これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の秋祭り 第四夜

「・・・・・・」

「zzz」

毎度のことながら気持ちよさそうに寝ている。

おそらく今日のお供は加古なのだろう。

だが浴衣を着ていないところを見るとどこかで着替えに行くのだろう。

今日の執務は終わったがあと一時間勤務時間がある。

都合よく加古もぐっすり寝ているため、明日の分にちっとばかし手を付けてもばれはしないだろう。

そう思い明日の分と書かれたファイルに手を伸ばした。ガシッ

「提督ぅ?加古スペシャルくらいたいの?」

「今寝てたやん・・・」

「終わったなら行こうか~。」

無慈悲にも執務室を引きずり出され鍵を閉められた。

「じゃあ着替えてくるから地下鉄前で待ち合わせね~」

鍵をくるくると回しながら行ってしまった。

 

 

 

「おまたせ~」

「おう。撫子とはまた・・・似合っているけどさぁ。」

白地に淡い水色で描かれた撫子

「悪い?」

「うんにゃ。そういう意味じゃないんだけどね。」

 

 

「んできたわけだけどどっか行きたいところは?」

「今日ってご当地限定のが一番多く出てる日じゃなかった?」

見回してみると確かに物珍しい屋台が多く並んでいる。

「じゃあ行ってみようか。」

「よっしゃぁ!」

 

 

 

 

「加古よ。」

「なんだい提督。」

「なんでまたここを選んだ?」

「ちょっと贅沢なもの食べたいなぁって思って入ったんだけどさ。あたしも予想外だったんだよ。」

ご説明させてもらうと屋台の中にカニ汁と書いてあったのだ。

カニといえば北海道。

紋別鎮守府が提供しているらしいが・・・・。

「カニ一匹マジで入ってるって・・・。」

「一つにしてよかったよ。」

文字通りカニ汁だがプラスチックのお椀に丸々一匹分(カニ味噌付き)入っているとは予想だにしなかった事態であった。

「・・・」パキッ

「・・・」パキッ

「・・・あっ!」

「・・・」モグモグ

「くっそ!」カリカリズズ

「・・・」パキッ

「・・・」パキッ

「・・・」モグモグ

「あっ!まただ・・・」カリカリ

「提督へたくそだね~」パキ

「もうヤダ・・・はよくって次行こう。」

地味なためカット(メメタァ)

 

 

 

 

「黒こんにゃく」

「玉こんにゃく」

「・・・・」

「・・・・」

「「酒のつまみじゃね?」」

なんというかご当地物はどうしてこう酒のつまみになりそうなものになるのだろうか。

というかこんにゃくって群馬が名産だったような・・・。

出しているのはそれぞれ八戸と酒田。

おもっくそ東北である。

隣の秋田鎮守府はオランダ焼きとババヘラアイスと比較的有名かつお祭りに似合いそうなものを出しているというのに。

「あっこれおいしい。提督あー。」

「あー」

ババヘラアイスを食べっこしながら次の中部エリアへと向かう。

 

 

 

 

「これは!」

目の前には白色の饅頭。

表裏にはきつね色の焼き目がついてあんこという焼き印がついている。

「提督好きでしょ?あたしが買ってきたよ。」

かぶりつくとピリ辛の酸っぱい味が広がる

 

 

ピリ辛の酸っぱい?

