Another WWⅡ!   作:永遠のZero

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御前会議でピンチ! 後編

1938年8月より開始された御前会議の途中、ソ連空軍が中国に存在する欧米諸国軍駐屯地を手当たり次第に爆撃した。

これらの騒動に対し誤爆の可能性有と判断した東条はソ連に外相を送り9月より会談、この爆撃が意図的に行われのか否かを確かめる。

そしてそれらの会談および日米交渉についての結果が1938年11月半ば頃には出揃った。

 

日本外相「ソ連側の爆撃に関する返答ですが、各国共通の返事を貰ったと米、英、独政府との会談ではっきりしました。」

 

昭和天皇「して、その内容はどの様な物か。」

 

日本外相「誤爆であると。」

 

しほ「誤爆、ねえ・・・」

 

千代「なら、何故こちらの賠償請求を無視し続けるのですか?」

 

日本外相「はい、奴らはただ誤爆であるの一言の一点張りで、他国に対してもそのように返答し、賠償請求には応じないとの事です。」

 

山本「なんと無責任な!」

 

日本外相「それだけではありません!、ソ連側は既に東シベリア方面軍の一部を既に南下させております!」

 

山口「完全にやる気ですな!」

 

ここに来てソ連は世界各国を挑発、戦の火種を作ろうとしている事は確実であると、日本外相は述べた。

 

東条「外相、話は変わるが米国との会談は如何であったか。」

 

日本外相「はい、そちらの方は宗谷閣下の仰られていた様に以前よりもすんなりと事が運びました。」

 

真雪「敵の敵は味方、とはよく言った物ね。」

 

日本外相「加えて2日前、在日米大使より米国政府はこれ以上交渉を引き延ばすのであれば今年12月にはソ連、中国共産党との国交断絶、相手の出方次第では米ソ開戦止む無し、との事です。」

 

東条「少なくとも米国が敵になる事は無くなったと捉えて良いのだな。」

 

日本外相「はい!」

 

真雪「しかしソ連が引き下がるとは思えない、このまま行くと米ソ開戦は早ければ来年の10月頃になりますね。」

 

昭和天皇「他はどうだ、特に独、伊などは如何か。」

 

日本外相「独、伊は国家情勢が不安定であるため、今は国防が精一杯と言う感じです。

英、仏、蘭、西はいずれも米国が仕掛けるよりも早く開戦するつもりであると思われます。」

 

東条「だろうな、恐らく来年の今頃は世界を巻き込む大戦となろう。」

 

欧米各国は既にソ連との開戦へ向け準備を開始、日本側の見解では欧米諸国がソ連と本格的に開戦するのは1939年10月頃であろうと予想した。

 

しほ「陸での日ソ開戦は恐らく9月頃だと予想されますが、既に極東方面軍のみならず東シベリア方面軍が動いたとなれば!」

 

そして日ソ開戦はもっと早く始まると予感したしほは東条に直ちに満洲方面軍に援軍を送る様進言、東条はそれを受け入れ、中国共産党軍と既に開戦している日本軍は主力となる戦車部隊の育成を更に加速、12月にはソ連と国交断絶、満洲方面軍に新たに陸軍2個軍団、空軍陸上航空1個飛行団、爆撃機2個飛行大隊を派遣した。

 

真雪「天皇陛下、総理、我ら海軍は兼ねてより呉、大湊の主力艦隊および呉の空軍海洋航空第1航空戦隊、佐世保の第3航空戦隊を派遣します。」

 

その一方で海軍もまた呉、大湊の主力艦隊および空軍海洋航空2個戦隊を能登半島を中間地点として日本海に配置、その予備部隊として佐世保の艦隊を朝鮮半島の南端に位置する鎮海湾に待機させた。

 

東条「天皇陛下、決まりですな。」

 

昭和天皇「ああ、ではこれよりソ連との交渉は手切れと致す。」

 

1938年11月末、御前会議は昭和天皇の日ソ開戦承諾を持って終了した。

 

 

時は少し戻り1938年10月の大湊鎮守府、その大会議室に明乃、もえか、ましろを始め50人程の士官が集まっていた。

そんな中、ましろが一通の手紙を険しい表情で呼んでおり、それに他の者が気になり寄って来た次第だ。

 

ましろ「・・・」

 

真冬「どうしたシロ。」

 

後からやって来た真冬もまた気になりましろに話しかけて来た。

 

