3月5日
昨日は混乱していて整理がつかなかったが、今日は少し落ち着いた。それでも精神的な疲労からか朝起きるのが遅くなってばたばたとしてしまったのだけれど。
戻った記憶がどうにも事件の直前と『以前』の記憶の一部程度なので核心と言える事は何も分からないが、それでも以前と同じ事をしていれば思い出せる事もあるだろう。
孤児院の時の記憶にあったので、一先ず料理からやってみようと思う。
3月6日
(何か書かれているが黒く塗りつぶされている)
3月7日
今日は荷物が届いた。以前いた寮にあった俺の私物をまとめた荷物らしい。教科書などの最低限の荷物は既にあったので残りということだろう。
今は大変だろうからと、幾月さんが手配してくれたようだ。ありがたい。
今日は一日、記憶を取り戻す物が無いかを探す予定だったのできっかけになるものが有るかないかでは大きく違うので、そういう意味でもこのタイミングでの荷物はありがたかった。
中身は本が数冊と不恰好な小物と音楽プレーヤー程度しか入っておらず、見てもあまり思い出せる事は無かったが、ただその中に一冊のレシピ本があったので、今あるこの記憶は無くなる前の物で合っていたようだ。
今日、寮の台所の使用許可を桐条さんからいただいたので、早速明日から作ってみよう。
3月9日
朝御飯を作っていたら朝練に向かおうとする岳羽さんに出会したので一緒に朝御飯を食べた。
寮に入った日以来あまり話せていなかったので中々楽しい一時を過ごすことができた。
彼女は基本明るい性格の様で朝から元気でこちらも楽しくなる、そんな人だった。
サラダとトーストという簡単な朝食だったのだが、喜んでくれたので明日からは少し頑張ってみようかと思う。
3月13日
岳羽さんと朝食をとっていたらランニングから戻ってきた真田くんも加わった。
どうやら朝食を作っている事を知らなかったようで、たまに一緒に食べる事になった。食べる人は多いほうが楽しいから良いのだが、プロテインでトーストを流し込むのはやめていただきたい。
動きが良いからと真田くんに影時間ぎりぎりまで付き合わされたせいで体が悲鳴を上げている。明日は一日きつい事になるだろう。
朝御飯、真田君だけハムエッグ抜きでトーストをかじればいい。
3月16日
朝の面子に桐条さんと、たまにだが真田くんが加わった。というか記憶を思い出す為にやっていたのだが、何時の間にやら朝食担当のような位置になってしまった。
結局記憶も戻らず終いなので成果自体は無かったが、寮の皆と仲を深められたので良かったのかもしれない。まぁ、それでも世間話ができる程度でしかないのだが。
学校でも未だに距離感が掴めず一人で過ごしているので、友達作りを少し頑張らないといけないだろう。
というか記憶を失くす前の授業内容がわからなさ過ぎて辛い。更に真田くんに貸してもらおうとしたらノートはとってないらしく、とても辛い。
とにかく今は記憶の回復とペルソナ関連の情報収集に努めよう。ただでさえ俺のペルソナは変わっているのだから。明日は明日の風が吹くと、偉い人も言っていた。
そういうことにしておこう。
夜に参考書片手に唸っていたら桐条さんに心配された。
授業の内容が思い出せないのだと言ったらノートを貸してくれた。いい人だ。
今度何かお返しをしよう。それがいい。
3月20日
昨日寮の食費を纏めておいてくれと言われたが、どうやら経費で落とそうということらしい。
今までは寮の雑費の中からいくらかいただいていたのだが、思いの外桐条さんに受けが良かったらしく晴れて食費をきちんといただけるようになった。これを嬉しいと捉えていいのか俺には分からない。だって、ついでとばかりに家計簿をつけることを義務付けられたのだから、喜んでばかりもいられない。
何にせよこの寮の食事事情を一手に引き受ける事になったのだから頑張らねばなるまい。
今は朝食だけにとどめておくが、休みの日なんかは全員分の晩御飯を作る事も考えてみようかと思う。岳羽さんと桐条さんの仲が少し不安要素ではあるが、いつかできたら良いと思う。
