これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の密約と会議

「やっほー。来たよー。」

「急に悪いな」

 

鎮守府内第一滑走路

 

飛行機から降りてきた夏木に俺は軽く返事する

「あれ?形式のやつはやめたの?」

「また言われると思ってな。壁をいまさら作る必要もないだろ。」

「あらそう?じゃあみっちゃん!話ってなあに?」

「急にぶりっ子になるな!執務室で話す。」

 

 

 

「お疲れ様です!司令官。夏木さん。」

「やっほー吹雪ちゃん。」スッ

「わっわたしお茶入れてきます!」スッ

夏木が吹雪に近づくと吹雪はお茶を入れに給湯室へとそそくさと行った。

「・・・」

「・・・・まぁなんだ。ドンマイ?」

「ほっぺムニムニしようとしたのばれたかぁ」

「目つきと目線でバレバレだったんじゃないか?」

しゅんとしてソファーに腰を掛ける

「しかたないわ。で?本当に何かしら?」

「これを見てくれ。」

先日うちで保護した山風のデータを見せる

「これは!ねぇ!本当なの!?」

「ああ。間違いない。本土の方では発見されていないか?」

「報告はないわ。目撃報告はあるけどね。なるほど、次の子の発見までのこの子の隠匿ね?」

「ああ。できないか?」

「この子の性格を見るに、このまま報告するのは非常に得策でないことはわかるわ。」

 

艦娘は新しく発見されると第一号は海軍技術研究室に送られる。

艤装の検査をおこない、建造が可能かのチェックが入るのだが、これが時間がかかる。

山風みたいな寂しがり屋なタイプで、提督に懐いて離れたくない場合は、提督も一緒にいることができる。

しかし、俺みたいなタイプは別だ。

うちの鎮守府が長期間開けると絶対に面倒ごとが頻発する。

方や、艦娘のほうは人体的な不安定さだけで済む。

かなしいかな。

艦娘を思いやるようになってきたといっても、こういう選択肢の場合は優先されるのは研究の方だ。

 

 

 

「できるっちゃできるわ。でも条件があるわ。」

「・・・どんな条件だ?」

真面目な顔に思わずこちらも顔が引きしまる。

「山風ちゃんとお風呂に入らせて。」

「知ってた。」

大体察しがついてはいたがガクッと来てしまう。

「いいでしょ!どうせあなたが引き止めるってことはべたべたに懐いているんでしょう!ねぇ!」

「わかったわかった!本人がいいと言ったらでいいか?」

「いいわ!」

「まぁどっちにしろ今は無理だ。」

「何でよ!」

「会議をやると言って俺と吹雪ちゃん以外は今日は会議室にいる。」

「あらそうなの・・・。」

残念というと、ものすごいスピードで吹雪に近づきほっぺを触り始めた。

「!しれいはん!たふけえくだはい!」

「すまん・・・。無理だ。会議が終わるまで我慢してくれ。」

「そんなぁ!」

 

 

 

駿河諸島鎮守府宿泊棟第二会議室

「全員いるね?」

中では、丸テーブルに8人席についている

「榛名さんは宿台帳の整理で今回は欠席とのことです。」

「しかたないなぁ。この間の作戦はえらいことになっとたし。」

上座に座っている時雨が立ち上がり、前のホワイトボードにある書類を張り付ける。

「手元の書類2ページ目を見てくれる?」

そこには数字の羅列がびっしりと書いてあり1~3、時々0が記載されている

「今月の提督の推定睡眠時間と自由時間、就業時間の比率をタイムカードから算出したやつだけど」

「やっぱりあの作戦が響いたね・・・。私もなるべく夜に押しかけているけど厳しいところがあるね。」

「あたしもなるべく行ってはいるけどね~・・・。ちょっとあれを拝借しないと動いちゃくれないね。」

 

川内と望月がそれぞれ自分なりの方法を言う。

あれとは何か・・・一言私物とだけ言っておく

 

