イナズマイレブン!北のサッカープレイヤー   作:リンク切り

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誕生!イナズマジャパン! #04

 

 

 

 

 

紅白戦当日。

俺たちはグラウンドに出て驚愕した。

雷門中に、大勢の人が詰めかけていたのだ。

 

「凄いな、こんな雷門中初めてだ!」

 

「本当ッス。皆応援に来てるッス。」

 

「当たり前だろう。日本代表がかかってるんだからな。」

 

こう言い合うのは、円堂、壁山、風丸の無印判メンバー達だ。

しかし、雷門中に来たこともない俺からしても人の多さにびっくりした。

それくらいの人が集まっていた。

 

「「「よーきくーん!」」」

 

「ん?」

 

声のした方を振り向くと、そこには白恋中のメンバー達がいた。

その中から1人飛び出し、俺の腹にドスッと体当たりをかまして来た。

 

「ぐぼぉ!?」

 

耀姫(ようき)くん!頑張ってね!」

 

「おお、珠香、ありがとうな・・・・・あと、弁当美味かったよ。」

 

「えへへ、ありがとっ」

 

痛む腹を押さえながら言うと、珠香は花が咲いたかのような笑顔で答えた。

うん、そんなスマイル浮かべてもお前俺に攻撃して来てるからな?

 

「あはは、耀姫(ようき)くん、おはよう・・・・」

 

「あー。おはよう、吹雪。」

 

吹雪も笑いながらお腹を押えて撫でてることから、俺と同じことをやられたんだろう。

ドンマイ吹雪、俺も痛かったぜ!

 

「つーか、お前ら来るんなら先に言えよ。」

 

「んー、驚かせたかったんだよぉ〜〜〜」

 

「そ、そうか。」

 

グリグリと胸に頭を擦り付けて来る珠香を引き剥がす。

追撃なんてされたら流石に試合に支障が出るかもしれんだろうに。

 

「吹雪くんも耀姫(ようき)くんも頑張るべ!」

 

「日本代表は、士郎と耀姫(ようき)のツートップで決まりだべな!」

 

「ねえねえ、耀姫(ようき)、士郎。さっき、珠香がおだっててっころんだの。したっけね、隣のチームにちょされてね!」

 

「そ、そんな事言わなくていいでしょ!?」

 

「あーはいはい。話は後で聞くから、お前らどっか行ってろ。他のメンバーに迷惑だから。」

 

近くには円堂達がいる。

あまり長話も良くないだろう。

俺は珠香の背中を押してメンバーの元に戻す。

 

耀姫(ようき)くんの言う通り、こんな所でくっちゃべってねえではよ戻るべさ。」

 

「うん!じゃあ私達、あっちの席にいるから!!また後でね〜!」

 

「したっけね。」

 

珠香が指差したのは、雷門中のグラウンドにある、簡易観客席の一つだった。

そこには、『白恋中様』と書かれた張り紙がしてあった。

本当にちゃんと最初から準備してあったのかよ。

空港で普通にお別れしちゃっただろ、恥ずかしい。

 

「皆のためにも、代表落ちはできないね。」

 

「ああ。元々、するつもりもないしな。」

 

俺は、吹雪に不敵に笑って見せた。

そして、俺たちはどちらともなく手を掴み合う。

 

「負けないぜ、吹雪。」

 

「勿論、ボクもさ!」

 

そう宣誓しあった後、俺と吹雪はそれぞれのベンチへ歩いていった。

そこからは少しアップをして、時間を潰した。

心臓が大きくドクドクと鳴っているのがわかる。

緊張というよりは、楽しみで胸が張り裂けそうだった。

 

『さあ、お待たせいたしました!中学サッカー日本代表を決める紅白戦が今、始まろうとしています!!』

 

そして、いよいよ紅白戦が始まる。

 

 

 

 

 

『円堂守率いるAチーム!鬼道有人率いるBチーム!名誉ある日本代表に選ばれるのは、一体どの選手なのか!?』

 

