オリ主によるストパンの学園もの 作:Ncie One to Trick
ルッキーニの純粋さには参るね……おかげで淫夢要素がクッソ薄くなりましたホモのみなさんごめんなさい
時刻は午後9時。叔父さんの研究所からようやく解放された俺は家のドアに鍵を挿して回した。
「ただいまー」
「おかえり!」
ドアを開けると寝間着姿のルッキーニがタックルをかましてきた。ドタドタという足音はドア越しにも聞こえていたのでそれくらいは予想できている。俺は小さな猪を受け止めた。
「っとと。ルッキーニは元気だなぁ」
そのままルッキーニとリビングに入る。リビングにはシャーリーとミーナさん、それに坂本さんが各々マグカップを手にテレビを見ていた。他の連中は風呂に入ってるか自室にいるのだろう。
それぞれ口々に「おかえりなさい」と言ってくれる。俺は「ただいま」と返しながら、誰も座っていないソファに上着とバッグをポイと放り投げた。
「で、宮藤博士からの呼び出しは何だったんだ?」
連絡用LINEグループで遅れる旨を伝えたから、みんな俺が遅れた理由を知っている。
そして、かつて博士のストライカーの開発に付き合っていた坂本さんが真っ先に食い付いてきた。今回は特に秘匿も口止めも強要されていないので要点を掻い摘んで内容を話す。
「魔力伝達率の高い新しい繊維を開発したんで、それを編み込んだウィザード用ズボンの試着。それからフライト実験ですね」
「ほう。魔導エンジンとストライカーだけで飽きたらず新繊維まで開発とは、そろそろ要人に指定されてもおかしくないな」
「魔導エンジン開発した時点でなってるでしょう」
「それで……フライトしてどうだったんだ?」
「今までズボンのままストライカー装着しても30%くらいの性能しか出せなかったんですけど、今回のズボンだと体感80%くらいはストライカーの性能引き出せましたね」
「宮藤さんのお父さんって本当に凄いのねぇ……。けど、私達も聞いていいのかしら?」
ミーナさんが感心しつつも困惑している。扶桑とカールスラントは医学や科学など、とにかく技術力を競い合う仲なのだが、機密情報を相手側に教えてもいいのかと彼女は危惧しているようだ。
「近い内テレビで発表するらしいッスよ。ネットとかで情報拡散しなけりゃ問題無いでしょう。それにウチに居る人たちはみんな信用してるし」
「へー、嬉しい事言ってくれるじゃん」
シャーリーがニヤニヤしてこちらに顔を向けている。その笑みは嬉しさ半分、からかい半分って感じか。
「だってシャーリーも言わないでしょ?」
「まーな」
「じゃいいじゃんそれで」
「いいのかしら……」
「いいんスよ」
呆れたようにミーナさんが零している。別に構いやしないさ。ネットに漏洩したわけでも無し、身内四人に話しただけで然したる問題は無いだろう。カールスラントは規律違反に厳しすぎる。ハッキリわかんだね。
「うじゅ……?」
いかん。研究内容から話に着いてこられなくて、ルッキーニが頭上に「?」を出している。もう少し賢くなることをオススメします。
とりあえず、腰にくっついてたルッキーニを引きはがしてキッチンに行く。流し台の上には扶桑料理が並んでいた。芳佳が作ったであろう今日の晩ご飯で、俺の分を取っておいてくれたのだ。
そのままレンジに入れてあたためを押し、リビングに戻ってテレビを見ながら暖まるのを待つ。
テレビでは世界情勢のニュースをやっていた。それについて坂本さんやミーナさんが、ああでもないこうでもないと意見交換をしている。たまにシャーリーも茶々を入れて楽しげだ。
しかしルッキーニはテレビの内容がつまらないのか、俺の膝の上に頭を乗せて丸くなった。猫か。いや使い魔は黒豹だけど。
そのまま膝の上に乗っかった頭を撫でていると、テレビはスタジオから暗転してロマーニャが映った。ルッキーニの故郷だ。テレビでは綺麗な景色や美味しそうな食べ物が取り上げられている。
それまで撫でられるがままにされていたルッキーニが、膝の上に乗せた頭を捻ってテレビに釘付けとなった。
「……夏休みになったらロマーニャに帰るか?」
撫でるのを止めてルッキーニに聞いてみる。
彼女はまだ13歳、去年までランドセルを背負っていた子供だ。シャーリーが母親の代わりを務めていてはくれているが、それでもホームシックになるだろう。故郷が懐かしくてもおかしくない。
「ん……マーマの家に帰りたい」
