やはり欠落者の青春ラブコメはまちがっている。 作:アサリ||
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俺は、生まれて物心ついた時から、心に虚無感を感じていた。テストで満点を取っても、その虚無感は消えず虚しさが残り、かと言って人々に人気になってもこの心にポッカリと空いたような感覚は消えなかった。
何も失ってなどないはずなのに、俺の心は満たされなかった。そして俺は理解した、俺、比企谷八幡は欠落者だという事を。
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朝の5時に起きる。そして憂鬱になる。
今日もつまらない1日の始まりだ。と
俺には、家族がいない。
俺には記憶がないが、父と母と妹がいたらしい。
もしかしたら、家族がいればこの心の穴は塞がっていたのかも知れない。
そう思うと絶望する一生俺はこの『心の穴』と向き合わねばならないのかと。
いつもどうり1人で、朝食を作り、1人で食べ、1人で片付ける。そしていつもどうり学校に向かった。
俺は欠落者でも、学年首席を維持している。
最初は続いていけば、この心を、とも思っていたが諦めた、だがやる事も無いため、勉強をしていたらこうなった。授業も、体育も、休みも、昼食も何もかも、つまらない。つまらない。大事な事なので二回言った。
放課後、先生に呼び出された。
「なぁ比企谷、私が出した課題はなんだったかな?」
平塚先生はこめかみに手を当てながら言った。
「はあ、『高校生活を振り返って』だったと思いますが?」
「わかっているじゃないか、ではなぜこのような作文を書いたんだ?」
そりゃわからないだろう、欠落者の書いたものが、他人に簡単に理解されると思ってもいない。
「それが事実だからです、振り返っても振り返っても、つまらないことしかありませんでしたから」
「まったく君は、つまらないという事は何もしてないだけじゃないのか?」
平塚先生はため息をつきつつ言った。
何もしていない?馬鹿な事を言うな、俺はやって、この結論に至ったんだ、自分が欠落者というのが。俺は多少の憤りを感じた。
「君の目は、とうの昔に死んでいるような目だな」
「そんなに濁ってますか俺の目は」
俺は苦笑しつつ、答えた。
「そういえば、比企谷部活はやっているか?」
「いえ、やっていません」
「そうか、ではこれから、この作文の罰として、奉仕活動を命じる、ついてきたまえ」
平塚先生は唐突に横暴に言った。
「はい、分かりました」
こんな命令でも、文句の一つも言わずついていく俺はまさに社畜の極みだな。ハァ俺の人生は社畜への一本道だなぁと思っていると、この総武高校の特別棟の3階のある教室についた。
平塚先生はからりと戸を開けた。
俺にはその教室がとても異質に感じられた。
それは、その教室に1人の少女がいたからだろう。
「雪ノ下、入るぞ」
「平塚先生、入る時は、ノックをとお願いしたはずですが?」
「ノックをしても、君は返事をした事がないじゃないか?」
「それは先生が、返事する間もなく入ってくるからです、それで、その後ろのぬぼーとした人は?」
「あぁ彼は比企谷、入部希望者だ」
「2年F組、比企谷八幡です、って入部ってなんですか?」
「比企谷、貴様にはあの作文の罰として、ここでの奉仕活動を命じる、異論反論抗議口答えは一切認めない。」
「お断りします。そこの男の目を見ていると、身の危険を感じます」
雪ノ下は、自らの体を抱き、こちらを睨みつけそう言ってきた。
はっお前の身体なんかに興味を持つのなら、この『心の穴』はない。
「雪ノ下、安心しろ、この男の目と性格はちょっとアレだが、刑事罰になるような事はしない、この男はそういうところは信用していい」
ハァ?なんだよ、目と性格は関係ないだろ。
ただ興味がないだけだ、あとつまらない。
「なるほど………分かりました。」
納得しちゃたよー( ゚д゚)
「まぁ私からの依頼という事で、この男の人格を矯正してくれ、ではあとは頼んだぞ雪ノ下、あとそいつが学年首席なんでな」ニヤッ
平塚先生は人の悪い笑みを浮かべ去っていた。
「はぁ」
雪ノ下はため息をつきつつ、文庫本に目を落とした。
俺には説明の一つも無しかよ
「あなた、座ったら?」
「ん?あぁそうする」
俺はひとつ聞いてみた。
「なぁここなんなんだ?」
「えっ平塚先生から聞いてないの?」
雪ノ下は驚いたような顔でこちらを見てきた。
「ああ、丸投げされただけだからな」
「まず、ここは部活なのか?」
「えぇそうよ、ここは奉仕部、飢えた人には、魚を与えるのではなく、魚の取り方を教えるような、手助けをするような部よ」
その後、雪ノ下は無表情で言った。
「ようこそ奉仕部へ、歓迎するわ学年首席の比企谷君」
嫌味たっぷりの歓迎だった。
二話からクロスさせてゆこうと思うので、暖かい目で見守ってください。