Another WWⅡ!   作:永遠のZero

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まず始めはみほ達戦車部隊の戦いです。

満洲を抑えるためにはハルビンを抑える必要があり、そのハルビンを抑えるにまず遼陽、次いで奉天を抑える必要があります。

日露戦争でも激戦地となった遼陽平原にてみほ達がどう活躍するのか!



遼陽の戦いです!

1937年冬、中国共産党軍との間で本格的な戦争が勃発した。

それと同時に満州へ向かえと命令を受けた西住みほ少佐は1938年2月、部隊を率い旅順より満洲を北へ進む。

 

始めは先に上陸した歩兵師団や砲兵隊が次々と敵の拠点を叩き満洲最大の都市であるハルピンを攻略するため遼陽攻撃の準備をしつつ平原に集結、その数15万は下らない。

みほが率いる戦車大隊もそれに加わり待機中あったが、遼陽手前の平原にて遼陽守備を担っている中国共産党軍の大軍と相対する形となった。

 

伝令「大隊長!、敵の大軍が接近中!、既に歩兵一個師団および砲兵二個連隊が抗戦を開始しましたが如何せん数が足りません!」

 

その事を伝令がいち早くみほに伝える。

 

みほ「敵の数は如何程ですか?」

 

伝令「歩兵だけでも2個軍団!、更に砲兵隊や軽戦車部隊を多数確認!」

 

みほが敵の戦力について尋ね、伝令がおおよその規模を答えると大隊の殆どが顔面蒼白となる様な大軍勢であった。

 

みほ「歩兵二個軍団に砲兵、軽戦車か・・・」

 

優花里「40万と言ったところでしょうか。」

 

しかし、みほと副隊長である優花里は平然としていた。

そんな二人を見て最も不安げな表情をしている沙織がみほに問う。

 

沙織「如何しましょう隊長!、満足に準備の整っていない状態で戦うのは無理です!、ここは引くのが賢明ではないですか!」

 

沙織は敵が大軍故数で劣る、しかも準備が整っていない状態で戦うのは不利であると述べ、みほに撤退を進言した。

 

みほ「いいえ、部隊総員乗り込み!、これより前線へ赴きます!」

 

沙織「隊長!、正気ですか!」

 

みほ「私はいつだって正気です。」

 

対してみほはまたも平然とした表情で返す。

みほのこの発言に戸惑う者は少なく無かったが戦車への乗り込みを完了させ前線を目指し駆け出した。

 

 

前線では日中両軍の歩兵がライフルや機関銃による凄まじい銃声が響き合い、数で劣る日本軍はスコールにでも会ったかの様な状態であった。

 

みほ「兵が足りません・・・」

 

みほは最前線の一歩後方に位置する背の高い草村に戦車ごと身を隠しながらその様子を観察していた。

 

優花里「隊長、全部隊の配置が完了しました。」

 

みほ「了解。」

 

この時みほは前線に赴くにあたって部隊を三つに分けていた。

秋山中隊、五十鈴中隊を正面に置き、これらの援護のため武部中隊を右翼、冷泉中隊は後方に配置、大隊長車は秋山中隊の後方にて待機中である。

 

華「隊長、これは、兵の数が足りないどころの話ではありません。」

 

自身の乗用戦車を離れ偵察に出ていたみほに険しい表情の華が問う。

敵戦力は歩兵三個師団に加え砲兵四個連隊、更に軽戦車二個連隊はいる。

 

優花里「しかも敵の軽戦車はソ連のT-26、ソ連が旧式の軽戦車を中国に売ったという話は聞きいていましたが、まさかここまでの数を揃えているとは!」

 

前衛で二個連隊、即ち全軍合わせて最低でも一個師団、1000輌はいると想像できる。

 

みほ「軽戦車だからと言って正面から掛かると痛い目を見ます・・・」

 

戦局は到底変わりそうに無く、とうとう最前線の味方の歩兵部隊が撤退を開始し始めた。

それを見たみほは部隊に発する。

 

みほ「味方の撤退を援護します!、全部隊秋山中隊の位置まで移動してください!」

 

麻子「了解!」

 

華「殿軍、という訳ですか。」

 

沙織「退却戦、かなりきつそうだね・・・」

 

 

みほの戦車大隊の各中隊が一か所に集結し攻撃準備が整ったところで味方の兵隊が次々と戦車大隊の後方に走り込み軍団司令部まで引き上げて行く。

しかし、途中で戦車大隊と共に殿軍を務めるべく歩兵二個大隊と砲兵一個大隊が名乗りを挙げ現場に留まった。

 

みほ「(まず歩兵を逃がさなければいけませんね・・・)」

 

そして彼らのまた攻撃準備が整う頃、みほが号令を発する。

 

みほ「撃てーーー!!」

 

その瞬間、当時日本軍最新型の四式中戦車が一斉に火を噴き76㎜砲弾が敵目掛けて突撃していく。

 

大隊長車砲手「敵軽戦車に命中!、大破炎上!」

 

敵方はT-26軽戦車二個大隊を最前列に出し歩兵一個師団がそれを盾にどんどん迫って来た。

しかし日本軍には76㎜以上を搭載できる中戦車はいないと判断していた敵戦車部隊は予想外の攻撃を受け少しずつではあるが混乱状態に陥り始めた。

 

みほ「可能な限り隊長車を狙ってください!」

 

しかし敵は数に物を言わせ再び突撃を開始。

 

麻子「隊長、後方に新手の敵軽戦車部隊、潮時です。」

 

四式中戦車が砲弾を放つ毎に3~5輌の敵戦車が宙を舞うか黒煙を噴き上げるかして戦闘不能になって行くが後方に待機していた増援部隊が進行を開始するのを確認した麻子はみほに撤退のタイミングであると伝える。

 

みほ「どうやらその様ですね。」

 

華「前方の敵との距離、約1200mです!」

 

みほ「戦車反転!、全速力で撤退を開始してください!」

 

更に華からの通信を聴いたみほはついに撤退を宣言、戦車を反転させ全速力で引き上げて行った。

 

みほ「(初陣で負け戦ですか・・・、我ながら情けないです・・・)」

 

この遼陽平原の戦いにおいて味方の死傷者は5000人に上ったが戦車の被害は皆無、対し敵方の死傷者は15000人に上り60輌もの軽戦車を失ったが遼陽平原から日本軍を撤退させた事により中国共産党軍の勝利と言える。

この事から日本陸軍初となる中戦車による戦車部隊の初陣は酷い負け戦となり、その戦車大隊を率いたみほは一見平然としている様であるが心中では悔しくて溜らなかった。

 




初陣で負けたみほの心情は如何に!

既に本作品を楽しみしてくださっている方のご期待に沿える様、次回も頑張ります!

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