角谷杏
年齢・26歳
身長・142㎝
出身・茨城県
所属部隊・満洲方面軍
役職・満洲方面軍作戦参謀
搭乗戦車・なし
階級・中佐
河嶋桃
年齢・26歳
身長・165㎝
出身・茨城県
所属部隊・満洲方面軍
役職・軽戦車1個大隊長
搭乗戦車・97式軽戦車(テケ)
階級・少佐
小山柚子
年齢・26歳
身長・160㎝
出身・茨城県
所属部隊・満洲方面軍
役職・軽戦車1個大隊副長兼1個中隊長
搭乗戦車・97式軽戦車(テケ)
階級・少佐
西絹代
年齢・25歳
出身・東京都
所属部隊・満洲方面軍
役職・軽戦車1個大隊長
搭乗戦車・97式中戦車(チハ)
今回からカメさんチームと、後に西さん以外の知波単sが登場、そして彼女達が所属する師団の司令官はある意味非常に有名なあの人です!
1939年9月下旬、ソ連陸軍は同盟を結んだ中国共産党軍が拠点を構える奉天まで兵を進めて来た。
参謀長「敵方の陣形はこの通り、沙河に展開する我が軍に対して相対する形で布陣しており、その兵力は60万を超えます!、敵の前線も最低5個師団はおります!」
軍団長「最前線の兵力と布陣はどうなっておる。」
次席参謀「現在、沙河の全線約40㎞に渡り黒溝台を中心に歩兵1個師団、砲兵2個大隊、軽戦車2個大隊が守っております。」
軍団長「・・・」
敵軍の戦力と味方の前線部隊の戦力の差を聞き、わかっていた事とは言え軍団長は口を閉じた。
しかしその直後、作戦参謀として満洲方面軍司令部に着任した角谷杏中佐が口を開く。
好物の干し芋をヒラヒラと揺らしながら。
杏「前線の味方兵力はおよそ3万、援軍さえしっかり行き届けば問題ありませんよ。」
参謀長「簡単に言うな角谷!、今は良いがやがて冬が来る!、そうなれば寒さで地面が凍り猛吹雪で視界を奪われる!、援軍どころか普段の補給ですらままならんかもしれないのだぞ!」
軍団副指令「落ち着け参謀長!」
参謀長「はい・・・」
軍団長「角谷、お前何か心配事でもあるのか?」
先ほどま黙り込んだ軍団長が杏に問う。
杏「軍事特例にて西住みほを大佐にする以外にも沢山本部から直にお持ちした作戦書に書いてありませんでしたか?」
参謀長「沙河前線部隊の編成は確か本部が考案した物だったが・・・」
軍団長「ああ、確か牟田口廉也中将を指揮官とした本土からの援軍だったはずだ。」
杏「私はその牟田口中将、何か嫌な予感がするんです・・・、軽戦車大隊長の河嶋少佐や西少佐も・・・」
すると杏は不安げな表情で返す。
杏「軍団長!」
軍団長「何かね?」
杏「部隊がやばくなったら西住大佐の中戦車1個連隊を回していただけませんか!」
そして杏は士官学校時代から、表にこそあまり出さないが尊敬してやまないみほの中戦車連隊をすぐ迎えるようにして欲しいと軍団長に申し出た。
軍団長「それはその時次第だが、お主がそこまで言うのなら西住連隊は中堅部隊の先鋒に配置しよう。」
軍団長もまた、開戦から何度も窮地を乗り越えたみほを信頼している。
そんなこんなで会議が一段落下した頃、その時がすぐにやって来た。
通信参謀「軍団長!、前線部隊司令部から通信!、黒林台の防衛陣地が襲撃され壊滅しました!」
軍団長「なに!」
通信参謀「更に敵はそのまま黒溝台に接近!、その数12万!」
軍団長「まだ西住連隊の移動も済んでない!、援軍が到着するまで何としても持ち堪えろと伝えよ!」
通信参謀「了解!」
同日昼、沙河沿い40㎞に展開する前線部隊3万人に対してソ連の援軍を得た中国共産党軍は歩兵3個師団、軽戦車1旅団、砲兵2個連隊を、ソ連陸軍は歩兵1個師団、中戦車2個連隊、軽戦車1個旅団を送り込んで来た。
そしてそれを間近で見るは黒溝台の入り口に構える軽戦車1個大隊長の河嶋桃少佐と副長兼中隊長の小山柚子少佐であった。
