ゲームとは所詮“運ゲー”でしょう   作:人類種の天敵

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どうも、最近レインボーシックスシージを買いました。
しかし遊ぶ暇がないのとオンラインに接続してないので遊ぶことができなかったりします、なんで買っちゃったんでしょうね。






追い剥ぎは紳士の嗜みです

『シュコーシュコーシュコー』

 

袖や足首を覆うずんぐりとした白いスーツ、背中にはどでかなバックパックと、そこから連なるホースは緩やかな曲線を描いて頭部フルフェイスへと繋がっている。

地下にある廊下をウロウロと彷徨う研究者然としたエネミーだ。

 

『研究者A(非戦闘員)』

『戦闘力5』

『攻撃手段無し』

『⚠︎敵発見時→増援を呼ぶ特殊な電波を発信します』

『可能な限り姿を見られないように行動もしくはサプレッサーやナイフを用いたステルスキルが好ましいでしょう』

 

戦闘力たったの5か……ゴミめ。

そう言いたいところだが、こいつは危険を察知すると仲間を呼ぶらしいので出来れば見つかりたくない。

極力近づかない方が良さそうだ。

 

「………行ったぞ」

 

「OK……ったく、敵への攻撃がダメとか…ストレスが溜まんなァ」

 

「勘弁しろ。今の所、攻撃手段はお前の光剣か俺のサプ付きMP-7。はあ、火力組を集中させたのが不味かったか」

 

研究者Aの後ろをコソコソと動き出す影。

監獄攻略に乗り出して30分は経ったか、未だ攻略の糸口が見えない監獄の地下を何か手掛かりを求めて探索する。

 

「おらっ!」

 

『シュコーシュコーシry』

 

バキッ!!

 

「え、ちょ、まっ」

 

バフォメットが背後から近付き、科学者の頭をぶん殴った。

科学者は耐久力もないのか、そのまま床に倒れて昏倒した。

 

「コソコソ行動する気はねえぞ。どうせこのヘルメットで顔はバレねぇだろ。堂々と行くぜ」

 

堂々と追い剥ぎを開始し、堂々と敵の装備を着こなすバフォメットの顔は実に輝いている。

うわ、マジあいつドン引きだわ。

 

「追い剥ぎかァ。面白えこと考えるじゃねえか!」

 

「あ、おい……」

 

男組は俺を除いて嬉々と追い剥ぎを開始し、女性組は仕方ないかとばかりに渋々研究者の死角から近づいて一気に倒すと追い剥ぎを始める。

 

「………」

 

『おい、なにやってんだァ?早くしろよ』

 

『そうだぜアリーヤ』

 

「………なんかなぁ……?」

 

釈然としない思いに頭を傾げながら俺も追い剥ぎ同盟の一員に加わる。

 

『研究者のホイッスルを入手しました』

『効果→仲間の研究者Aやガードメカなどを呼び寄せる』

 

「ふーん?一応装備しとくか」

 

使い道はないだろうけどこれを持ってるか持ってないかで敵判定されるのはゴメンだ。

とりあえずは……お、やっぱりだ。

 

「地下マップはっけ〜ん♡これは3手に分かれてお宝探しだな」

 

幸か不幸か追い剥ぎした研究者の装備一式、それも頭を覆い隠すヘルメットには地下施設の情報が詳細に記されてるデータが残っている。

くそうバフォメットのニヤニヤが頭に来るぜ……

 

「なら光剣を持ってる俺とアリーヤは別々だなァ。俺がいちゃオメェの獲物がねェからなァ」

 

いや、俺は穏便にスルーする側だぞ?

お前と行動してたら体力がどんだけあっても足らねーよ、あとSAN値。

 

「んじゃ、俺、《サラ》のアルファ、《ユーリ》、《プライス》のベータ、《バフォメット》、《サトウ銀二》《ジャック》のチャーリー、でどうだ?」

 

「ん、悪くねェ」

 

「銀二となら俺も構わせねっゾ」

 

「こいつらは俺が責任持って管理しますので」

 

「「……こくこく」」

 

「よ、よろしくお願いしますね!」

 