「次のページが吹雪のタイムカードだよ。」

おおむね同じではあるが多少提督よりかは少ない

「わが姉妹艦ながらこれはひどいねぇ・・・。」

「吹雪ちゃんもまたワーカーホリックじみてますからね。」

 

深雪はしかめっ面、古鷹は苦笑していた。

 

「ちょっと待って。この日のタイムカード!」

会議をやると大半寝ているがこの会議だけは目を覚ましている加古が立ち上がる。

「この日の付け方違うよ!」

 

指したのはこの日は21:00退勤と記載されている日だった。

周りが25:00や27:00などの中、際立って少ない日だ。

「この日はあたしが夜の見回りだったんだけど1時ごろ電気がついていた!」

「あっそう言えば私も!」

 

 

 

どんどんと修正がなされ、結局ひと月で15時間ほどの残業隠しが見つかった。

このワーホリ提督なら少なめだと思いがちだが、毎日残業を行っているような人がこの時間を捻出すると自由時間はほとんどなく、睡眠時間すら削れているのだ。

「そろそろほんとに軟禁する?」

「まぁちょっと待ち時雨。」

不穏な発言をした時雨を龍驤が止める

「この間の秋祭り期間中なんやけどな?司令官やることなくて暇そぉにしとったんや。いかんせん半ドンの日だと時間をうまくつぶせないらしくてな。むしろ軟禁とかするとものすごいストレスかもしれないんや。」

「それもそうだね。」

「あっそうそう!あたしこの間の祭りで旅行券手に入れてるから連れ出そうと思えばできるよ!」

おおーという声が会議室に響き渡る

「でもそれは加古が使いたいなって思ったときに使った方がいいんじゃない?」

古鷹が言うとそれもそうかと納得し、ひっこめる。

 

 

「いっそもっちーに執務室でいたしてもらうとか?」

「あたしはいいけどさすがに嫌われそう。」

今更じゃないかといった顔をみんなでするが、口には出さない。

「とにかく、提督の残業癖に関してなんだけど特効が見つかったんだ。次のページを見てくれる?」

次のページにはここ一週間の勤務実態表が乗っていた

「なんやこれ!」

「これほんとにみっちゃんのかよ!?」

「ええ・・・?!」

八時から九時には絶対上がっている。

吹雪も同様であり、それが一週間も続いているのだ。

誰もが驚愕し、原因は何だろうか、ひょっとしてついに体調を崩したとか?

そんな深刻な予想が飛び交う中、時雨が続けた。

「その立役者が山風だよ。」

時雨がこの空間に戸惑い気味だった山風の名前を口に出すとみんな視線を向けた。

「山風は艦の時の体験上、寂しがり屋な性格なんだ。だから今は提督と一緒に寝ている。」

「なるほどなぁ。で、起こせないから司令官の勤務時間が減ってたっちゅう訳や。」

「今までうちにはいないタイプでしたからね。」

「あたし、何か、まずかった・・・?」

注目されなれてないのか、いつもよりしどろもどろになって心配そうな顔で辺りを見る。

「ああごめんね。山風はむしろとってもいいことをしてくれたんだよ?」

「そうなの?よかった。」

時雨がフォローすると、山風は安心した。

「でも、山風がみっちゃんとでしか寝れないというのはまずくないか?」

深雪が新しい問題を出す

「おいおいだけど僕と提督、吹雪の交代制にしようと思っているよ。」

「なるほど。そうすれば提督の残業時間の調節ができるから私も押し掛ける頻度が減るね。」

「そういうこと。じゃあ次の会議の議題は提督と吹雪の全休日に絶対仕事をさせない方法を考えようか。」

 

書類をまとめ、解散となった。




登場人物に山風を加筆しました。


昔やらかした失敗

第十一駆逐隊出撃せよ!でオリョールヘ出撃!
S勝利で成功したのに達成がつかない!なんで?
吹雪だろ、白雪だろ、初雪だろ、深雪だろ・・・。
え?深雪じゃなくて叢雲?あっ・・・
そうだ深雪は・・・(;ω;)

深雪ちゃんにも何か任務上げたげてよ運営さん・・・。

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