「これではどうでしょう?」
「・・・・・すみません。やっぱり動きません。」
呉第二鎮守府工廠駿河諸島出張所
榛名の艤装解析と究明のため隔月で明石が調整を行っているのだが、結果は芳しくない。
「ん~・・・。わからないですねぇ・・・。」
以前にも言ったが、砲撃戦というものはものすごい膨大な演算処理を行う。
そのため、艤装の中にある情報処理部分が大半の処理を行う。
そして、どこに撃ちたいかやタイミングなどの大まかなところを艦娘の方で処理を行う。
「演算機能に問題はないんですがねぇ・・・。」
艤装にたくさんのコードがつながったモニターを見ながら明石が頭を抱える。
「伝達がうまくいっていないのか、あるいはもっと別のところか・・・」
コードをはずしながらぶつぶつと可能性のありそうなところ上げて調べていく。
隔月とはいえ、ちゃんと一個一個の可能性をつぶしてきた。
艤装の錆がないか、どこかで断線していないか、エネルギー伝達がおかしいのか
以上の問題は全て見つからなかった。
そして今回は本命中の本命である情報処理部分に手を出したのだが・・・
「明石ー?どうだった?」
「耳本提督!すみません・・・。今回も無理そうです・・・。」
椅子から飛び上がるように立ち上がった。
「そっか。まぁ気長にやってくしかねーら。榛名もお疲れさん。」
「すみません提督・・・。」
「しょんないじゃん。さ、そろそろ間食休憩だから甘いもんでも食べて気を紛らわそう。」
甘味処で買ってきたクッキーをもって農業区画へと向かう。
ル級作のテーブルが思いのほかしっくり来たので、時間があまりない時はこのあたりでぼんやりとしていることが多い。
テーブルのある場所にたどり着き、木を見上げる。
加古もいたら誘おうと思ったが、どうやら今日は別の昼寝ポイントにいるみたいだ。
畑の奥の方ではリ級だろうか、鍬をふるっているのが小さく見える。
そしてどこかでトンカントンカンとハンマーを打つ音がする。
おそらくル級がまた何か日曜大工感覚で何かを作り始めているのだろう。
声を掛けようと思ったが熱中しているところを邪魔するのも悪いと思い、あえて声を掛けず席に座った。
「それにしてもここはほんとに変わってますよね。」
榛名が農園部室で入れてきた紅茶を飲みながら、ぽつりとつぶやいた。
「まぁね。」
「そうですね。」
全く持って反論ができない
提督も榛名も苦笑をして同意した。
「深海棲艦が畑を耕したり日曜大工してたりなんて・・・。どこを探しても絶対見つかりませんよ。」
「逆に見つけたらびっくりするわ。」
お茶請けのクッキーを口に放り込む
「ま、それは置いときまして。検査の結果です。」
数枚の紙にはびっちりと数値やグラフが書き込まれている。
普段書類を見慣れている自分でも面食らう細かさだ。
「それは鎮守府に保存しておいてください。結果の方なんですけれどもやっぱり異常は認められませんでした。」
「そうか・・・。」
「これ以上の検査となるとここやうちでは厳しいところが出てきます・・・。」
「というと?」
明石は目をつぶり苦々しい顔をしながら続けた。
「残る可能性は艤装のコア部分か榛名さん自身の精神面に問題があるかの二択です。」
「艤装のコア部分か・・・。そりゃあちっとばっか難儀なところだな。」
艤装のコア部分は艦娘の心の一部である。
心の一部を見るだけでも今までの検査の数倍は危険度が跳ね上がる。
ましてや異常が認められた場合、その部分をどうやって治すか延々と議論が続くだろう。
わずかな失敗で艦娘の性格が変わってしまうことがある。
性格が変わったのならまだいい方だ
廃人になってしまった例もいくつか存在する。
コアの部分を開けて見ることができるのは、大本営や呉、佐世保などの拠点鎮守府の工廠のみで検査等が許可されている。
そして、検査をするだけでも何十の許可を得なければならない。
異常が認められ治療となったら言わずもがなだ
「ん・・・榛名はどう思う?」
「え?私ですか?」
榛名は提督の空になったカップに注いでいた