よし、まずマップを見る限り地下の階層は全3階、そのうち地下1階は部屋が40、地下2階は25、3階は2部屋しかない。

そんで1階は研究者Aや警備兵A・Bしかいないからこの階層は一般研究者の居住区だとか実験室だとか。

2階にはキメラ系や改造された罪人、化学兵士、エリート研究者、警備兵C・Dがいるらしく、こっちの方はマッドな研究や機密が保管されてる場所だ。

当然宝物も期待出来る。

そして最後に、3階………unknown。

 

「まず誰がどこを行く?俺は1階か2階か」

 

1階は何もなさそうだけど、俺は一応マップにある部屋とか隠し部屋は全て潰す派だから、一応ね。

 

「ハッ!決まってんだろ?もちろん俺は3階に行きてェぜ」

 

どうせボス目当てだろコイツ。

 

「まぁ、どうせそこにボスが居っだろうからなぁ」

 

「俺たちが2階を先に調べて3階のボス情報を調べる、その間に2チームで一階を調べ切った後合流って流れですか」

 

流石銀二、考えなしのバカスコードロンを実質纏め上げている名参謀!こいつに来てもらって本当に良かった。

 

「だな、プライス、ユーリもそれで良いか?」

 

2人を見ると、既にM4A1にサプレッサーを取り付け、ストレージの中に格納する。

まさかサプレッサーを持って来てたとはな、討伐戦でサプレッサーなんて代物、持ってくんのは俺ぐらいだろうと思ってたんだけどね。

 

「よし、その案で行こう。サラ」

 

「あ、はい!」

 

サラを伴った俺のアルファ、プライス、ユーリのベータは一階の探索、ジャック、銀二、バフォメットのチャーリーは2階に降りるための階段へ向かう。

 

「さて……と。敵だ、出来る限りスルーする」

 

「はい」

 

前方に二人組の研究者A。

軽く会釈をするとあちらも返して来る。

そして何事もなくすれ違って離れる。

会釈し返して来るとは、このゲーム流石だなぁ、と思いながらもすぐ近くの扉に近付く。

 

カシャン、と自動ドアが開く。

ヘルメットから扉の承認許可が降りましたとあるのでこの研究者装備一式は思いの外地下を探索する上で必須な物らしい。

くそ、またバフォメットのバカがニヤニヤしてるような気が……。

 

「中に入ろう。……自然にな?」

 

「は、はひ」

 

中に入ると、そこには数人の研究者Aと実験中のモンスター、更には人一人分の試験管もある。

よう、と手を挙げるとこちらを見らずに手を挙げ返してくれたので敵だとは思われてないようだ。

今の内に必要な情報を書類から、後は必要そうな物か価値のあるアイテムを探す。

 

(……特に何もない。次に行こう)

 

あるのは実験中のモンスター(どことなくピカ◯ュウに似ている)ぐらいだ。

この部屋にはもう用がないので別の部屋に行く。

そこでは研究員マニュアルとやらがあって、中身は地下1階から2階に出て来るモンスターの装備や特徴とかだ。

見た内容をスクリーショットに写して他のプレイヤーに送っておく。

さあ、次だ。

 

「何か良いものは………おっ♡」

 

入ったのは開発した試作品を置いている保管庫。

どれもが光学兵器であまりレア度は高くないものが大半だが、毒ガスや催眠ガスなどの武器がある。

 

「めぼしいレア武器はぜーんぶ掻っ攫って行こう」

 

「はい!」

 

サラも興奮冷めやらぬ口調で返事をしてストレージの中に光学銃を仕舞っていく。

3分くらいで良いものを奪ったら即座に部屋を出る。

 

『ーーー?』

 

(げ……警備兵A)

 

警備兵Aはスタンダードな野戦装備にガスマスクを着けた奴で、侵入者の迎撃やパトロールを行うタイプで研究者に比べてステータスも装備も段違いだ。

どう躱すか考えるが、逆にこいつの装備を追い剥ぎすれば好都合じゃないかと思い直す。

 

「………」

 

「………!」

 

サラにはメッセージで警備兵を殺して装備を奪うと送っておいた。

敵の警備兵は3人油断させて一気に不意打ち決めれば十分だ、十分イケる。

ジェスチャーで中に入れと仕草で警備兵を誘い、警備兵×3を保管庫に招く。

3人とも中に入った所でガスマスクがカバーしていない首を背後から光剣でサクサク刺していく。

BO2やMW3などで近接武器でのバックアタックは慣れている。

フォトンソードの出力を手の平大に調整して突き刺すのではなくスッ、スッとなぞるように動かすと、警備兵は何の抵抗も声を出す事もなく呆気なく倒れた。

 

