これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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※ただただ甘く作りました
※落ちほぼないです


駿河諸島鎮守府の年末

大本営大将室

 

「ありがとう。これでやっとうちは仕事納めだよ。」

「そうですか。おめでとうございます。」

文月が入れたお茶を飲みながら提督は答える。

まさに年の瀬の今、自身の鎮守府の給料概算要求書を提出に来ていた。

ボーナスや給料は明日手渡しできるだろう。

「おかげさまでこちらは資源の再計算ですがね。」

「・・・・すまんって。」

「まだクリスマスの資源配布の帳尻合わせが終わってないんですけどねぇ?」

「すんませんした!」

普段威厳たっぷりな大将が全く頭の上がらない人は二人しかいない。

文月と自分である。

先の一言を言った瞬間、ジャンピング土下座をかまし、額を床に擦り付ける。

「・・・・焼き土下座って大将知ってます?」

「わし死んじゃう!死ぬなら文ちゃんの膝がまだいい!」

「・・・・・・」

「すみませんでした!!!余計なことを口走りました!」

何を申し付けられたかというと、正月に向けて新しいお年玉任務をやるから資源の調達よろしくということ。

こちらとしてはある程度想定はしていたが結構な資源量なので、ほかの子たちを年末年始休ませる計算だとなかなかきわどい。

吹雪をこっちに入室させてなくて正解だった。

「今度吹雪ちゃんとペア将棋大会に招待するからそれでどうか!賞品超豪華だよ!共通の趣味だよ!」

「将棋って・・・」

「じゃっじゃあ・・・えっと・・・」

「別にいやって言ってません。約束ですよ。」

「やったぞい!」

「じゃあ私は行きますね。文月お茶おいしかったよ。」

「お粗末様です~。」

「あ!ちょっと待った!こないだの請求書なんか一桁多かったんだけど・・・。」

「察しろ。それでは。」 アッハイ・・・ハンブンチカクジバラニナルンダケド・・・

 

 

 

 

大将室を出て、控室へと戻ると吹雪と五月雨が話し込んでいた。

「それでね・・・。あっ!司令官!お疲れ様です!」

「耳本さんお疲れ様です。」

「吹雪ちゃんお待たせ。五月雨ちゃんは久しぶりだね。」

この間の秋祭りの時は会う機会がなく、山風の件で来てもらったときもいなかった。

「はい!耳本さんもお元気そうで何よりです。」

「さえぎって悪かったが何の話をしていたんだ?」

「ああ。それは」

「しっ司令官!早く帰らないと年末までに書類が・・・。」

「っとそうだな。五月雨ちゃん悪りけぇがまた今度だな。」

「はい!じゃあ吹雪ちゃん、耳本さん!またいずれ。よいお年を!」

「「よいお年を。」」

 

 

 

 

外に出ると曇天の空が広がり、風も冷たい。

コートのボタンをしっかり閉め、飛行場へと向かう。

「寒いですね。」

「だなぁ。隅っこにこないだの雪が残っとるし。」

歩く場所には残ってないが茂みを見ると白いのが見えている。

「うちでも降りますかね?」

「どうだろ?八丈島では降ったことあるらしいし、降るんじゃない?」

コートのポケットからスマホを出し、今から帰ると時雨に連絡する。

「へぇー!雪合戦してみたいですね!」

「やってみたいよな!雪にあんまり縁のない俺にとっちゃ結構な夢だわ。・・・と・・・マジか~。」

「どうしたんです?」

「これ見てご。」

そういってスマホの画面を見せる。

画面には写真が写っており、そこには荒れた天気が映し出されていた。

『夕方過ぎには抜けるから最終便しか飛ばないと思うよ。』

軍の飛行場へ電話で確認すると、やはり最終便まで欠航になっていた。

船は八丈島へと退避し、波が収まるか飛行機の代替輸送が復活するまでとなっていた。

「ええ・・・。どうしましょう。」

「・・・どっかぶらついて戻ってくるか。出発時間はフタヒトマルマル」

「あと・・・」

「六時間近くだな。」

時刻はヒトゴーマルゴー

 

 

 

 

 

 

「どこもいっぱいだなこりゃ・・・。」

「年末ですもん。仕方ないです。」

どこへ行っても大きな店もスーパーも人がごった返している。

すいているのは遊興施設くらいか

「どっか行きたいとこある?」

「じゃあ・・・ショッピングにいきたいです!」

「ん、了解。組んでくか。」

「!はい!」

腕組をしてはぐれないように人混みを行く。

 