「榛名は現状のままでもいいような気がします。・・・コアの部分はデリケートで失敗すると取り返しがつかないと聞きますし・・・。」
「ということだ。それに、何か代替え案があるんだろ?」
「さすがは耳本提督!実はですね・・・」
新しく発明するための予算
呉第二鎮守府は国内でも有数の工廠とその技術者でもある明石がいる。
呉第二鎮守府で行われているのは発明関連がメインである。
他にも、日用品やらそれこそ様々な分野に突出した明石がいて、各場所で活動をしているのだが、それについては置いておこう。
発明と言っても様々なものがあるが、ここにいる明石が得意としていることは艤装のシステム関連である。
しかし、大本営からの予算割り振りでかなりの予算をもらっていても足りない。
ならば他の拠点から受注を行い、その稼ぎや報酬をあてがえばよい。
・・・といってもその辺の並大抵の鎮守府ではそんなことができない。
どこも予算がカツカツだからだ。
せいぜい、鎮守府内に便利機能の追加や装備の改修が月に一件できるかのレベルだ。
それではうちはどうなのかというと
半官半民で独自に稼ぎ出す手段があるこの鎮守府がカツカツなわけがない。
潤沢な資金をもとに榛名の補助艤装を開発すれば、再び海に出れるかもしれない。
「そんなわけで予算の方を今回もすこーしだけでもいただけると・・・」
「それについては後日、見積書とか送ってくれる?」
「わっかりました!」
遠回しなOKの意思にニコニコ顔でサムズアップしたのを見て、微笑みながら紅茶を飲む。
「お礼と言っては何ですけれども耳本提督の耳に入れておきたいことがあります。」
「ん?なんだい?」
さっきのニコニコ顔を消し、少し辺りを警戒しながら声を気持ち抑え目で続けた。
「実はさきほどのコアの検査についてなんですけど、上層部で重要拠点外でも検査や治療等を行えるようにしようとしている動きがあるらしいんですよ。」
「なに?」
ただでさえ最高レベルの機器や技術者をそろえても失敗する可能性が多少あることを、設備や人材が劣った他のところでやるとどうなるかは想像に難くない。
「本当ならかなりまずい事態ですので気を付けてください。特に榛名さんみたいなタイプは危険かもしれないです。」
「それは・・・実験台としてってことでしょうか。」
「そこまでは何とも。でも榛名さんも補助艤装ができるまでは警戒はしておいてください。」
ただでさえうちは出入りが多いうえ、榛名がいるところは隣の島。
何かあったときに迅速な対応が難しい可能性がある。
「わかりました。」
「ありがとうな。ちょっと川内に探りを入れさせてみるか・・・。」
川内には苦労を掛けるなぁとぼやくと明石が言いづらそうに話を続けてきた。
「あともう一ついいですか?」
「まだなんかきな臭い事でも?」
「いえ・・・。さっき回りを見た時に見えたんですけど・・・。あそこの畑で犬○家の一族をやっているのは誰ですか?」
明石が指をさした方には足とその隣には何か棒状の突起物が並んでいる光景だった。
「俺の部屋にカメラを仕込んだ奴がいてな?」
「あっもうわかりました。」
「塩ビ管で空気穴はあるから大丈夫だよ。」
「・・・カメラの購入記録見ます?確かうちで開発したの買ってましたよ?10台位。」
「・・・・・・5台まではみつけたんだけど。」
明石は何かを察した顔をした
「見積書と購入控えを一緒に送ります。いろいろな種類を買ってましたので。」
「・・・たのんだ。」
鈴谷と熊野の改二実装に伴って5‐3を押し通って5‐4で卯月堀兼レベリングをしていた作者です
おかげさまで65の鈴谷がめでたく76まで急成長
50くらいのキソーも65になって無事雷巡に改装
30ぐらいの熊野も50までレベルアップいたしました
そして120あったバケツが8に無事暴落いたしました
卯月掘れたおかげで任務がはかどるはかどるw
・・・長距離毎日グールグル
卯月が出ない呪詛でつぶやきが埋め尽くされておりました・・・
鈴谷の改装レベルが気になる・・・
80以下であってくれないかなぁ・・・(90位まで一応上げますけど)