モビルスーツに乗りたかった喰種捜査官   作:haregreat

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第2話 地上勤務命令

地下探索任務を終えて、しばらく立ち、有馬さんから昇進の話があった。

 

「昇進の推薦しといたから。試験がんばって」

 

以上の一言を休み明けに出勤早々に言われた。

あ、試験は免除じゃないんですね・・・

俺はそこそこ一般教養に関しては自信がある。だが昇進試験は喰種についてや喰種対策法等とても専門制が強い。そして俺はスクールを出ていない&ジュニアスクール時代は実技一辺倒だったので、知識は極僅かしかないのだ。試験まで後1ヶ月少々。果たして受かるのか?

有馬さんから推薦してもらったにも関わらず、落ちたらどうなるのだろう。俺は背筋になにか冷ややかなものを感じ、頼れる先輩の元に向かった。

 

 

 

 

「落ちたら承知しないよ?」

 

頼れる先輩宇井えもんに泣きついたら、冷たい言葉を投げ掛けられた。

あぁ。やっぱそういう反応してくるのか。恐らく零番隊の連中はみんなこんな反応に違いない。

 

「俺別にずっと三等でもいいし」

 

ちょっと強気になって別に落ちても俺は気にしないということを言うと。宇井先輩がお決まりの溜息をついた後、宇井先輩のガチな視線で睨まれた後に冷たい視線を俺に向ける。

 

「お前がスクールを出ていないのは知ってるし、脳筋だってのも知ってるだが、有馬さんの推薦を無下にするのは許さないよ。」

 

泣き言は許さないし絶対受かれ。そう言外に言ってくる。

 

俺は、ですよねー。とあまり見ない宇井先輩のガチな視線を受け、冷や汗を流して答えた。

 

「わかりました。俺頑張ります・・・」

 

落ち込んだ風に了承して、俺はその場を去ろうとする

しかし、予想してた通りに宇井先輩から声がかかった。

 

「ま、まてよ。別に何も手伝わないとは言ってないだろ。お前の指導役を有馬さんに任されてるし、落ちたりなんかしたら、私の指導にも問題があるように見られかねない。しょうがないから手伝うよ」

 

少し、照れながらぶっきらぼうに協力すると伝えてくる宇井先輩。

 

まじちょろい。

 

「今、なんか言った?」

 

どうやら、言葉に出ていたらしく、俺は慌てて、頼れる先輩だなって言いました!と適当に誤魔化す。

 

「本当かよ」

 

じと目で睨まれつつ、いつもの溜め息をしながら先輩は、俺に勉強を教えてくれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「安室三等捜査官、君を二等捜査官に任命する。」

 

宇井先輩が鬼教官と化して勉強を教えてもらってから1か月。試験を無事合格し、本日CCG本局の大広間に多くの

捜査官が集まり、昇進式が行われていた。俺以外にも多くの捜査官が壇上に呼ばれ、局長から新たな職位をもらっている。俺みたいな三等から二等に上がるような平まで、こうやって式典に呼ばれて局長自らが、任命してくれるとは、公務員ってすげえなぁと実感する。

その後、俺と宇井先輩はSレート討伐が評価され白単翼賞を貰ったりして、最後に局長から挨拶が終わって無事閉幕となった。そして、ようやくお楽しみの式後の立食パーティーである。まぁただの食事会みたいなものなのだが。

 

周りは、どうやら人脈作りやらで必死に色々な人に話しかけているようだが俺は別に上昇志向など持ち合わせていないので、ただ飯に集中だぜ!と必死に肉やら寿司やらを自分の取り皿に分けて食事に専念する。

ちなみに、俺はジュニアスクールしか出ていないため、顔みしりの同期というものがいない。しかも基本地下探査で長期任務ばかりだったのでCCGで知っている顔というのは零番隊の方々だけなのだ。

要するに、この場でほとんど俺みたいなぺーぺーの顔を知っている奴はいない訳でわざわざ話しかけてくるような奴はいない。要するに食事に集中できるってこと!別に寂しくないんだから・・・

 

 

俺はちょっと寂がりながら、やけ食いをしていると、どうやら挨拶周りを終えた宇井先輩がこちらに近づいてきて話しかけてくれた。

 

「お前、食事ばかりしてないで少しは顔をだしてこいよ。」

 

