学戦都市アスタリスク~誰も知らない魔術師~   作:秋風 影見

1 / 1
華焔の魔女

初めまして、秋風影見です。変な日本語があるかもしれませんが、

この小説(笑)を読んで楽しんでいただけたら、嬉しいです。

 

___________________________________________

 

 

 

 

 

 

朝はやはり辛い。

自分だけではないと思うが、朝は苦手だ。遅刻はしたことはないが、いつもギリギリだ。

だが、今日は違う。珍しく今日は早起きだ。

 

 

「少し早いがもう出よっかな...。」

 

 

そう言うと冬風飛鳥は、星導館学園の制服に着替え、男子寮を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

男子寮を出ると、遠くから歓声が聞こえてきた。

 

 

「朝から決闘かな?」

 

 

なら、少し様子を見に行こう。歓声が聞こえてきた方向へ足を運んだ。

歓声が聞こえてきた方へ進んで行くと、思った通り決闘をしていた。

決闘をしていたのは、序列5位のお姫様と、もう1人は知らない男子生徒だった。

その周りには人が集まり、盛り上がっていた。その中に決闘を録画する知り合いの生徒がいた。

 

 

「おはよう、夜吹。朝から仕事熱心だな。」

声に気づいた夜吹は少し驚いた様子でこちらを振り返った。

 

 

「おっ、飛鳥じゃないか、珍しく早起きだな。」

「まぁね。そういえばあのお姫様と決闘してる奴、見たことないんだが...」

「そりゃそうさ。どうやら転入生らしいぜ。」

 

 

なるほど、決闘をしている生徒は転入生らしい。だが、転入生の彼が何故、序列5位のお姫様と

決闘をしているのだろう?

そんな疑問を抱いていると、夜吹が説明してくれた。

 

 

「事情は分からないが、どうやらお姫様を怒らせたらしい。いやぁー、面白い奴だな。」

「なるほど。」

 

 

揉め事は基本、決闘で決める。おそらく、あの転入生がお姫様の気に障るような事をしてしまったのだろう。

さっきから言っている『お姫様』とは、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトと言う。

文字通りリーゼルタニアの第一王女である。また、《華焔の魔女》とも言われている。

そんな彼女が渋い顔している。転入生のことが気に食わないのか、何か考えているのか分からない

が、渋い顔をしていた。だが、すぐに攻撃の姿勢に切り替えた。そして、魔法を展開させた。

 

 

「咲き誇れ――六弁の爆焔花(アマリリス)!」

 

 

炎を展開させ、大きな火球を転入生に向かって放った。

すると、転入生は火球に向かって一直線に走り出した。

 

 

(一気に接近戦に持ち込もうとしているのだろうか?)

 

 

「爆ぜろ。」

 

 

掛け声と共に、火球は花が咲くように爆発した。転入生は爆発に巻き込まれ、

消し炭になってしまう、

 

 

 

はずだった。

 

 

「天霧辰明流ーー」

 

 

炎の中から、静かに宣言するのが、聞こえた。

 

 

「ーー貳蛟龍(ふたつみずち)!」

「.....!」

 

煌式武装で爆風を二つに切り裂いたのか?早くてよく見えなかったが、ユリスは驚いた表情をしながら、応戦しようとしていた。だが、転入生は攻撃するのではなく、ユリスに庇うように倒れ込んだ。

次の瞬間、人混みの中から矢が、ユリスに向かって放たれた。だが、直撃はしなかった。

ギリギリのところで転入生が倒れ込んでいたからだ。

急いで矢が放たれた方向へ走り出した。しかし、犯人らしき人物はいなかった。

 

 

(逃げられたか...あれは、もう犯罪だろ...)

 

 

 

 

 

 

 

あの決闘は生徒会長、クローディア・エンフィールドによって無効にされたらしい。

ちなみに、ユリスを庇って倒れた時、転入生の手がユリスの胸を触っていたのを見てしまった。

いや、私は何も見ていない。ナニモシラナイヨー。

一人で言い訳を心の中で呟いていたら、鉄バットを持って教室に入ってきたのは、八津崎先生だ。

毎日思うが、教師が鉄バット携帯していいんだろうか?

 

 

「お前ら、HR始めっぞ。早く席につけ。」

 

 

皆、黙々と座り始めた。

 

 

「早速だが、うちのクラスに転入生が入ってくる。知ってる奴もいるだろうが、朝からそこの

火遊び相手と決闘をしていた奴だ。よし、入ってこい。」

 

 

火遊び相手と言われて肩を震わせているユリスが怖い。

そう言われて、教室に入ってきたのは、今朝、決闘をしていた転入生だった。

教室にいるユリスと目が合うと、苦笑いをしている。

 

 

「あー、というわけでこいつが、転入生の天霧だ。」

「よ、よろしく...」

「適当に仲良くしろよー。席は...そうだな、あぁ...ちょうどいい、火遊び相手の隣が

空いてるからそこにいろ。」

 

 

顔を赤くしながら、ユリスが立ち上がり、「だ、誰が火遊び相手ですか!」と叫んだ。

 

 

「お前以外に、誰がいるんだ?朝っぱらから派手にやりやがって。」

「まさか、同じクラスとはね。」

 

 

苦笑いしながら、ユリスに話しかけた。

 

 

「笑えない冗談だ。」

 

 

 

 

放課後、天霧と夜吹が何やら話していた。挨拶ぐらいしといた方がいいだろうか?

見たところ不良ではなさそうだ。とりあえず適当に挨拶でもしとこう。それがベスト。

 

 

「えっと、あの人は?」

「あぁ、あいつは冬風飛鳥だ。戦闘経験も微塵もない、個性のないただの生徒さ。」

「ただの生徒の冬風飛鳥だ。よろしく。」

 

 

天霧が苦笑い。解せぬ。

 

 

「天霧綾斗だ。よろしく、冬風。」

「冬風じゃなくて、飛鳥いいよ。」

「じゃあ、俺も綾斗でいいよ。」

「了解だ、綾斗。」

 

 

 

 

 

夜吹と綾斗の3人で男子寮に向かっていると、

 

 

「答えろユリス!」

 

 

遠くから怒号に近い声が聞こえてきた。声がした方に行くとそこには、ユリスと3人の男がいた。

 

 

「何故、新参者なんかと決闘をしやがった!」

「答える義務はないな。」

 

 

大柄な男とユリスが言い争っていた。

 

 

「うっひょー、特ダネじゃねぇの?」

 

 

左にいる夜吹が興奮気味に言った。とりあえず左の奴は放置。

次に、右にいる天霧が大柄な男のことを聞いてきた。

 

 

「飛鳥、あいつは?」

「レスター・マクフェイル、この学園の序列9位、冒頭の十二人(ページ・ワン)だよ。」

「冒頭の十二人?」

「アスタリスクの各学園にはランキング制度があるんだ。そのランキングリストを在名祭祀書(ネームド・カルツ)というんだが、その中でも上位12人のことを冒頭の十二人っていうんだよ。」

「じゃあ、相当強いわけだ。」

「――それがな、ユリスと3回戦って3回とも負けているんだ。」

 

 

 

次の瞬間、周りが熱気に包まれた。喉が渇き、唇が切れてしまった。

ユリスはレスターにこう言い放った。

 

 

「ならば、お前は何の為に戦うのだ?!」

 

 

炎を纏うその姿は、《華焔の魔女》そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。