ゲームとは所詮“運ゲー”でしょう   作:人類種の天敵

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どうも。最近BO2でMMTM……もちろんメメント・モリやリスペクトクランでサーチ&デストロイしてるんですが、メンバーが2人加わりました。合計3人……w
なんで入ろうと思ったんですかねえ……。
あ、最近はタボールにサプレッサー+グレネードランチャーです。サブでダメージ与えてグレでだめ押しします。
盾が来た時はグレ×2にC4で始末します。
他はPDW サプレッサー+レーザーサイト+フォアグリップでしょうか。
反動がクソと言われてますが、現状で一番キルしてるのはこれですね!先日も外国のVCプレイヤーを血祭りにあげました。12K 3Dでした。



死神の鎌

 

 

「な………はっ!?」

 

眉を顰め睨みつけるのは肘から先の消えた右腕、赤いポリゴンを煌めかせて宙を飛ぶ腕、虚空を彷徨う恐ろしい死神の鎌。

 

「クソがっ!やられた!」

 

切られた腕から出血ポリゴンが噴き出す。

グングンと体力ゲージが減っていき、全体の3分の1で一度止まり、そこからゆっくりと減少する。

 

「っ、くっ……援護援わひぃぃ!?」

 

出血状態によって体力が全損するのを防ぐために右腕の肘部分の傷口を左腕で抑え、敵の攻撃を避けるために自分から床へ倒れる。

ビュンッと風を切る音、頭の数㎝上を通り過ぎる鎌、ヴァーチャル世界で冷や汗が頬を伝い、「ひ、ひぃ!?」、と情けない声を上げて両足だけを使ってずりずりと後方へ這って逃げる。

 

「お、オイオイ………。《看守長》の次は宙に浮く《鎌》かよ…、ハハ、ハハハハッ!おもしれェ!」

 

「違う、亡霊タイプだ。気を付けろっ!」

 

誰かに戦闘服の襟首を掴まれてズルズルと後ろへ運ばれるーースカルだ、スカルが俺を後ろへ連れて行っているらしい。

 

「亡霊タイプは光学銃が苦手だったかぁ?へいバニラ!いっちょ撃ちまくれ」

 

「ちょいちょいチョコちゃん、髭面のゴミが私に話しかけてきたにゃー、ひっじょーにウザったいにゃー」

 

「うんうん、ボクも聞いてたけど背筋が凍ったかも、女として自分を守ろうって本能やつ?」

 

「お、おま」

 

「「生理的に無理(にゃー)」」

 

バフォメットとバニラ、チョコが言い争いをしている。

この3人、何故だか仲が悪い。

今は俺が間に(強制的に)挟まれてなんとかやっていけてる感じだ。

嘘だ、この3人の板挟みでもう精神がボロボロだ、代われるなら誰かかわってほしい。

 

「このくそチビ!」

 

「うっさいにゃー!」

 

「ボクのスパスが火を噴くかもよー?」

 

バニラチョコに対してギャーギャーと喚くバフォメットの銃は今まで使っていたMG4ではないーーー、欧州製のSCARを分隊支援火器モデルに改造し、更に改良させた《HAMR》というライトマシンガンを装備していた。

 

この前デザートスコーピオンことレンに殺られた時、運悪くMG4ライトマシンガンをランダムドロップしたバフォメットだったが、本人曰くそろそろ替え時だったようで何か売ってくれと俺に頼んできたから数ヶ月前のアップデート後に手に入れたHAMRをべらぼうな値段でふっかけてやった。

所持クレジットの殆どを注ぎ込んで泣く泣く買い取ったHAMRだが、結構気に入っているらしく、ことあるごとに俺に見せつけてくるようになった。

……………まあ、あと一丁ホームの方に飾ってあるんだけどな、面白いから言わないでおく。

 

「って、今はそうじゃねぇだろ!?お前ら逃げろ!」

 

ツッコむ、が、遅かった。

実体を持たぬ存在が、手に持った鎌を一振りしてサクッとチョコの右肩を深々と切り裂いて行く。

 

「ぅぁぁぁぁっ!?痛い痛い痛いぃぃ!?」

 

「ち、チョコちゃん!?にゃぁぁ!?れ、れれ、レイストームが効いてないにゃー!」

 

