オリ主によるストパンの学園もの 作:Ncie One to Trick
淫夢要素はどこ……? ここ……?
俺は波崎 迅。世界で唯一のウィザード。
俺に両親はいない。10年以上も前に交通事故で他界している。
事故の際に発現した魔力で生き残ってから数年前まで、親戚の家で厄介になっていた。しかし最近は、両親と住んでいた一軒家に帰って一人暮らしをしている。
金には困っていない。国の半モルモット化の代償として、毎月恐ろしい額の金を振り込まれているからだ。
一見すると、事故から立ち直って順調に生き続けているように見えるが、俺には悩みがあった。
「またか……」
各ビルの換気扇から漏れる色んな匂いが鼻を突く、人通りの少ない路地裏。
そこに足を踏み入れ、表通りがすっかり見えなくなるまで歩き、振り向く。
「……いい加減出てきたらどうだ?」
俺の呼び声に、ビルの上から、物陰から、フルフェイスマスクで軍人然の武装を施した悩みの種が姿を現した。
目視できる人数は五人か。他にも潜んでいそうだが果たして……。
「で、俺に何の用だ?」
「……」
誰も答えない。その代わりと言わんばかりに、集団の一番先頭に立つ男が恐ろしい早さで腰のホルスターから銃を引っこ抜く。
それと同時に背後の男達も銃を抜いた。
直後、気の抜けるようなサプレッサー独特の銃声が複数回、空気を裂いた。
だが俺には効かない。シールドがあるから。
俺の足元に複数の弾丸が散らばった。
「おいおい……街中でコイツァ穏やかじゃねぇなぁ……」
「……」
男達は沈黙を貫く。先頭の男が舌打ちして銃をしまい、今度はナイフを取り出した。
それに合わせて他の男達もナイフを抜く。彼がリーダー格だろうか。
「いいね。俺さ、得意なんだよ。インファイト」
得意、というのは語弊がある。正確には遠距離武器を持ち合わせていないから、立ち向かうには超近距離による肉弾戦しか無いのだ。
相変わらずコミュニケーションを取らずに、男がノータイムで、速攻で踏み込んできた。慌てて俺もファイティングポーズを取るが受け流すには間に合わない。
そのまま腕でナイフを受け止めた。
男のナイフは俺の腕を切り裂いた。
「Shit!」
先頭の男が、フルフェイスマスク越しに初めて悪態を吐いた。
男は岩をスコップで殴った感触しかせず、切り裂いたハズのナイフに血が全く付いていないからだ。
なぜなら、俺がガードした腕の表面だけ……つまり皮膚がちょっと切れただけに終わったからだろう。ナイフは俺を戦闘不能状態まで追い込めなかった。
原理は簡単。魔力で肉体強化したのだ。もっと上手く肉体強化ができれば無傷で弾くことだって可能なのだが、俺はそこまで器用じゃない。
しかし、表層を凪いだだけとは言え皮膚が切られた。血が出ている。少し痛い。
「いってぇなぁ……。一発は一発だ」
俺は魔力に満ちた脚力で一気に距離を詰め、男の顎を思い切り右フックで振り抜いた。
風に運ばれた落ち葉の様に、しなやかな縮地。
今度は男が対応できず、ガードも間に合わずに直撃を食らった。
顎部分を殴られた男はフルフェイスマスクの破片をまき散らし、壁に打ち付けられて地面に落ちる。ピクリとも動かない。脳を揺さぶられて失神しているのだろう。
「こんなもんか。もういいや、全員で来いや」
こうしてウィザードのウィザードによるウィザードのための蹂躙が始まった。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
「もしもし宮藤博士? うんまた……え、護衛? いい加減付けろって? やだよ、一人でどうにでもできるもん」
俺は波崎 迅。世界で唯一のウィザード。
その希少性からか色んな国が俺を狙って襲ってくる。魔力で毒ガスも銃弾も効かないから簡単に排除できるのだが、一々相手にするのは面倒だから勘弁してほしい。
それを証明するように、床にはどっかの国の軍人が寝っ転がっている。戦闘前は他に気配があったが、戦闘中にそれも消えた。どうやら逃げたらしい。
「うん、じゃあ後は軍の人に任せて……。うん。バイバイ」
俺は電話を切って路地裏から出た。辺りは落ち行く陽の光で真っ赤に染まっている。少し時間をかけすぎただろうか。
そうして帰路に着こうと、路地裏から出て直ぐだった。
「ねぇねぇ外人さん、俺達と一緒に遊ばない?」
「良い喫茶店知ってんだよ。ケーキと紅茶が美味くてさぁ」
「えっと、その……困ります……」
車による帰宅ラッシュこそあるが、夕暮れ時で人通りが少なくなった表通り。女性が不良っぽい男性三人組に絡まれていた。
いつもの俺だったらスルーしていたかも知れない。
