これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の出張所

「てーとくまだでちか?」

 

東部オリョール海 中央監視所 執務室出張所

 

週に一度ゴーヤが報告書を届けに来るのだが、今日は違う

月に一度だが、支給弾薬の補充に提督が乗った船団が訪れる

オリョール海でとれるものは原油のみだ

3か所のプラントのどこかに寄れば燃料を大本営もちで支給している

しかし、航路によっては他の艦隊が仕留め損ねた手負いの艦隊と遭遇する場所がある

ほぼ確実に無傷で殲滅、通過をするのだが問題がある

弾薬の消費だ

燃料は予定航路上のため、そんなに食わないが弾薬は違う

相手をしとめるのには弾薬の消費は避けられない

 

そこで、残存艦隊をしとめた艦隊には弾薬を支給することにした

もちろん、そこの戦闘で消費した分+αを支給する(別の場所の戦闘は含まない)

施設稼働直後はどれぐらいの艦隊が通過するのかわからなかったため、過剰すぎるくらいに運び込んだ。

その結果ようやく月の消費量が大体わかったため、今回から一定の量の補充になったのだ(近々作戦もあるため、少し多めではあるが)

 

「まだだって。今日はこっちに泊りがけだからお前さんもゆっくりしてろ。」

執務室と仰々しく言っているが、実際は事務机が一つと秘書官用の学校机が一つ。

そして隅っこに2畳ほどの畳コーナーと宿直室さながらの部屋だ。

ゴーヤは今日は警備の仕事ではなく、秘書艦を務めてもらっている。

といってもこちらでの仕事というのは宿泊棟や旅館の仕事と似た形だ。

要望書や提案書、陳情書などの此処の施設を利用する艦娘たちからの意見を集約し、

施設の改善や増設の検討をしている

 

施設が稼働し始めてから日が浅いうえ、計画から建設、稼働までの日数が短かったこともあり、需要に関しての調査が不十分だったのだ。

これに関しては大本営も稼働を最優先で進めた責任がある。

それだけここの資源は魅力的だったのだろう。

ゆくゆくはここを東南アジア方面の補給拠点にする計画もあるがそれについては議論や対立が続いているとのこと。

そういった経緯から、増設に関しては大本営の許可は特にいらず、予算に関しても特に制約がないという緩いものとなっていた。

 

 

 

さて、こういった仕事に秘書艦がいるかというといらないのだ。

意見書は提督が読まねばならない

そしてそれに対して実現が可能か、あるいは代替品で済ますのか、不可能なのか。

これを判断するには、提督がここの稼働状況の過去の報告書を見て判断しなければならない。

手伝うことが現状はないのだ

正確には提督の身辺警護をしているのだが、ぶっちゃけ居ればいいため仕事とは言えない。

 

ゴーヤは暇そうに机に突っ伏す

提督にじゃれつけばそれだけ遅れる

せっかくのチャンスなのになぁ

ゴーヤはむくれた

しかし、むくれたところで何が変わるわけでもない

そんな時だ

畳が敷かれた一角に、提督のボストンバックが目に入った

せっかくなら着替えなどをセットして提督にアピールをしよう

そう思い立つと、ボストンバックを開けた

「・・・?」

中には着替え等は入っていたが、書類束も山のように入っていた

めくってみると、企画書や予算、採掘場の稼働状況などの書類だった

「あっ!」

「んー?どうした?」

「あっ!えっと!なんでもないでち!」

提督がこっちを向きかけたので慌てて見なかったことにした

「ちょっとでてくるね!」

「はいな~。」

 

 

 

「もしもし?時雨でちか?・・・・」

 

 

 

 

 

 

「ん~・・・おわった~。」

しばらくして、ぎしっと事務椅子の背もたれによっかさる

「お疲れ様でち!さぁご飯に行こうよ!」

畳コーナーで寝っ転がっていたゴーヤがガバッと起き上がるとすぐにそばまで来た

「はいはい。終わったらまた仕事だけどな。」

「えー。まだあるの?」

「やらなきゃいけないからなー。」

 