 

「意外とすいてるもんだな。」

人々の大半は地下の食品売り場へと流れ込んでおり、上に行くとある程度人が分散しているみたいだ。

「ほいで。どこに行くんだ?」

「此処なら時間も潰せていいかなぁと思ったんです。」

なるほどな。

外は寒いからなおのことちょうどいい

 

 

 

 

 

何だかんだあっちを見たりこっちを見たりすると時間がつぶれていた。

吹雪は買うものがあるとのことで今は別行動。

買いたいものがあるのだが結局決まらずぶらぶらと悩みながら歩いていた。

テナントを素通りしながら歩いていると、あるものに目が留まった。

「・・・・・・・これか」

 

 

 

 

「司令官!お待たせしました!」

「おう。何買ったんだ?」

「ないしょです!」

いたずらっぽく赤みを帯びた頬で微笑んだ。

「?そうそう。食べてくるって連絡入れたで外食して帰ろう。」

「ほんとですか!どこに行くんです?」

「ないしょだ。」

返してやるとむっとした顔をした。

 

「ここって!」

来たのはちょっとこじゃれたフランス料理店

「吹雪ちゃんが着任したときに来た店だ。」

「なつかしいですね!」

「ナイフとフォークの使い方は大丈夫かなぁ?」

「大丈夫ですったら!もう!」

クリスマスを過ぎているからか人はまばらであるが、むしろ人がいるだけこの時期はましだろう。

なるべく人のいない端っこの席にしてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ!おなかいっぱいです!」

「そいつは何よりだ。」

後はデザートの注文をすれば持ってきてもらえるのだが、その前にと鞄をそっと開けようとする。

「あの・・・。しれ・・・耳本さん。」

静かな店内で軍属と知られたくないため、言い換えた様子だ。

鞄から手を引っ込め、吹雪に向く

「これ。私からのかなり遅いですけど・・・誕生日のプレゼントです。」

目の前に出されたのは先ほどのところで買ったものだった。

「・・・あらら。なんてこった。」

受け取ると少し重い。なんだろうか。

「え?!何かまずかったですか?!」

吹雪が不安そうな顔をして慌て始める。

「いやー。こっちも用意してたんだわ。」

先ほど伸ばした手を再度伸ばし小さな青い小箱を取り出す。

「えっ?!」

「ひと月以上遅れちゃったけど誕生日おめでとう吹雪。」

「あっありがとうございます!・・・開けても?」

「どうぞ。」

開けるとそこには

 

 

 

 

 

 

雪の結晶をかたどった小さなピンブローチがあった。

「これは・・・。」ガッシャーン

「七宝焼きだよ。あんまり金銀煌びやかなものより、上品な方がいいかなって。・・・なんかものすごい音したな?」

ちらっと後ろを見ると、どうやら2つほど後ろのお客さんがこけたようだ。

カップルらしく、女の人は恥ずかしそうに顔を隠している。

「・・・あっありがとうございます!」

「いいえ。こちらこそありがとう。」

「早速つけてもいいですか?」

うなづくと早速つけた。

小さなアクセントでちょうどいい。

「似合ってるよ。」

「うふふ。ありがとうございます。でもまたもらってしまってもいいのですか?」

「水色の髪ゴム。時々つけているの知ってるよ。」

「気付いてましたか。あの時もここでしたね。」

照れくさそうにお互い笑う。

 

 

 

 

 

その後、デザートに舌鼓を打ったのち、飛行場へと向かった。

冷え込むためお互いくっつきながらの帰路となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベタ甘で終わるとでも?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁやってまいりました!みっちゃんの尾行するわよ!ふぅちゃん!」

「ええ・・・。なんでまた・・・?。」

「実は五月雨ちゃんがね?吹雪ちゃんから誕生日のプレゼントのアドバイス聞かれたらしいの!」

「へぇ・・・。詳しく。」

さっきまで嫌々の顔はどこへやら

明らかに興味津々といった顔だ。

「みっちゃんの誕生日は10月。だけどこのころは大規模作戦等でめちゃくちゃ忙しかったからここまでひっぱっちゃった色を付けたいって。」

「ほうほう。」

「で。今日は諸島は荒天の予報だからね?」

「デートに行くから尾行しようと。」

「興味あるでしょ?」

「あるよぉ~。」

 