今回は、雷門中名物の将棋部の実況がいるな。

やっぱり、実況があると盛り上がるのだろうか。

 

「世界と戦う。そのためにも、俺はこの試合に全力をぶつける!」

 

「新しい自分、新しい仲間。耀姫(ようき)くん、ボクも必ず、世界に行くよ!」

 

「世界中の強い奴と戦える。俺はそんなチャンスを逃すわけにはいかない。」

 

周りのメンバーは、皆気合十分のようだ。

やっぱり、皆かっこいいな。

全員の気迫が、ピリピリと伝わって来るようだった。

でも、ここから6人落ちるんだよな・・・・

 

「俺たちは、仲間であるとともにライバルでもある。自分の力を出し切って行くぞ!」

 

「おう!」

 

まずボールはAチーム、円堂側からのスタートだった。

 

フォーメーションは、

 

 

Aチーム

 

GK 円堂守(えんどうまもる)

DF 綱海条介(つなみじょうすけ)財前塔子(ざいぜんとうこ)壁山塀吾郎(かべやまへいごろう)飛鷹征矢(とびたかせいや)

MF 佐久間次郎(さくまじろう)熱波夏彦(ねつはなつひこ)松野空介(まつのくうすけ)緑川(みどりかわ)リュウジ

FW 基山(きやま)ヒロト、吹雪士郎(ふぶきしろう)

 

 

Bチーム

 

FW 清川耀姫(きよかわ ようき)宇都宮虎丸(うつのみやとらまる)豪炎寺修也(ごうえんじしゅうや)

MF 風丸一郎太(かぜまるいちろうた)鬼道有人(きどうゆうと)不動明王(ふどうあきお)八神玲名(やがみれいな)

DF 倉掛(くらかけ)クララ、木暮夕弥(こぐれゆうや)栗松鉄平(くりまつてっぺい)

GK 立向居勇気(たちむかいゆうき)

 

 

帝国との練習試合後、俺は鬼道に攻撃に参加するミッドフィルダーよりも、攻撃中心なフォワードにいてくれと頼まれていた。

そして、運動能力の高い虎丸をミッドフィルダー寄りのフォワードに下げてバランスをとった。

元の俺のポジションには風丸が入り、ウルビダとで鬼道と不動を挟む形に落ち着いた。

その分ディフェンダーが減ったため、ディフェンスを頑張ってもらいたい。

 

 

『ボールが中心に置かれ、いよいよキックオフです!』

 

ピーッ!!

長いホイッスルが響き、試合が開始された。

ヒロトが蹴り始めたボールは吹雪へと回り、2人でパスを出し続けながら息を合わせてそのまま持ち込む。

この2人、敵同士だったはずなのにこの2日間で完璧に連携がとれているな。

なんか、いつも吹雪の隣は俺だったから新鮮だな。

ヒロトと吹雪は、大胆にも中央から切り込んでいった。

しかし、中央には我らが鬼道有人がいる。

 

「虎丸!プレスで抑えるぞ!」

 

「はい!」

 

鬼道からの指示が飛ぶ。

そう、帝国戦の練習試合で、鬼道はもう俺たちの動きを把握できていた。

鬼道式サッカーの始まりだ。

 

「佐久間君!」

 

ヒロトは、一旦佐久間にボールを預けて鬼道たちを追い抜いた。

俺は佐久間よりも前に上がっていたため、そこはスルーした。

 

「よし、行くぞ!」

 

ボールを受け取った佐久間は、左側から吹雪たちを追うようにして攻め上がる。

それを許さない風丸がスライディングで防ぐ。

 

「そこだっ!」

 

しかし、佐久間はフェイントで風丸を出し抜いた。

 

「何だと!?」

 

うまく風丸を躱した佐久間だったが、そこにはクララが待ち構えている。

 

「いただき・・・!」

 

「くっ!?」

 

風丸を躱した直後で反応しきれなかった佐久間は、そのままボールを奪われてしまう。

その後クララは鬼道へとボールを回した。

 

「豪炎寺!」

 