呆れたような声で俺に話しかけてくれた宇井先輩はいつも通りお小言から始まった。

 

「いいんですよ。俺みたいな新人誰も相手しませんよ。それにあまり昇進とか興味ないですし?」

 

別に上昇志向というものがないわけではないのだが、最終的に一等捜査官になれればいいやくらいなのだ。

なので、そんな面倒な挨拶をわざわざする必要性を感じない。しかも、たかだか二等になったばかりの1年目の若造である。どうせたいして相手にもされない。だったら飯くってたほうが有意義なのだ。

 

「いや、お前は中々注目されてるんだぞ?そもそも飛び級なんて庭出身者以外聞かないし、1年目からSレートを討伐して白翼単賞なんて異例なんだからな?」

 

お前はもう少し自分の立場に自覚をうんたらかんたらと、宇井先輩のありがたい説教が始まりだしてしまったので、俺は聞いているふりをしながら、せっせと食事を口に運ぶ。

宇井先輩の話に適当に耳を傾けながら食事をしていると、俺に近づいてくる二人組のおっさんが見えた。

その二人をよく見ると、どちらも見覚えがある顔だった。

 

「久しぶり安室。中々活躍してるらしいじゃない。」

 

「うむ」

 

話かけてきたのは、ごつい外見に似合わず軽い調子で話かけてくれたのが篠原教官で、口数が少なく、だいたいの返事をうむで済ませてしまうのが黒磐特等である。ちなみにどちらもジュニア時代調子に乗っていた俺に上には上がいるということを教えてくれた人達であり、人外な方たちである。ゴリラの血でも入ってんじゃないかな。

 

「お久しぶりです。篠原教官。黒磐特等。本局で会うのは初めてじゃないですか?」

 

篠原教官は教官というだけあって基本的にはスクールに籠っており、黒磐特等も担当区域の支部に籠っているのであまり見かけない。顔を合わせたのはジュニア時代にクインケ操術の指導をして貰って以来だろうか。

 

「そうかもね。ちょいと本局に呼ばれたから、ついでに教え子達の顔を見ようと思って式に出席させてもらったんだよ。そしたら安室の顔が見えたから、ちょいとお祝いの言葉と思ってね」

 

どうやら、ついでではあるが、数回指導してもらっただけだというのに、わざわざ声をかけてくれたらしい。

ちょっとうれしい。

 

「ジュニアスクールでは、初の飛び級対象者だからね。正直心配してたんだけど。1年目からかなり活躍してるらしいじゃないか、あまり無茶はいかんよ?しっかり周りの言うこと聞いてる?」

 

心配するように俺に語り掛けてくれる篠原教官。こういう気遣いはうれしいよね。さすが教官だ。人心掌握には長けてるぜ。しかし、宇井先輩がいる状況で後半の質問をされると答えずらいので、今はしてほしくなかった!

 

「あ、あたり前じゃないですか。零番隊の皆様の指示に従い、常に任務を全うしております!」

 

ちらっと、宇井先輩に目配せしながら、目で話あわせてと念を送りながら答えるが、宇井先輩の目が細くなり、不気味な笑顔をした。これはあかん。

 

 

「へー指示に常に従ってる?中々に面白いことを言うね。」

 

その一言を皮切りに、今までの任務中の俺の活躍をノンフィクションで語りだした。俺が命令無視をする場面を強調しながら。

 

「なかなか、楽しいことをしているな?」

 

その話をきいた篠原教官は口調は変わらずだが、修正が飛んできそうなオーラを醸し出してきたので、必死に話題転換に励む。

 

「っそれより!教官はなんで本局に呼ばれたんですか?もしかして現場復帰ですか?」

 

あからさまな話題転換であったが、どうやら俺の言葉に溜息をつきながら応じてくれた。

 

「うーんあまり、詳しくは言えないんだけど、もしかしたらそういう話もいずれあるかもって感じかな?まぁ今すぐってわけでもないよ」

 

どうやら、一応現場復帰についての話だったようだ。話題を振ったからにはと、その後は、適当に話題を振ったり、振られたりと話しをしていると、篠原教官と黒磐特等は、そろそろお暇するということで、帰ろうとした時、

