結晶体の監獄が悲鳴を上げる。
自らの体の一部である門が破壊されたのだ。
痛みに喘ぐ監獄の胎内の一室、光の無い暗闇の世界で動く影が一つ。
それは人というにはあまりにも不恰好な背丈と不釣り合いな頭を擡げていた。
「クァカカカカカ……」
骨だけの状態で、ソレは不気味な笑い声を楽しそうに上げていた。
クリスタルプリズン 内部
「突入!」
「クリアー!クリアー!《看守》無し!《看守長》無し!」
「周囲を警戒しながら8人ずつリロード!いいか!周囲を警戒しながらだぞ!」
C4爆破によって粉々になった門を潜ってクリスタルプリズンの内部へと侵入していく。
中はまさに監獄であり、意味不明な檻が果てしなく広がっている。
「グレン、お前先にリロードしろ」
「……ん」
使用しているマークスマンライフル《MK11 MOD 0》のマガジンを代えるグレンの背中に自分の背中をくっつけながらキョロキョロと辺りを見回す、クリスタルプリズンの中に入ったのは今回で2度目だが、前回はここで油断した所を《看守長》に襲撃された。
その時点で討伐隊の殆どを失い、壊滅しかけながらも一応、《看守長》を殺すことは出来たのだが、その後に群がってきた《看守》共に全滅させられた。
そのため、2人1組になって、まず1人がリロードタイム、片方は全周囲を油断なく監視することになった。
「おっけ、代わろ」
「……おう」
ベストに着けているポケットからMP7A1のマガジンを一つ取り、弾倉を交換する。
それまで使っていたマガジンはそのままストレージの中へ収納して新しいマガジンをベストのポケットへ突っ込む。
最後に腰部のポーチから一本のナックルガード付きのグリップを取り出して準備終了。
「ん?……オイオイ、ステータスザコのお前がフォトンソードだぁ?」
動作を確認していた俺を目ざとく発見したジャックがニヤニヤと笑いながら茶化すので「うるせーよ」と言いながら何時でも取り出せるよう、ベルト部の専用ホルダーに格納しておく。
「厳密には派生型オリジナルのフォトンセイバー」
「ヘッ、誤って自分の足をサクッと斬んなよ」
ケラケラと笑うジャックを見ると、彼の手には2本のフォトンソードのグリップが握られている。
そのまま左右へ視線を鋭く走らせている彼にとって、前回の《看守長》の襲撃は許されぬものだったのだろう。
「よし、リロードは終わったな。先に進むぞ」
周りを見て準備完了を待っていたスカルが合図を送る。
「あ、待った。流石に《看守》達にはMP7A1じゃキツい。池ちゃん。最初に渡しておいたアレ、貸して」
巨体のアバター池尻へ手を差し出すと、彼はこっくりと頷いてウィンドウからストレージを操作、足元に複数のショットガンをゴトゴトと出現させた。
「なるほど、確かに《看守》らは堅いからな。チョコとジャックも持っておけ……ジャック、そんな顔するな。“楽しみ”は最後まで取っておけよ」
続いて池尻は地面に横たわるショットガンを拾い上げ、次に背中に出現させた蛍光色のリュックサックの中へそれらを突っ込んでいく。
「けぃえすじー、けぃえすじー。K!S!Gーーーー!!」
鼻歌を歌いながらKSGを手に取り、MP7A1はワンポイントスリングを体にかけてブラブラと提げておく。
こうしておけば弾切れの際に敵が迫ってきたとして、技能系スキルの《クイックドロー》でMP7A1を素早く構えて射撃することができる。
そうしてKSGのグリップを掴んでスカルに頷く。
「よし、行くぞ……探索開始だ……」
スカルフェイスのマスクを着けている《スカル》は油断なくSCAR-Lの銃口を左右に奔らせ、他のプレイヤー達もその後ろを早歩きのスピードで追従して着々と《監獄》内部を進行していく。
静寂に、しかし心の中では意気揚々と攻略を目指していると、KSGのアイアンサイトに、ぽちゃん、と一粒の雫が落ちて静かに弾け散った。
「…………」
そして、それはKSGのアイアンサイトに確かな耐久力減少化現象を起こし、嫌な予感のした俺は、他の仲間達に気付かれないように、そっと視線だけを上へ…………。
「クフォフォフォフォ」
「…………」
