逸見エリカ
年齢・23歳~25歳
身長・160cm
出身・熊本県
所属・満州方面軍
搭乗戦車・四式中戦車~四式中戦車改
役職・戦車1個中隊長~戦車1個連副隊長
階級・大尉~中佐
赤星小梅
年齢・23歳~25歳
身長・156cm
出身・熊本県
所属・満州方面軍
搭乗戦車・四式中戦車~四式中戦車改
役職・戦車1個中隊長~戦車1個大隊長
階級・大尉~少佐
1938年3月末、大湊鎮守府からの情報を受けた満洲方面軍はとても慌ただしく成っていた。
これまでの日中対策の他に濃厚となった日ソ開戦への準備を加速させたからである。
通信参謀「軍団長、本部から通信、日ソ開戦は濃厚であるとの事です!」
軍団長「元より避けられんだろうな・・・、聞いての通りだ西住みほ少佐、西住まほ少佐、島田愛里寿少佐、諸君らの戦車部隊には相当骨を折ってもらう事となるが、頼んだぞ!」
まほ「そのつもりです!」
愛里寿「最後まで戦い抜きます!」
その第一段階が高火力を要し、機動性にも優れた中戦車部隊の拡大であった。
現在この満洲方面軍に配備されている戦車部隊はみほの戦車大隊以外に57㎜主砲を搭載した89式戦車が既に一個旅団(三個連隊)規模で配備されている。
しかしソ連の中戦車は四式中戦車の75㎜砲でも撃破できないかもしれないほど強固な装甲を持つため、これへの対策として軍令部は新たに西住まほ少佐、島田愛里寿少佐が率いる中戦車二個大隊を援軍として派遣された。
軍団長「そしてもう一つ、急な事ではあるが西住みほ少佐には4月1日より中佐に昇進、三個戦車大隊を一個連隊として扱うため、その連隊長を命ずる。」
みほ「!!、私がですか!」
自身は三個大隊の中で最年長、実の姉でもあるまほが連隊長になるものと思っていたためかなり驚いた。
まほ「私達はまだ実践経験がないからな、二度も激しい戦闘で冷静に指揮を執れたみほに頼る他ない。」
愛里寿「私も、みほさんに指揮をお願いしたい。」
軍団長「このワシも含め皆そう思っているのだが、どうかね?」
みほ「分かりました!、やります!」
皆からの期待に半ば押された感はあるが、それでも期待してくれるならとみほは連隊長を引き受けた。
軍団長「では頼むぞ、西住みほ中佐!」
みほ「はい!」
その日の夜、早速みほは部隊の顔合わせともうすぐ行われる遼陽市街攻略戦における各部隊の動きについての会議を開いた。
召集されたのは各部隊の自身を含め大隊長、中隊長クラスである。
みほ「始めましての方もいると思うので、改めまして、この戦車連隊の連隊長に任命されました西住みほ中佐です。」
まずは各員の挨拶から始まった。
続いては役割を話す。
みほ「私が連隊長になった事で元の私の戦車大隊の大隊長は基本的には私が連隊長と兼任して行いますが、部隊を離れる事があった場合、代理は秋山大尉にお願いします。」
優花里「了解であります!」
みほ「それから三個大隊の位置付けですが、西住まほ少佐の大隊長を第一大隊、私の大隊を第二大隊、島田愛里寿少佐の大隊を第三大隊としますが、何か異論はありますか?」
特に異論を唱える者は居なかった。
そんな中、まほの第一大隊副隊長を務める逸見エリカ大尉が他の者も思ったであろう簡単な質問をした。
エリカ「貴女の部隊が第一ではなくて良いのですか?」
単純に考えればこの場合、連隊長直属大隊を第一大隊にするのが普通だがみほはあえて第二にした事への質問であった。
みほ「直属大隊長が第一とか、その辺ははっきり言ってどうでもいい、これだけ大きな部隊ですので、一番重要なのは各部隊が得意とする位置に適切に配置する事にあります。」
エリカ「納得いたしました。」
エリカはこれ以上何も聞かなかった。
みほが言った事は最もな事であり、自身の部隊の特性を知るのは副隊長ならばなおさらであるとエリカは思ったのであろう。
愛里寿「では、私の第三大隊は後方支援と敵の撹乱と言ったところですね。」
みほ「はい、お願いします。」
そして月が明け4月上旬の明け方、西住みほ中佐が率いる戦車一個連隊が遼陽市街へ向け北上する。
しかし遼陽市街直前に位置する平原から市街へと続く道中に8万の敵兵が守る防衛陣地がった。
みほ「作戦通り、まず第一大隊が敵陣地の中央部に一斉砲撃をお願いします!」
まほ「了解した!、第一大隊全車両停車!、砲撃用意!」
まほの号令と共に60輌の中戦車が横一列に並ぶ。
まほ「撃てば必中!、撃てーーー!!」
そして凄まじい轟音と共に戦車が一斉に火を噴き、75㎜砲弾が敵防衛陣地に降り注ぐ。
