Another WWⅡ!   作:永遠のZero

14 / 25
絶対に退けない戦いです!

黒溝台会戦は終始敵味方の砲弾が飛び交い雨の様に降り注いでいた。

 

みほ「歩兵の皆さんは防塁や物陰から乗り出さないでください!、我々中戦車1個連隊が防塁の直後に回るため後方の歩兵の皆さんは戦車を盾にしてください!」

 

日本歩兵「了解!」

 

みほ「間もなくT-34/85の姿が見えてきました!、山下中将に通信!」

 

通信士「通信繋がりました!」

 

みほ「観測士の伝える座標に向け155㎜カノン砲を撃ち込み敵戦車の撃破をお願いします!」

 

山下「良いだろう!、辻!」

 

辻「はい!」

 

山下「重砲1個大隊を持って敵戦車を撃破せよと伝えろ!」

 

辻「はい!」

 

みほの要請を受けた司令官の山下はその内容を作戦参謀の辻を経由して砲兵隊に伝えた。

その中でも日本軍の砲兵大隊の1つに配備されている最新型の155㎜カノン砲は射程、威力共に絶大な力を発揮した。

 

重砲大隊長「了解!、撃ち方始め!」

 

ソ連戦車兵「グアアアアーーー!!」

 

ソ連戦車大隊長「敵重砲に気を付けろ!」

 

通信士「155㎜、観測士の指定した位置に次々着弾!、T-34/85を始め敵戦車を吹き飛ばしております!」

 

みほ「・・・」

 

しかしみほはその報告に満足など一切ない表情で冷静に戦局分析を行い、ある事に気が付く。

 

みほ「この敵の攻勢・・・、長くは持ちませんね・・・」

 

山下「どういう事だ!」

 

みほ「いま我々の正面にいる敵の総勢は12万、しかしこちらも防衛陣地ありで7万の兵力がいます!、防衛陣地が無ければこちらがすぐさま敗北しますが、そこから放たれる重機関銃や野砲、戦車砲、そして後方の155㎜カノン砲などを受け損害が広がっています!、もし本気でここを落とすつもりなら奉天の主力を割いて来るはずですから!」

 

山下「なるほどな・・・、しかし奉天には中国はいてもソ連はいないだろう。」

 

みほ「はい、満洲におけるソ連の兵力はまだ不十分であるため大攻勢に出るにはまだ時間が掛かるはずです!」

 

現在、奉天に配備されている中国共産党軍の主力は60万であるが、ソ連極東方面軍の兵力はウラジオストク、ハバロフスクなどを含めても30万に届かない程であったため、いくら陸軍力に優れたソ連軍と言えど今の段階で仕掛ければ返り討ちに会い兼ねないとわかっていた。

そして黒溝台での攻防戦が始まってから1週間、初めの敵の総攻撃の後は少々の睨み合いが続いたが引き上げて行った。

 

みほ「ふうー・・・」

 

観測員「敵が!、敵が引いていきます!」

 

桃「た、助かった・・・」

 

西「長い間突撃を我慢するのはきついでありますな!」

 

柚子「(死ぬかと思った・・・)」

 

 

戦闘終了の2日後、辻が満洲方面軍司令部にて報告を行っていた。

 

軍団長「戦死者5000名だと・・・」

 

辻「はい、歩兵1個連隊が壊滅、その他に大隊規模で壊滅した部隊もおります!、更に河嶋、西の各戦車大隊の損害は半数との事であります!」

 

参謀長「何をやっている・・・」

 

杏「・・・」

 

そして報告内容のあまりの酷さに頭を抱え、中には呆れている者もいた。

 

杏「味方の戦死者5000に加えて軽戦車60輌、中戦車30輌、野砲や機関銃など計100門以上をたった7日で、呆れて物も言えませんね・・・」

 

参謀長「特に牟田口中将指揮の第18師団の損害が特に激しく、一度後退させましょう!」

 

軍団長「ああ、そうだな・・・」

 

副指令「して沙河の守りはどの部隊にしましょうか。」

 

軍団長「うむ・・・」

 

杏「第5師団に加え歩兵第4、7師団を右翼、左翼に回すのがよろしいかと存じます。」

 

参謀長「ああ、それが良い。」

 

話を沙河戦線防衛に戻し、だいだいの概要が出来上がった直後、伝令が飛び込んで来た。

 

伝令「申し上げます!、奉天に潜入中の諜報部隊より!、奉天の敵軍がごぞって移動を開始!」

 

辻「総攻撃に出るのか!」

 

参謀長「いいえ!、敵軍は北進しているため目的地はハルビンかと思われます!」

 