「よし、着替えよう」

 

「そうですね」

 

研究者装備一式を解除して警備兵装備一式に変更する。

ガスマスク、ハーフヘルメット、ホイッスル、警備兵証明証、コンカッション×1、光学銃『ライトガン』(レア度は低い)軍用ナイフ、と言ったところか。

研究者装備一式×2と警備兵装備一式(警備兵の死体は装備を残して消滅した)を部屋の中の空いてるロッカーに押し込んでおく。

 

一応地下組に警備兵装備に着替えたことを伝え、また別の部屋に行く。

 

「お、S&W M500だ。貰っとこ」

 

途中休憩室?の自販機にリボルバー最強の呼び名の高いS&W M500が缶コーヒー(150クレジット)のおまけ商品で出ていたので缶コーヒー8回購入(1200クレジット)して見事M500を頂戴し、1階の探索はほぼ完了していた。

 

「隠し部屋は今の所無いな」

 

「ですな。アイテムもあんまりレア度の高い物はなさそうですし、合流して下に行きますか?」

 

サラの言葉にそうだなと頷いて階段を目指す。

プライスとユーリは残りの6部屋を探ってから下に行くらしい。

彼女たちもそれぞれ試作光学銃(レア度は中くらい)をゲットしているが、どうやら1階よりも2階〜3階の方が良いものを置いてあるor開発して保管しているらしい。

2人から後の探索は任せて欲しいとメッセージを貰ったので俺とサラは2階に降りてジャック達の手伝いをすることに決めた。

 

2階への階段に近付くと警備兵B×2が階段付近でストレッチをしていた、どうやら相当に暇らしい。

警備兵Bに手を挙げると陽気な態度で手を振り返して来るのでそのまま階段を降りた。

…………仕様とはいえなんて杜撰な警備とAI思考だよ。

 

「……この警備兵A装備じゃ2階は厳しいな」

 

現在2階では化学兵士、エリート研究者、警備兵C・Dが廊下を歩きながら野戦服にガスマスク姿の警備兵A装備をした俺とサラを凝視している。

このまま訝しみ状態が続けば敵にバレてしまうのも時間の問題かもしれない。

……………こりゃ、追い剥ぎかな?

近くの部屋を軽く見ると誰もいないようだ。

キョロキョロとワザと不審に見える挙動を行うと、おもむろに警備兵Dが2人、此方へ向かってくる。

 

「よし、中は誰もいない。中でアレを倒して追い剥ぎ。おーけー?」

 

「はい!」

 

自分にしか見えない装備欄を空中に出現させ、『解除しますか?YES』部分に触れるか触れないかの状態で待機させる。

そして中に警備兵Dが入室する。

奴はすぐさま俺の方を掴み、室内戦で有効なショットガンを此方へ構えてーーーー。

 

「ほい、処刑」

 

引っ張られる反動を利用して敵の背後に回り、警備兵Dの頭を掴んでグギッと回す。

みんな大好きバイオハ◯ードのハ◯クというキャラクターが使う処刑という近接技だ。

至近距離じゃ無いと成功しないのと俺専用装備の《GHOST》装備時でなければ使えないのだが、その威力は文句無しだ、つまり、敵は死ぬ。

 

『ーーッ!?』

 

「逃すか」

 

グギッ!!

 

もう1人がホイッスルを使う前に金的を蹴り、背後に。

首を折られた警備兵Dは相棒と共に消滅した。

 

「さて、追い剥ぎしますか」

 

最初は乗り気じゃなかったけど今は積極的に追い剥ぎをこなす自分が恥ずかしいデス。

しかし今はアルカトラズ攻略のために躊躇っている場合では無いのダーーー!!

