そういや先に『女教皇』戦がありましたね。すっかり忘れてた。
学園生活にも寮生活にも慣れてきた頃、寮に戻ると珍しく理事長がラウンジのソファーで一人寛いでいた。
まだ俺以外の寮のメンバーは帰ってきていないらしいので適当な飲み物を出して話し相手になる。
忙しい人なので最近会う機会が無かったのだが、誰かに用事でもあったのかと声を掛けると俺に用事があると言うのだ。
「人間ドック、ですか?」
その意外な言葉に目を丸くしてしまう。
学校指定の健康診断、というわけでは無いのだろう。しかし、この間も(不本意ながら)また入院していたし健康状態は分かっている筈なのだが、何か特別な事でもあるのだろうか。
もしや人体実験というやつではないか、と一人警戒心を高めていると、俺の不安そうな様子を感じ取ったのか「大したものじゃないよ」と声をかけてくれた。
「鹿島くんのペルソナは今までに類を見ないモノだというのは前々から言っているだろう?
ペルソナは心の形、平たく言えばそれが実体化したものだ。今までのデータに無い…ある種の異常を抱えた不確かなモノだ。もしペルソナが暴走したら下手をすると大惨事が起こりかねない。気づいたときには手遅れに、何て事になっては大変だからね。
だから形式上は人間ドック。実際は君のペルソナ関連の問診や血液検査等だね」
あぁ、と納得する。確かに知らない人からすれば『ザ・ニンジャ』は未知のペルソナである。それにペルソナは力の暴走で宿主を傷つけ、時には命を奪うこともあると聞いた。それならこの申し出も分かろうものである。
「なるほど、そういうことでしたら構いません。よろしくお願いします」
理由が分かれば不安があるはずもなく、俺は早々に快諾した。理事長には恩もあるし、先程はああ言った非人道的な事をされるとも思えない。
「そう言ってもらえると助かるよ。この間入院した時に一緒に検査できれば良かったんだが、いろいろと予定が着かなくてね」
機材や人員の準備も必要だろうし、何よりこの間は俺がさっさと退院したせいで時間もなかったのだろう。仕方の無いことである。
「僕の事故に大型シャドウ、転入生に新しいペルソナ使い…それに加えて学園でのお仕事もありましたから、時間が無くても仕方ありません」
言外に謝罪と承諾を伝えて理事長を労っておく。相手の仕事を一部とはいえ増やしているのだ、多少のことは気にしない、というスタンスで場を乗りきろうとしたのだが。
「実に情けない話だよ。子供を守るのが大人の仕事だというのに、都合が悪いからと君を危険に晒しているかも知れないだなんて」
そう言う理事長はいつものお人好しそうな表情に、確かな苦悶を滲ませていた。きっと、教育者として人として今の理事長の言葉に嘘はないのだろう。
まさかそんなに真剣に考えてくれているとは思ってもいなかったので、こちらも態度をあらためる。
「…僕は理事長に感謝してますよ。ペルソナ能力を持っていたのが理由だとしても、こんなに気にしてくださってるんですから。それだけでも十分です」
だからせめて真摯に応えるとしよう。恩返しになるとは思ってないが、少しでも負担が軽くなればいい。それが言葉やちょっとした我慢でできるなら安いものだ。
「鹿島くん…うん、ありがとう。
じゃあ検査の詳しい話なんだけど…」
あまり暗い顔はしてほしくない。疲れから来るものは仕方ないが、そういう時くらい精神的な負担は少ない方がいい。うん、人好きをする笑顔に声のトーンも上向き、いつもの様子の理事長だ。
と、見ていくだけでなく内容もしっかり確認しなければ。
「――以上だね。なにか質問はあるかな?」
血液検査と問診、影時間中にペルソナの召喚とそのデータ取り。ついでに記憶喪失の治療の手伝いをしてくれるらしい。
内容に特に妙な事柄はない。それに記憶を取り戻す手伝いもしてくれるのならこちらとしては願ったり叶ったりである。
「問題ありません」
「よろしい。では当日は迎えの車が寮に来るからね。
車が来るまで、待っててね?ぶふっ!!」
…でた。
せっかくそれなりによい空気だったのだが、実に反応に困る。これがなければ本当に付き合いやすいいい人なんだけどな。
「あー、はい。分かりました。では」
作り笑いを浮かべて理事長を見送る。台詞がぞんざいになってしまったのは致し方ないことだと思うんだが、どうだろうか?