共産党軍中将「な!、何事だ!」
共産党軍中佐「敵襲です!、戦車部隊を前衛に急速接近中!」
共産党軍中将「くっ!、応戦しろ!」
しかし敵方も激しい応戦を開始、機関銃や野砲が一斉に火を噴きまるで弾丸の雨が降って来た様であったが野砲の砲弾は57㎜程度の物でとても四式中戦車の装甲を貫ける物では無い。
みほ「敵の目は完全にこちらに向きました!、第一大隊は突撃!、第二、第三大隊は援護射撃を開始してください!」
まほ「了解した!、全車両急速発進!」
まほ「(守りは固く!、進む隊列に乱れ無し!)」
まほの第一大隊は横一列から楔形に陣形をかけ、敵陣の中央突破を図る。
その後方からはみほの第二大隊、愛里寿の第三大隊が戦車砲、重機関銃で援護する。
沙織「第一大隊、敵陣地に突入!、なお敵方には57㎜以上の砲は無く数こそ多けれど陣形の幅もさほど分厚くないとの事です!」
みほ「了解です!、しかし防衛陣地のすぐ背後は市街地ですので奇襲に注意してください!」
まほ「了解した!、少なくとも先頭は中腹に到達!」
みほ「では第二大隊は第一大隊に続き突撃、第三大隊は左側面に回って下さい!」
愛里寿「了解。」
みほ「第二大隊はこれよりこそこそ作戦を開始します!」
優花里「了解であります!」
華「四方へ散開します。」
麻子「少々急ぎ足で頼む。」
少なくともこの時点で味方は敵陣地中腹まで侵入、しかしその後は市街地に配備されていたT-26軽戦車が多数加わり頑強な抵抗に合った。
みほ「なお、今作戦は敵兵力をなるべく一か所に集める必要があります!」
それに対抗するため一つの塊となって突撃した第一大隊の後方より、四個中隊に分離した第二大隊が逆楔形、鶴翼の陣形で突撃、左右から時間差攻撃を浴びせ敵を左右に揺さぶる。
共産党軍中将「いくら性能が良くともその数では遼陽軍の戦車二個師団には勝てまい!」
現在、中国共産党軍の遼陽軍に配備されているT-26軽戦車は二個師団でおよそ1600輌、対する日本陸軍の満洲方面軍には89式戦車一個旅団およそ600輌とみほの四式中戦車一個連隊180輌と数では圧倒的に劣るため、敵将は押され気味ながらもまだ余裕があった。
まほ「敵戦車か・・・、赤星!、側面の敵を頼む!」
小梅「了解!」
市街地より右側面から突撃して来る敵軽戦車部隊を視認したまほは赤星小梅大尉が率いる一個中隊に迎撃を要請した。
みほは敵陣地直前で再び停車し戦車砲および重機関銃で応戦、その際に愛里寿の第三大隊は左側面に移動を開始した。
そしての各部隊が戦車を撃破しようと群がって来る。
みほ「(平原でこそこそ作戦は難しいんじゃないかと思ってたけど、何とかなりそうだね・・・)」
みほ「大分敵がこちらに集中してきました!、歩兵部隊!、準備をお願いします!」
第四歩兵師団長「おう!」
第七歩兵師団長「いつでも良いぞ!」
愛里寿「こちら第三大隊、移動完了。」
みほ「では、お願いします!」
第三大隊が左側面への移動を完了させた事を合図に戦車連隊の反対側を進んでいた歩兵二個師団が第三大隊と共に一斉に襲い掛かる。
愛里寿「全車両急速発進!」
第四歩兵師団長「全軍突撃!」
第七歩兵師団長「掛かれ―――!!」
戦車連隊に釘付けにされていた敵軍は反対方向から突然現れた大部隊を見て浮足立った。
共産党軍中佐「右翼より新たな敵!、歩兵部隊およそ4万!、その後方には砲兵部隊の姿も!」
共産党軍中将「何だと!」
共産党軍中佐「それから、敵戦車部隊の一部が本司令部を素通りし!、市街地へ侵入しました!」
共産党軍中将「おのれ!、舐め腐りおって!、軍団長に報告しろ!」
まほは敢えて防衛陣地の司令部を無視、素通りした。
それにより素通りする=恐れるに足らずといった思考回路から敵将は逆上した。
みほ「これより市街戦に持ち込みます!」
しかし、各部の兵力が分散し司令部付近ががら空きになっていたため、第一大隊に続き第二大隊も司令部を無視して市街地に突入、遼陽軍司令本部を目指し突撃した。
こそこそ作戦=街中or入り組んだ場所というイメージがあったため、市街戦の前哨戦として書いた今作品での平原でのこそこそ作戦はどうやったいいか悩みました!
こういう場面ではみぽりんより愛里寿ちゃんの方が得意ではないかと思い、半ばこそこそ作戦は愛里寿ちゃんの部隊に変更しようかとも考えましたが、やはりみぽりん主導でおこないました!
次回作は今度こそ本格的な市街戦にする予定なので乞うご期待ください。