これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府への転属艦 その1

小鳥のさえずりと自然の一部を切り取って、大きすぎず小さすぎずにまとめた庭。

池の音は心を洗うかのような心地よい音、水面は澄み切った青空を映している。

縁側で庭園を眺めながら本日の間食である金つばを一口食べ、時雨が淹れてくれたほうじ茶を飲む。

「・・・いつの間にこんなの作ったんだろ。」

毎度おなじみの駿河諸島。

宿泊棟がある島にはこの間建設した別棟とはさらに別の離れができていた。

そういえば離れもあるといいよね、なんて言った記憶が・・・。地獄耳にもほどがあるぞ。

縁側で時雨、俺、吹雪の順でならんで3時のおやつ。

この間の寝潰れたのが漏れたらしく古鷹と時雨に危うく強制休暇のところを、ヒトヨンからヒトロクまでは3時の休憩の時間を取ることで許していただいた。

(加古と龍驤に問い詰めるとどちらも密告していたという。)

「だけどこの間の演習って無理していく必要あったの?」

「ああ・・・。みんなカンストしているけど出なきゃならんのは経験値配りが大きいかな?」

「私たちと戦うと強くなれるってみんな息巻いてましたね・・・。」

特に空母の方がとつぶやいた吹雪の目はどこかの航空戦艦の目みたいに空を見上げた。

「とかいって対空射撃で成績一番だよね?」

時雨の一言でふと成績表を思い出す。

空母数隻を立ちんぼ状態にした記録がちらほらあったような・・・・。

ご愁傷様です。(主にボーキ面)

「そういう時雨ちゃんだって旗艦の大和さんや長門さんを夜戦でぼっこぼこにしてたって聞きましたよ。」

魚雷ガン積みで夜戦でとんでもないダメージ記録もあったな・・・。

「でも経験値配りならもうちょっと手を抜けばよかったかな?」

「うーんそうだね。ちょっと勝ちがあるからね。」

あの編成で勝率4割って相当やばいからな?

ふつうこっちが3隻か4隻だったら相手はほぼ勝てるからな?

「意見書にかかれないといいなぁ・・・。」

ぬるめになったほうじ茶を啜る。

「おーいみっちゃんいる?」

ブッ!ゲホゴボ

「あれ?深雪ちゃん?なんでここに?」

「書類なら執務室に置いておいてよ。今は休憩中だよ?」

「そうとげとげしないでくれよ。うちの司令官から本人の直接渡せって言われてる書類だよ。つかみっちゃん大丈夫?」

「げっほ!みっちゃんはやめんか!」

軽く拳骨をし封筒を受け取った。

最高機密の赤い判が表と裏に打ってあるところを見ると、かなりの重要事項らしい。

 

ここで紹介だが深雪は大本営の所属である。

大本営所属とはほかの鎮守府にいる艦娘とはちょっと違いうちみたいに書類仕事や新米提督の教導などを行っている。

深雪は俺が新米のころについた教艦の一人だ。

「いいじゃんかよ~みっちゃん。」

ため息をつき封筒を開ける。

中には転属書が入っていた。

「やっと増員が認められたか!」

「「ほんとうですか!/かい!」」

「ああ!吹雪朱肉ある?」

「はい!司令官!」

どこからともなく朱肉を取り出し俺は判子と万年筆を取り出す。

時雨に思いっきり睨まれたがそんなこと気にしない。

いつ何時仕事をやるかわからないから常備は基本だ。

だから今度は身体検査も古鷹と相談しないとなんて言わないで。

「まぁ置いといて誰が転属何なの?」

「えっと・・・深雪か!なんだかお前を思い出すけどこの際誰でも大丈夫だ!」

「いやあたしだよ?」

「そうかそうかおm・・・えっ?」

「あたしが転属するんだよ?」

いつの間にか吹雪の隣に腰を掛け茶菓子をほおばりながらあっけらかんと告げた。

見れば転属前の所属には大本営と書いてあった。

「深雪これ間違ってね?」

「ほかの鎮守府にも深雪はいるけど大本営はあたしだけだよ?」

「・・・」

胸ポケットからスマホを取り出し電話を掛ける

相手は3コール目で出た

 

『はいもしm』

『おうコラくそ大将!茶の飲みすぎで脳みそに茶柱でも生えたか?なんだよこの転属辞令?』

『あのわしたいsy』

『んなの知ったことか!どうせ執務室で文月とケーキの食べさせあいでもしてんだろ!』

『今日はどら焼きだ!』

『どっちだっていいよ!さっさと答えろ!』

『ほんとはな?別の娘が行く予定だったんだけど深雪にお前の勤務報告書と転属辞令を見られちゃってさ』

『今度から大本営に送る資源へらそっかな』

『まってまって!深雪も本当に心配してるんだって!ね?珍しく直談判だったからさ』

『・・・わかりましたよ。明日返信の書類行きますんで。じゃあ』

 

なぜあきらめたか。

深雪が途中から頼むといった視線を送ってきたからだ。

からかいもあるだろうが大半は心配だろう。

知り合いの艦娘には俺の勤務実態表を見せないように念押ししている。

こうして心配されるのが目に見えているからだ。

「はぁ・・・よろしくな。深雪。」

「ありがとな!みっちゃん!」

「司令官か提督にしてくれんか?」

「じゃあみっちゃん司令」

「却下だ!」

その後、業務時は司令官でそれ以外はみっちゃん呼びが決まった。

押し切られたんや・・・。

 

「で?深雪にはどこに行ってもらおうかな。」

「人が足りてないところは・・・補給部か宿泊棟ですね。」

「警備部あるんだろ?あたしはそっちがいいな!」

「警備部は龍驤一人で何とかなってるんだ。艦載機でパトロールしてもらってるかな。」

まぁ大本営もうちと変わらない事務処理だし補給部へと行ってもらった。

 

 

 

「あっ!いい忘れてたけどもっちーには説明なしで来たからね」

「はいはい・・・はい?」

さらっととんでもない爆弾が落とされた。

「そんじゃよろしく~」

「待て!それってあいつも来る可能性が高いってことじゃねぇか!」

「まぁそうなるな」

とこぞの瑞雲教の司祭の言葉などいらん!

あいつはあいつで面倒なことになりかねん!というか100%やばい。

そんな時、胸ポケットでスマホが鳴った。

文月大将とディスプレイには表示されていた。

 

 

 

『はい。耳本です。』

『さっきの話だけどいい忘れて事が一つあったんだ。』

『・・・まさか彼女まで来るんじゃないですよね?』

『・・・てへぺろ☆』

『その喧嘩買いましょうか?頭を愛と勇気だけが友達のヒーローのごとく交換しましょうか?』

『わしに対してのあたりひどくない?!』

『そりゃ最初の着任辞令受け取りに行った日に執務室で文月とおやつの食べさせあい見せられたらそうなるにきまってるじゃないですか。』

『だってかわいいんだもん!』

『大の大人がもんなんてつかわないでください死んでください。』

『ひっど!こうなれば文月ちゃんのかわいさをたpp』

ブツッ

 

 

 

「着拒っと」

「どうしたんですか?司令官?」

「とりあえず行こうか。もう疲れた・・・。」

休憩を早々に切り上げ執務室へと深雪を連れて戻る。




というわけで深雪追加です!
もっちーは大体想像つくとは思いますが次の話で登場予定です。

初イベ完走!
着任ひと月半の提督がやる内容じゃないですよねこれ?
掘りなんて絶対無理・・・。
資源が枯渇して何度胃が痛くなったことか・・・。
山風、ポーラ、親潮来てくれてありがとう!!
朝風?知らない子ですね・・・

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