鬼道から相手ミッドフィルダーよりも先に上がっていた豪炎寺にパスが回る。

豪炎寺は付いてきていたマックスと緑川を引き離してシュートの体勢に入った。

 

「通さないッス!」

 

目の前に出てきたのは壁山だったが、豪炎寺はその巨体をものともせずにボールを高く上げて自らも飛び上がる。

 

「行くぞ、円堂!」

 

「ああ!」

 

豪炎寺と円堂は、互いに一言交わした後に必殺技を出し合う。

 

「ファイアトルネード・改!」

 

「真・ゴッドハンド!!」

 

それぞれが、無印で一番初めに出した必殺技だ。

これはイナイレファンにとってはアツい展開だな。

円堂は、進化したゴッドハンドでファイアトルネードをキッチリと止めた。

 

『いきなりの豪炎寺と円堂の対決!まずは挨拶代りかーっ!?』

 

「行け!マックス!」

 

円堂からマックスへパスが通り、そしてマックスは吹雪へとダイレクトパス。

そこで木暮と栗松が吹雪の道を塞ぐ。

しかし、そこでヒロトがゴール前へと駆けた。

そしてボールはヒロトへと回ってしまう。

 

「行くよ!流星ブレード!!」

 

ヒロトは高く上げたボールを叩きつけるように蹴りつける。

すると、一拍おいて輝いたサッカーボールは光の奔流のようなシュートに変わった。

 

「旋風陣!」

 

「止めます!!ムゲン・ザ・ハンド・・・!!!」

 

旋風陣で威力が下がったはずが、流星ブレードは輝きを失わない。

激しい光に押し込まれそうになるが、立向居はそれを物ともせずに腕を突き出した。

数秒後、ボールはしっかりと立向居の腕に抱え込まれていた。

 

『立向居も負けじとシュートをガッシリキャッチです!互いにゴールを許しません!!』

 

「流石ヒロトさんだ・・・・シュートを止めた腕が、まだビリビリしてる・・・・」

 

「やるね、立向居君!でも、次は絶対に決めるよ!」

 

立向居は木暮へとパスを出し、そのまま風丸へ、そしてボールは鬼道に渡った。

が、そこでマックスと当たり、鬼道は必殺技を使った。

 

「イリュージョンボール!」

 

マックスを抜いた鬼道は、ゴール前にいた豪炎寺へとパスを出した。

 

「行け、豪炎寺!」

 

ボールを受け取った豪炎寺は鬼道の言う通り、シュートを放つ。

 

「爆熱・ストーム!!」

 

その名の通り、炎を纏ったそのシュートは、熱風を巻き起こした。

高所から放たれた爆熱ストームは、地面スレスレを這って円堂へと迫る。

 

「はぁぁああ!!正義の鉄拳!!!」

 

大きく振りかぶって突き出された拳は、豪炎寺の爆熱ストームを受け止めた。

しかし、やはり豪炎寺のシュートは強力で円堂の拳が押さえ込まれる。

 

「ぐ・・・ッ!!負けるもんかぁぁああ!!!」

 

『円堂、豪炎寺の必殺シュートを正義の鉄拳と気合いで防いだーっ!!』

 

一旦は押し返されたものの、円堂の正義の鉄拳は爆熱ストームをしっかりと弾き飛ばした。

円堂が弾いたボールは綱海がトラップし、その後ネッパー、ヒロトと繋がった。

 

「吹雪くん、頼んだよ!」

 

「任せて!」

 

そして、次はヒロトから吹雪へとボールが回る。

吹雪はそのままクララのスライディングを避けてシュートへと持ち込んだ。

 

「ウルフレジェンド!!ぉぉおおっ!!」

 

吹雪の蹴りつけたボールはまるで獣のようにゴールへと襲い掛かかる。

その後共に出現した牙狼が、ボールとともに駆けた。

 

「ムゲン・ザ・ハンド!!!」

 