…それにしても
「異常なペルソナ、ね」
理事長の意図としては主に『宿主に装着することで能力を発揮する』という点についての言葉なのだろうが、俺にとってはそれ以上に引っ掛かる部分がある。
寮の扉を閉めて、ラウンジのソファーに腰を落として先程の理事長との会話に思考を巡らせる。
俺のペルソナ『ザ・ニンジャ』は、かの名作漫画『キン肉マン』に登場する悪魔超人をモチーフにしたものである。それはペルソナの外観や使える技を考えれば一目瞭然、すぐにわかることであるのだが、問題なのは、この世界の誰も『ザ・ニンジャ』を知らないという事なのだ。
もっと言えば、この世界には『キン肉マン』という名前の漫画は存在しない。
これについては古本屋や書店で確認して確証を得たのだが、この事から導き出されるのが――
「結局はこの記憶が別世界の人間のモノ、或いは俺の妄想ってこと」
後者については流石に無いと思われるので除外するが、別世界とは、またとんだ奇妙奇天烈な話である。もしかすると未来の記憶なのかもしれないが、記憶にあるかぎりこの世界の文化レベルは記憶のそれと大差ないのでおそらく違うだろう。
…それにしても、転生して新たな生命として生まれ変わった!というならまだ納得はいく。いや、納得はいかないが諦めは着く。
しかし別世界の俺がどうなったのかは知らないが、瀕死の青年の身体を…そう、憑依したかのように乗っ取り今生きている、というのは訳がわからなさすぎる。
しかもこの身体の記憶も別世界の記憶もほぼ覚えていないというのはどういうことだろうか。
これでは、その、なんと言えばいいか分からないが…造られた物と大差ないではないか。
「何か他に思い出せればなぁ…生きていくのに役立つ知識とか無いもんかな」
何にせよ親もなく、金もなく、後ろ楯も何もない。無い無い尽くしのハードモードで、しかもニューゲームですらない他人のコンテニューをやらされる事になるとか、もう頭が追い付かない。
せめて前世(前の世界)の俺が寿命を全うしていたら、何かしら今後の就職や大きく言えば人生に役に立つノウハウを得ることができるのだが、記憶がなければ何にもならない。
どうしてこうなっているのか、前世の俺が死んだのかどうかも分からないのだ。完全にお手上げである。
「何で唯一覚えてるのが漫画の事なのか…」
我が事ながら本当に謎である。いっそ情けない気持ちになってくる。親兄弟との記憶や愛しい人との思い出ではなく漫画って…。しかもそれがペルソナに反映されるとは。
ペルソナはその人を映し出す鏡のようなものだと聞いた。影に生き、悪を成し、全戦全敗の悪魔超人…それが俺の本質に近いとは、なんというか自分が嫌いになりそうだ。
あ、でも原作で一勝はしていたか。
それにしても、皆が神話に出てくるようなカタカナの格好良い名前を叫んでペルソナを召喚するのに完全に自分だけ仲間外れである。
ほぼ和名な上に(この世界では)知名度ゼロ。あーあ、格好良いなぁオルフェウス…。
「でも強いんだよな、ザ・ニンジャ」
そう。何故か強いのだ。ザ・ニンジャ、まさかの強キャラである。生きる負けフラグなんて呼ばれてるのに。
弱点としては、『使える技数が少ない』『使用後の疲労感が凄まじい』『外見が忍装束になり不審』と、最後は冗談だがピーキーな感じが否めない性能だ。だが、素の戦闘力が凄まじく高い。
合体するという特性上、多少身体は丈夫になるし(『魔術師』との戦いで軽症ですんだのはそれが理由である)、走る早さや跳躍力など基本的な身体能力が並のアスリート以上に向上する。というかぶっちゃけ天井からぶら下がったり壁を歩いたりできる程度には化け物染みている。
そして何より――
「影時間じゃなくても出せる、か」
そして強く意識すれば召喚器もいらない。いや、元々あれは儀式的な意味合いが強いので絶対必要という訳ではないらしいのだが。
ふと周りを見回して、誰も居ないことを確認してザ・ニンジャを召喚してみる。
瞬間、何かがごっそりと体から失われる感覚がして、輪郭のぼやけたザ・ニンジャが現れる。
影時間の比ではない疲労感にすぐさまペルソナを消すが、心臓が早鐘を打っているのがよくわかる。
この召喚は非常に疲れるのであまり乱用は出来ない。十分に使えるようにするには練習が必要になるだろう。
ただ日中であってもペルソナを出すことができるだけ、活躍の場があるとは思えない。
