初陣で悔しい思いをしたみほはどの様な奪回策を持って挑むのか!
1938年2月、中国共産党軍と遼陽平原にて激突した。
明らかに先手を取られた日本軍は防戦一方の状態となり、みほの戦車大隊は初戦で被害こそ皆無であるが全体的には敗北していた。
遼陽攻略軍は一度司令部にほど近い村まで引き、防衛陣地を築きつつ旅順より援軍の到着を待った満洲軍。
軍団長「おのれーーー!!」
第七歩兵師団長「見事に奇襲されてしまいましたな。」
参謀長「思いのほか、敵兵力が大きかった・・・、しかし奴らはなぜあーもタイミング良く襲撃できたのでしょうか・・・」
みほ「軍団長!、報告です!」
つい先日の遼陽平原での戦いを思い返す軍団司令部にみほが足を運んで来た。
みほ「うちの諜報員によると敵軍の防衛陣地は遼陽平原全域では無く、司令部防衛のため北部に集中しているとの事です!」
参謀長「北部か・・・」
遼陽平原はとても広く、いくら大軍を要する中国共産党軍と言えど全域を制圧できる程の力は無かった。
第四歩兵師団長「陣地が完成する前に攻撃すれば容易いでしょう。」
軍団長「陣地奪い取る事は容易いだが、背後の増援に直ちに奪い返されるだろう。」
参謀長「ですがこのままではそこを拠点にここ満州軍本部攻略を狙ってきます!」
軍団長「わかっとる!、だが兵力で劣る以上、此方から攻めるのは難しい!」
軍団長や参謀長、各師団長達が対策に追われる中、みほが口を開いた。
みほ「軍団長、参謀長、師団長の方々、確かに敵は大軍でこちらの倍以上の兵力を要しています。
ですが、装備に関して言えばお世辞にも最新式とは言えませんし、あれほどの大軍ですから、大軍故の弱点があるかと私は思います。」
参謀長「大軍故の弱点とは?、話を聞こうか。」
みほのこの発言に参謀長が興味を示した。
みほ「敵がここを狙い進行してくる時は帯状の陣形を取って進行してくる可能性が高いです。」
参謀長「だろうな、帯状に広がる事でより大軍に見せる事が出来、相手に大きな威圧を与える事ができる。」
みほ「はい、ですが帯状に広がると言うことは正面から見ると横にこそ長大ですが、縦幅は意外と無いのです。」
これらのみほと参謀長のやり取りを聞いていた軍団長始め他の司令官達も次第に内容を理解し始めた。
軍団長「もし帯状に広がったとして、敵はそれを部隊ごとに行うだろう。
歩兵師団長、地図上にそうなった場合の敵の陣形を模作してみてくれ。」
第四歩兵師団長「はっ!」
軍団長は第四歩兵師団長に碁石を使い帯状陣形を地図上に模作し始める。
参謀長「見てください軍団長。」
みほ「敵は大軍、ですが隙は沢山あります。」
そして完成模作図を見たみほ、参謀長は不適な笑みを浮かべた。
軍団長「なるほど、戦国時代で言うところの桶狭間戦法と言ったところか。」
みほ「はい、ですが遼陽は見ての通り平原、隠れて接近することはできません。」
参謀長「西住少佐、まさかとは思うが...」
参謀長の予感は見事に現実の物となったのは翌日の事であった。
伝令「敵襲!、敵襲!」
軍団長「来たか。」
伝令「防衛陣地の後方よりここ満州軍本部襲撃のために編成されたと思われる大隊が接近!、その数15万人以上です!」
報告を受けた満州軍本部から軍の先鋒として編成された歩兵二個師団、砲兵三個連隊、そしてみほ率いる戦車大隊、兵員の数はおよそ5万人が出撃した。
対する中国共産党軍は攻略軍としておよそ15万人、更に防衛陣地には歩兵三個師団、砲兵一個師団、およそ8万人を配置している。
参謀長「敵はどの様な陣形をしている。」
伝令「はっ!、一個連隊規模で帯状に横一列に広がりそれが何層にも重なっています!」
参謀長「数こそ多いが一つ一つはもろいな。」
軍団長「お主と西住少佐の作戦通りにせい!」
参謀長「はっ!」
遼陽平原中腹
共産党軍中将「小日本はこの数を見てガタガタ震えてるに違いない、余裕を持って攻め込むぞ!」
中国共産党軍は歩兵を前面に出し迫った。
伝令「西住少佐!、武部大尉より入電!、敵軍の先方が平原中腹に侵入、しかしいずれも進行速度は遅いとの事です!」
みほ「了解、さてと・・・」
共産党軍中将「(我らの勝利だな。)」
共産党軍大佐「中将!、正面から敵軍が高速で突っ込で来ます!」
共産党軍中将「ほう、あまりの恐怖に自棄になった様だな!、攻撃せよ!」
中国共産党軍はかなりの速度で接近して来る日本軍に対し一斉射撃を浴びせた。
凄まじい銃声の嵐が吹き荒れ弾丸が降り注ぐ。
麻子「敵歩兵、射撃を開始ました。」
みほ「問題ありません。」
みほは平然としていた。
共産党軍中将「ふははは!、どうだ!」
歩兵同士の射撃線ではやはり数の多い方に分があり、この時の中国共産党軍は日本軍の3倍もの兵力よ要してをりこのまま押し切れると踏んでいた。
共産党軍少佐「最前列部隊より伝令!、敵軍は中戦車大隊を最前列に出し、戦車を盾にしながら接近しているとの事です!」
しかし、日本軍はみほの戦車大隊60輌を横一列に並べ、歩兵は戦車を盾に接近、そのため敵の銃撃による被害は軽微であった。
沙織「総員砲撃準備完了!」
華「いつでも行けます。」
優花里「敵との距離、およそ500mです!」
みほ「よし、戦車大隊総員!、撃ち方始め!」
みほの号令と共に四式中戦車の75㎜主砲が一斉に火を噴いた。
そしてそれが敵部隊に次々と着弾、敵軍の歩兵は成す技べ無く吹き飛ばされ、更に敵の砲兵隊の砲は射程範囲外であり、歩兵を援護できないでいた。
共産党軍中将「おのれ!、砲兵は何をやっとる!」
共産党軍大佐「まだ射程範囲内に入っていません!、仮に入っていたとしてもこちらの砲では敵戦車の装甲を抜けない可能性が高いです!」
共産党軍中将「何!、日本戦車などボール紙装甲ではないのか!」
共産党軍大佐「以前の物とは桁違いの新型が配備されている様子です!」
共産党軍中将「うぐぐっ!、こちらの被害は!」
共産党軍大佐「最前列の歩兵一個大隊が全滅、他の部隊も一個から二個中隊がやられた模様です!」
第四歩兵師団長「敵が止まったな、西住!」
みほ「了解!、砲撃止め!、突撃用意!」
みほの号令で砲撃が止み、戦車大隊を先頭に突撃準備を開始する。
麻子「大隊長、敵方の右翼が最も手薄です。」
みほ「了解!、パンツァーフォー!」
第四師団長「全軍突撃!、西住大隊に続け!」
みほの戦車大隊が突撃を開始、それから間もなく第四歩兵師団総勢2万人が雄たけびを上げ突撃を開始した。
今回は日本陸軍お得意の突貫攻撃開始までを描きました。
次回、いよいよ大軍同士の野戦となります。
当然みほ達が大活躍する予定ですので、次回も後ご期待ください。