紘汰オンリーです!
ではどうぞ!
べ、別に書くことが無いとかじゃな、無いんだからね!
え?気持ち悪い?ごめんなさい_○/|_ 土下座
腰から慣れ親しんだオレンジのロックシードを取り出して叫ぶ。
「俺は、ここにいるみんなを助けて、先に進む!!」
「変身!!」
『オレンジ!』
ロックシードを解錠すると、紘汰の真上に円形に型どられたフォスナーが現れ、開いた。そこから、鉄の塊のようなオレンジが現れる。
手に持っているロックシードを天に掲げ、その後ドライバーにセットし掛金を押し込む。
『ロックオン』
そんな機械音が鳴ると、続いて法螺貝の音が鳴り響く。そしてカッティングブレードを下ろす。
『ソイヤッ!』
この機械音と共に空に浮かぶオレンジが紘汰の頭に吸い付くようにはまり、青いライダースーツに包まれる。すると、オレンジのパーツが展開され鎧のように見に纏う。まさしくそれは鎧武者のよう。
「ここからは俺のステージだっ!!」
聴く者に温かく、心強い、安心を与える声が響いた。
────────────────────
───どこだここは?
ビルだらけの都会から、中世の建物がたくさん建っている所に風景が変わってしまっていることに思考が追い付いていない彼の心中はその言葉で埋め尽くされていた。
所持しているものと言えば、オレンジやパインなどの果物を模したロックシード。そして、それをはめ込んで使う戦国ドライバー。他には、スマホや財布、先程買ったおにぎりやファ〇チキ、お菓子などだ。
彼の特徴といえば、平均よりも少し高い身長。程よいバランスの取れた体格。後ろにオレンジ色の鎧武者がプリントしてあるパーカーがとても様になっている。目付きはとても柔らかく、とても優しそうな好青年だ。
そんな彼の目の前には、巨大なトカゲ風の生き物に引かれた馬車的な乗り物が横切ったり、西洋風な鎧を来た人や踊子風の衣装を着た人たちが通っている。挙句の果てには、自分と似たような格好をしている人が全くいない。
「何だこりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
* * *
現在紘汰は、どこかの通りの裏路地の階段に座りこんでいる。そこで、今1度所持品を見ていた。コンビニで買った物や戦国ドライバーは再確認しなくても良かった。問題なのはロックシードの方だった。
所持している、オレンジ、パイン、イチゴ、スイカ、マツボックリ、レモンエナジー、チェリーエナジー、ピーチエナジー、カチドキの変身に使用するロックシードの色が全て失われていた。しかし、サクラハリケーン、ダンデライナー、チューリップホッパーは今でも使えるようだ。つまり────
「あれ?俺って今、変身できない?」
────という結果になる。
とまぁ、知らない世界に飛ばされるわ、ロックシードの色は失われ、何をすればいいのか分からない紘汰はとりあえず動いてみることにした。その場から立ち上がって大通りへと歩き始める。と、
「あっ、ごめんな」
路地から出ようとしたらちょうどそこを通りがかる人影とすれ違う。軽い謝罪をして、先に進もうとして、
「───う、おっと!なんだ?」
後ろから肩を思いっきり掴まれて、元の場所に戻された。バランスを取りながら振り返ると、やたらデカイ男とその他2人の男が路地を塞ぐように立っていた。
「ごめん、そこ通りたいんだけど退いてくんね?」
「あぁ?お前立場わかって言ってんのか?とりあえず、出すもん出しな」
「えー…」
簡単に言うとチンピラに絡まれた…。出すもん出したら更に活動しにくくなる。はっきり言ってめんどくさい。
なんだか、あちらさん方はさっき言った一言で機嫌を悪くしたらしく今にも殴りかかってきそうだ。
「あのー…」
「うるせぇ!」
いきなり、デカイ男が殴りかかってきた。全然うるさくしてないのに…あのーしか言ってないのに…なんて思いながら軽く後ろに飛んで回避した。それがまた気に食わなかったのか何発も殴りかかってくるが、運動神経が無駄に高い紘汰の前では軽くあしらわれるだけだった。
「なぁ、もういいだろ?通してくれよ…」
「いや、まだだ」
首輪をつけた男がナイフを取り出しながら言う。普通の人ならそれだけでビビって一瞬で土下座したりするのだろうが、紘汰は色んな怪物やライダーと戦い場数を踏んでいるのでそんなに大したことは無い。
首輪はナイフを逆手に持ち、襲いかかってきた。その攻撃を先ほどと同じように回避しようとした。その時───
「ちょっとどけどけどけ!そこの奴ら、ホントに邪魔!」
切羽詰まった声を上げて、誰かが路地裏に駆け込んできた。男達はギョッとし、紘汰は視線だけを持ち上げる。目の前をセミロングの金髪を揺らす小柄な少女が横切って行く。どこかの誰かを彷彿とさせる意志の強そうな赤い瞳、イタズラっぽく覗く八重歯。着古した汚い格好の少女は、殺人未遂が行われそうな現場に出くわしたのだ。
「なんかあぶねー現場っぽいけどゴメンな!アタシ忙しいんだ!強く生きてくれ!」
「お、おう…」
少女は紘汰に申し訳なさそうに手を上げ、走る勢いそのままに細い路地を駆け抜ける。行き止まりの道に立てかけてあった板を蹴り、軽々と壁を掴み建物の上へと消えた。
その場に沈黙が流れる。原因は、言わずもがなさっきの少女。だけども、状況は変わっていないようだ。
「もうそろそろそこ通っても…」
「今ので水差されて気分を害しちまったぜ。通すわけないだろ」
最後まで言わせろよ!と心の中でツッコむ。再びナイフが迫ってきた。またしてもそんな時───
「───そこまでよ、悪党」
銀色の髪をたなびかせた、1人の綺麗な少女が現れた。