「畜生!おいアリーヤ、光学銃も実銃も効いてねぇぞ、こいつ!」

 

チョコが斬られた瞬間にそれぞれの獲物で亡霊を撃ち抜くバフォメットとバニラだが、光学銃が放つ光弾も、実銃から飛び出る実弾も亡霊の体を悉く通り抜けて行った。

 

「(実銃も光学銃も効かない?)くそ!……敵を把握しろ、《GHOST》!」

 

『敵スキャン開始』

 

音声認識によって起動したゴーグルから色々な情報が飛び交い始める。

透明度のクリアな光学レンズ上を数字や生態ベース、弱点、考察・仮定・推測・結論などが所狭しと画面を埋め尽くし、更にゴーグルと一体型のヘッドフォンセンサーから目に見えないなんとかかんとかフォトンレーザー光各種が前方へ照射され、敵の《解析》を開始する。

 

『スキャン終了』

『実体の有無を確認』

『亡霊type 思念体モンスター《処刑人》Lv???』

『罪人を何百と断頭してきた処刑執行人の鎌が未だに血を欲して彷徨い続ける………といった設定です。評価→B-』

『実銃→効果ナシ』

『光学銃→効果ナシ』

『鎌→本体』

『対処法=幽体には効果が無いので鎌への直接攻撃が有効でしょう』

 

ゴーグルのレンズからはテキストが、両耳を覆うヘッドフォンからは無機質な音声が次々に流れていく。

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い、いたぁっ、か、肩……肩が……痛い…痛いよぅ………」

 

「こんな亡霊モンスターなんて見たことないにゃー!?怖いにゃー!!」

 

「がっ!くそ、このヤロォ……!」

 

セーラー服を意識した戦闘ベスト共々右肩を斬られて出血ポリゴンを煌めかせるチョコが床に横たわりながらゴロゴロと転がる。

一方バニラはチョコの周りをグルグルと回りながら頭を抱きかかえて絶叫している。

その2人を無視した亡霊は鎌の切っ先をバフォメットの奴へ狙い定めたようだ、回収するなら今だろう。

 

「はぐメタ、援護する。あの2人を下がらせろ。アリーヤ、何か分かったか?」

 

「うぃーす」

 

ビュン、と体が霞んで見えなくなる速度でバニラチョコの元へ駆け抜けた《はぐメタ》はそのスピードに気付いて自らに向けて振り下ろされた《処刑人》の鎌を、さも当然とばかりに軽やかに避けてバニラチョコを引きずって退がる。

 

「いつもながら速いなぁ……あいつ。スカル、《処刑人》の本体は鎌だ。鎌の部分なら効果アリだとよ……チョコ、注射器打つから動くなよ」

 

片腕を切り落とされてしまったのでMP7A1はスリングを肩にかけてブラブラと提げておき、ポーチから応急手当用のアイテムを取り出して首筋にブスッと突き刺す。

1本2本と突き刺して体力回復を図り、肩を切られた痛みでぐったりしているチョコの体力も回復させてやる。

 

「《処刑人》という名前には納得したが…そうか、鎌が本体なのか………お前のソレが無かったら立派な初見殺しだ、まったく」

 

呆れるようにため息をついてSCAR-Lの引き金を軽やかに引き絞る。

銃口から発射させれた弾丸が幽体の持つ恐ろしい鎌に命中すると、幽体は体をくねらせて嫌そうな悲鳴を上げた。

これで《処刑人》の殺し方は判明した。

あとは全員でこいつをタコ殴りにするだけで……。

 

「………お、おいおい、アリーヤぁ〜。やべえぞ?いつの間にか囲まれちまってっぞ……」

 

注射器を肩に打ち込んで体力を満タンにさせるバフォメットが頬を引きつらせながら敵の出現に気付き、俺たちが囲まれていることを知る。

 

「………今一番聞きたく無い言葉だったよ……はぁ」

 

くるっと振り返ると、そこには10体程度の《処刑人》達が本体である《鎌》を両手で保持してこちらへと迫っていた。

だが、既にこいつらの弱点は分かっている。

 

「敵の本体は《鎌》だ。見た目に騙されるな!」

 