その場にいた満洲方面軍司令部は将や参謀たち一瞬耳を疑ったが次第に喜びの表情が現れ始めた。

 

副指令「と言う事は、奴らは奉天を捨てたという事か!」

 

伝令「恐らく!」

 

軍団長「人員を増やし真偽を確かめよと伝えよ!」

 

伝令「はっ!」

 

軍団長は更なる調査を依頼した。

そして諜報員の活動によって奉天はもぬけの殻となり、また大軍がハルビンに入るのを確認した満洲方面軍は河が凍る冬、11月下旬ごろ前進、沙河を超え奉天に入った。

その際みほは自身の戦車連隊を奉天の北に置き敵襲に備えた。

 

みほ「この前の敵は黒溝台に何しに来たんだろう・・・」

 

優花里「1つにこちらの戦力を確かめに来た・・・、とか・・・」

 

みほ「それって10000人を超える戦死者を出してもする事ですかね・・・」

 

優花里「一丸にそうとは言えませんが、向こうは兵力にかなり余力がありますから・・・、現にシベリア方面軍の一部が南下して来ているわけですし・・・」

 

現在、シベリア方面から南下、中国とソ連の国境に60万の兵を配置している。

 

みほ「こちらも戦力が増えた事に違いありませんが・・・」

 

優花里「西住まほ殿、島田愛里寿殿が大佐に昇格され戦車連隊長に!、本土から追加配備された四式中戦車改が我々の連隊と合わせ1個旅団規模になりましたからね!」

 

陸軍軍令部の方針では既に戦車3個師団が完成している計算であったが不慮の事態に会い本来の30%程しか満州に渡せていない。

 

みほ「ですが敵は必ず機甲軍3個軍団以上で攻めて来ます!、こちらも機甲軍を最低でも1個軍団なければ太刀打ちできません!」

 

みほの言う機甲軍1個軍団を創るとなればそれに適した兵員10万~20万、戦車1500輌~2000輌、大砲800門~1000門など戦車の発達に遅れをとる日本ではかなり難しい要求であった。

 

みほ「では私は軍議に参加しますので後をお願いします。」

 

優花里「はい!」

 

奉天に拠点を移した満洲方面軍司令部はほとんど警戒を解けない状況にあった。

 

軍団長「奉天を取ったとは言え、これは勝利とは程遠いな・・・」

 

参謀長「敵の狙いは満洲方面軍全軍を一か所に集め、圧倒的な兵力で攻勢を仕掛けるつもりでしょう!」

 

山下「我が満洲方面軍は陸軍、空軍を総ざらいしても60万弱、対し敵は正面の中国共産党軍100万とソ連極東方面軍およびシベリア方面軍総勢120万以上、これでは勝負になりません!」

 

杏「恐らく敵がここを取らせた理由として、兵力で勝る敵に有利な野戦を仕掛けやすくするためでしょう。」

 

みほ「あの、1つ提案があるのですがよろしいでしょうか!」

 

軍団長「いかがした。」

 

みほ「ハバロフスクを空爆してはどうでしょうか!」

 

辻「それは無理です西住大佐!、遼陽の空軍基地から爆撃機をハバロフスクまで飛ばしたとしても往復3000㎞以上あります!、たどり着く事は可能かもしれませんがその道中にて敵戦闘機に襲われ多数の犠牲を伴うでしょう!」

 

現在満洲方面軍の後方、遼陽にある空軍基地からハバロフスクまで往復およそ3000㎞に対し空軍の二発爆撃機一式陸攻の航続距離は4000㎞あるので航続距離に問題は無い。

しかしハバロフスクに到達するまでにいくつかの敵空軍基地の防空県内を突破しなければならないため護衛戦闘機が必要不可欠となるが、現在の空軍陸上航空団の護衛戦闘機は一式戦闘機(隼)であり航続距離は1600㎞程であるため十分な護衛が出来ない。

 

みほ「はい、そこで私に考えがあります!」

 

みほの考えが明らかとなったのは1939年12月上旬頃であった。

 

しかしその1月ほど前の1939年11月、ソ連は100万の大軍を持ってフィンランドに侵攻を開始、フィンランド国防軍は総ざらいしても25万でしか無い圧倒的不利な状況での開戦となった。

 

数名の日本空軍海洋航空第一航空戦隊の航空機パイロットが奉天に置かれた満洲方面軍総司令部を訪れた。

その面々は一航戦司令官の坂本美緒中佐を始め空軍大尉となり戦闘機1個飛行中隊を指揮する宮藤芳佳や芳佳の部下として着任した空軍少尉、服部静夏などがいた。

 

美緒「では西住大佐はハバロフスク爆撃を石狩の爆撃機隊、その護衛を我々の戦闘機隊に頼りたいと。」

 