 

「腕組んでる~!」

「珍しいこともあるものね!これは今日はすごい戦果あるかもしれないわ!」パシャ

 

 

「ちらっと見て少し話してはすぐに移動するね・・・。」

「何を買うのかしら・・・。あっ!別れたわ!」

「みっちゃんは特に目的なさそうだよに歩いてるね。」

「吹雪ちゃんは・・・いた!」

「食器の方に迷いなく行ったね。」

「よっし行くわよ!」

 

「あ!」

「「あ!」」

なんということだろう。

尾行時にあってはならない相手との遭遇

これをやらかしてしまったのだ。

「夏木さんに深打さん!こんにちわ。」

「ふっ吹雪ちゃんこんにちわ~」(どっどうするの!?)

「こんにちわ。」(どもっちゃだめよ!ふうちゃん!私に任せなさい!)

「偶然ですね!何か買い物ですか?」

「ええ。この間五月雨ちゃんが食器を割っちゃってね。」

食器コーナーにいたことと五月雨ちゃんのドジ癖をうまく利用した。

五月雨ちゃんごめん・・・。

「ああ!聞きました。お気に入りのを割っちゃったとか・・・。」

「そう!それでその代わりのものをと思ってね?」

「そうでしたか!深打さんは?」

「ぼっぼk」「ああ!ふうちゃんは私の男除け。頼み込んでついてきてもらったの!ところで吹雪ちゃんは?」

「私は・・・その・・・。」

手元には何か箱を持っている。

残念ながら中身はわからない。

「ああ!ごめんなさい。みっちゃんへのあれね?」

「はっはい。」

「これはいけないわ!デートの邪魔をしちゃいけないし、私たちは退散するわね!」

「でっデート!?いやいやいやそんなそんな!」

真っ赤になっているすきに退散をした。

 

「あぶなかったぁ~。」

「ふぅちゃんどもっちゃだめじゃない!」

「いやだって~。あ!みっちゃん。」

「見つかるとやばい!って何か見ているわね。」

「なんだろ?なに?」クイクイ

「みっちゃんがいるのって!あそこって!」

 

ジュエリーショップ

 

「「!!!」」

「これってひょっとして?!」

「ひょっとするかも?!」

 

 

その後尾行は細心の注意を払い、ばれないようにしたためばれずにフランス料理店へと舞台は移った

 

 

「きたわよ・・・・。」

『あの・・・。しれ・・・耳本さん。』

「盛り上がってきたわよ・・・。」

「みっちゃん・・・やっと・・・。」

『ひと月以上遅れちゃったけど誕生日おめでとう吹雪。』

「来たわよ!」

「・・・」

二人はこっそりと吹雪の手元を見る。

開けるとそこには・・・

雪のピンブローチが見えた

「「指輪じゃないんかい!」」

ドリフ並みの滑り方をしてしまい、一番身を乗り出していた夏木はそのまま倒れこんでしまった。

「やっば!」

「お客様!?大丈夫ですか?!」

「だっ大丈夫です!大丈夫です!」

大慌てで手のひらで顔を覆い、指の隙間から覗いた。

幸い吹雪はブローチにくぎ付け、提督はこちらを見たが気づかなかった。

 

 

「はぁ・・・・。」

「そんな気はしていたけどね・・・・。」

「そんなに甘くないかぁ・・・。」

「ところで今日半日つぶれちゃったから仕事が31日までずれ込むかもしれないんだけど・・・。」

「・・・・。広報部が年末年始忙しくないとでも思って?」

「あっ・・・!」

急いで財布を出し、伝票の上にお金を置こうとする。

テーブルの上にはその伝票がなかった

「みっちゃんみたいに頑張りましょ~・・・。」

「電・・・・助けて~・・・・。」




自分の誕生日に合わせちゃいました。
ほんとに自分を楽にすると楽で楽でw
ちなみに10月12日だったりします。
吹雪ちゃんの誕生日は11月15日です(進水日)

艦娘 誕生日 一覧 で検索すると一覧表が見れますよ!
ひょっとすると嫁艦と何かつながりがあるかも?
作者はなんと吹雪とは一日違い!古鷹と叢雲はおんなじ日にマークがついていました!
何のマークかって?


サボ島沖海戦


後は察してください・・・
つながりが全くないよりかましだけどさ・・・・。なんだかなぁ・・・。

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