生きる負けフラグと相成りまして   作:菊池 徳野

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Q.目を覚ましたら周囲が血まみれだったときの私の気持ちを述べなさい(配点10点)


序章という名の手記

2月10日

記憶整理を兼ねて今日から日記をつけることにする。

今日からといっても昨日からの記憶しかないのだから書くこともあまりない。日記なんてつけたことがなかったのだが

 

白い壁に白いベッド、窓から見える景色はちらちらと雪が舞っている。看護師さんに聞いたら今は2月なのだと教えてくれた。道理で寒いわけだ。

たまに昨日見た光景がフラッシュバックする。明日はカウンセリングと精密検査を行うらしいがどうなるのだろう。

鹿島 忍(かしま しのぶ)というのが僕の名前らしい。忘れないようにしよう。

 

2月13日

今日は幾月という人が見舞いという形で会いに来た。記憶を失う前の僕を知っているらしいが、どうにも変な気分だ。

幾月さんは月光館学園というところの理事長で、僕はそこの生徒らしい。なんで親でなく理事長が来たのかと聞けば僕は孤児だったらしい。孤児院から特待生枠で入学したんだとか。

どうにも他人の話をされているようで妙な気分になるが、両親がいないというのは良かったと思う。正直記憶がない事が原因で気まずい空気になるのが嫌だし

 

何だろう、自分の事ながらえらく反応が淡白な気がする。記憶をなくす以前の僕はどんな人間だったのだろうか。あまり知りたくなくなってきた。

あと、僕は高校二年生らしい。17か。

 

2月17日

僕の退院日が決まった。25日らしい。

看護師さんがおめでとう、と言ってくれたがなんと返していいのかわからなくて曖昧に笑顔を浮かべておいた。

記憶がなく、後ろ楯もなく、社会的地位もない。僕の人生がハードモードすぎて泣きたくなる。

一先ずは寮に戻った後に色々と僕の情報を集めよう。理事長は落ち着くまで欠席でもいいと言ってくれたけれど特待生という立場上あまり長期の休みは取りたくない。

頭がいたくなってくる。

 

2月20日

今日、また幾月さんがやって来て、公欠の手続きの書類と寮の移動についての書類を置いていった。

記憶が混濁していると今までの寮生活は辛いだろう療養も兼ねてどうかな、と言われたが情報を集めようと思った矢先だったので少し悩む。

明後日また来るからその時にどうするか教えてほしいと言われたがどうするべきか。

一先ず手元にある資料を読んで決めるとしよう。特別寮か、どういったものなのだろうか。

 

2月22日

結局、寮の移動をすることにした。それというのも情報は学校で集めればいいということに気づいたからだ。

少人数の寮というのも決め手になった。既に二年経った学生生活で今から新しく輪を作るよりはその方がいいと思ったからだ。

それを幾月さんに伝えるとどこかほっとしたように笑っていた。どうやら心配してくれていたらしい。

退院日に迎えを出すと言ってくれたけれど、何から何までしてもらって申し訳ない。

 

フラッシュバックが起きなくなった代わりに事故の瞬間を夢に見ることが多くなった。日常に支障がでないのはいいがあまり長く眠れず、深夜帯に起きてしまう。

購買で買った雑誌を読んで気をまぎらわせる日々が続く。

最近、夜が長く感じる。

 

2月25日

退院して寮に移ったのだが、驚いたことに寮生は三人だけだった。

同級生が二人と後輩の女子が一人。本当はあと一人居るらしいのだが何やら事情があるらしく教えてもらえなかった。

二年の桐条さんが寮則や建物について教えてくれたのだが思っていたよりもかなり緩い。

夜間の外出可、なんていいのだろうか?とも思って聞いてみたが桐条さんは家の事情等で夜出る事もあるからありがたいのだと言っていた。

けれど、外出するのなら学業に響かない程度にな、とも言っていたので割りと厳格な育てられ方をした人なのだろうと思っていたら一年の岳羽さんから桐条さんが大企業の社長令嬢だと教えられた。

さらに生徒会長も務めているらしい。なんか桐条さんはすごい人だった。

でも桐条さんの事を話す岳羽さんは妙に不機嫌そうだったので、桐条さんと喧嘩でもしているのかもしれない。話題には気を付けるとしよう。

もう一人は真田君という二年生の男の子がいるようだが、今日は会うことが出来なかった。なんでも大会が近いのだとか。

今日は頭が痛む。色んな人に会って疲れたのかもしれない。

 

3月1日

記録として残していいのかわからないが、今までの常識がひっくり返るようなことがあった。

説明を受けてから頭が痛い。もしかすると僕の記憶に関係するのかもしれない。詳しい話は明日にしようと言われたので今日は休もうと思う。

 

3月4日

昨日大切なことを思い出した。

いや、以前の記憶など、思い出せてないこともあるのだが、色々と書けない事を思い出したのだ。

だが、なんというか、だから何だという話で、何を書けばいいのか。

頭が痛む。疲れすぎたのだろうか。

もう、どうでもいい。

 

でも神様、なんで僕のペルソナは「ザ・ニンジャ」なんでしょう。

 




導入と面倒なペルソナ3の基本知識説明をざっくり飛ばしてしまおうというパートでした。
用語や事件の細かい話は追々説明を挟んで行く予定です。

『ザ・ニンジャ』
ゆでたまご先生の作品『キン肉マン』『キン肉マン二世』に登場する超人。
名前の通り忍装束に身を包み、一人称が「拙者」の元悪魔超人である。
ブロッケンに負けハンゾウに負けサタンクロスに負け、と全戦全敗を記録に持つある意味伝説の人。(後にカラスマン戦で初勝利をおさめる)
作者が一番好きな超人で、技の多彩さと噛ませらしい勝てなさ加減が魅力的なキャラクター。
この小説ではペルソナとして活躍していただきます。

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