2階の手すりに、奴らの不気味な二つ目がゆらゆらと蠢いている。
その目の数は……見る限り30位はありそうなので、少なくとも15体は上にいることになる。
それを観察して、近くの奴らに耳打ちするのは混乱を招く可能性があるので無線機でスカルにだけ連絡を取る。
「スカル、2階だ。《看守》が少なくとも15体、今はまだ襲撃の機会を狙ってるな」
『………分かった』
そのまま無線をブツッと切ったスカルは腰部から円筒状のものを一つ取り出し、片手で真上へと放り投げながら早口で怒鳴った。
「フラッシュバーーン!」
その言葉に追従して俺を除く他のプレイヤーが目を閉じて床に寝転がる。
俺も慌てて目を閉じるも、筒から発せられる眩しい光と強烈な音が監獄の内部に充満する。
すると、大質量の何かが上から落ちてきた。
防寒用のコートの下に分厚いプロテクターを装備した骸骨……要塞型モンスターのクリスタルプリズン内部に生息する《看守》と呼ばれているモンスターだ。
『《看守》を全て殺せ』
それから、無線から届いた声に怒声のような唸り声を上げて、フラッシュバンを喰らって2階から落ちてきた《看守》の頭へKSGの銃口を向け、1発。
頭蓋骨を砕かれて死んだ《看守》に目もくれず、拙い手つきで装填を済ませ別の《看守》へ1発。
不意に殴りかかってきた《看守》の棍棒を避けて胴体に1発、プロテクターのおかげで生き延びた《看守》をすぐに追撃して頭を破壊。
装填、射撃、装填、射撃、装填、射撃装填、射撃、装填、射撃、装填、射撃…………。
首都グロッケン
「ふんふふーん、あ!アリーヤさんログインしてる……あれ?メール……えぇ!アリーヤさん、レイドボス戦に行ったのか!ずるい!」
GGO最初の街、首都グロッケンにログインしたフード付きのローブを着た小さなチビプレイヤーであるレンが自分にしか見えないウィンドウを操作しながら上機嫌なログインから一転、唇を尖らせてメッセージを打つ。
「……『次は一緒に行きたい!』転送っと……うん、今回は諦めてまた砂漠に行こうかなぁ?ともかく、ピーちゃんを撃ちたい!………えへへ、ピーちゃん……」
ローブの下に出現させたP90、又の名をピーちゃんを抱き抱えるレンはこれから砂漠フィールドに行ってピーちゃん両手にモンスターとたまにプレイヤーを狩って行こうと思案しながら首都グロッケンを歩いていく。
「ねえ!そこのおチビちゃん。あんた、中身は女の子でしょ?歩き方で分かるよ」
毎度の事ながらレンの身長をギョッと見て「小さすぎだろ」「可愛い……」「ま、まてまて、中身もそうとは限らんぞ」などと言うひそひそ声を聞きながら、バンダナの下でニヤニヤほおを緩めていると、ビキニに毛が生えたような露出魔に声をかけられた。
「ちょっとお茶しない?おねーさんがおごるかry」
「変態!変態だ!ビキニ着てて顔にタトゥー入れてる変態が話しかけてきたー!!」
「っ!?え、ちょ、ま」
レンはグロッケンの街並みを敏捷ステータスが許す限りの全速力で駆け抜けて変態露出魔ビキニおねーさんから逃げ出した。
しかし、
「おいおいおい、話の途中で逃げ出すなんておねーさん悲しいな」
「ひゃー!?変態が車で追ってきたぁぁぁぁ!」
「まだ変態言うか……」
変態露出魔ビキニおねーさんは何処で買ったか真新しいジープに乗ってレンの後ろを追従していた。
そのままレンは“おねーさん”に追われるまま外のフィールドへ出て自分が最も得意とする砂漠フィールドへ。
狂ったような夕暮れ時の色合いにさしもの“おねーさん”と言えど景色に溶け込んだレンを一度見失い、レンはそれを観察しながらゆっくりと距離を広げていく。
「くっそー、ちょっとお茶するだけなのになー、流石に変態はないでしょーよー」
砂漠フィールドの全域を目で捉えられるだけじっと睨み付ける“おねーさん”は、何を捉えたかニヤッと口元を歪めて一気に車のアクセルを踏み込む。
「おチビちゃんみいぃぃっけぇぇぇえーーー!!」
「うびゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでーーー!!?