スカルの叱咤とともに他のプレイヤーによる容赦の無い銃撃が始まる。

銀髪の女性プレイヤー、サラはMK3A1ショットガンを、はぐメタやジムは光学銃を、ソープ、プライス、ユーリはM4A1を各人の判断で迫る《処刑人》を撃ちまくる。

 

「アリーヤ、鎌が本体?」

 

「ああ、ヘッドショットゾーンがあるかどうかは分からないが……あ、サラが一体倒したな」

 

銀髪のサラが放つショットガンの連撃に幽体が持つ死神の鎌がボロボロに砕け散った。

それと同時に幽体は悲鳴を上げてもがき苦しみ、いつの間にか消滅した。

 

「おっけ、分かった」

 

傍に寄り添うグレンは装填レバーを引いて、《MK11 MOD 0》に取り付けたスコープを覗き、タンタタン、と引き金を引く。

徐々に再生していく自分の右手を眺めていると、肩を切られたチョコがもぞもぞと這いつくばってきた。

 

「アリーヤぁ〜痛いかも……」

 

「う、うわぁ……なんかグロ……」

 

肩がぱっくり割れてそこから出血ポリゴンが飛び出ている。

肝心なグロゾーンがもろに飛び出ているためになんだか見てると気分が悪くなる。

 

「リロードします!」

 

《処刑人》3体を相手に肉薄しつつ容赦の無い弾丸雨あられを浴びせていたサラがバックステップで距離開けつつMK3A1の弾倉を交換する。

そのサラの声に反応したかは不明だが、ジャックが両手のフォトンソードを煌めかせて突撃敢行、瞬時に2体の《処刑人》を屠る。

残り8体。

 

「我が栄光に乾杯ーーーーー!!!」

 

「………………は?」

 

目の前にプラズマグレネードの爆風が迫った。

 

 

 

 

ϵ( 'Θ' )϶ϵ( 'Θ' )϶ϵ( 'Θ' )϶ϵ( 'Θ' )϶ϵ( 'Θ' )϶

 

 

 

 

 

 

 

「へえ、ピトフーイさんは初期のGGOからやってるんだ!」

 

「うんうん。あ、別に敬語使わなくていいわよ。それに私の名前、長いって周りもブーブー言ってるし、普通にピトって呼んで」

 

GGOでも数少ない女プレイヤー《ピトフーイ》との会話は、レンにとっては貴重であり、時にあるある、と言いそうなものであり、楽しいと思える時間だった。

 

「それで、レンちゃん。私とスコードロン、組まない?」

 

彼女……ピトがそう切り出したのは、レンがソフトドリンクをお代わりした頃合いだった。

 

「あ、ごめんなさい。私…最近スコードロンに入ったばっかりで…」

 

「そこ!また敬語になってる。ふむふむ、それならしゃーないね。因みにどこ?」

 

「《レイヴンズネスト》っていう」

 

それは、《アリーヤ》がリーダーを務めるスコードロンだ。

 

「……あー、アレか。レンちゃん、悪いことは言わない、あそこはやめときなさい」

 

「……へ?」

 

「あそこのスコードロンのリーダー、《サンタクロース》でしょ?……て、レンちゃんには分かり辛いか。確か《アリーヤ》とかって名前だったっけ」

 

《サンタクロース》、それは、アリーヤの通り名だろうか?

 

「うん、そうだよ」

 

「あいつのスコードロンが他所でなんて言われてるか知ってる?『初心者ホイホイ』スコードロンってねー。GGO初心者をあの手この手で勧誘して引き込むから他のスコードロンからは嫌われまくり。数少ない女プレイヤーも結構あそこにいるから羨ましがられるのよ」

 

「へー」

 

なら、ピト以外にも女プレイヤーがGGOでプレイしていると言うことか!