幾つもの腕がウルフレジェンドを食い止めようと掴みかかる。

しかし、吹雪の猛攻は止められなかったようだ。

無限の手を貫いて、ボールが立向居諸共ゴールへと突き刺さった。

 

「うわぁあああっ!!」

 

『ゴォォオオル!!先制点はAチームの吹雪だっっっ!!!!』

 

どちらのチームもシュートに繋ぐまでが早い。

3回もシュートがあったのになかなか点が入らなかったが、やっと点が入ったな。

まあ、俺のチームの失点だから喜べはしないんだけどな。

だが、これで試合の流れは変わったはずだ。

というか、先制点は吹雪か。

何というか、悔しいな。

一言何か言ってやろう。

 

「吹雪、ナイスシュート!」

 

「あはは、ありがとう。でも、ボクの事褒めてていいの?」

 

「良いんだよ。だって、()()()()()()()から。」

 

「へえ。じゃあ、楽しみにしてるよ、耀姫(ようき)くん。」

 

吹雪は、楽しそうに笑った。

試合再開は俺たちからだ。

センターマークにボールが置かれて、俺がボールを蹴って試合が再開する。

 

「虎丸!」

 

「はい!」

 

虎丸は、回ってきたボールをキープして、俺たちと一緒にそのまま上がる。

俺と豪炎寺が左右に分かれ、虎丸はその後ろから走る。

俺達はフォワード3人でV字を描きながら攻めていく。

 

「虎丸、豪炎寺へパスだ!」

 

「はい!」

 

ボールを狙いにきていた、吹雪に取られる前に豪炎寺にパスを送る。

その間に、俺はもっと前へ上がっておきましょうかね。

吹雪にあれだけ啖呵切った以上、俺が決めたい。

 

「オレも活躍するッス!ザ・ウォール!!」

 

そう目論んでいたのだが、豪炎寺は壁山のディフェンスに止められてしまう。

うん、今は敵側だが、やっぱりディフェンダーにはどっしりした奴がいなくちゃな。

 

「マックスさん!」

 

「熱波!」

 

ダイレクトパスが熱波へ届き、そのまま上がろうとするが、それを風丸が許さなかった。

 

「今度こそ止める!」

 

先程は奪えなかった風丸だが、今回はスライディングに成功した。

そして風丸が蹴ったボールは、鬼道の方へと飛んで行く。

 

耀姫(ようき)!」

 

よし、やっと回ってきたか!

鬼道は俺の意を汲んだかのようなタイミングで俺にパスを出す。

ずっと前線でフォーメーションの穴を探っていた甲斐があった。

 

「行くぜ、止めてみせろ!」

 

俺は高くボールを蹴り上げる。

そして、しゃがんで全身のバネを使い自らも飛び上がった。

ボールを両足で強く捻り、回転を加える。

ギュルギュルと歪み、回り始めるボールへとどめの一撃と言わんばかりに蹴りを叩き込む。

ドリルのような高速回転をするその槍は、円堂のゴールへと投擲された。

 

「デススピアー!!!!」

 

その必殺技の名前を、声の限り叫んだ。

覚えとけ、これが俺の必殺シュートだ!

うん、これだ!

やっぱり、サッカーは楽しい。

 

『見たこともない強力な必殺シュートです!!円堂、止めることはできるのかーっ!?』

 

「行くぞ、耀姫(ようき)!正義の鉄拳!!」

 

正義の鉄拳が、デススピアーとぶつかり合う。

が、拮抗したのは一瞬で、デススピアーが円堂の鉄拳を粉々に打ち砕いた。

 

「ぐわっ!?」

 

『ゴォォオオル!!清川の必殺シュートがゴールネットを揺らしました!一体あの選手は何者だーっ!?』

 

よし!!

俺のシュートを止めたいなら、オメガザハンドでも習得して来な!

