「よー、どんな感じ…………え?」
『オニチャァァーーーン』
どかっとボス部屋に入って最初に聞いた言葉がそれだった。
甲高い声に思わず耳を疑い、誰がお兄ちゃんやねんとツッコミ入れようかと目の前を見ると、そこには気色の悪いモンスターがいた。
そして、そのモンスターの向こう側、檻の中にはジャック、バフォメット、銀二の2人が捕まっていた。
「え、キモッ!?……って、えっ、捕まってる………アッ!?ちょ、まっ……」
バゴッ!!!
えぇー、と思考停止している隙を狙って気色の悪いモンスターがジャガノート装備の俺に対して強烈なタックルをお見舞いしてきやがった。
「ぐぶぉ……あ、死んだ」
強烈すぎるタックル、ジャガノート越しにダメージを与えられて悶絶する。
HPバーが四分の一程減って行くのを見て普通の俺だったら完璧死んでた!マジあぶねー!ジャガノート着ててよかった!ジャガノ最強!今の俺は超超無敵ィーー!!と喜んでいると………、
『ゴロニャーーーン』
「ギャァァァァァァァ!!?何この子積極的ぃぃーーーーー!!?」
俺を格好のおもちゃと考えてるのか知らんがボス?はジャガノートのあちこちに噛り付いたり引っ掻いたり挙句にはじゃれついたりしてきやがった。
「「「ああ、死んだな」」」
3人の声が聞こえる。
……うん、俺も実はそう思うんよ。
だってHPバーがガンガン減ってんだもん、これもう無理だわ、無理ゲー。
「さ、させません!」
あー、もう死んだわーと半ば諦めたその時、プレイヤーの1人がボスに対してタックルを仕掛けた。
『にゃぶー?』
「私が、相手でっで、でしゅ!」
左手にMK3A1と、右手に……別の銃、アレは、まさかSAIGA-12か!?結構なレア武器ーーーを持った女性プレイヤー、まぎれもない、ショットガン使いの《サラ》だ。
そのサラがSAIGA-12とMK3A1をモンスターち向けて一斉射した。
12ゲージ弾が次々にライオン+鳥+イノシシ+わんちゃん+〜のキメラ型モンスターへと突き刺さっていく。
そして、突き刺さった直後、物凄い衝撃、轟音、爆風が吹き起こる。
「まさかの炸裂弾!?」
しかも二丁!エロイ、その武器構成はエロすぎじゃね《サラ》!
「ふぅ、行きます!」
いきなりの炸裂弾に身を捩るキメラの顔面を蹴手繰ったサラの次なる攻撃は、SAIGA-12による目ん玉への殴打、更にグリグリとほじくりながらのからの炸裂弾ーーーッ!!
至近距離の爆発でHPバーの4割を失ったサラだが気にする風もなくまた一撃二撃と炸裂弾をぶちかましている。
………てかSAIGA-12の耐久力の方が俺は心配なんですが……。
『ギョェェーー!!』
「うわ、痛っ……鳥肌立たたた」
HPバーがなくても分かる、アレはクリティカルヒットだわ。
目ん玉グリグリほじくられて爆発ダメージもプラスされたキメラは目に見えて弱々しい。
しかしキメラは最後の意地とばかりに牙を剥き、一対の翼をはためかせた。
「撃て撃て撃て撃て撃て!」
タックルで倒された時に落としたF2000を2つ拾ってダブルトリガーで大柄なキメラの体を埋め尽くすように弾幕を張る。
《プライス》と《ユーリ》もM4A1に取り付けたグレネードランチャーをポンポン撃ってはまた装填して、ポンポン撃っては装填するを繰り返している。
「しゃー!ってお前ら!何捕まってんだよ!?バカじゃねぇーの!?」
俺も追撃をと思ったところでそういえば3人が捕まっていたな、と檻の方を見やった。
あの中は継続ダメージが掛かる特殊フィールド指定なのか3人のHPバーが緩やかに減っていくのが見える。
さっさと出してやらなければならないだろうが、あいつらの態度次第だな。
「うっせーゾ、アリーヤ!なんか落とし穴にハマったんだよ!」
「いい気ンなってねェーでこれぶち壊しやがれ!」
「すいませんほんと、ほんとすいません」
チッ、まあ銀二が謝ってるから許してやるか……それにしても3人が入ってる檻、固そうだな。
アレ、5.56x45mmで壊れるかな?