有馬さんと知らない捜査官が俺達に近づいてくるのがみえた。はて、有馬さんからは俺と宇井先輩はすでに式前に祝いの言葉を貰ったし、目の前にいるおっさん二人に用かな?と近づいてくる二人をみながら考える。

他の三人も有馬さん達に気が付き、篠原教官が話しかけた。

 

「おー、有馬に真戸か。久しぶりだな」

 

篠原教官は有馬さんの隣にいる捜査官も知っているようで、近づく二人の名前を呼んで、手招きをする。

 

「お久しぶりです。篠原さん。お元気そうでなによりです。」

 

「篠原か。久しぶりだな。教官職がどうやら板についてるようで安心したぞ。」

 

有馬さんと真戸と呼ばれた捜査官が篠原さんに気軽に言葉を返す。どうやらそれなりの関係らしい。

俺はこっそり、近くにいた宇井先輩に隣にいる真戸って誰?と聞くと、それなりに有名な人だよ?と一言言ってから教えてくれた。

 

「真戸上等捜査官。篠原教官や法寺捜査官とペアを組み多くの功績を残してきたベテラン捜査官だよ。

実力と実績だけを鑑みれば上等以上の職に就いててもおかしくないんだけど、本人に上昇志向が無いのと問題行動で今だ上等らしい。」

 

どうやら、事情があるにしろ上等捜査官の中でもかなり優秀な人らしい。しかし不気味な顔をしているだけに、やはりなにかしら問題を抱えているのか。

俺と宇井先輩が小言で隅で話していると有馬さんが俺に話しかけてきた。

 

「安室に用があって来たんだけど、今いいか?」

 

俺に用か。てっきりおっさん二人のどちらかと思ったんだが意外だ。はてなんの用だろうか。

 

「俺にですか?」

 

なにかやらかした覚えもないが、やはり食事ばかりしてたことがよくなかったか?

しかし、有馬さんは別に怒ってる素振りもないし、怒っている姿をみたこともないので、そんなことは気にもしないと思うが、さて。

俺がなんだと身構えていると、有馬さんは別にたいしたことではないように、話始める。

 

「安室は、地上での喰種捜査の経験がないだろ?だから来月から真戸上等捜査官とペアを組んでもらうことになったから。」

 

ん?俺異動?この見た目怖い人とペア組んじゃうの?

俺がいきなりの爆弾発言に固まっていると真戸上等が挨拶してくる。

 

「やぁ。君が安室君か。噂は聞いているよ。ジュニアスクール初の飛び級制度の対象者であり、有馬班では新人でありながら多くの喰種を駆逐したとか。君みたいな優秀な若者を導けるか私には自信がないが、君の力になれるように努力させてもらうよ。」

 

謙遜しながら、俺を持ち上げつつ挨拶をしてきてくれた。顔に似合わずいい人そう?俺もよろしくお願いします。

と頭を下げて挨拶をする。

 

「ほー真戸と組ませるとは、中々いいんじゃないか。真戸は捜査は当然ながら、クインケ操術も上手い上、クインケにも詳しい。色々勉強させてもらえよ」

 

篠原教官が真戸さんに太鼓判をおし、黒磐特等もうむと同様に頷く。

 

「安室が地上捜査か。地下よりは危険は少ないほうだけど、捜査は難しいからあまり真戸上等に迷惑をかけるなよ?」

 

宇井先輩もいい経験になるしよかったじゃないか。と俺にアドバイスしてくる。

 

 

「あぁ。それと宇井。宇井には来月から俺の傍で働いてもらうから。丈が異動するかもしれないんだ。その代わりを頼む。」

 

その一言に宇井先輩が固まる。丈さんの代わりとか責任重大だなぁと他人事のように思いつつ自身もこれから大変だと思い、お互いがんばりましょう。と声を掛けておく。

 

「それでは、皆さん私はこれで失礼します。」

 

言いたいことを全て言ったのか有馬さんは、言うだけ言うとその場から去っていった。真戸さんもそれに続いて去ってしまい、元から去ろうとしていたおっさん二人組も頑張れよーと言ってから帰ってしまった。

後に残されたのは、今だ有馬さんからの一言で固まっている宇井先輩と俺だけである。

 

とりあえず、取り皿に乗っけておいた料理を口にしながら、宇井先輩に声をかける。

 