それに少なからず性能は落ちるので本来の性能は出せないし、何より見た目が怪しい。
「特に日常生活で役に立つ技もないしな」
『順逆自在の術』が唯一使えるかとも考えたが、他者と場所を入れ換える事ができたところでそれが利益になる状況なんて稀すぎる。
対シャドウ戦であっても試した限りだと人型相手にしか効かないというデメリットがあり、更に敵が魔法を使ってくるとあっては尚更役に立たない。
どうせ忍者になるなら、チャクラとか念能力とかスペシウム光線とか使えるタイプの忍者が良かった…。
「将来就活の時に「特技は螺○丸です」とか言ったら一芸で受かったかな…ねぇよ」
そろそろみんな帰ってくる頃だろうか、時計を見るとちょうどそんな時間である。
考えていても埒が明かないし、絶対に答えが分からないことに思考を巡らせても、おかしな方向に行き始めることになる。時間は有意義に使った方がいい。
晩御飯の用意をしようとキッチンに向かう。もし誰かが食べたいと言った時のために少し多目に作る。余った分は明日の弁当につめるとしよう。
それにしてもペルソナを日中でも召喚できることを理事長たちに説明すべきか否か…まぁ、なんとでもなるか。
「…ベルリンの赤い雨程度なら使えるんじゃないか?」
思考がまた妙な方向に行きだした。とっとと晩御飯の支度に移るとしよう。
…まぁ、それに関しては要検証である。
今日のタルタロス探索も終わり皆が寝静まった頃、特別課外活動部三年、桐条美鶴の仕事はまだ続いていた。
戦闘データのまとめ、アナライズの詳細作成、メンバーのダメージや体調…様々な戦闘後の処理が必要なのだ。
特に今日は身体検査のために鹿島が抜けていたせいで二年生達の負担が大きかったのだ。
真田の怪我もまだ治っておらず自分もサポートで手が離せない。歯がゆい思いを飲み込んでデータを纏める作業に戻る。
いつもなら作戦室で行う作業だが、今日はラウンジで行っていた。
というのもいまだに帰ってこない鹿島の出迎えも兼ねてのことである。
「たっだいまぁ~…」
いつもよりだいぶ気の抜けた声と共に寮の扉が開く。
時計が2時を回った頃、ちょうど大まかなデータを入力し終え、休憩を挟もうとした時のことだった。
「おかえり」
恐らく皆が寝ていると思っていたのだろう、声をかけると大変驚いた様子でこちらを凝視してきた。
その様子が面白くて悪いと思いながらもつい笑ってしまう。
「あれ?桐条さんまだ起きてたの。あはは、変なところ見られちゃったな」
なんともばつの悪そうな顔でそう言う姿に、話を適当に変えて空いた席を勧める。
「検査だったのだろう?理事長から聞いている」
「結果としては収穫なし。ただし特別異常も見られなかったから個人的には問題もなし、ってところかな」
ざっくりとそう告げられた内容はあまり喜ばしいものではなかったが、鹿島の様子を見るに不安や嘘は無さそうなので一先ずは気にすることはないだろう。
それよりも気にしないといけないのは帰ってきた時間についてだろう。普段の門限を大きく越えての帰宅は本来なら処刑案件である。
「それにしてはやけに疲れてるな。今日は検査だけと聞いていたがそんなに大変だったのか?」
「検査自体は簡単だったよ。血を抜かれたり問診があったりはしたけどね。
問題は記憶喪失の方でさ…」
もしもついでとばかりに夜遊びをしてきていたら処刑だな、と物騒なことを考えていたが杞憂に済んだらしい。
そのまま目の前で話を続ける鹿島も疲れからか特に気づいた風もなく少し疲れた顔で笑みを作っている。
「初めは良かったんだけどさ。
いろんな機械試したり心理テストしたり、でも記憶って曖昧なものだし数字も上手く出ないからって研究員の人達が躍起になっちゃってね。
最後には催眠術だとか言って五円玉見せられたりして、結局結果が出なかったからまた来てくれってさ」
もう、散々だった。と締めくくった鹿島の表情にいつもの笑みは無く、ただ泥のように眠りたいという意思がありありと浮かんでいた。
適当に相槌をうってはいるが、正直同情してしまう。
「何か飲みもの淹れるけど、桐条さんもどう?」
「あぁ、いただこう。チョイスは君に任せるよ」
さてどのように声をかけようかと逡巡していると鹿島の方から切り出してきた。
頭を使うテストもやっていたと言うし、恐らく寝ようにも寝付けないのだろう。
ふらっ、と怪しい足取りでキッチンへと向かっていったが、ものの5分程で帰ってきた。