桃「ああ・・・、ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!、柚子ちゃんどうしよう!」
柚子「ちょっと桃ちゃん落ち着いて!」
桃「桃ちゃん言うな!」
そして先ほど杏が心配していた事の1つが見事的中していた。
柚子「迎撃命令は出てるから早く部隊に命令を!」
桃「あ、ああ!、観測員!、敵との距離は!」
観測員「はい!、前方敵戦車、T-26、およそ800mです!」
柚子「(800m、それだと命中率も撃破率も低い、撃つなら500m以内まで引き付けて・・・)」
桃「総員撃てーーー!!」
柚子「!!」
観測員からの報告を聞き、効率の良い手を考えている柚子をしり目に桃は直ぐに攻撃命令を出してしまった。
桃の号令共に97式軽戦車(テケ)およそ100輌の37㎜主砲が一斉に火を噴いた。
桃「撃て!、撃て!、撃てーーー!!」
柚子「ちょっと落ち着いて!」
しかしその砲弾の半数以上が敵部隊の100m以上前方に着弾、命中弾が無かった訳では無いが敵軍の被害は少なかった。
柚子「これじゃあこっちの居場所を敵に教えてあげてるような物だよ・・・」
観測員「敵との距離、およそ600m!、敵戦車発砲!」
桃「う!、うわあああーーー!!、退避!、退避!」
敵の放った砲弾は味方戦車に命中、6両が撃破された。
中隊長「前方の6両が撃破されました!、大隊長!、ご指示を!」
桃「えー、えーと・・・」
このとき桃は誰がどう見てもパニック状態であった。
観測員「第二波来ます!」
中隊長「ギャアアアーーー!!」
桃「!!」
通信士「前方の1個中隊!、およそ半数が撃破されました!」
桃「えーっと、と、とにかく撃て!」
砲手「(使えねーこの愚隊長!、何でこんなのが隊長なんだよ!、完全に無駄弾じゃねえか!)」
通信士「(通信機の電源入れっぱで大声出すな!)」
操縦士「(こいつと心中なんて死んでもごめんだ!、つか死んだ方がましだ!)」
装填手「(足バタバタさせるせいで砲弾が取り難い!、もし生き残れたら西住連隊に編入を願おう!)」
パニック状態で真面な指示が出せない事もほとんどの者が分かっていた。
そんな中で自身の部隊の直後に構えていた絹代から通信が入る。
通信士「大隊長!、西少佐から通信です!」
桃「こちら河嶋!、ただいま敵の猛攻に押されて!、前方の1個中隊が壊滅した!」
絹代「ここは守っててもしょうがない!、先ほど牟田口中将から突撃の許可を貰った!、どうだ加わらないか!」
桃「本当か!」
柚子「!!、それはいけません!」
桃「いいや、ここは突撃してこっちの勇ましさを見せつけビビらせて押し返そう!」
絹代「河嶋殿!、良い事言うな!、我らの大和魂を奴らに見せつけてやろう!」
柚子「・・・」
桃「総員掛かれーーー!!」
絹代「全軍突撃!!」
牟田口の許可を得た絹代の部隊は桃の部隊と敵軍に真正面からの突撃を開始、それに続き士気果敢な歩兵部隊が次々と続いた。
柚子「(本部に報告しなきゃ!)」
黒溝台での一連の出来事に関する報告が揃ったのは翌日の事であった。
杏「・・・、何やってんだ河嶋は・・・」
参謀長「軽戦車80輌が撃破され、歩兵の戦死者はおよそ1000人、負傷者5000人以上・・・」
軍団長「なぜこんな事に!、牟田口は何をやっとるか!、参謀連中は!、今すぐ呼び出せ!」
そして報告を聞いた満洲方面軍首脳陣は怒り心頭であった。
通信参謀「それが・・・、機器の調子が悪く繋がりません・・・」
軍団長「こんな時に!、伝令!、西住みほ大佐に伝えよ!、自身の戦車連隊を持って防戦に当たれと!」
伝令「かしこまりました!」
軍団長「他の歩兵、砲兵も引き抜けるだけ引き抜いて構わん!、黒溝台防衛に回せ!」
参謀長「了解!」
軍団長は事態を飲み込むとかなり焦った表情で援軍の編成を急いだ。