「あっ、そういやあれあるじゃぁーん」
ストレージを操作して取り出すのはここに来る前に手に入れていたXM-25だ。
これはアメリカで採用されているエアバースト・グレネードランチャーだ。
型式の25が示す通り口径は25㎜で、6発の榴弾を飛ばすことが出来る。
更に更に、この武器の真髄は放った榴弾を対象の上空で炸裂させることにある。
具体的に言うと……。
XM25は、内蔵されたレーザーレンジファインダーで目標までの距離を測定し、射手が目標の前方3m-後方3mまでの間で起爆位置を設定すると、薬室に装填された25mm弾の信管に信管測合機が自動的に起爆位置を入力する。発射後は25mm弾が自らの回転数で飛行した距離を測定して事前に決められた距離に到達すると起爆する。25mm弾は目標の上空で起爆することで、目標が塹壕や蛸壺・建物の中に隠れている場合でも被害を与えることができる。(ウィキ調べ)
つまりこれがあれば障害物や塹壕に隠れている敵がいたとしても簡単にキル出来ちゃう超優れもの!というわけなのだ!最強!無敵ィーー!!
恐らく俺が手に入れた武器でもアンチマテリアルライフルより使いやすくて性能も良いんじゃないだろうか。
つーか、まず、俺アンチマテリアルライフルとか筋力値と元々の技術力の関係で持つことは愚か撃って当てることすら不可能だしね。
マジあのドロップ品どうしよう……売るか?いや、でもなぁ…持ってるだけでステータスみたいなもんだしな……サーバーに数丁しかないって話だし……すげぇ迷う。
「まあいいか、あとで考えよう。っつーわけでぇーエアバースト・ランチャーいっきまぁーーす」
「「「やめろ!?」」」
XM-25を構えると檻の中の3人が口々に「それはシャレになンねェーぞボケ!」だの「お、おいおいアリーヤ!中に撃ったら俺ららも死ぬじゃねぇよ!?」だの「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」だの宣うので一先ず撃つのは止めることに。
「んじゃフォトン……あ?使えねえー…ってえぇー………」
フォトンセイバーのナックルガード付きグリップを捻るが青白い光が現れない。
何故だ?と首を捻ると『このステージでは使用できません』という警告文が。
ちっ、と舌打ちしてやっぱりXM-25で破壊することに。
「だからそれはやめろッつってンだろがァ!ゴラァ!?」
「いやぁぁぁぁ人殺しぃぃぃぃぃぃ!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「お前ら隅に寄っとけ。後バフォメットの口塞いどけよ!集中出来んで手元狂っても知らんからな!」
「んほぉぉぉぁぉぉそんなこと言われれと疼きだぶぐっ!?」
「オーケー、この口うるせェバカは俺がなんとかしといてやるからとっとと壊せ!俺らに被害のない範囲でなァ!」
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!ん゛ん゛!?ん゛ーーー!!」
バフォメットの口を塞いでささっと右の隅っこに避難したのを確認して左側の最奥目掛けXM-25を撃つ。
空中で炸裂しないよう檻付近に撃つことで屈めば人一人分が通れる穴を作る。
「チッ、助かったぜ」
「あぁー窒息ダメージで死ぬとかシャレにならん……」
「お前がいらんことするからだ」
「サテ、とォ。ンじゃま、行くかァ……!!」
檻から出たジャックは犬歯を剥き出しにして笑いながら銃剣付きのハンドガン片手に投擲用の投げナイフやトマホークを目に見えないほどの高速でぶん投げている。
サクサクサクサクと突き刺さっているが、ダメージ入ってんの?アレ。
「これはァ、こうすンだァァァァァァァァァ」
「うおっ!?す、すげぇ」
「す、すげぇぇ!!ジャックちょーかっけぇぇぇ!!」
「絶対真似はするなよバフォ」
頭部まで列をなして刺さったナイフやトマホークを足場代わりにトントントンとボスモンスターの身体を飛び跳ねていく。
《アクロバット》スキルを上げていけば俺もあんなこと出来るんかな……スゲェやりてぇな…《真似事》なら…んー、イケる、か?
