これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

57 / 134
駿河諸島鎮守府の小競り合い

「やほー!みっちゃん!鉄頂戴!」

「カエレ!」

手近にあった文鎮をひっつかむとドアを壊れんばかりに開けた人物にブン投げた。

「ゴブゥ」

見事腹の真ん中に命中し、その場に倒れこんだ。

「悪くないけどちょっと文鎮はひどいや・・・。」

「うるせえ。ノックもなしに突撃してくる方が悪い。」

執務机から離れ、文鎮を拾いに行く

「あ。ゼロいる?」

どこから取り出したのか零戦の模型を目の前に出してきたのでそのまま拳骨をお見舞いした。

そのやり取りを見ていた吹雪は苦笑しながら執務机の中から応接室のカギを取り出した。

 

 

 

 

「ほいで?何の資源が足らんの?」

「鉄が10万だね。ボーキももし頼めるなら5万ほしいかな?」

大本営の許可印が押された申請書には鉄10万の補充許可しか記載されてなかった。

「2万5千」

書類を見た後、数字を提示する。

「4万」

「・・・3万」

ちらりと彩雲の顔を見てみると少し顔がゆがんでいる。

おそらく次に提示する数字を考えているのだろう。

「3万8千」

「それじゃ鉄10万だな。」

「ちょ!まっ!」

「3万とおまけで2千くっつけてやる。それで我慢しなさいな。」

「ちぇー・・・。」

「相変わらず司令官はえげつない揺さぶり方やねぇ。」

龍驤が提督の隣で笑っていた。

 

監視カメラで執務室に飛び込んだ奴の画像を見て慌ててきたのだ。

たまたま目を離していたタイミングだったため、誰が飛び込んだのかわからなかったのだ。

飛び込んだ人物が彩雲とわかると焦って損をしたと言っていた。

 

 

「3万7千なら3万5千を提示してやったんだがな?」

「ちょっとでも多めにってちらついたのが失敗だったなぁ。」

彩雲は照れくさそうに頭の後ろに手をやった

「そういえば嫁さん誰もつれてきてないのか?」

スマホで時雨に支給資源の指示を送り、不思議に思ったことを聞いた。

「ああ。ちょっと忙しくてね・・・。今回の作戦は大変だったよ。」

 

 

今回の作戦の第一段階では、舞鶴、若狭、七尾方面への海上資源輸送だったのだが、なんと下関海峡に機雷が発見されたのだ。

安全のため、艦隊は大回りルートに限定されたうえ、九州、四国、中国の鎮守府は機雷の除去作業に追われた。

彩雲のところなんかは悲惨だったらしい。

除去作業の統括役の仕事を回されたせいで、連日下関方面での作業となったらしい。

当然出撃した際の燃料、弾薬が支給される。

だが、修理の際の資源は各鎮守府の調達に任されてしまった。

聞くところによると、出撃の際の資源は仕方ないが途中でけがをするのはそちらの怠慢ではないか?

腹立たしいことこの上ないが、上層部の決定であったため仕方なく飲んだとのこと。

案の定連日修理に追われた結果、鉄資源が枯渇しかけていた

 

「ま、何はともあれお疲れさん。」

「みっちゃーん!俺を癒して!」

「ええい!うざったい!離れろ!そういうのは嫁に頼め!」

「提督。支給資源の用意ができ・・・。」

準備し終わって報告に来た時雨が固まった

それもそうだ

自身の提督がよその提督に抱き着かれているのを目の当たりにしてしまった

 

 

「君には失望したよ」

 

 

「これも・・・・・・・また・・・・・いいかも・・・」

「・・・・謝罪の念が湧いた俺の気持ちを返せ」

龍驤は昔頻繁に会っていたため、いつもの事と流していた。

だが、時雨は違う。

鎮守府建屋が今の農園部室の頃は彩雲もまだ忙しくなく、叢雲を連れ立って遊びに来ていたのだ。

2~3か月に一回は同期みんなで集まったりもした

鎮守府建屋が現在の場所に移ると、それぞれの事情が変わって忙しくなった。

前回の秋祭りの時が2~3年ぶりの全員集合だったりする。

話は戻ってそんなじゃれ合いを知らない時雨からしてみたら彩雲の扱いはどうなるか

 

