これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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そろそろクリスマスというのに秋祭り編・・・。
こうやって現実の時間と乖離していくのかぁ・・・。


駿河諸島鎮守府の秋祭り 前準備

天高く馬肥ゆる秋

いくら温かいと言われている駿河諸島といえども少し肌寒くなり始めた。

そろそろ白い夏の軍服とお別れをして少し厚めの紺の軍服に変えなきゃかな。

そんなことを思いながらいつもの仕事をしていると電話が鳴った。

 

『はい。駿河諸島鎮守府です。』

『大本営広報部の夏木です。』

夏木大佐は大本営に努めている女性の中で一番の出世頭である。

広報担当なのは、おっさんが広報担当より女性がやったほうが受けがいいだろうということなのだろうが、実際この人事は大当たり。

様々な企画や宣伝を打ち出し国民に艦娘という存在を肯定的にとらえさせたのだ。

因みに俺の同期だったりする。

 

『いったいどのようなご用件でしょうか?夏木大佐?』

『・・・実は本土では各鎮守府が秋祭りを行い大成功を収めました。』

 

秋祭り

年に四回ほど鎮守府が一般公開される。春は花見、夏は夏祭り、秋は秋祭り、冬は地方によるが何かしらの開放が行われる。

夏と秋はどうしてもかぶってしまうが・・・

『さすがの手腕ですね。それで何か資材でも足りなくなりましたか?』

『駿河諸島鎮守府でも秋祭りの開催をお願いしたいのです。』

『・・・・・・・え?』

『だから』

『いや聞こえましたよ?でもうちでやっても誰も来ないですよね?島民って言ってもうちの者たちしかいませんし。』

『今回は一般開放ではなく、内部の開放のみです。』

全容が大体予想で来たぞ

おそらく今回のは内部のガス抜きの一環だろう。

秋祭りといっても1週間もやるわけにはいかない。

せいぜい2日か3日がいいところだ。

それでは鎮守府の艦娘たちはどうだろうか?

祭りを目の前でやってはいるが当然最低限の任務も行わなければならない。

艦娘とて年ごろの女の子

遊びたいという気持ちが芽生えてもおかしくはない。

規模が小規模くらいならぎりぎり回せただろうが、大規模のところは絶対に無理だ。

ならば内部のみでの開催を行い発散してもらおうというわけなのだ。

駿河諸島なら島民もおらず一般に知られることもないし、遠征名目で楽しめるので一石二鳥なのだろう。

『・・・・あいにくですがうちも業務で手いっぱいでして難しいかと。』

悪いようだが当たり前だ

ホストになるということは当然物資的なものや事務的な処理がわんさか来る。

そんな面倒ごとは大っ嫌いだ。(え?俺なら喜びそう?んなわけないだろ?)

『大丈夫です。そちらに対して増える業務は書類10枚程です。しかも全部サインのみです。』

『はぁ?それはいくらねーら?だって秋祭りだら?あっ』

『やっと普通の喋りになったわね。そのままでお願い。』

余りにもおかしい条件を告げられ思わず素が出る。

『はぁ・・・。それにしたって屋台やらそれに関する調達とかはどうするんだ?』

『それは各鎮守府の艦娘たちがやるわ。ご当地色を出した屋台って魅力的じゃない?』

『そういうことね。ってことはうちは受け入れに関する書類ぐらいだし、準備はそっちが勝手にやるからこちらは何もせんでええって事かい。』

『そういうこと。ちなみに時雨ちゃんと古鷹ちゃんには許可をもらってあるからね。』

『ちょっ・・・。まさかお前もみたんか?』

『見させてもらいましたよ?一番忙しい時で週100時間超えてるって何よ?あんた死ぬ気なの?』

『・・・・今は週60時間です』

『週40時間て知ってる?馬鹿なの?死ぬの?そういうわけで祭りの開催期間は10日間。その間は業務を大幅に減らせるようにしたから午後の4時間だけ業務をしてちょうだい。』

『え?!そんなに?!』

『あと9日目には同期会を開くわよ!』

『まじかー・・・』

『ってか最初なんであんなに他人行儀なわけ?!ひどいじゃない!』

『いやだってそっちのほうが階級上じゃん?』

『そんなの関係ないわよ!それを言ったら同期全員上よ。』

『よろしくお願いします夏木大佐。』

『はったおすわよ?と・こ・ろ・で・?』

あ。

このねっとりとした言い方の時はたいていろくなことがない。

『あんたついに吹雪ちゃんと一線超えたの?でもこっちの時雨ちゃんとの添い寝の記事が本命なの?』

『そっちの新聞は没のほうだろ!なんでお前がもっとんだ!』

『あら?そんなのロリコン大将(桐月大将)からパクったにきまってるじゃない。で?どうなの?なんなら駆逐艦の会にくる?』

『お断りします。大将にも誘われたんだけどどんな会なん?』

『ひたすら自分の嫁(駆逐限定)のかわいさをアピールする会』

『憲兵さんを呼ばなきゃ・・・』

『あら?憲兵隊長も朝潮で参加してるわよ?』

『誰だよそんな会合作ったやつ!』

『はい!わたしでーす♡』

『Fucking Jesus!』

『それとも白露の会のほうが良かった?』

『お前の嫁って?』

『五月雨』

『そーだよね!知ってたよ!選ぶときに上官脅してたもんな!五月雨ちゃん以外の初期艦は認めないって!』

『いやーマジで天使っすわー。聞く?五月雨ちゃんの今日の素晴らしいところ。月刊で配送もするわよ?』

『結構です。お前さんと話しているとどんどん気疲れしてくる・・・。』

『あざーす!』

『褒めてねぇ!どうせお前が作ったんだろ?その会も。』

『ちがうよー。別の人。』

『大本営にはいったい何人の変態がいるんだろうか。』

『変態じゃないよ!仮に変態だとしても、変態という名の紳士淑女だよ!』

『ははは○ろしてぇ。』

『というわけでよろしくね!同期会で詳しい話聞くから!みんなにも事前に伝えておくね!』

『え!ちょっと待て!おい!』

無慈悲にも聞こえてくるのはツーという電子音だけだった。




後半会話文のみになってしまいましたが許してください!なんry
想定だと10~11話を予定中です。

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