なんだか最近自分が生きていると実感する。だれかと関わっていると楽しい気持ちになれる。
これで学校でも友達できるといいんだけどなぁ。
二年生もそろそろ終わりが近い。
3月24日
春休み、何をしようか、無計画。
いや、寮にいる以外無いんだけどさ。
4月3日
新学期から寮に新しい子が来るらしい。なんでも2年からの転入生とか。
つまり完全に俺の後輩、ということになるのか。仲良くできるといいんだけどな。
最近ペルソナの扱いに慣れてきた。夜の散策が効いているのだろう。体つきも少し良くなったし、悪いことばかりでも無いようだ。
今度お礼に真田くんに朝食のリクエストでも聞いておくとしよう。
短かったが、そろそろ春休みも終わりだ。
4月8日
今日はすこぶる調子がいい。
影時間程ではないが、日中でも体が軽かったように思う。バック転位ならできるんじゃないだろうかと思って軽く運動してみたが、体力自体はたいして変化なかったようでただ疲れた。
逆に運動したせいで目が冴えて中々寝付けそうにないので、今日は少し本でも読もう。
少し走ってきてもいいのだが明日から新学期だ。疲労を残してはおけない。
4月11日
『マジシャン』と名付けられた大型シャドウとの戦闘から2日。今日は真田くんに続いて新しく友達ができた。
長谷川沙織(はせがわ さおり)さん、年上だけど後輩の二年生。休学していたせいで年が嵩んだとかなんとか言っていた。
穏やかな人で、今度おすすめの本を教えてもらう約束をした。ガチガチの純文学は手を出しづらかったのでありがたい。
本人は年上なことを気にしているようだったが、記憶喪失の人間よりは特異性はないよと言えば笑ってくれた。うまく壁が取れたようでその後はただ楽しく話ができた。
休みの日は散策か本を読んでいるかしかないので、本について話せる相手は貴重である。基本は図書室にいると言っていたので明日辺りまた訪ねてみよう。
4月19日
転入生、有里公子(ありさと こうこ)ちゃんが目を覚ました。
朝桐条さんから話があり、明日の夜にペルソナの説明をするから集まるようにとのことだったので今日のうちに顔合わせをしておくことにした。
一言で言おう、パワフルだった。
いや、岳羽さんと桐条さんが比較的静かなタイプだからというのもあったのだろうが今時の女子高生感が凄かった。『今時』と言っても記憶も何もないのだが。
しかし、はじめは面食らったがかなりいい子だった。素直と言うか世間知らずと言うか、そこは年上として気にしてあげたほうが良いだろうが仲良くできそうでホッとした。
朝は苦手らしく、朝ごはんの誘いをしたら「頑張ります!」と言っていたのでOKを貰えたと思っておいてよいのだろう。本当に変わった子だ。
ペルソナに影時間にと、明日は彼女の常識を覆すような事を説明する事になる。
彼女の人生に幸多からんことを。
大型とやりあったので日記を挟んでみました。
説明不足を補っていれたら良いな・・・。
活動報告を更新しました。興味があればどうぞ。
今後の事と雑談としております。
『『以前』の記憶』
前世(仮)の記憶。持っている記憶が少なすぎるので確信出来るほどの物ではない。
『音楽プレーヤー』
P3といえばコレのイメージ。
鹿島君のには洋楽が結構入っている。
『友達作り』
並みのコミュニケーション能力ではまず無理である。
なんだよ記憶喪失+学年の終盤って!とは鹿島君談である。
『食費』
寮母さん鹿島誕生。
実は食費だけでなく寮のお金の管理を全部やらされている。
『長谷川沙織』
隠者コミュのあのお方。
作者は女主人公と男主人公とでコミュが一新されている事を思い知らされました。
コミュ関係では彼女を出したかった。ただ、それだけ。
『有里公子』
ハム子。
悩んだ挙句、有名な名前をお借りした。
『岳羽さんと桐条さんが比較的静かなタイプ』
えっ!?
・・・え?