「とりあえず、今日飲み行きます?」

 

「・・・そうだな。」

 

顔を引きつらせながら、ぎこちない笑顔でなんとか答える宇井先輩は今だ上の空であった。

 

 

 

 

 

 

「やぁ。式以来だね。安室くん今日からよろしく。」

 

式から1月が立ち、俺は本局付けで真戸さんの元に正式に配属された。

式の時と同様、不気味な顔をしているが雰囲気はとても柔らかく、対応もとても余裕のある大人と言えるものだった。この1か月周りからの評判を聞いてみたが、クインケ狂いの真戸と呼ばれていたり、喰種に容赦がなく、少々独断専行のきらいがあるらしいが、それを除けば、いい人らしい。

 

というか、俺も地下任務の際の行動を鑑みると人の事をとやかく言える立場ではなく、クインケには俺も大変興味があるので、割と話しがあうんじゃないかと思ってたりする。今日の対応も正に大人の対応であり、人間的にもとてもいい人なんじゃないか?

 

「あれから、挨拶に伺えなくてすいません。異動前に地下任務と引き継ぎやら、捜査に関する勉強漬けで。」

 

「あぁ。聞いてるよ。宇井君から私も色々面倒を見てくれと言われてね。今日まで宇井君に大分しぼられていたようだね。」

 

捜査に関する知識等を詰め込まされていたのだ。先輩に。

しかし、宇井先輩からも面倒をみてくれと。事前に話してくれていたようで。事前に色々話を聞いているらしい。笑いながら周りに愛されてるねーと囃し立てて来る。真戸上等。

いい先輩だわー。

 

「では、そろそろ仕事の話をしようか。今は大きな案件を持っているわけではないが、捜査に関して地下とはだいぶ違うし、スクールを出ていないのなら、まずは実際足を使いながら教えていくとしよう」

 

そう、言いながら車を既に回していると伝えられ、俺は真戸さんに連れられ、東京の様々な場所に連れていかれた。

 

 

 

 

 

「今日はこのくらいにしておこうか。」

 

1日中東京を駆け巡りながら、どのような場所を喰種が餌場にしているか、またその習性等を丁寧に解説しながら、実地で教えてくれたのは、とても分かりやすかった。餌場としている可能性がある場所にいくつか赴いたが、その際になんとなく、怨念というか、嫌な雰囲気を感じ、嫌な雰囲気がしますね。と伝えるとそういう雰囲気を感じ取ることや、直感に従うことは非常に大事だと伝えられ、私もそれなりに勘が冴えているほうではあるが、君もそれがわかるようなら、その直感を大事にしたまえと伝えられる。あなたはニュータイプですかね?と聞きたくなったが、そういう人ってやっぱいるのか。と前世とはやはり違う世界なのだと実感する。

 

「ところで、今日はこれで業務は終わりとするが、この後親睦を深める為にも飲みでもどうだね?」

 

おー。こうやってお誘いを頂けるのは大変うれしい。むしろ俺から誘いたかったくらいである。しかし残念ながら用事があるのだ。

 

「すいません。凄くうれしいお誘いなんですけど、今日の夕方知行博士に呼ばれていまして、新しいクインケを取りに行かないといけないんです」

 

でも明日以降ならいつでも大丈夫です!と心苦しいが、今日は用事があると伝えると、目つきがとても鋭くなり、なにか興奮したかのように聞いてくる。

 

「それはもしかすると君が最近討伐したというSレートの赫包を使ったクインケかね。」

 

よく、ご存じで。それですよ!宇井先輩から所有権を正式に昇進祝いがわりに頂き、ついに昨日完成したと、連絡があったので、俺もどのようなクインケができたか非常に楽しみなのだ。

 

「もし、邪魔でなければ私もついて行っていいかね。クインケには私は目が無くてね。Sレートはここ最近拝めていなくて、是非とも見せてほしいのだが」

 

嫌でもついていくぞ。と強い眼光を感じ、拒否する理由もないので、快諾する。じゃあ、クインケの回収が終わったらそのまま飲み行きましょう。と伝え一緒に、地行博士が待つCCGの研究所へと向かうことになった。

 

 

 

 

「君が安室くん?話では聞いていたけど随分若いね。私は知行という。今回君のクインケの作成を担当させてもらったよ。それと真戸さんもお久しぶりです。」

 

