにやけ顔をした

「あまりからからかいすぎないでくれよ?・・・・・・それとついてはなんだが・・・ぜひ提督と師匠にケッコン式の方に来ていただけると嬉しいのだが・・・・・・無理だろうか?」

 

事情を知っているのだろう

ためらいがちではあるが真剣なまなざしで頼んできた

それまでの明るい空気は一転して重いものとなった

顎に手を当て鼻でため息をついた

「私をより強く、そして提督と私を結び付けてくれたのは師匠と耳本提督あなたなんだ。どうか頼めないだろうか?」

「・・・・・・すまない。吹雪ちゃんだけなら参加させてやれるんだがな。私の参加は難しいんだ。」

 

 

 

参加できない理由としては派閥に属していないのが大きい

大本営を二分しているタカ派とハト派

諸提督はこのどちらかの派閥にほぼ必ず属している

提督が所属していないのは例外の一つだ

 

タカ派とハト派はずっといがみ合っている

そのため、派閥を超えての交流がないに等しい

両派閥の冠婚葬祭や催事、下手をすれば情報共有に至るまで交流がないことがある

 

現在ハト派との交流が多いといっても一応は無所属の状態だ

よほどの軍規違反等のことがない限りタカ派にもハト派にも平等に資材を供給している自分達がどちらかにつくわけにはいかない

もし、ここで参加してしまうとハト派ではないという主張がただでさえ苦しいのが決定的になってしまう

結果としてハト派がタカ派に譲歩をしなければならない可能性がある

可能性として高いのは補給系の鎮守府か基地の新設や資源輸入ルートの新設を迫られた上、タカ派の直轄に置く

こうなるとタカ派は独自の作戦遂行能力を持ってしまい、厄介なことになりかねない

 

以上の裏事情もあって提督は派閥には属していない

ハト派はそんなことはさせないからおいでと言ってくれているのだが・・・

 

 

 

「そうか・・・・・・。いや!無理を言ってしまって済まない。」

長門は残念そうに少しうなだれた

その様子に提督は背もたれに背を預け上を向いて言った

「・・・視察ならできるけどねぇ?」

「・・・視察?あっ!」

「おって視察の日を伝えよう。」

何が言いたいのか気づいた長門はありがとうと優しい顔でほほ笑んだ

提督も少し笑って時計に目をやった

「そろそろ吹雪ちゃんが帰ってくるころだから準備しといで。俺はちょっとやること出来たから。」

そういうと長門は再び頭を深々と下げお礼を言うと退出していった

 

 

「・・・ふぅ。バランスとらんといけんくなっちゃった・・・・・・。」

長門達がいるリンガ泊地への視察をすると決めた一方でタカ派の系列の視察も検討しなければならない

一方だけ行くわけにもいかないのである

しかし、下手なところに行くと地味な嫌がらせだったり、面倒ごとがある可能性がある

「大将にどこに行った方がいいか聞いてみるか・・・。ついでに望月もつれてこないだの約束もこなしとこう・・・・・・。」

 

内線で望月に数日後に大本営に行くことを連絡した

 

 

 

 

「ふっふー。おでかけおでかけー。」

「そんなに喜ぶなんて思わんかったわ。」

「みっちゃんとだからだよ~。ほら勝負下g・・・」

「やめぃ!」

スカートをひっつかんでめくろうとしたのでその手を抑えた

「さすがに憲兵に声かけられるわ!!」

いくら緩い憲兵とはいえ、大本営の廊下でスカートまくる艦娘を看過するほどまでは緩んでない

 

・・・といっても声をかけるだけにとどめるあたり緩々なのだろうが

「で?どこ行くかは決めてんの?」

「ん~と・・・それは後で。」

聞こうとしたが、大将室に着く直前だった

どこかに行くといっても泊りがけはできないし、軽く飯を食べて買い物くらいだろうが

「全く・・・?面談中?」

珍しく面談中という札が、大将室の前にはかかっていた

事前にアポを取ってあるし、文月に行く前に念のために予定を確認してきたがそんな予定はなかった

いぶかしげに扉の前に立つが、物音は聞こえない

扉に耳をつけて聞き耳を立てても何も・・・いや・・・

すすり泣きのような声がした

「ええ・・・?」

「なんかすすり泣きみたいなの聞こえたけど~・・・間違いじゃないよねぇ?」

「ああ・・・俺も聞こえた。」

2人聞こえたという事は幻聴ではないのは確かだ

意を決して提督はノックをする

するとはぁ~いどうぞ~という返事

この声からして文月だろう

しかし、大将が返事をしないのは少し妙だ

 

「失礼しm・・・・・・。」

提督は固まった

「ん~司令官?どうs・・・・・・。」

 

大将 \(゚∀゚) アーアーアーーアアアアアーアー

中将 orz ナンデヤァーー!!

文月 ('▽';)

 

「「・・・・・・・。」」パタン

 

 

 

 

 

「「えっ?」」




一応その1としてありますが次で終わります

えー・・・しっかり書かなかった自分が悪いのでここでしっかりと訂正しておきます
夕張改二は誤報です
実は鈴谷、熊野の声優さんが思いっきり台本を読み間違えておりまして由良改二のところを夕張改二と言ってしまったのです
発表当時あーやっぱり軽巡のもう一人は夕張かぁと思いツイッターに投稿してしまいました・・・
そのことについて書いたつもりだったのですが・・・
どういうわけか2~3文書き忘れている状態で投稿してました
申し訳ありません

というわけで由良改二は果たしてどうなることやら・・・
個人的には
新しい艦載機持参(もしくは紫雲)、艦載機内蔵、水戦搭載可能、弾着観測射撃(カットイン)
のどれかが来そうな気がしてます
どれが来ても来なくてもやるとは思いますけどね・・・

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