 

 

「野沢菜のお焼きじゃんこれ!?」

「あははは!引っかかった!屋台に知り合いいたから焼き印すり替えてもらったんだ~」

「ごるぁ!俺の久しぶりのあんこへの期待を返せ!」(←ここ4日くらいあんこ系食べてない)

「おいしくないの?」

「うまいけどさぁ・・・なんというか舌があんこの準備してたからちょっとね・・・。」

「わかる。」

「知っててやりやがったなぁ!」

「まぁ、なんてーの?これぞのざ罠!・・・悪かったって!あだだだだだ!」

食べ物に関するお仕置きを軽く決めておいた。

 

 

 

 

「提督。もう無理・・・。」

「やっぱ多すぎんだろ・・・。」

なんとか中部エリアまで来たがまぁ日本全国に鎮守府があるわけで全部は食べきれない。

「ボーナスは難しいか~。」

「え?なにそれ?」

「なんだか各地方の屋台を回ると豪華賞品が当たる福引ができるみたいだよ?」

ほらと渡された抽選権は6枚

地方全部回るとプラス10枚されるらしい。

「無理無理・・・。関西と中国、四国、九州、沖縄あと5つのエリア行くのは絶対無理。大型の子を引っ張ってこないと。」

やけに大型の子たちを連れていたり大所帯がいたりしたのはこのためか

 

福引所は長蛇の列ができている。

だが回数ごとに列が分けられているため10回以下の列は進みが早い。

景品一覧表がでかでかと張り出されていた。

 

 

 

特等 駿河諸島鎮守府最高級旅館宿泊券ペア一週間分(休暇券付)  10本

一等 全資材1年分(大型鎮守府基準)&嗜好品1年分       50本

二等 お好きな自動車                     100本

三等 どこでも旅行券(日本国内のみ)             500本

四等 無期限1日有給休暇券(7枚つづり)          1000本

五等 明石工房の無料クーポン(5枚つづり)         5000本

六等 全鎮守府共通食事券5千円分             10000本

七等 間宮&伊良湖券(5枚つづり)

八等 伊良湖券(3枚つづり)

 

 

 

「うちら上から三ついらなくね?」

「四等を6つ出せばいいんだよ~。ほい提督とあたしで半分こ」

福引券を握らされ列へと並ぶ。

それに予算どうやってつけたんだろ・・・。

 

「あら。やっほー。」

「やっほーじゃねえよ。お前これどっから予算つけたんだよ?」

ガラガラの前には俺の同期、夏木がおり、受付をしていた。

「そんなの駆逐の会ネットワークにかかれば朝飯前よ。」

「なにそれ怖い」(逆らわんとこ・・・)

「さぁさ引いた引いた!五月雨ちゃんと早くお祭り回りたいんだから!」

「へいへい・・・。」

 

ガラガラ、ガラガラ、ガラガラ

 

「おっと!最後は四等だね!あとは七等だね。おめでとうございまーす!」

「げげ!おい。今すぐ八等と代えてくれん?」

「だーめ。ちょうどいいから休めってことでしょ?」

「いいから!てか最近めっちゃ休んでいるからもういいんだよ。あーもう後ろの人にでも交換して・・・」ガシ

なんかこんなやりとりちょっと前にあった気がする。

しかもその時よりも力強い握り。

本能が言う

後ろを見るなと

「提督ぅ?行こうか?」

「アッハイ」

 

「まったく!次あんなことしたら本当に加古スペシャルかますよ?」

「はい。でもこれはさすがになぁ・・・。」

「じゃああたしがいい使い道を教えたげる。」

そういうと俺が持っている券とは別の種類のを取り出した。

「ちょっとついてたよ。ガラガラの担当が初霜だったからかな。」

見れば三等の旅行券だった。

「これで今度あたしと旅行に行こう。それでチャラ!」

「・・・俺と?古鷹じゃなくて?」

「提督がいいの~。いいよね?」

「あ、うん・・・。」

「じゃあ鎮守府までおねがーい。もう眠いんだぁ・・・。」

後ろに回られおんぶを強要される。

「おーい!寝るな!・・・ダメか。」

すでに寝落ちしている。こうなったらもう朝まで起きないので、おぶって帰路に就くことになった。

 

 

p.s間宮券はみんなで分けました。




皆さん滅入り苦しみます~

艦これあるからいいもん・・・。
吹雪ちゃんが楽しそうだからいいもん・・・。

次は雨が大好きなあの子です。

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