おかっぱ頭で目元を髪で隠した白衣の男性が研究所に到着するなり、声をかけてきた。どうやら真戸さんとは知り合いのようだ。

俺は挨拶を返し、真戸さんも久しぶりだねと挨拶をする。

 

俺は早く、クインケを見たかったので本題のクインケについて、聞く。

 

「中々に良質な赫包だったから、僕も気合を入れて作成させてもらったよ。形状等に関して特に希望はないと宇井君から伝えられたから、赫包に一番最適な形状を取らせることで強力なクインケに仕上げられたよ」

 

え、希望だせたの?だったらビームソードが良かったんだが。まぁ一番最適な形状にしたと言うので、無理に形状を希望するのも逆に性能を下げる原因になってたかもだし。それでいいか。安室さんはMSでもMAでも扱えるんだぜ?でも、ガンダム系列の武器がいいです!と内心願いつつ、クインケが置かれている部屋に案内される。

 

案内された部屋は倉庫がわりにもなっているのか、とても広い大部屋であった。そこには一つのケースが置かれており、これが君のクインケだと手で差し示し、展開してご覧と知行博士が伝えてきた。

 

俺はその独特の冷たい雰囲気をまとうケースにゆっくり近づき、手に持ってから、ケース状に格納されているクインケを武器へと形状を変化させた。

 

一瞬でケースの形態から武器状にと変形する。その姿は2m程度の薙刀であり、短い柄の両端には柄よりも数倍長い刃が取り付けられている。薙刀のほとんどが刃で占めているという一見、非常に扱いずらそうな構造であった。また、短い柄にはいくつかのスイッチが取り付けられていた。

 

「形状は薙刀を主体にし、両端に刃を取り付けさせてもらったよ。形状はやや、変則的な形となってしまったけど、宇井君は君なら十分に扱えると言ってたから、心配してないのだけど、どうかな?他にもいくつかギミックを備えさせたんだけど・・・」

 

隣で、知行博士が解説してくれているが、俺の耳にまともにその声が入ってこない。

両端に長い刃があり、手に持つ柄部分が刃に対して短いことから扱いが慣れるまで大変かもしれないが、手に持つとクインケは思ったほど重くなく、扱いに習熟すれば、片手でも扱えそうな取り回しのしやすさ。そして見るからに切れ味が鋭そうな刃。手に持つと、異様にしっくりくる感じ。軽く一振りしてみるが、まるで俺のことを待っていたかのような相性の良さであった。正直、ここまで、自分にしっくり来るとは思わなかった。これだけのものを作ってくれたことに不満はない。

 

そう。不満はないのだ。だがあえて一言いいたい。もう一度言うが不満ではないのだ。凄く私情なことでくだらないのだが、あえて言うならばだ。

 

これ、ゲルググのあれだろ!? なぁ俺安室なんだけど?トマホークに続いてまたジオン系かよ!

俺は連邦派だって何度言え(ry

 

俺は胸中で声にならない悲鳴というか、絶叫みたいなのを声にださないように必死にこらえながら、抑え込みつつ突っ込むのを我慢する。知行博士はジオニストなの?

 

 

そして、俺がクインケを一振りし、若干震えているのを満足し感動しているように捉えたのか。博士も笑顔で解説を続けてくれる。

「どうやら、満足してくれたようで安心したよ。実はこのクインケには2つ程ギミックをつけさせてもらっていてね。柄に二つボタンがあるだろ?まずは手前のを押してもらっていいかい?」

 

俺は冷静になりつつ、指示通り手前のボタンを押すと柄の中心で、薙刀は二つに分離し2本の曲刀として扱えるようになった。

 

「どうだい。薙刀を二つに分離することにより二本の双剣としても扱えるんだ。狭い屋内戦闘なんかで活躍できると思うんだ。勿論、ギミックによって強度なんかは落ちてないから安心して」

 

あー既視感があるんじゃぁ。と心の中であほみたいな声をだして、二本の剣を片手に一本ずつ持ってから二本の剣を交互にぐるぐる回してあの使い方を真似する。

 

 

「おーもう使いこなしているのか。さすが期待の新人だ!」

 

眼腐ってるんですかねぇ。ただぐるぐる回しているだけですよ?