だろうな。一時帰宅や帰省でなく、帰りたいという本音が出ているからその寂しさ度合いも伺える。
「けどジンと離れるのヤダー」
その一言に頬を緩ませてしまった。
コイツも芳佳みたいに可愛さの権化だ。気分は親戚のお兄ちゃんそのもの。思わず上半身を屈めて抱きしめてしまうのも仕方ない。
「そしたら俺もロマーニャまで着いてってやるよ」
「ホント!?」
「ロマーニャの観光してみたかったし」
「ヤッター!」
嬉しそうにルッキーニが抱き返してくる。
ロマーニャと言えば飯ウマな国で有名だ。いつかは本場のピッツァやパスタも食べてみたいと思っていたし、ルッキーニがロマーニャに帰るなら着いていって観光をしたい。
ふと、視界が暗くなった。俺が上半身を屈めている姿勢だから、上から誰かが覗いているのだろうと簡単に想像できる。
「それならさ、ついでにリベリオンまで来ちゃいなよ」
想像通り、シャーリーが覆い被さってきた。俺の下にルッキーニがいるから体重は加減してかけてこないが……美少女のサンドイッチになった俺の気持ちも考えて欲しい。
けどリベリオン合衆国か……。あっちもいいなぁ。
「いいねぇリベリオン。俺アレ食いたい、本場のでかいハンバーガーと肉」
「ハハッ。扶桑人は食に関心があるって聞いてたけど、本当にそうなんだなー」
シャーリーがカラカラと笑いながら愉快そうに体を揺らしてくる。考えてみると、美食家でも無いのに脳内にあるのは他国料理ばかりだ。観光とは言ったが有名な地名や建築物を挙げない辺りその説は否定できない。
「確かにそうかも。我ながら食い意地張ってんな」
釣られて俺も笑う。
「んんっ!」
ソファの方から咳払いが聞こえた。テレビを見ていたミーナさんだ。隣では困ったように坂本さんが笑っている。
「あー、じゃあ夏休みは帰省と海外旅行行くっつー方向で」
「りょーかい」
そそくさと話を纏めると、被さっているシャーリーを上に持ち上げた。
ミーナさんは、まだ中学生のルッキーニには目を瞑ってはいるが、それ以外の女性との過度なボディタッチにはかなり厳しい傾向がある。
理由はハルトマンから聞いたのだが、そこそこ長く付き合っていた彼氏が事故で亡くなったのが原因だそうだ。他人の幸せは毒の味らしい。
異文化交流で扶桑を訪ねた他の留学生とは違い、悲しみに追われるように、または紛らわせたくてこっちの国に留学したという寂しい背景が彼女にはある。バルクホルンとハルトマンはそれに着いてくる形でこちらに来たそうだ。
ちなみに俺が誰とも関係を持っていないのはウィザードだからというのもあるが、ミーナさんの素性も手伝っている。俺が彼女作ったりしたら発狂しそう。だから内心、家から出て行け!出てけと言っている!
それでもウチから出て行かないのは、やはり居心地が良いのだろう。
多分、炊事洗濯掃除と家事全般を殆どやっちゃう芳佳のせいだな……。一応家事のローテーションは組んでるけど、気づいたら芳佳が手伝ってて意味をなさない。
「あ」
芳佳で俺は思い出した。彼女が作った晩ご飯をレンジで暖めていたが、もう稼働音は聞こえない。充分に暖まったのだろう。
料理を取りに行こうと膝の上のルッキーニをどかそうとしたが、彼女はウンともスンとも言わない。
「……ん?」
それもそのはず。ルッキーニは眼を閉じて船を漕いでいた。
「ほらルッキーニ。寝る前に歯磨かないと」
「さっき磨いてたぞ」
おねむなルッキーニの代わりに坂本さんが答える。
「お風呂は?」
「私と一緒に入ったな」
今度はシャーリーが答える。寝間着だしそれもそうか。
「ルッキーニさん、いつもなら寝てる時間よね」
「確かに……」
ミーナさんが意味深な台詞を付け加える。まだ21時過ぎだが彼女からしたら夜更かしの域に入る時間だ。どうして夜更かししていたのだろう。
……俺は自意識過剰なタイプではないという自負はあるが、もしルッキーニが俺に「おかえり」を言うために起きていてくれていたのだとしたら、それはとても嬉しい。
俺はルッキーニを起こさないように抱きかかえて彼女の部屋のベッドに運び、ソッと寝かして布団をかけた。
スヤスヤと眠る彼女はとても愛おしい。父性とはこういう感情を指すのだろうか。
「お休み、ルッキーニ」
ひとまず501キャラ全部出したので後はのんびりやります
……ん? 何か足んねぇよなぁ?
あれーおかしいね。バルクホルンとサーニャがいないねー
次はバルクホルン&サーニャ回でいこっかなーどうすっかなー俺もなー