ましろ「姉さん・・・、これを・・・」

 

その真冬にましろは手紙を渡す。

 

真冬「真霜姉からか・・・、御前会議は陸軍と海軍が揉めるせえであんま進んでねーってか。」

 

手紙の差出人はましろ、真冬の実の姉に当たる呉鎮守府司令長官の宗谷真霜からであった。

 

ましろ「こんな事態に陸軍と海軍の足並みが揃わないのは非常にまずい・・・」

 

もえか「予想していた事とは言え流石にまずいですね・・・」

 

明乃「・・・」

 

手紙の内容は用意に想像できる物であったが、それでも日本人同士がこの窮地に手柄を競い合い対立してしまう事の醜さを改めて痛感した。

そして沈黙が生まれる中、この大会議室に士官達を呼び出した大湊鎮守府司令長官の伊地知雪が談話室に入って来た。

 

雪「皆さんにいくつか報告と通達があります。」

 

真冬「(いよいよか・・・)」

 

雪「空軍の設立に当たり、元第1機動部隊および第3艦隊の主力空母が正式に空軍所属になった事によって我が連合艦隊から主要な人物が少なからず空軍に移籍、そのためその穴を埋めるための策として、誠に遺憾ながら皆の現在の役職が大きく変わってしまいす。」

 

もえか「一体どういうことです?」

 

雪「結論から言いますと・・・、戦時特例によって・・・」

 

ここから先、雪の述べた事は特例の枠さえ超えているかもしれない程の特例であった。

 

雪「お次は宗谷真冬大佐!、来月付けで海軍少将に昇格、新設された海兵1個旅団の旅団長を命じます!」

 

真冬「了解!」

 

雪「続いて宗谷ましろ少佐!、本日付で海軍大佐に昇格、戦艦金剛の艦長を命じます!」

 

ましろ「はい!」

 

雪「知名もえか少佐!、本日付けで海軍大佐に昇格、戦艦陸奥の艦長を命じます!」

 

もえか「了解しました!」

 

雪「最後に岬明乃少佐!、本日付で海軍大佐に昇格、戦艦長門の艦長を命じます!」

 

明乃「!!、りょ、了解!」

 

雪「以上がこれからの皆さんの役職になります。

それからこの艦隊副指令として伊藤誠一少将が着任しましたので挨拶を。」

 

伊藤「はっ、艦隊副指令および参謀長を務めさせてもらう伊藤誠一、これからよろしく頼む。」

 

伊藤誠一と名乗る男性士官が雪の副官として着任、この伊藤は元々第二艦隊旗艦の重巡愛宕の艦長であったが本部の命によりここ大湊鎮守府へとやって来た。

 

雪「では役者がそろったところで明後日明朝より我が艦隊は作戦行動に移りたいと思います!」

 

そして最後に雪は作戦開始の号令を発した。

 

 

年明けて1939年1月、大湊鎮守府に集結した戦艦長門を旗艦とする第一艦隊は能登半島とウラジオストクを結ぶラインの東、呉鎮守府に集結した重巡愛宕を旗艦とする第二艦隊は西側に配備され。

また能登半島を補給基地として空軍所属となった空母天城を旗艦とする第一航空機動艦隊は呉と大湊を行き来する形で配備されてた。

 

その頃、援軍を得て遼陽にて進軍を停止していた陸軍は遼陽市街を中心に街を囲み込む様に強大な防壁、沙河の水を利用した対戦車堀、無数の防衛陣地を構築し、また街の後方に新たに作られた航空基地には空軍兵力が惜しみなく配備された。

 

そして世界各国が息を飲み開戦準備を終わらせた辺り、1939年8月に差し掛かった頃、ストックホルムより第一報がもたらされた。

 

辻「東条総理!、西住閣下!、島田閣下!、欧州方面にてソ連が動き出しました!」

 

東条「動いたか!」

 

しほ「思いの他早かったわね・・・」

 

千代「欧州はまずポーランド辺りまで飲み込み、ポーランドを拠点としてドイツやイタリアに攻めかかる算段かしら?」

 

ソ連軍は千代の想像通り、近隣の同盟国を飲み込みフィンランド、ドイツ、イタリアへ進軍を開始した。

対してヨーロッパ諸国はドイツ、イタリアにフランス、スペイン、オランダが、フィンランドにはイギリスがそれぞれ援軍を送りソ連と相対する形となって戦火が広がって行った。


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