 

レンのGGO熱が更に加熱された。

そんなレンを見て、ピトは頬杖をつきながら忠告を促した。

 

「あそこのスコードロンメンバーってだけで狙われるから、あそこだけはやめといたほうがいいわよ」

 

 

 

ϵ( 'Θ' )϶ϵ( 'Θ' )϶ϵ( 'Θ' )϶ϵ( 'Θ' )϶

 

 

 

 

 

「ぅぉおえあああ!!?」

 

プラズマグレネードの爆風で弾き飛ばされた俺は《監獄》内部の壁に激突してせっかく回復していた体力の半分を減らされた。

一体何が………、そんな疑問を浮かべた俺に対してジャックが至極つまらなそうに一部始終を語る。

 

「バフォメットのォ……ハンニバル灰とかいうクソ野郎だァ。あのヤロ、トチ狂って自爆しやがった」

 

「………」

 

恨めしい目つきでバフォメットを睨み付けるとあいつはてへぺろの仕草をしていて亡霊にサクサクと鎌で斬られた。

別の場所ではバフォメットのスコードロンで大いに苦労しているだろう銀二がペコペコと米つきバッタよろしく頭を下げていた。

 

「………俺、これ以降あいつのスコードロンメンバーは参加させねえわ。あとあのバカは報酬なしな」

 

「それが賢明だ。今ので近くにいたソープが死亡、プライス、ユーリが重症で動けない。一旦引くか?」

 

現状を把握していたスカルは手榴弾を正確に投げて亡霊の鎌に当てる、亡霊は見事に爆散して粉々になると同時に他の亡霊にも威嚇射撃する。

 

「ここまで来て冗談だろ?それに俺、今日はゴーグル持ってきてるから死ぬのは辛い」

 

《特注品》を外してペロッと舌を出す。

今の所この《監獄》の破壊方法が分かっていないが、まずはこの亡霊共を片付けてからの方が都合が良いだろう。

 

「わぁい!復活ぅーいぇー!」

 

「チョコちゃん復活にゃー!」

 

チョコとバニラが戦線復帰、《処刑人》たちはその後すぐに全滅して場に落ちたクレジットやドロップアイテム(落ちてるアイテムの3分の2がレア物)も回収して監獄内部を探索する。

 

「地図があるぞ。…ここ、地下があるな」

 

放置されたテーブルの上に内部地図があり、それを囲んで作戦会議をする。

 

「隊を分けるか?上を目指す方と地下を探索するチームで一旦様子を見ようか?」

 

その地図によると、俺たちのいる一階は本来囚人を処罰する処刑場という設定らしい。

上の二階は食堂、三階には図書室と《獄長室》、4階は屋上。

地下は…………マズイな、ゲームの特有の、イヤらしく地下部分の名称だけ掠れて読めない状態になってる。

こういう時って大体ボス級とかなんかヤッベーモンスターに一撃死級の初見殺しがわんさかいるんデスヨネー。

 

「まあ、ここまで見れば地下には強力なモンスターがいるだろう。それまでこちらの体力が持つかどうかだな」

 

ーーー体力、それは言葉通りの意味であり、同時に残マガジン数やアイテムの数を意味する。

このまま長期戦になればフォトンソードを所持しているジャックと俺以外は戦うことすらままならなくなるだろう。

 

「援軍でも呼ぼうか、来るには最低でも10分程度は掛かるけど」

 

「噂の冒険支援部隊か?」

 

「俺のスコードロンは初心者やカモられるプレイヤーに優しくてね。敵に襲われた時や強いモンスターが現れた時用にローテーションでそういう奴らを組んでるの」

 

俺のクレジットで専用のヘリを数台購入しているので恐ろしく速い速度でここまで救援に駆けつけてくれるだろう。

 

「それなら隊を分けて行動、片方に何かあったら救援を呼ぶ。これでどうだ」

 

「悪くない、賛成」

 

「俺もだァ」

 

「それで良いゾー」

 

「良いと思います。それと、うちのバカが先ほどはすみませんでした……」

 

頭をぺこりと下げた男前のプレイヤー、銀二に気にするなよと言って慰める。

その後は火力等に秀でた半分を下に、それ以外を上に送る隊を分け、相手モンスターの分析が出来る《特注品》を扱う俺は必然的にヤバそうな地下へ送られることとなる。

 

地下探索組

《アリーヤ》、《サラ》、《ジャック・ザ・リッパー》、《ユーリ》、《プライス》、《バフォメット》、《サトウ銀二》

 

上階探索組

《バニラ》、《チョコ》、《池尻》、《スカル》、《はぐメタ》、《牛カルビ》、《ジム》、《グレムリン》

 

 

 

上下階二つに分けられた探索が、始まる。


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