次も連続で点を入れてやるぜ。

むしろハットトリックだって決めてみせる。

 

「流石だね、耀姫(ようき)くん。」

 

「だろ?」

 

ポジションにつくまでの間に、吹雪と短い会話を交わす。

こっちがゴールを決めたため、ボールは円堂側からスタートする。

吹雪は緑川へボールを送って、自分はそのまま上がる。

 

「行くぞ、ワープドライブ!」

 

緑川は豪炎寺を必殺技を使うことでかわす。

ワームホールを作り出して異次元に行って相手を抜く、まさに超次元な技だ。

 

「よこせ!」

 

「何!?」

 

緑川は必殺技を使った後に不動にボールを奪われた。

不動は、そのまま自分で敵陣までボールを持ち込む。

そしてマックスをフェイントでやり過ごし、ゴール前まで一気に駆け抜けた。

後に残ったのは飛鷹だった。

 

「通すな、飛鷹!!」

 

「!?う、うす!」

 

飛鷹は、ぎこちなく不動の前に立ちふさがる。

その姿は、とてもじゃないがサッカーをやっているようには思えなかった。

 

「フン、お前なんかに止められるかよ!」

 

飛鷹を無視して、不動がシュートを打った。

飛鷹はそれに反応することもできず、棒立ちでいることしかできていなかった。

 

「はぁっ!」

 

円堂は不動のシュートをパンチングで弾き飛ばす。

ゴールを逸れたそのボールは、サッカーコートの外へと飛んで行った。

 

「ドンマイだ、飛鷹!」

 

「・・・・うす。」

 

「なんだ、アイツ。まるでシロートじゃねえか。」

 

口は悪いが、今回は不動の言う通りだった。

なんでこんな奴が、代表候補に呼ばれたんだ・・・・?

 

スローイングで、またしても不動がボールを手に入れる。

 

「はぁあああっ!」

 

そこで不動を止めたのは、スライディングをした佐久間だった。

佐久間は不動とは反対側にいたはずだが、ここまで来ていたのか。

佐久間がパスをしたボールは、そのままマックスに渡った。

 

「どうだ!?」

 

「フン、この程度で力むなよ。」

 

不動は相変わらず絵に描いたかのような嫌な奴だな。

 

「フローズンスティールっ!」

 

マックスのボールをクララが必殺技で奪い去る。

そしてボールは風丸、鬼道を介して俺へ回って来た。

よし、もう一度決めてやるぜ。

 

「追加点だ!デススピアー!」

 

俺はもう一度デススピアーを撃ち放った。

 

「正義の鉄拳!!・・・ぐわっ!?」

 

やはり、正義の鉄拳ではデススピアーを防ぐことはできないようだ。

 

「よし!」

 

追加点を確信したところで、飛鷹が動いた。

 

「くそ、今度こそ・・・ッ!!」

 

飛鷹ががむしゃらに足を振る。

すると、空間に歪みが入りシュートを引き寄せた。

 

「何っ!?」

 

「な、なんだ今の!」

 

俺と、ついでに円堂が驚愕する。

今のは・・・・・?

シュートを止めた飛鷹自身も、何が起きたのかわかっていないようだ。

 

「シュートが、急に失速した・・・・?」

 

・・・・そうか、そういうことか、なるほどな。

こいつは下手に見えて才能を持ってるって感じの選手なのか。

だけどサッカー初心者、と。

段々と強くなって行く、っていう感じのメンバーなのか!

自分の口がニヤニヤと釣り上がっているのがわかる。

こういう展開も面白くて楽しいな!!

 

ピッピー

 

短いホイッスルが鳴る。

ここで前半終了か。

 

ここまでのスコアは、一対一で、シュートを決めたのは俺と吹雪の白恋組みだ。

なかなか拮抗してるな、流石は日本代表候補だ。

 

 

 

そして、試合再開。

後半戦の始まりだ!