「うううゥゥァァァァァッ、ヒャァッハッハァァァァァァ!!!」
窮屈な檻から出られて狂喜したジャックはどうやらバーサーク状態に陥っている。
手に持ったナイフでザックザック、姿勢を崩して落ちたかと思えばブーツのつま先や踵から飛び出したナイフをキメラの皮膚に突き刺してロッククライミングのようにシャカシャカと這いずり回る。
お前は何処ぞの黒いGだよ……そうツッコミたくなったが、それは言わんといてやろう。
なんにせよライオン頭の鬣を引っ掴んだジャックはナイフをキメラの鼻に投擲して突き刺し、更なる足場を生み出す。
キメラが痛みに悶え身体を捩るというのに当の本人は素知らぬ顔でキメラの顔面をスイスイ歩いていく。
そして手に持った手斧やナイフを突き刺して笑うのだ。
まるで何処のホラー映画だよ、と今度ばかりは突っ込んだ。
そしてそれに対する返しが、
「知るかンなもン」
ときたもんだ。
本当にこいつなんでGGO来たんだろうか?剣で切り結びたいなら空を飛べて斬り合えるALOに行けばいいものを、何が楽しくて300、700、果てに1000メートル以上遠くから銃弾が飛び交うGGOというゲームで、2、3メートル範囲もしくは室内でしか効果の発揮出来ないナイフや光剣などという武器を持ってチャチャンバラごっこをやるのか1つも理解が出来ない。
「それがいいンじゃねェか。この距離なら俺は負けねェ、今にテメェのドタマ射抜いてやるぜ……だとか思ってるバカの喉元に刃を突き付ける瞬間、そしてそれに至るまでに弾丸を避け続けるスリル……ヒャハッ!このゲェム!最ッ高じゃねェかァ……!!」
とはジャックの言だが、マジで1つたりっとも理解出来ない。
まずこのゲームは抑えているとはいえ、リアル感を出すために痛みなどの感覚はある。
もし肩を撃たれたなら肩が、足を撃たれたなら足が撃たれた時の痛みを忠実に再現するのだ。
勿論俺はそんなのごめんなので、「あ、これ無理」とか「ハイ、死にまーす!」と直感で感じた時はすぐにトンズラ決めるスタイルで最近の対人戦は通している。
だって痛いの嫌ですし、死ぬのはマジごめんですし、それでレアもの落としたらマジ絶望。
………まあ、対人戦って言ってもフィールドに出る時は必ず3人以上のクランメンバーや別のプレイヤーと行くし、みんな俺より強いし……つーかごく最近に加入してくる新人もたった一ヶ月か遅くて半年ごろには俺の実力軽く抜き去ってくし……《チョコ》と《バニラ》が一番良い例だし……。
あれ、なんでだろ…自分のステータスや実力の無さが無性に悲しくなってきたぞ?
っていうかなんでみんなそう簡単に中級者下位止まりの俺を抜き去って行くの?
GGO運営開始の頃から俺このゲームやってるはずなのになんでクラン加入は元よりGGOプレイし始めて一週間の新人とタイマンやると負けるの?なんでぇ?教えてよ《チョコ》さん……どうやりゃあ最初期のプレイヤーがレア装備で固めたベテラン(自称)をハンドガン縛りの舐めプで瞬殺出来るんですか?