 

「よし、行こか」

 

現在の装備♡

 

ガスマスクD、ハーフヘルメットD、ホイッスル、警備兵証明証、コンカッション×3、光学銃カテゴリーショットガン『ブリッツイェーガー』(レア度は高い)軍用サバイバルナイフ。

うむ、警備兵Aよりもレア度、ステータス共に高い。

警備兵Aじゃチョコ迷彩の野戦服だったのも警備兵Dじゃデジタル迷彩の特殊部隊風になってる、カッコいい。

 

「バフォメット達は……20部屋まで見てるか」

 

メッセージ機能で追い剥ぎ行為と装備の詳細をバフォメット達に伝えると、銀二から2階の20部屋は見回った、という文が届く。

それならあと5部屋はこっちで回るから先に3階に行っておけ、と返しておく。

 

『トラトラトラァァ!!』byジャック

 

「訳が分からないよ(困惑)」

 

我、奇襲ニ成功セリ、とか意味わからん。

首を傾げながらサラと残りの5部屋を見て回る。

 

1つは罪人を某ライダー番組のショッ◯ー軍団みたいに改造する実験室。

2つ目は高威力高レアの武器を保管する武器庫。

3つ目にはベースのモンスターと素材のモンスターを組み合わせたキメラを徘徊させている部屋。

4つ目の図書室には『クリスタルプリズン』のことを記された日記?らしきフラグアイテムが。

5つ目は特に何も無かった。

 

「お宝ざっくざっくでございますなぁ♡」

 

お陰で口調もテンションもおかしくなった。

なぜなら、ボス戦でも無いのにたかが武器庫でデザートイーグル×3、F2000×4、SL9SD×1、VSS×1、XM25×1が見つかった。

防具にしても防御性能の高いジャガーノート装備(激レア)×3など、もうウハウハ♡状態だ。

ただ、ジャガーノート装備なんて普通に持てる訳ない為、プライス、ユーリ、俺がジャガーノート装備を着込んで3階に降りることになった。

 

「よし、じゃあ1階と2階に置いてきたホイッスルを鳴らすぞ」

 

合図の後、耳障りな音が廊下中を鳴り渡り、2階に存在するエネミーが全て音の源へ駆け出していく。

これは敵の存在を知らせるホイッスルを遠く離れた場所に設置して遠隔操作で鳴らしただけだ。

それでも警備兵やキメラ達は強制的に音源に向かうよう設定されてるらしいので今地下3階へ続く道のりに敵はいない。

 

「お、スゲー。ジャガーノート装備って、着けると筋力値がめっちゃ上がるやん♡」

 

「ほんと……凄い」

 

「これ、気に入っちゃった!」

 

無愛想なプライス、冷静なユーリがジャガーノートの性能に興奮する。

いや実際俺も興奮してんだけどね。

 

「よし、3階に行こう」

 

サラ、プライス、ユーリが頷くのを見て3階へ降りる、ジャック、バフォメット、銀二はいない。

目の前には2つの部屋、二分の一。

 

「サラ、プライス、ユーリ」

 

3人が戦闘準備に入る。

俺も武器としてF2000二鳥で行く。

なに、筋力値ステが半端なく上昇したのでF2000を片手で撃っても反動が無いのだ。

ただ、マガジン交代が出来ないのが難点なんですけどねw

 

仕方ないのでジャガーノートの装甲にマガジンポーチを取り付け、ジャガーノート同士が寄り添うことでマガジンを簡単に交換出来るようにした。

 

「あっ、忘れてた。ジャック達にメッセージ打っとこう」

 

銀二にメッセージを送ると、すぐに生存報告が帰ってくる。

どうやら右側の部屋にいた門番らしきモンスターは既に撃破、今は左側で待機中だとか。

そんで、入るなら左側から入って欲しいとか。

 

「よー、どんなかん、じ………え?」

 

ドアを蹴飛ばして中になだれ込むと、目の前にはライオン+鳥+イノシシ+わんちゃん+〜だとか色々なモンスターが融合したキメラちゃん(オス)がこっちを見ていてその後ろにはクリスタルプリズンのコアらしき球状態の塊、あと隅っこの檻の中に3人の男プレイヤー………。

 

「えっ、捕まってる………」

 

引き金に指を置くのも忘れてバフォメット達を見ると、てへぺろっとバフォメット、気まずそうに銀二、くぁっ、と呑気に欠伸をするジャック。

 

「グギャァァァァァァァ!!!」

 

「え、ちょ、待っ………」

 

唖然としていて固まったままの俺にキメラモンスターが襲いかかった。

 

 




ジャガーノート装備……プライス、ユーリ…屋上……うっ、頭が……。

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