 

 

ボールは俺が持っていた。

ミッドフィールダーをかわしてウルビダへとボールを蹴る。

 

「ウルビダ!」

 

「私の名前は八神 玲名だっ!!」

 

文句を言いつつも、俺のパスを受け取って走る。

そしてそのまま吹雪を抜き、ネッパーを抜き、マックスをも抜いた。

必殺技を使わずここまで出来るのは凄いと素直に思う。

そしてウルビダは豪炎寺へとパスを出す。

 

「貰った!」

 

しかし、緑川が戻ってきていて豪炎寺の手前で体を入れこみパスカットを成功させた。

ここで豪炎寺にパスが通らなかったのは痛いかもな。

 

「熱波!」

 

「佐久間!」

 

ダイレクトパスを繋げ、あっという間に攻め入られた。

上がる佐久間を、風丸が止めにかかる。

 

「烈風ダッシュ!」

 

「何!?」

 

佐久間は、風丸をまるで疾風ダッシュの進化かというような技で抜いた。

そして、栗松のスライディングもフェイントで上手く躱した。

 

「旋風陣!」

 

しかし佐久間の快進撃もここまでで、木暮がボールを奪い返した。

 

「虎丸!」

 

木暮は、奪ったボールを虎丸へと託す。

そのボールを狙って、緑川がスライディングを仕掛ける。

虎丸はそのスライディングを受けながらも無理な体勢で鬼道にパスを出した。

凄いな、あんな姿勢でパスできる奴はそういないぞ。

パスを受けた鬼道は、自身で敵陣へとボールを持ち込む。

しかし、鬼道はすぐさま吹雪と緑川のプレスで動きを封じられた。

 

「こっちだ!」

 

不動がパスしやすい位置へと移動した。

鬼道は一瞬ためらった後、意を決したかのように不動へとパスを出す。

 

前半はシュートの嵐だったのと比べ、後半は慎重になっているのかまだ誰もシュートを打てていない。

こんな状態が後半15分まで続いた。

その硬直状態を破ったのはヒロトだった。

 

「流星ブレード!!」

 

「ムゲン・ザ・ハンド!!」

 

吹雪にアシストされて、ディフェンダーを抜いたヒロトは流星ブレードを打つことが出来た。

立向居も流星ブレードに応戦するが、やはり威力が高かったようだ。

ムゲン・ザ・ハンドは破れ、ゴールにシュートが突き刺さった。

これで2:1、俺達の方が負けている。

だが、後半もあと15分残っている。

まだ逆転の可能性はある。

 

俺は鬼道にボールを預けて、敵の陣地を上がる。

この試合で正義の鉄拳を敗れたのは、俺のデススピアーだけだ。

という事は、俺が一番決める可能性があるはずだ。

だから、とりあえず上がりまくってパスを待つ!

 

「虎丸!頼んだ!」

 

鬼道は同じく上がっていた虎丸にパスを出す。

 

「ここは通さないぜ!」

 

綱海が虎丸の前へ立ちふさがる。

しかし、虎丸は何故か見当違いの方向へボールを蹴った。

疑問に思ったのもつかの間、回転のかかったボールは綱海の周りを回る。

その間に虎丸は綱海を抜き去り、ボールも虎丸の足へと再び戻った。

虎丸の必殺技、ひとりワンツーだ。

 

「通さないッス!」

 

次は壁山が来るが、それはボールを蹴りあげて抜き去った。

後に残ったのは、ゴールキーパーの円堂だけだ。

またとない、シュートチャンスだった。

 

「来い!」

 

しかし、虎丸はチラッと俺の方へ視線を送る。

俺は塔子とマックス2人にマークされていた。

虎丸と俺が上がった時点で2人が着いたんだよ。

多分、正義の鉄拳を破ったことでかなり警戒されたんだろうな。

だから、ここは虎丸がシュートを打つのがベストだった。

 

「行け!打て、虎丸!!」

 

「・・・・豪炎寺さん!」

 

虎丸はそんなチャンスを、豪炎寺へとバックパスをする事で自分から潰した。

 

「くっ、爆熱ストーム!」

 

予想外のところからパスが来たためか、豪炎寺の反応が遅れた。

しかし、そこはエースストライカー。

しっかりとシュートを叩き込んだ。

 

「正義の鉄拳!」

 