砂漠の景色に溶け込むデザートピンク迷彩の自分を確かに捉えた“おねーさん”に怯えながら、レンは全速力で逃げ出していく。
しかし、如何にレンの敏捷性が人外級でも、流石にジープの速度にはかなわなかった。
みるみるうちにレンとジープの距離は縮まり、レンの隣をジープが追従すると同時に首根っこをむんずと掴まれる。
「ぎゃっ!?」
「ピンクのおチビちゃん捕まえた〜〜」
そのまま助手席に放られたレンは、グロッケンに辿り着くまで救難要請のメッセージをアリーヤ宛に何度も何度も送り続けたが、絶賛大ボス戦のアリーヤにそれが届くはずもなく、変態露出魔ビキニ姿のおねーさんとのお茶会が始まって誤解(?)そのものが解けるまでガクガクブルブルとまるで高速影分身のように震えることとなった。
「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ?シートが震えて運転出来ないんだけど」
「ひっ!ひゃっ!?ひぇ!?」
「も、もういいわ」
レンが謎の女プレイヤーに攫われている頃。
「ぎゃっ!?」
「バニラちゃんが被弾した!」
「おいおい!ジャック!《看守長》はお前担当だろがっ!」
俺たちはクリスタルプリズンの中で、《看守》たちの戦いを延々と続けていた。
「うるせぇ!……オイ、俺から逃げるなよ。楽しもうゼェ!!」
カハァッ、と口を大きく開いたジャックは、獰猛に目の前の《看守長》へと襲いかかる。
それを横目に周りの《看守》たちにMP7A1専用の4.6×30㎜弾を次々と撃ち込んでいく。
頭を撃ち抜かれて脆く崩れていく《看守》を鼻で笑って有澤製手榴弾をポイと投げ、複数の《看守》を爆風で弾き飛ばし、透き通る結晶の床にぐったりと転がる女プレイヤーバニラの元に辿り着く。
「にゃぁ〜〜アリーヤぁ〜守ってくれるにゃんてカッコよすぎ〜」
「ふぅ、バニラの体力はギリか……手当ては自分でやれよ?……いや、それまで俺が持つかな」
空になったMP7A1の弾倉を変えて初弾を薬室に装填して上部ピカテニティ・レールに搭載しているホロサイトを覗く。
レンズに映るレティクルを棍棒を振り上げる《看守》の頭に向けて単射3発、ラインを消すために指は引き金に触れず、撃つときにだけ素早く引き絞る。
果たして頭を撃ち抜かれた《看守》は、その朽ちた両目から不気味な光を消失させて床へと倒れる。
そして流れるように次の標的へと………。
その時には既に幾多もの《看守》たちにバニラもろとも囲まれていた
「……………あ、やべ、囲まれた」
「にゃぁぁぁ!!?やっぱステータスザコの異名は伊達じゃにゃいにゃ〜〜!その1、エイミングが遅い!その2、わざわざ照準器を覗く意味が分からにゃい!つまりぃ!?バニラちゃんってばピンチ〜〜!?チョコちゃんカムオーーン!!」
「助けてもらってそれか!?このクソガキッ!」
喚くバニラを一度怒鳴り返してホロサイトを覗き、くるくる回転しながら《看守》の頭へレティクルを合わせて引き金を加減しながら3点ずつ撃ちまくって行く。
グレンの工房で光量をカスタムした青色のレティクルが、プロテクターを着込んだ骸の頭蓋に合わさっては離れ、合わさっては離れていく。