みほ「はい、航続距離の問題で遼陽の基地からでは爆撃隊に護衛戦闘機隊を付ける事ができませんが爆撃機隊を石狩基地から、戦闘機隊をハバロフスクから800㎞以内の地点から空母より発進させれば往復する事が出来ると私は考えます。」

 

空軍をここに呼び出したのは当然みほであり、遼陽の部隊では無理だと判断するや否や別部隊に依頼する事を念頭に置き、白羽の矢を立てたのが美緒らの部隊であった。

 

美緒「なるほど、内容は理解しましたがハバロフスクを攻撃するともなれば一式陸攻が120機は欲しい所ですが・・・」

 

みほ「いえ、壊滅させる必要はありません。」

 

美緒「どういう事ですか?」

 

軍団長「実はのう坂本中佐、我々の目的はハバロフスクを攻撃することでウラジオストクとそれ以外の敵を分断する事にある。」

 

参謀長「最悪脅しをかける程度で構わないし、もし120機もの爆撃機を飛ばせば大いに目立ち敵空軍と一大空戦に成り兼ねない。

これだけは何としても避けたいのだ。」

 

みほ「そこで私の案なのですが、今回この作戦は奇襲でお願いしたいので航空機の編成は爆撃機3個飛行中隊(27~30機)および戦闘機1個飛行中隊(12機)程度が良いかと思われます。」

 

静夏「そ、それだけでありますか!」

 

みほ「奇襲の際に大部隊を送り込んだらすぐにバレて奇襲の意味が無くなりますからね。」

 

杏「敵方して見れば無謀極まりないし少数で爆撃したところでこっちに大した利益がありませんが・・・、そう言った攻撃でなければ奇襲とは呼べません。」

 

杏の言葉を聞いた直後、芳佳が何かを閃いた。

 

芳佳「西住大佐!、この作戦についてですが!」

 

みほ「何でしょうか?」

 

芳佳「一度奇襲を受ければ再び攻撃されるのでは無いかと恐怖心を抱く様になるという人間の心理を突くのが狙いではありませんか!」

 

みほ「・・・」

 

まだ空軍には知らされていない作戦の趣旨を見抜いた芳佳にみほは不意を突かれた様な表情をした。

 

みほ「これは驚きました・・・、よくわかりましたね・・・」

 

杏「ハバロフスクは敵方の一大反攻拠点に成り兼ねない・・・、だからこっちはお前らをいつでも攻撃できるぞと脅しをかけて置く必要があるんだよね。」

 

静夏「なんと!、納得いたしました!」

 

美緒「作戦の事を南雲閣下にお話ししよう、成功すればしばらく敵は動けなくなるはずだ!」

 

みほ「(正直成功確率は五分五分何ですがね・・・)」

 

美緒らは参謀長から正式な作戦書を受け取り翌日には基地を去っり空母天城に戻ってい行った。

 

美緒「宮藤。」

 

芳佳「はい?」

 

美緒「この作戦、間違いなく敵空軍とぶつかる、日本空軍にとって初の実戦だ、部下の指導をより一層頼む。」

 

芳佳「はい!、2対2の時は服部少尉が私の2番機に付いてね。」

 

静夏「了解です!」

 

この時の芳佳は戦闘機1個飛行中隊長の他に若手育成のための模擬戦闘訓練(宮藤機が敵役)を担当していた。

当然、芳佳は一切手を抜かず、しかも笑顔で照準を合わせてくるためそれを見たパイロットはしばしの間トラウマになったと言う。

 

 

同年12月下旬、美緒らが空母天城に戻り空軍大将で第一機動部隊司令長官小沢治三郎に作戦書を提出した。

 

小沢「奇襲か・・・、よかろう、通信参謀!」

 

通信参謀「はっ!」

 

小沢「石狩基地に通信、爆撃機の用意をさせよ!」

 

通信参謀「了解であります!」

 

小沢「この作戦は後に行われる海軍との合同作戦の予行練習と行こうか!」

 

小沢を始め航空要員らの会議で作戦開始は1940年の7月と決定された。

それには2つの理由があった。

1つ目は零戦の正式な実践配備がこの時期であったこと。

2つ目は吹雪などによって飛行がままならぬ事態や雪で爆撃目標が見えなくなるのを防ぐために念には念を入れこの時期となった。




次回からいよいよ空軍が動きます!

前回、間違えて未完成のまま投稿してしまいました。

改変が済みましたので今回もどうかよろしくお願いします。

それから近々ソ連VSフィンランドの冬戦争編をミカやエイラを主役として書くつもりです!
あとソ連側からは当然サーニャやサーシャが敵役で登場します!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。