だが、やはり円堂に止められてしまった。

反応が遅れたためか、豪炎寺のシュートの威力はいつもより落ちていた。

そして、そのこぼれ球を拾ったのは不動だった。

 

「へっ、行くぜ!」

 

ボールを奪いにかかったネッパーに、不動の必殺技がぶつかった。

ボールをお腹に蹴られた後、連続で蹴りを叩き込まれる。

これがジャッジスルー2。

ボールにしか触れてないとはいえ、性格の悪すぎる技だ。

だが、食らいたくはないが、その発送は面白いと思う。

 

「そろそろ、役に立たないとね!クイックドロウ!」

 

「チッ!」

 

マックスが不動から必殺技でボールを奪う。

そしてすぐに緑川へ、そして緑川からヒロトへとダイレクトでパスが繋がる。

ヒロトがシュートの体勢に入る前に、クララがボールを奪う。

 

「フローズンスティール!」

 

そしてクララからウルビダへ、ウルビダから豪炎寺へとパスが出て、最終的に俺の所までパスが回る。

よし、ここで俺がゴール前でボールを受けるのは大きい。

 

「次こそねじ込んで見せる!デススピアー!!」

 

残り時間はあと僅かだ。

ここで決めれなければチャンスはもうないかもしれない。

3度目のデススピアーだ!

これが決まれば同点に持ち込むことが出来る。

円堂だけでは止められないため、壁山が必殺技でシュートブロックを試みる。

 

「ザ・ウォール!」

 

しかし、やはりザ・ウォールだけではデススピアーを止めることは出来なかった。

 

「キャプテン!頼むッス!!」

 

「ああ!正義の鉄拳!!・・・・はぁぁぁああああっっっ!!!」

 

再び、拮抗し合うデススピアーと正義の鉄拳。

最初は押されていたが、再び円堂の気合いでボールを弾いた。

ボールはゴールポストに当たり、惜しくもゴールならず。

しかし円堂の真正面には、いつの間にか豪炎寺がいた。

 

「爆熱ストーム!!」

 

もう一度ゴールへ押し込むように蹴りこまれたそのシュートは、寸分狂わずゴールを狙う。

円堂も、慌てて正義の鉄拳で対抗する。

しかし、やはり出すのが遅れたためか今回は爆熱ストームの方が正義の鉄拳を貫き、ゴールネットを揺らした。

 

「ナイスシュート、豪炎寺!」

 

「ああ。お前のシュートも良かったんだがな。」

 

俺達は2人で互いを褒めあった。

これでスコアは2対2だ。

残り時間ももう殆ど残っていないはずだ。

ゴールを入れることができればそのチームが勝つだろう。

 

吹雪がボール蹴り、試合が再開した。

俺はボールを奪うべく、吹雪に肉薄した。

 

「吹雪!!」

 

耀姫(ようき)くん!!」

 

 

ピッピッピー!

 

いざ勝負、というところで、ホイッスルが鳴り響いた。

試合終了の合図だ。

結局、同点で終わったか・・・・

 

「いい試合だったな、吹雪。」

 

「うん!」

 

試合終了時、奇しくもすぐそばにいた俺達2人は腕を絡ませて握手をしあった。

結局同点だったが、最後まで楽しい試合だった。

後は、落選していないのを祈るだけか・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員良くやったな。お前たちのサッカーへの想い、見させてもらったぞ。」

 

「監督・・・」

 

「いよいよ、運命の選択をしなければならん。」

 

「はい。」

 

「今から日本代表の選手を決める。お前たちはここで待っていてくれ。」

 

響さんは、俺達選手を置いてどこかへ行ってしまう。

その時、近くには見たことない男がいた。

 

「あの人、この前も練習を見ていたんです。一旦誰なんでしょう?」

 

「さあな・・・・」

 

その男は、なんというか、鋭い眼光の持ち主だった。

全体的に何やら厳しそうな印象を受ける。

俺の記憶にも、あんな奴はいなかったが・・・・

もしかすると、世界編で初出の新しい監督とかか?