 

「あれ?!ない!」

ご飯から戻ってきた提督はボストンバックを開けるとそう叫んだ。

「てーとく。どうしたんでち?」

「いや・・・。書類を中に入れていたはずなんだけどなぁ・・・・・・。」

「なかったよ?」

「あれぇ・・・・・・。まずいなぁ・・・・・・。」

あれは黙って持ってきたし・・・

そういった言葉がゴーヤには聞こえたが、聞こえないふりをした

「じゃあお風呂に行こうよ!こっちも温泉引いてくれたんでしょ!」

「・・・混浴じゃないよね?」

「?何言っているでちか?」

「え?」

「別に決まっているでち。」

だよね

ほっと胸をなでおろし、執務室を出た

 

男湯も存在はするが、ここを訪れる男性は少ない。

そのため、なるべくならと女湯を広めにとってある。

男湯は女湯の3分の1程度しかない。

とはいっても、一人で入るには広い

お風呂の前でゴーヤと別れ、湯船につかる。

鎮守府の温泉と違い、ナトリウムが強めの塩っけが強い温泉だ。

露天風呂案もやっぱり出てきてはいたが、こちらは追々の検討となるだろう。

 

「あー・・・・・・。やっぱり温泉は引いてよかったな。」

ゴーヤに聞いた所好評らしく、もう少し広めでもいいかもと言われた

改修の検討に挙げておこう

「・・・・・・。」

ふと、提督は立ち上がると壁をたたき始めた。

だいたい、温泉に入るとろくな目というかラッキーというか・・・

なぜか混浴状態になることがあった

旅館の温泉しかり、自室の温泉しかり・・・。

 

2度あることは3度ある

 

3度目の正直なのか・・・

 

「ええい!わすれろ!」

思わず思い出してしまい、壁に頭を打ち付けた

「だっ大丈夫でち?」

「ああ・・・。いや・・・忘れてくれ・・・・・・。」

ゴーヤの心配そうな声に答えを返し、湯船に再びつかる。

「・・・・・・?」

「てーとく?のぼせた?」

「・・・・・・え?なんでいるの?」

目の前には先ほど入り口で別れたはずのゴーヤが横にいた

当然生まれたままの姿のため、慌ててそっぽを向く。

「実はここを見てほしいの!」

そういってゴーヤは隣の女湯と男湯を隔てている壁に近づき、下を指さした

ゴーヤを一旦上がらせ、潜ってみると下にはアーチ状の穴が開いており、行き来ができるようになっていた

「・・・・・・なぁにこれぇ?」

「女湯が狭いって妖精さんに言ったら対処してくれたでち!」

「・・・・・・まじかー。」

 

 

 

 

妖精さんたちの減俸が決まった瞬間であった

 

 

 

 

 

 

「これって今すぐやらなきゃいけない仕事?」

『これはー・・・・・・ちがうね。この仕事はまだ先のやつだよ。もう一つのはの僕も知らないやつだ。』

「ということは・・・・・・。」

『隠れ残業だね。ゴーヤ。今すぐそれをこっちに送ってくれる?吹雪に聞かなくちゃ。』

「了解でち!」

後日、妖精さんたちの減俸と同時に提督と吹雪のがさ入れもあったのは言うまでもない

 




海底からゴーヤと思われる潜水艦が見つかったのでせっかくなので・・・
ついでにうちのゴーヤもケッコンまじかなので今回の主役に(直立ネタは思いつきませんでしたので割愛)

引き揚げになるといいなぁと思いつつでも漁礁になっているならそのままでもいいかなぁといった不思議な思いです
引き揚げるにしても保存の計画が決まってから引き揚げにしてほしいと思ってます
菊月の方は今日展示してたみたいですね・・・
行きたかった・・・(´・ω・`)

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