常時引き金に触れているためにバレットサークルが表示されてホロサイトのレンズに干渉するがMP7A1が吐き出す4.6×30㎜弾はホロサイトが投影するレティクル通りの軌道へと疾っていく。
「お前やチョコと違って、fpsをやり込んでるプレイヤーならではの戦い方があんだよ、覚えとけ」
ピカピカに目立つブルー迷彩のMP7A1をブンブン振り回しながら《看守》の頭をエイムして屍を量産していく。
……………が、状況はあいも変わらず、MP7A1でどれだけ殺そうと《看守》の量は減りもせず増えもせず。
さっきまで使っていたKSGは弾切れでストレージの中に放り込んでいる。
しかも、もうそろそろ、いや、あと数発でMP7A1の弾が、切れてしまう。
「くそ、弾が切れたっ!バニラ、そろそろ撃てるだろ?援護しろ!」
「チョコちゃぁぁぁぁぁぁんへるぷみーぃぃぃぃ」
「バカぁぁぁぁぁぁ!!」
弾倉を交換しようにもその暇がない。
空のマガジンを抜いた所で2、3体の《看守》にボコられて死亡、ならば、いっその事……《アレ》を使うか?いや、アレを使ったところで7発分程度で終わる、起死回生の一歩に足りてない。
なら、どうする?どうすれば生き残れる?ストレージ内の何を使えばいい、手裏剣?手榴弾?俺は今何を持っている???トラップ?弾薬?リアルスキルの《真似事》?7発分の《必殺技》?それとも俺自慢の最強装備である《特注品》か?
俺は今、何を、持っている、
青いブルー迷彩のMP7A1、戦闘ベストのポケットに予備のマガジン、腰部のポーチ、ベルト、ベルト部の応急手当用の注射器、あと、これは?ベルト部に付けているホルダー、注射器と同じように直ぐに取り出せるように、これは、これは、確かーーーーーーーーーーこれだ、これしかない
「ぁぁぁぁあッッッラァッ!!」
腰部のホルダーから取り出したナックルガード付きグリップを握ると同時に捻り、円筒の先端から青白い粒子が1m程の光の剣を形成する。
それからグリップを握っている右手を無造作に振り回して周りに群がる骸骨共の胴体を、着込んでいるプロテクター共々撫で斬りにした。
骸骨は情けない音を立てて床に斃れ、数秒程度の安全を確保出来た。
「リロォォォォォォドオオオ!」
空のマガジンを棄て新しい弾倉を突っ込み薬室に初弾を籠め、もう一度フォトンセイバーを振るう。
それだけで《看守》たちは全員死に絶える。
………なるほど、これは一部の愛好家たちがフォトンソードに傾倒するのも無理は無い。
マガジンリロードを終えた俺はジタバタともがくバニラの襟を掴んで陣形に合流すべく走り出す。
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!゛!゛」
「うるせえええええええ」
「に゛ょ゛っ゛」
泣き喚くバニラをスカルたちのいる方向へ投げ、前転、押し寄せる棍棒を避け切り《看守》1匹の足を掴み《看守》が俺を押し倒す形に縺れ込む。
直後に他の《看守》が動けない俺を盾にしている《看守》ごと棍棒でフルボッコにし始める。
体力は微々たる損害を受け、盾にしている《看守》が死ぬ前にストレージからGGO最強装備と豪語する《特注品》のゴーグルを取り出して頭に引っ掛ける。
「よっし、準備完了……《GHOST》、狩りの時間だぞ」
静かにゴーグルを起動させるスイッチを押す。