響さんは雷門を日本一にはしたが、言っちゃえば今はもうただのラーメン屋のおっちゃんだからな。

2では、吉良瞳子が監督やってたし。

 

「ドキドキするな、選ばれるのは誰なんだろう?」

 

「強い奴が生き残る。自然界の掟さ。」

 

「まだ、あんたが生き残るかはわかんないけどね。うしし・・・・」

 

「木暮くん!!」

 

それぞれは、思い思いに会話を始める。

俺も、吹雪と適当に雑談でも始めるか。

そう思って吹雪へ近づこうとしたが、気になることが耳に入った。

 

「虎丸。この試合の最後、明確なシュートチャンスがあった。なぜシュートを打たなかった?」

 

「・・・・!!」

 

「あの時、お前の決定的なシュートチャンスだったはずだ。」

 

「・・・あの時は、先輩達がいるのに、前に出るべきではないと判断しました。」

 

そう言って、逃げるように豪炎寺から離れる虎丸。

んー、空気悪くなるな。

初めて見た時は豪炎寺を慕う元気な後輩だと思っていたのだが、何か歪んでいるのか?

はあ、厄介ごとが増えたな。

 

「あいつは、まだ本気を出していないようだな。」

 

「・・・・誰もが代表になろうとアピールしているのに、あいつ・・・・・」

 

豪炎寺は、なにか考えるように黙り込んだ。

俺も、虎丸のことは気になるな。

俺の記憶では、すごいシュートを持っている奴なんだが・・・・

 

「さて。それではそろそろ、日本代表最終選考の通過者を発表する。」

 

「「「はいっ!!」」」

 

響さんが帰ってきた。

さて、ドキドキするな!

 

「・・・・だが、その前に。日本代表の監督を紹介する。」

 

「えっ?」

 

そこで出て来たのは、先ほどの厳つい男だった。

っていうか、予想当たっちゃった。

 

「私が監督の、久遠道也だ。よろしく頼む。」

 

「待ってください!どうして響監督が代表監督じゃないんですか!?」

 

「久遠は、俺以上にお前達の力を引き出してくれる。そう判断したからだ。」

 

「はい、わかりました。俺、響監督を信じます。」

 

円堂は、思った以上に潔く引いた。

他のメンバーは、まだあまり納得がいってないようだが。

 

「早速だが、これより日本代表イレブンを発表する。」

 

久遠は、何かのファイルを開きつつ代表メンバーを発表し始めた。

 

「まず、フォワード。豪炎寺修也、清川耀姫、吹雪士郎、基山ヒロト、宇都宮虎丸。

ミッドフィールダー。緑川リュウジ、鬼道有人、不動明王、八神玲奈。

ディフェンダー。木暮夕弥、壁山塀吾郎、倉掛クララ、飛鷹征矢、風丸一郎太。

ゴールキーパー、円堂守、立向居勇気。

そして、チームキャプテンは円堂守。

以上だ。」

 

よし!やっぱり入れたか、まあな、あんだけ強力なシュート見せたんだし、落ちるわけはないか。

でも、佐久間は予選落ちかー、残念だな。

・・・・それにしても、アフロディが呼ばれてすらいないのはどうしてなんだろうか・・・・

宇宙人との戦いでも仲間になってくれたのに。

怪我、まだ治ってないのか?

そんなことは無いはずなんだが・・・・

 

「今日から、お前達は日本代表イナズマジャパンだ。いいか。世界への道は厳しいぞ。覚悟はいいか?」

 

「「「はいっ!」」」

 

 

 

これから俺たちは、世界への第一歩を踏み出すことになった。

さあ、サッカー始めようぜ!

 

 

 

 

 




入れ替えキャラクター

・代表候補メンバー
闇野カゲト、武方勝、目金一斗、染岡竜吾、土方雷電
↑↓
清川耀姫、八神玲名、倉掛クララ、熱波夏彦、財前塔子


・選抜メンバー
綱海条介、栗松鉄平、土方雷電
↑↓
清川耀姫、八神玲奈、倉掛クララ

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