これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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皆様新年あけましておめでとうございます!

本年もこれははたして鎮守府か?をよろしくお願いいたします!


駿河諸島鎮守府の秋祭り 第八夜

そんなわけで毎度おなじみの祭り屋台の列

まだどんな食べ物には飽きていないかなと俺は考えた。

龍驤の時以外は全員俺と半分こして食べているため、屋台は違えど大体同じものを食べているのだ。

確かに味は違うが所詮は同じ料理。

すでに大半は食傷気味となっていた。

「提督お待たせ!今日は私の夜戦をしてもらうからね!」

「悪かったって・・・。古鷹に言わないでくれよ?」

「私を楽しませてくれたら許してあげる。」

龍驤は今度飲むことで買収済み

全力で楽しませることに徹する以外道は残されていない。

(失敗したら吹雪ちゃんに恨まれかねんし)

 

「ところでどう?この牡丹の浴衣?似合ってる?」

「ああ。川内もかわいいんだからあとはその夜戦癖さえ何とかすれば・・・。」

「それは無理。」

「ですよねー。」

そんなこんなでいい感じの人混みを歩きどこの屋台に行くかと思うと俺は考えていたことと違った。

「金魚すくい?」

「そう!提督そろそろ屋台のもの全部食べたでしょ?だから今回はちょっとしたゲームっぽいもののほうがいいかなって思ってさ。」

なるほど。

お祭りの出店といえばよくよく考えれば食べ物以外もある。

「提督は得意?」

「まぁ見てなって。」

不敵に笑い、料金を支払うとポイを受け取った。

ポイを水に浸してはだし、浸してはだし金魚を隅に追い詰める

「よっと!」

そしてきれいに

「・・・・穴が開いたね」

「・・・・・・ちゃうねん」

なぜ関西弁なのかは置いておいて黙って店主に次のポイの料金を差し出す

正直に言うとこういうものは苦手だが、できないと何か悔しい。

あと少しだったのだ。

あと1、2回やればすくえるだろう。

 

 

 

 

 

「・・・・5回やって全部失敗した人はあんちゃんが初めてだ。」

憐みの表情で店主は俺の顔を見ている。

「それじゃあ私が教えてあげるよ!」

 

 

川内曰くポイは水につけたらそのままにしておけば強度が落ちずに済む。

そして肝心なのはすくうときに斜めにすること

水平だと水の抵抗で紙が弱ってしまう。

そして何よりも金魚が暴れず素直にすくえる。

 

 

「だからって全部すくいきっちゃう事はないでしょ。」

「2匹あればいいから断ったじゃない。」

半分をすくったあたりから店主の顔色が刻一刻と変化を始め、最後には真っ青になっていた。

返却を申し出た時は頭を懇切丁寧に下げられ、周りからはやーさんを見るような視線をされた。

 

 

 

その後もほかの屋台をやったが恥ずかしいことに散々な結果だった。

輪投げでは狙った方向に飛ばず、10回チャレンジで1回も成功しなかった。

ヨーヨー釣りでは一つだけをひっかけたつもりが3つも引っかかっており、こよりがちぎれ失敗。

なんとこれが3回連続。

隣では器用に川内が10個近くをつっていた(これでもセーブしたらしい)

それぞれの店主に

「あんた逆に器用だね。」

一言一句違わずに言われた。

 

 

「じゃあ次は射的!これなら大丈夫でしょ?」

射的か!これなら軍学校でも射撃訓練はしたし、多少はましだろう。

「たのもー!」(←やけくそ)

「あっ!すいません。それ明後日からなんですよ。」

ガーンだな。出鼻(じゃないけど)をくじかれた。

「でも射的だと提督にはかなわなかったかも。」

「?なんでだ?」

「だって提督、吹雪の腕を育てたでしょ?」

確かに吹雪の射撃を最初は面倒を見ていたがそんなにずば抜けていただろうか。

「自覚がないんだから~。ほら!そろそろ時間だから帰ろう?今日は楽しかったから古鷹には言わないでおいてあげる。」

「本当にこんなんで楽しかったか?!」

「もちろん!提督がここまでいろいろへたっぴなのは初めて知ったし、負けず嫌いで何度も挑戦するところは面白かったよ。」

 

 

・・・ちくしょう。

なんだか見世物にされた気がするが古鷹に報告が行かなければそれだけで御の字だ。

ふとくじ引きのお店が目に入った。

いろいろなものがあったがあるものに目が留まる。

牡丹や芍薬、百合など様々な花があしらわれているのに決して下品ではない髪飾り。

「川内!ちょっとくじ引きやってみていいか?」

「ん~?・・・いいよ!あたしもほしいものができた!」

 

 

 

「で?なにが当たったの?」

「これだ。川内は?」

少し不満げに見せる

「あっ・・・。私はこれ。」

「えっ・・・・・・。」

俺があてたのはマホガニーの万年筆。

シンプルだが使いやすそうなものだ。

一方川内があてたのは俺が狙った髪飾り

「「そっちか~・・・。」」

声がはもり、顔を見合わせた。

どうやら川内も万年筆を狙ったらしい。

「なんだかこういうのってあるんだね。」

「だな。せっかくだし交換するか?」

「いいね。来年こそは当てて送ってあげるからその時までとっておこう!」

 

 

 

結局交換をし、執務机の一番下の引き出しに小さな箱を押しのけ髪飾りをしまいカギをかけた。


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