「な、何泣いてんだよアリーヤ」
「うん、なんかね、なんか哀しくなっちゃって」
「お、おう?」
誰にも言わないことがある。
まあ、黙秘しててもバレてるけど……。
俺は現在クランメンバー全員に多かれ少なかれ一度キルされている。
例えばタイマンで、例えば偶然の後ろ弾で、例えばクラン内の最強決定戦で、例えば《サンタ狩り》で。
勿論バフォメットにも、ジャックにも、銀二にも、ユーリやプライスにも一度以上戦って負けている。
チョコやバニラなんかそうだ。
最初の2、3日くらいは先輩の威厳+レア装備で固めた恩恵で10回20回と返り討ちにしてやったが、その内段々と負け始め、今じゃあの2人に勝てる見込みが一切無い。
51勝0敗だったチョコとの戦績も今や51勝180敗くらい……あ、9引き分けがあった。
俺をキルってドヤ顔になった直後仕掛けたB-ベティ地雷とかプラズマグレネードとかクレイモアで道連れにしてやったんだったわ。
……卑怯とか言うなよ?……ま、まあそんな訳で、多分少なくて6回以上はクランメンバーとタイマンなりやって返り討ちにされている。
グレンなんかは500から先は数えてない。
あいつはちゃんと覚えてるらしいし記録にもつけてるとか言ってたけど「ねえねえ、俺のこと何キルくらいしてる?」とか聞いて下手すりゃ3桁逝ってそうで怖過ぎて聞けそうに聞け無い。
……こほん、話が逸れた気がするが、ぶっちゃけいうと俺の実力はプレイ時間に比例していない。
むしろ反比例、なんかドンドン弱くなってる気がする。
他の交流のあるクランリーダー…有名どころで《メメント・モリ》のリーダーとかに聞くと「バカ言うな、お前が弱くて他の奴が強すぎるだけだ」とかいう辛辣なコメントを言われてガチ切れした結果2秒で軽く捻られたのはつい最近の話だ。
あの後酒代を奢らされた代わりに慰めてもらったからよぉく覚えている、無念。
とまあ、そんな感じで、俺はジャックの様に正面切って撃ち合ったりするタイプでは無い、サプレッサー付きのMP7A1を使ってるのがその証拠、サプレッサー大好きってのもあるけどさ。
他にも罠を張ってずっと待ち伏せしたり、芋ってたり、角待ち、キャンパー、et cetera。
エイム力はクランメンバーの半数には負け越してるしCOD系の癖でアサルトライフルとか持った状態で両手を振るーー分からなければ△ボタン早押しで実践したまえーーとか、意味のない癖をやっている時、他の奴らから「遂にアリーヤが一時的狂気に(笑)」「SAN値消滅」「気が触れたか、死に腐れ」という心無い誹謗中傷を受けたりもするほど素の実力はマジ中級クラス底辺の評価。
ーーまあ、なんでもありのタイマンだったら砂戦以外負けるきしねぇけど。
俺ってば道具と《真似事》と幸運スキルだけが持ち味の男だから☆
とまあ、長くなったが、俺の言いたいことは、俺が逆にこいつらの足引っ張ってない?っていうこと。
「ウヒャヒャヒャヒャヒャ自慢の鬣が丸ハゲになっちまったなァ!?ウッヒャッヒャ」
「ギャハハハハさいこー!ジャックガチさいこー!!ギャハハハハ、ハーゲハーゲ!」
『ヒドゥィィィン』
「なんでボス戦をナイフと斧で戦うかな……」
そしてなんで俺fpsそんな強く無いのに猛者揃いのクランのリーダーやってんだろうか、ってこと……。
「あーァ、楽しかったぜェ?ただ、弱すぎンな。まだアリーヤのが粘れる」
「あっ!それ分かるぜぇ。あいつあんま強くねえ癖に防衛戦とか逃げ戦とか囮役だとしつけーぐれぇ死なねぇもんな」
そもそも俺のクランメンバーは、クランに入って7ヶ月のプレイヤーで、元は別の近接武器をこよなく愛するクランのリーダーで、光剣の使い手の《ジャック》や何時もは《工房》に引きこもってなにかしら制作をしている《グレムリン》、《ソープ》から逃げるために加入して来た《プライス》と《ユーリ》など、他にも《分福茶釜》や《パンツァーラクーン》の愛称で知られる《隠神刑部》、破壊屋《デストロイ》、神出鬼没のゲリラ好き《セツナ》、クラン最強《ラプター》師匠、ヘリ担当の《ドラケン》などなど、他にも沢山いるが代表的なメンバーがこいつらだ。