ゴーグルのレンズが不気味な色合いを魅せ、ゆらゆらと青い軌跡を漂わせる。
そのままMP7A1に取り付けたサプレッサーの先端を《看守》に向け、トリガーを、
「クァカカカカカカカカ」
「うおっ!?」
引く、ところで横殴りの衝撃を喰らって吹っ飛んでいく。
グッと立ち上がると、目の前にはバカでかい巨体の骸骨が。
「《看守長》………」
3m程の身長に小さな頭蓋、右腕はバズーカ砲のようで右腕は丸太ほどの棍棒を持つ。
クァカカ、クァカカと気味の悪い笑い声を上げる骸骨は、振り上げた棍棒を振り下ろす。
「あ、死んだ」
「ヒャッハァァァァァァァ」
が、実際に痛みも体力全損によって首都グロッケンへ帰投する《死に戻り》もなく、振り下ろされた棍棒を二対のフォトンソードがスパスパと切り裂いて行く。
「ジャック!」
「ァァァァァァァァァァァァァ!」
血のように赤いフォトンソードで切り下ろされた棍棒が、直ぐに元の姿へ戻っていく。
この《看守長》が厄介なのは、棍棒による一殴りと異常な再生力だ。
頭を潰して仕舞えばそれまでだが、3mもある巨体にフォトンソードが届くはずもなく、狙おうにも頭は小さくブンブン振り回す棍棒や腕が邪魔で弾丸を遮られる。
「…………あ、いいこと思いついた」
ふと、いいアイデアが浮かんだ。
切っても切っても直ぐに再生するなら、頭ごと潰して仕舞えばいいじゃないと。
それまでずっとこの骸骨野郎に苦戦していたのが嘘みたいに感じられる。
「ジャック、《看守長》の両足を叩っ切れ。後は俺がそーしたらほねほねミンチにしてやるぜ〜」
「ああ?………なにするか分かんねぇが、お前に獲物横取りされるのはちょっと苛つくな」
「うるせぇ!こん中で一番ステータスザコで悪かったな!良いもん、その代わりに俺はレア装備がいっぱいあるから別に良いもん!」
ケラケラと笑うバンダナ男は、右手に持ったフォトンソードで《看守長》の棍棒を切りながら左手のフォトンソードで思いっきり《看守長》の両足を切る。
ドスン、と音を立てて床に崩れる《看守長》より上へとジャンプする。
巨体に似合わない小さな頭でこちらを眺める《看守長》にヒクッと口角を含み笑いして、右手に握ったグリップの、付属しているボタンを押す。
その瞬間グリップから青白い粒子が噴出して俺を中心に《フォトンシールド》と形容できるバリアが形成する。
そしてフォトン粒子による最強無敵のシールドを張った俺は、そのままの勢いで上から《看守長》にぶつかった。
「ヒュゥー♪そんな使い方かァ〜」
「……………いや、実際は身を守る方法だけどな、たぶん」
全てを切り裂くフォトンソードの威力補正をそのままに、それを盾へと使用し、その状態で衝突した結果、再生不可能のほねほねミンチと化した《看守長》の残骸から身を起こす。
周りをキョロキョロ見回すと、既に他の《看守》は逃げたか倒され、周りには大量のクレジットが存在していた。
「あいつら逃げたのか?前回は《看守長》が殺られた途端に突っ込んできたのに?」
「そういう場所に来たか………《看守長》よりもヤバい奴が来たか」
「そうあう思わせぶりなフラグは要らねえぞ。オイ、要らねえからな!」
SCAR-Lを持つスカルフェイスの男に指をさしてフラグを折らんとする。
しかしその腕は、虚空から現れた死神の鎌によって見事両断され宙を舞った