「というわけで別棟を」
「「どういうわけでですか?!」」
要望書には和室がほしいとの記載があった。
常々、大浴場や露天風呂などの温泉施設や中庭の日本庭園などに憧れてはいたものの、切っ掛けや機会に恵まれず(あんな仕事漬けじゃね・・・)手を出すことがなかったが今回の要望書で踏ん切りがついた。
「それにしたって・・・・榛名さん内部留保ってどれぐらいありますか?」
「え?あっ!とっとってきます!」
「さすが吹雪ちゃん」
「もう慣れました・・・こうなったら司令官は止めても絶対やりますもん」
遠い目をしてため息をついた吹雪にそんなことないと言いたかったが、ふと思い出してみると、このホテルを作った時も途中からノリノリで妖精さんに提案していた気がした。
というかしてた。(コノダイリセキノユカトカヨクネ?!デアカイカーペットニ・・・ ソレサイヨウナノデス!)
「持ってきました。」
反論をあきらめ、資料を開き主要な項目だけ確認すると、予算は十分に確保できることが分かった。
「よし 妖精さーん!誰かいます?」
「ヨンダデスカ?」
大き目に声を出しながら首を振ると、天井から一回転して着地どや顔でグリコポーズを決めた、手のひらくらいの大きさの小人がいた。
「実はカクカクシカジカシカクイムーヴってわけなんだけど簡単な工期や予算の見積もりできる?」
「タノシソウデス!スグトリカカルデス。」
いつの間にか4~5人が集まって会議をしていた。
不思議なもので、妖精さんは面白そうなこととお菓子には目がない。(どっかで聞いたことがある?キノセイダヨー)
「ダイタイ3、4ニチカカルデス。ズメントミツモリショハアシタモッテイクデス」
ありがとうとお礼を告げポケットから飴を人数分取り出し渡す。
妖精さんに頼みごとをしたら甘味を与える。
鎮守府共通の鉄則だ。(たぶん)
「アリガトウデス!」
ニコニコと足取り軽く部屋を出て行った。
「それでは提督、またお願いします。」
「榛名君も頑張ってね。それじゃ」
敬礼に答礼をしたのち、フェリー乗り場へと向かう。
地下鉄じゃないのかって?
働きたくないでござる。
「そんなことしてると書類が束じゃなくて山になりますよ。」
「まぁまぁ・・・ちょっとぐらいね。吹雪ちゃんもこっち来てるじゃない。飲み物でも買ってゆっくり帰ろうよ。」
「・・・今回だけです。」
そういいつつも、顔がほころんでいるあたりがなんともまぁ。
「・・・・・」
「・・・・・」
地下鉄なら5、6分の道のりだがフェリーに乗ると15分から潮流によっては30分かかるときがある。展望デッキの席に腰を掛け、俺は紅茶、吹雪はジュースを飲みながら、のんびりとしたひと時を過ごす。
先ほどまで、吹雪とは間宮の甘味についてや、最近あった出来事など、他愛もない会話をしていたが、ふとあることが気にかかってしまい少し生返事に近くなりかけた。
すると吹雪のほうも会話を振ってこなくなり沈黙が流れる。
ひょっとして機嫌を損ねたかと思ったがどうやら違う様子だ。
先ほどから指がせわしなく動いてる。
これはまさか・・・
「「なぁ吹雪ちゃん/あの司令官」」
タイミングがぴったりだった。
本来なら譲ろうとするが思い切ってそのまま言った。
「「何もしないのがもったいなく感じる(んです)」」
どうやら鎮守府にしつけられてしまったみたいだ。
初イベントでE1突破!乙作戦でなかなか使わされたせいでおそらく次からは丙一択になりそう・・・。
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