 

「じゃぁ。もう一つのギミックを説明するよ。この薙刀の刃は通常でもグールを余裕で切り裂けるだけの切れ味があるんだけど、その切れ味を更に増す機能をつけてあるんだ。

最近、研究が終わったばかりの機能なんだけど、名付けてヒート機能!短時間ではあるが瞬時に刃を高温にし、喰種のカグネを容易に焼き切ることができるんだ。まぁ本当に短時間だし、まだまだ開発したばかりだから、1度使うとしばらくこの機能は使えないんだけどね」

 

再現度たけぇな!これネオ(ry

じゃなく、本当にゲルググのあれだよなぁ。

 

その機能を作動させてから、まんまビーム薙刀な姿を見て諦観な念を抱き、茫然とその姿をみていた。

 

「どうだい。最近作成したクインケの中では自信作なんだけど。気に入ってくれた?」

 

形状に突っ込みたい気持ちが非常にあるものの、えぇ。気に入りましたよ。妙にしっくりくるし、これが尻にしっくりくるというものなのだろうか。

冷静に考えてみれば、そう。ガンダムに乗る前の前座だと思えば納得はまぁ一応する。アムロさんもディジェに乗ってたし?

ようするに、Sレート以上の喰種を狩り続ければ、いずれ連邦制、ガンダム系の武器にも巡り合えるだろうと、プラス思考で考えつつ、安室がジオン製とか胸熱!と無駄にテンションを上げて、気に入りました。ありがとうございます。と応じる。

 

「うん。なにか不具合が起こったらすぐに持ってきてね。これからも君には期待しているから、また何か大物を狩れたら任せといて。」

 

ジオン系はもうやめてね?と内心おもいながら、ぜひお願いします。と伝え、その場を去ろうと真戸さんに声をかけると、真戸さんが、なにか言いづらそうに声をかけて来る。

 

「安室君。素晴らしいクインケだね。よければでいいのだが、私にもクインケを少しみせてもらっていいだろうか?」

 

先ほどから黙って見ていた真戸さんが、やはりクインケに並々ならぬ興味があるのか。是非とも触らせてほしいと聞いてくる。

 

全然かまわんのだが。俺はかまいませんよ。と伝えクインケを渡すと、しばらく手にしながら振るったりしてから、やはりSレートはいいものだ。となにか聞き覚えがある発言をしつつしばらく、自分の世界に入ってしまったのを俺は知行博士と色々話しながら、眺めていた。

 

 

 

その後は、真戸さんと飲みに行くこととなり、娘がCCGを目指していることを聞いたり、写真を見せてもらったり、可愛いなぁなんて呟くとそうだろう。嫁にはやらんぞ。等と親馬鹿な姿を見れたりして、親睦を深められたと思う。

この上司となら、なんとかやって行けそうだと安心し、新たなクインケも装備できたことで、いずれ、よりかっこいいクインケを入手するぞ。と意気込みながら、その日は二人で飲みあかしたのだった。

 

 

 




以下、解説です。

まだこの主人公には、ビームソードは早いということで、ビーム薙刀にしました。Zのアムロの搭乗機ディジェはビーム薙刀を装備してるらしいですね。ビーム薙刀って自分に刺さりそうで凄く見てて不安になります。
いずれは、新しいものをまたなにか出したいと思います。安室がプロローグで使っていたもう一つのクインケも、もう少ししたらだそうかと思っています。まぁ、まんまウミヘビなんですが。プロローグでそれっぽく書いたのですが、伝わりましたかね。
なかなか、状況の表現や戦闘描写、キャラ同士の会話等、表現が乏しく、わかりにくいかと思いますが、今後さらに精進したいとおもいますので、温かい目で読んで頂けたら幸いです。
今後、オリジナルのクインケや喰種が多々出てくると思います。もし、あまりにも東京喰種の世界観を崩しすぎていたり、不快に思った際にはご意見お願いします。
適宜、訂正をしたいと思いますので。
そして2話を投稿後、お気に入りが20件を超えました。家に帰って確認した時、とても嬉しかったです。お気に入り登録して頂いた方ありがとうございました。感想を書いてくださった方もありがとうございます。厳しい意見も覚悟していますので、意見がありましたよろしくお願いします。
それでは。ノシ

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