手には湯気をたてる二人分のマグカップ。
「お待たせ。熱いから気を付けてね」
「これは…ホットミルクか」
「疲れたときには甘いもの、って言うしね。桐条さんもお疲れみたいだしちょうどいいかなって」
そう笑って取り繕おうとする鹿島に、感謝の言葉とともっと楽にしていい旨を伝える。
すると少し驚いた顔をして、難しい表情をし始めた。
なんだか今日は鹿島の驚いた顔ばかりみているような気がする。
「それで、何か悩み事があるんじゃない?言いにくい事ならいいけど、話ぐらい聞くよ?」
少し逡巡した後、いくぶんか柔らかな表情になった鹿島はそんなことを言い出した。
なんでも愚痴を聞いてくれたお礼だとか…。
普段なら断っていただろう申し出だが、しかし今日の私は疲れており、更には悩んでいたことがあった。
「あぁ、そうだな。少し愚痴に付き合ってくれ」
そう切り出してからは長かった。
二年生の間で起こる不和について、伊織の暴走を止める役がおらず手を焼いていることや、高い階層では少し細かなサポートが難しい時があること、明彦の怪我が月明けには治りそうなこと等、今ある懸念事項についてとにかく言い尽くす勢いで口に出した。
「あー、うん。なんというか…ごめんなさい。
でもそっか。伊織くんも男の子だし公子ちゃんがリーダーなのが気に入らない。
いや、親切心とかそういうのかな、これは。
どっちにしても難儀な…」
鹿島も不和については思うところがあったのだろう。
先程までの私同様、頭を抱えて悩んでいる。
「現状特に問題が出ているわけではないから処罰もできん」
そう締め括ってマグカップを口に運ぶ。どうにもできないことを悩んでも仕方ないとわかっているが、それを実行に移せるほど私はまだ大人ではない。
「わかった。俺の方も気にしておくよ」
「すまない」
鹿島には悪いが、もう暫くの間二年生達の緩衝役として頑張ってもらおう。
気にしないでいいといってくれるが、今度何か礼をした方がよいだろう。普段の事もあるしな。
「それじゃあおやすみ。桐条さんも大変だとは思うけど、夜更かしはあまりしないようにね」
「あぁ、おやすみ」
今日はもう終わりにしよう。
明日は休日とは言えあまり生活リズムを崩すわけにはいかない。
こちら現場の鹿島でーす!
現在時刻は午前0時から時計が動かなくなった影時間で、視線の先にはヤバいスピードで暴走した電車が見えておりまーす!
では向こうに返してみましょうか。通信先の桐条さーん?
「あぁ、見えた。ヤバイね、ちょっとスピードですぎじゃない?」
『衝突まで残りおよそ30秒だ!しかも大型シャドウの討伐に手間取っていてブレーキもできない!』
はーい、ありがとうございます…ってこれ以上ふざけてる余裕はないね。
現在、俺と明彦くんが不在のタイミングに感知された新たな大型シャドウ『女教皇』は電車を乗っ取り猛スピード
で二年生の後輩たちを乗せて移動中である。
桐条さんの算出だとあと30秒ほどで影時間のせいで止まっている前の電車にぶつかるのだという。
今回、俺の役割は電車の通り道に『忍法 蜘蛛糸縛り』で作った網を設置し減速を図ることである。
正直無茶苦茶な命令だが、外部からやれる手助けなどこのくらいのものしかない。
「これで時間が稼げるといいけど…」
鉄塔にくくりつけた縄を軽く引っ張って強度を確認するが、とても耐えられるとは思えない。
鉄塔に登って、向かってくる電車を待ち構える。ここまで来たら腹を括るほかない。
南無三!
衝撃、それと同時に電車に飛び乗る。
鉄塔のへしゃげる恐ろしい音を聞きながら先頭車両の中を見ようと窓を覗き込むがよく見えない。
「桐条さん!中の様子はどう!?」
『今討伐が終わったところだ!有里!急いで電車のブレーキをかけるんだ!』
通信機の向こうから桐条さんの叫ぶ声と、それに続く後輩たちの混乱したような声が聞こえてくる。
幸い俺の行動が功を奏したのか、心なしか電車の勢いが落ちたような気がする。
しかし、減速したとはいえ今から間に合うかどうかは運次第になる。
「ちょっと間に合いそうもない…よね!」
やるしかない!
そう考えると同時、身体は空を舞っていた。車体に手を添えて正しく直線を描くように足を地面に向ける。躊躇や慢心などする余裕など無い、出せる限りの力を込めて全力でペルソナを使う。
そう、電車を素手で受け止める!!
二度目だけど…南無三!