ダッシュで近寄ると腹パンで殴り飛ばしたのだった。

彩雲はそのまま机の上のお茶をかぶって、2,3メートルくらい吹っ飛んだ。

流石に大丈夫か?と思い近寄った時に発した一言がこれである。

 

 

 

「いやー愛されてるね!」

「・・・」ジト

「こら。こいつはいつもこんな感じだから大丈夫だよ。」

彩雲は地べたで正座させられており、時雨は警戒感丸出しの顔をしながら提督にひっついていた。

「まったく。ほれ、俺の印鑑押しといたでこれを窓口にもってけばいつでも受け取れるよ。」

許可書やもろもろを閉じこんだファイルを渡した。

「あと時雨・・・そろそろ離れてくんない?動きづらいんだけーが。」

「・・・」

すっかり威嚇状態に入ってしまったのか聞く耳を持たない。

「龍驤・・・。何とかして・・・。」

「えー・・・司令官の言うこと聞かんならうちが言うても聞かんとおもうで?」

とは言いつつも引き離しにかかった

 

 

 

 

その時龍驤はあることに気が付く

提督の頬が若干赤くぎこちないことに

いったい何が原因なのか

腕にひっついている時雨

当然腕を抱き寄せた形になる

ということは必然的に胸にあたっているということだ

時雨の胸はここに所属している駆逐艦の中でもなかなかの物だ

というか上位に入る

自身の胸と比べれば結果は言わずもがなだ

こちらをじっと見て固まっているのに気が付いた時雨

表情こそ変えないが先ほどより強く腕に胸をひっ付けた

 

 

 

 

「うがぁぁ!!!」

「うお?!」

時雨の襟首をひっつかみ、無理やり引き離した

「痛いじゃないか・・・。」

「じゃかましいわ!その喧嘩買ったろうやないか!」

襟首をつかんだまま二人とも部屋を出て行ってしまった。

 

 

 

「え?何があったの?」

「やれやれ・・・。鈍いねぇ。」

彩雲はかぶりを振って立ち上がった。

「?」

「それじゃ僕はこれで。ボーキのおまけありがとうな。」

「ああ!ちょっと待て。」

時雨が持ってきたファイルの中から一つを抜くと渡した。

 

「昇進おめでとうさん。ちょっとしたプレゼントだ。」

「こいつは・・・。ありがとう。大事に使わせてもらうよ。」

中には旅館の二人部屋無期限無料パスとボーキの追加支給1万8千の許可書だった。

「SMプレイにつかうなよ?」

「それもいいねぇ。」

「そんなことしてたら採掘場にたたきむからな?」

「冗談だよ。・・・それもいいかも。」

「おい。」

「ほんとに冗談だよ!・・・お礼と言っちゃなんだけどこれを。」

渡されたのは書類束

表紙には何も書かれていないので、一枚目を斜め読みしてみる。

「・・・・・・・!これって。」

「最近西方海域が騒がしくなってきた上、国内の将官が襲われる事件。きな臭さ満点だ。」

渡された書類束には、こちらには回ってきていない情報だった。

西方海域への出撃数の増加はここ数週間で倍に増えている事

将官襲撃に関しては、幸い今のところ軽傷で済んでいるとのことが書かれていた。

報道管制もされているということは何か裏がありそうだ。

「気を付けてな。」

「ああ。みっちゃんこそ。」

 

彩雲が応接室を出ていくときに扉を開けると廊下では時雨と龍驤がまだ喧嘩をしていた。

正確には時雨が煽っている感じがするのだがいったいどうしたのだろうか

取りあえず止めるため、自分も部屋を出ることにした。




ついに陸攻が開発落ち!
イベントで陸攻特効って書かれていても悔しい思いをすることがこれでなくなるはず!(現在一機のみ)

そして気になるのが二式水戦熟練・・・
これ鈴谷か熊野持ってきそうだなぁ・・・
次のメンテで改二くるといいな(80以上で来ることないでしょと慢心中)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。