しかし今は違う。殺し合い(俺は殺すつもりは無かったが)をしてきたばかりだから、まだその余韻が、余熱が残っている。
是非とも、それを発散させて一日を終えたい。
「なあ兄ちゃん達」
「あん?」
「んだよてめぇ」
「彼女、困ってるってよ」
まぁ穏便に済むならそれで済ますが。パンピー相手に本気でやったら勢い余って殺しそうだし。
「……チッ。白けた」
「あーあ、うぜーんだよなぁこういうスカした男」
「服もキメェしよ」
男達は愚痴愚痴と文句を垂れ流しながらも、素直に引き下がっていった。てっきり殴り合いにまで発展すると思っていたのに、肩すかしを食らった気分だ。
けれどなるほど、そうか。あの後だから服が少し血と埃で汚れているのか。それを彼らは気味悪がって離れていったのだろう。
しかし殺し合いの汚れで風来坊の風貌と化した俺だが、それでも度胸があるなら殴りかかってくる奴は殴りかかってきただろうに。
「あーつまんね」
彼らと同じく白けた俺は、絡まれていた女性に声を掛けずに通り過ぎようとした。
女性に何かしらのアクションをすると、『助けたあげたよ! 感謝してね!』みたいな恩着せがましさが混ざって嫌いだからだ。
「ま、待って……」
しかし彼女がそうはさせなかった。通り過ぎ際に、俺の服の袖を遠慮がちに掴んでこう言ってきた。
「あ、あの、ありがとうございました」
「いいよ気にしなくて」
『俺は俺のやりたい事をやっただけだから』。
そう言おうとして振り返り、言葉を失った。
彼女の容姿に目を奪われ、頭の中が真っ白になったのだ。
黒いカチューシャ。美しいウェーブを描くブロンドヘア。華奢な体つきに似合った、可憐で儚さを感じさせる幼さの残った面持ち。透き通るような声。
全てが美しい。
「あ……」
俺は波崎 迅。世界で唯一のウィザード。
生きてきて17年、こんな動揺するのは初めてだった。
この胸の高鳴りは、この喉が枯れるような緊張は、一体何なんだ。
まさか、これが、噂に聞く一目惚れか?
「その、次からは……気をつけて。じゃあ」
頭が真っ白になり、気の利いた台詞が思い浮かばなかったので、無理矢理その場を収めて去ろうとする。
「あ、あの!」
が、彼女は以前として俺の裾を掴んで離さない。
「あの、私、アレクサンドラ・イワーノブナ・ポクルイーシキンと言います。後日お礼がしたいので、せめてお名前だけでも……」
「名前……」
俺は……俺は世界で唯一のウィザードだから……。
もしもこのまま彼女と接点を持ってしまったら、彼女に俺の不幸が降り注いでしまうかもしれない。
だがそれでも、彼女の身を案じる俺がいる反面、初めて感じるこの気持ちに嘘を吐けなかった。否、嘘の付き方を知らなかった。
「……俺の名は――――」
『おーいサーシャ、外にみんなで飯食いに行こうぜー』ドンドン
「はいはい。今行くから待ってて。……こんな感じかしらね、それじゃ投稿っと」カチカチッ
『淫獣』
―★☆☆☆☆―
いつもは飄々としてるのに、ニヒルでクールなおn波崎さんが格好良かったです。
けれどもヒロインが、親戚という強力な接点のあるわた宮藤 芳佳ちゃんじゃないので-114514点。
★一つですね。
『アイザック』
―★★★★★―
とても面白かったよ。
ところでヒロイン候補だけど、男装してウィッチである事を隠しながら生きてきたイザベルってウィッチはどうかな?
キャラや境遇が近いしお似合いだと思うよ。
『Jhin』
―★★★☆☆―
えっ、何このSSは……たまげたなぁ……。申し訳ないが現実の人物を対象にするのは本人に迷惑がかかるのでNG。
けどまぁ悪印象も無かったので真ん中くらいの評価です。ちょっと普通、三点!(笑)
と言うか彼のバックストーリーはどこから入手したんですかね? 確か、ホームメイト以外に口外してなかったと思うんですけど……。
『EMT』
―★★★★☆―
こういうジンもいいねー。アイツ絶対こんなキャラしないし新鮮だった。
けどやっぱヒロインは別のが良いかなぁ。次は姉妹丼ルートがあるハルトマン姉妹がオススメだよ!
『二期主人公』
―★★☆☆☆―
あの優しさに溢れた先輩が、裏でいつもこんなスリリングな日常を過ごしているのかと思うと胸がドキドキします。とても良い妄想材料でした。
けどヒロインが姉妹丼のある雁淵姉妹じゃなかったので★二つです。
『リーネが欲しいさん』
―★★★★★―
とても良かった。
彼は強気な年上の女性趣味がありそうだから、次はガランドなんてどうだろう。
『正純系後輩』
―★★★★★―
とても良かったです。
先輩は強気な年下の女性趣味がありそうだから、次は服部静香さんでお願いします!