「はいだらあぁぁぁぁ!!!」
着地と同時、自分でもよくわからない叫び声をあげて衝撃を堪える。
幸い数瞬で轢き飛ばされることはなく、微力ながらも電車の速度を下げられている。しかし少しでも気を緩めたらミンチになるのは避けられないだろう。
線路をつなぐ木材が電車が通るたびに壊れ飛び散っていく…確実に減速はしているが間に合わない!
突然電車が明らかに速度を落とす。中で誰かがブレーキをかけたのだ。
車輪がけたたましい音を立てて火花を散らす。
次第に腕にかかる負担が小さくなっていき、それが完全に無くなったのを確認して前を向くと、多くの人を乗せた鉄の箱は目の前で静かに佇んでいた。
「止まった、かぁ…」
完全停止、成し遂げたのだ。
脳が理解するよりも早く、思わずその場に倒れ込む。
『おい!鹿島!返事をしろ!』
ペルソナの能力を酷使したからか頭痛がひどい。全身隈無く赤疲労状態である。
じんじんと足が痺れる感覚がしているが感覚が鈍った今でこれなのだ、恐らく落ち着いたら痛みに苛まれるのは確定事項だろう。通信機から聞こえてくる声もどこか遠く感じる。
「死んだかと思った…もう無理…やっぱテリーマンは偉大だったんだ…」
『何を言っている!おい!…ちっ有里、鹿島が今そちらにいるはずだ。合流して…』
いくら身体強化ができようと、元が超人ではなくただの人間では新幹線を止めるのは確実に無理だろう。今回の電車だってギリギリなのだ、おそらくあと一輛追加されたら無理だった。
考えれば考えるほど自分の無茶が浮き彫りになる。
ifの恐怖から目を反らそう。こういうときは考えるのを止めて目に止まったものを観察するに限るのだ。
「でかいお月様だなぁ…」
非日常を象徴する緑の月。その狂気を孕んだ艶かしい光に身を任せ、そして後の事は皆に任せてぼんやりと影時間を過ごすとしよう。
あとに確実に待っている桐条さんによるお説教と入院生活については今は忘れてしまいたかった。
第二試合、VS『女教皇(の操る電車)』辛勝
ということで今回は鹿島くんのペルソナについての説明回でした。
何?戦闘が少ない?
上級生がいたら順平は暴走しないだろうからね、仕方ないんだ。
本当はもう少し先まで書きたいですが、一万字越えると見辛いからこのくらいで。べ、別に書く気力が尽きたとかじゃ無いからね?ホントダヨ?
まぁ、8月はちょこちょこ休みがあるので書き貯められるといいなぁ。
では、また。
「…でた。」
理事長名物、ダジャレ。
これを一々考えるのが面倒という理由だけで彼の出番は少なくなっております。
幾月ファンの方ごめんなさい。
「影時間じゃなくても出せる」
これについては申し訳ないのですが、本作品では私がペルソナの内容をキチンと理解しておらず鹿島くんの特殊能力ということにしております。
本編でこの事について言及があったかを覚えている方がいらっしゃれば、コメント等で教えていただけるとありがたいです。
「順逆自在の術」
ザ・ニンジャといえばコレ!という忍術。
巧みなテクニックで相手との状態を入れ換える技で、悪魔超人編にてブロッケンJr.を大変苦しめた。
…なお調子に乗った挙げ句、同じ技を返されてピンチに陥った技でもある。
「チャクラとか念能力とかスペシウム光線とか使える…」
前から順にNARUTO、HxH、ウルトラ忍法帳。
もしもどれか一つでも使えたら多分人体解剖待ったなしである。とくにスペシウムは。
「ベルリンの赤い雨」
ドイツ代表、ブロッケンJr.の必殺技。
ブロッケンは人間が超人になったケースの一人で、状態としては鹿島くんに割りと近いかもしれない。
「処刑」
修学旅行イベントは神だ。とだけ言っておきます。
「いくぶんか柔らかな表情」
自分のパトロンに雑な態度は取れないよねって話。
「はいだらあぁぁぁぁ!!!」
Z.O.Eに出てくる謎の掛け声、誕生や詳細など一切わからない。
ただ、ひとつ。
「逃げるときはお前も一緒だ!!」
『え…』
の流れは最高にテンションが上がった。
「赤疲労状態」
艦これや刀剣乱舞でお馴染みの疲労標示。
どちらもちまちまとやってた。
「やっぱテリーマンは偉大だった」
言わずと知れたキン肉マンのパートナー。
超人オリンピックにて子犬を助けるために猛スピードで走る新幹線を止めたことがある。
でも私のお気に入りのシーンは腕もげてもアシュラマンからドローをもぎ取るところ。