どれも癖の強いプレイヤーだが、どこのクランに行っても軽くエース張れる強さだと思うし正直今タイマンやってこいつらに勝てる感じがしない。
で、中でも一番ヤバイのが《チョコ》と《バニラ》、俺のGGOを始めて、そして俺のクランに入って2ヶ月の「上級者に近い中級者」。
幾ら何でも成長速度パネェし非公式とはいえファンクラブあるし、GGOの宣伝とか紹介PVにオファーが来た事もあるらしい。
PvPの動画シーンでは画面に出て来た瞬間
『チョコチョコチョコチョコチョコ』『チョコちゃんハァハァ』『チョコちゃんペロペロ』
『バニラバニラバニラバニラバニラバニラバニラバニラバニラ』『バニラにゃんバニラにゃん』『バニラにゃんむしゃむしゃ』で画面が埋め尽くされたりPvP時の相手プレイヤーが有志の協力で特定されて翌日ファンクラブメンバーにリンチされたりネットの海に晒されたりとGGOでの人気度はヤバイ。
多分半年以内にチョコ教とかバニラ教が出るんじゃない?って規模の人気度。
そのお陰で俺のクランは知らない奴はごく一部ってレベルの認知度になったしファンの俺への当てつけは酷くなる一方だし……。
あ、あとクラン中二位の女性プレイヤー数も自慢の一つだけど、全部俺のトレードかPvPから始まった縁だぜ!俺ってば多分女性邂逅スキルがあるんだよ!隠しスキルで!それが俺が他の野郎共に嫌われてる要因の一つだけど!ヤベェ泣けて来た!
『イャァァ………ン』
「あ?殺ッちまったっかァ」
「おう、終わったかあ」
「ドロップは頼みましたアリーヤさん」
「うん、アリーヤ、期待する」
「良い物、良い物。わくわく」
「?なんのこと、ですか?アリーヤさんが何かするんですか?」
……実は言うとね、俺ね、別に討伐に参加せずとも良いんよ。
俺が行っても行かんでもこいつら何のこともなく倒すし、別に俺いらんのよ。
でも必要とされる理由、それは幸運パラメータを異常に高くステ振りしてるから。
最近手に入れた『もう一回』とか『ドロップ確率・倍』『ドロップ数増大』『レア上昇率・大』のお陰で、クランの中心的リーダーというよりは『ドロップ要員』的立ち位置だし、昔からついてるあだ名が『サンタクローズ』だし……。
てか俺がクラン立ち上げたのも俺をリンチして武器ドロップを目論むハイエナ共に対抗する盾役だったのになんかクランの中のクラン的な存在になり上がってるし……。
「わっ!良いの出たよプライス!」
「ほう、これは随分良いのだユーリ!」
どうやら今日も俺のゲーム内での運は良いみたいだと苦笑する。
出て来たのはHK417一丁、HK416C一丁、FAMS一丁、MP9一丁、MG4一丁、KSG一丁、トミーガン一丁、DSR一丁、ステアーAUGA3一丁。
その内トミーガンはいらない子なので『もう一回』を発動、トミーガンは晴れてMaxim 9へと生まれ変わった。
「Maxim 9か。これは俺欲しい。HK416、417はもう持ってるから良いわ」
Maxim 9を手に取ったのは、そのフォルムに心動かされたのと、これ以外はもう軒並み二丁か三丁は持ってるからだった。
「お、マジ?じゃ《フォールンダウン》で売るかクランメンバーの誰かに置き換しーー」
「それは当然私のものだよ」
「そして当然私のものでもあるのだ」
プライスとユーリがそれぞれHK416、417をストレージに放り込む。
HK416と417はM4カービンの強化型のようなものだし当然なんだろう。
「止めとけバフォ、俺とお前何もしてないから……」
「ちくしょぉぉぉぉぉぉいいもんねぇぇ!FAMSとMG4貰うからいいもんねぇぇぇぇぇぇぇ」
バフォメットの悔しそうな悲痛の叫びを最後に地下フィールドの探索が終わった。
作者はH&K社が大好きです。
MP7とかMP5とかXM8とかG36シリーズとか。
皆さんはどこの武器か好きっすかね?
次からは上階探索組です。